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第四章 大型連休は遊園地デートです!?

34話 遊園地にハプニングはつきもの?《side帝》 1

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 大型連休に入り、最初の日曜日。
 僕はひいらぎくんに呼び出され、混んでいる電車に乗り、とある場所へとやってきた。


「──これはどういうことだ、ひいらぎくん?」
「んー? どう見たって、遊園地だけど?」

 そう。
 僕は、家族連れや恋人でにぎわう遊園地に連れてこられたんだ。
 瀬尾せおくんもいて、彼はすでに暑さにやられているように見える。

「だから、なんで遊園地に? しかもここは……」

 黒羽くろばね神城かみしろさんと、デ、デートをしている遊園地じゃないか!

「もー、細かいことはいいじゃん」

 ひいらぎくんは、どこで買ったのかピンクの色付きサングラスを取り出し装着そうちゃくする。

「これでよしっと。さーてと、どこにいるのかなぁ?」
柚瑠ゆずる……俺、のどかわいた。ちょっと飲み物買ってくる」

 そう言って瀬尾せおくんは、自動販売機へと向かった。
 瀬尾せおくんに見向きもせず、ひいらぎくんはキョロキョロと周りを見渡している。

「さっきから、なにを探してるんだ?」
「──居たっ!」
「居た? だから、なにが……」

 ひいらぎくんの視線をたどっていくと、見知った顔を発見する。  

神城かみしろさん?」

 黒羽くろばね神城かみしろさんが、ジェットコースターの列に並んでいた。
 神城かみしろさんは、いつもと雰囲気が違った。
 見なれた制服じゃないのもあるが、いつも下ろしている髪を今日は耳のうしろで、二つのお団子にしている。
 とても可愛らしい。 
 神城かみしろさんにすごく似合っていた。

「(それにしても……。これだけ広いのに、見つけられるとは思わなかった)」
「ボクたちも行くよ! って、あれ。カイリは?」
瀬尾せおくんならさっき、飲み物を買いに行ったが」
「もー! せっかく二人を見つけたのに、カイリったらなにしてるの!」

 ぷりぷりと怒っているひいらぎくん。
 でもすぐに瀬尾せおくんは戻ってきた。
 両手に飲み物をかかえている。

「ん。二人の分も……、適当に買ってきたよ」
「ありがとう瀬尾せおくん。お金を」
「え、いいよ別にそれくらい」
「いや、そういう訳には──」
「だー! カイリが良いって言ってるんだから、もういいの! ありがとうカイリ! さ、行くよ!!」

 ひいらぎくんに腕を引かれ、僕たちもジェットコースターの待機列へと並んだ。
 神城かみしろさんたちとは離れているから、ここなら多分バレないだろう。

「……なぁひいらぎくん、これじゃまるで尾行してるみいじゃないか?」
「そのとおりだけど?」
「え?」
「今回の目的は、『マオとイチカの初デートを尾行びこう☆作戦』なんだから」
「こ、このことを瀬尾せおくんは知っていたのか?」

 暑そうにしている瀬尾せおくんを見れば、こくりとうなずいた。

「あっ! ミカド、見てあれ!」

 ぐいっとひいらぎくんに、服をひっぱられる。

「急にひっぱると危ないだろう──……っ!?」

 顔を上げれば、いままさに黒羽くろばね神城かみしろさんの手を取り、手のひらにキスをしている場面だった。
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