6 / 15
6.ヒーローはアレが濡れちゃうと力が出ないんだよね
しおりを挟む
とりあえずはできることをなんでもやってみようと思う。
僕は根で変な方向に曲がってしまったお姉さんの手足を1本1本丁寧に伸ばしてみる。
「ぐぎゃぁぁっぁぁぁぁぁぁあ」
お姉さんはとても痛そうだ。
ごめんねお姉さん、僕だってお姉さんに痛い事がしたいわけじゃないんだ。許してくれ。
僕は2本目をゆっくりと伸ばしていく。
「んぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁああああぁぁっぁぁ」
もうお姉さんは上から下からいろんな液体が出てきて大変なことになっている。
4本目を伸ばす頃にはあまりの痛みに気絶して、また痛みで起きるというのを繰り返していて、お姉さんがショック死してしまわないか心配だった。
僕はまた治癒魔法もどきをかけてみるが、砕けた骨は元に戻る気配が無い。
お姉さんはぐしゃぐしゃに泣いてしまっていて、もうなんでも言うことを聞くからこれ以上ひどいことはしないでと言いたそうな顔をしている。
なんだかオークよりもひどいことをしているような気がしてくる。
いやいやだまされちゃいけないよ。
お姉さんにこんなにひどいことをしたのはオークなんだから、全部原因はオークにあるんだよ。
事態が好転したのは、もう思いつく治療法はあらかた試してしまって、他になにかできることはないかと試しに僕の頭から生る木の実を食べさせてみた時だった。
僕は自分の顔を食べさせるヒーローの真似をして、僕の木の実をお食べよという具合にお姉さんに差し出してみた。
お姉さんはひっと押し殺した悲鳴をあげて逃げようといやいやするので僕はお姉さんに優しく食べるように促す。
「コレ、クエ」
発音は適当だったがなんとか通じたみたいで、お姉さんはぶんぶんと首を縦に振ってから貪るようにその小さめのリンゴのような木の実を食べた。
するとお姉さんの身体がふぁ~と光って、みるみるうちに患部の腫れが引いて血色がよくなった。
おお、すごい。なんか知らないけど僕の実すごい。
お姉さんは激痛から解放されて気が抜けたようで、糸が切れたように気絶してしまった。
どういう訳かはわからないけれど、お姉さんの怪我が治ってよかった。
僕はお姉さんが風邪をひかないようにオークの腰布をたくさんかけてあげた。
あれから一晩が経ったが、まだお姉さんはオークの腰布に包まって静かに眠っている。
どこか身体に異常があるのではないかと思って、呼吸音を聞いたり、脈を測ってみたりしたが、脈も呼吸音も正常で、折れていた肋骨も治っているようだ。
さすがの僕とて、意識の無い女の人のやわらかい胸に耳を当てて心音を聞くのははばかられる。
これ以上は知識の無い僕にはどうすることもできないので、お姉さんが自然に目覚めるのを待つとする。
お姉さんが起きるまで暇だな。
新しくできるようになったことを確認して暇を潰すとする。
ぶっちゃけ今までの僕とは全く違った存在になった気がしているんだよね。気がするだけかもしれないけれど。
まず、ある程度の範囲の植物が支配できる。
これは本能的にできるとわかる。
植物系のモンスターはわからないけれど、その変に生えている木や草はなんとなくお友達のような気がする。
試しに僕の足元(根元?)に生えている適当な草に早く大きくな~れと念じてみる。
すると、その草は心なしか少し成長した気がする。いや、絶対成長した。
だからなんだって話なんだけど、えーと、あれだ、家庭菜園とかに役立つ。
え?お友達を食べるのかって?ボールが友達のあいつだって友達蹴るでしょうが!
そんな冗談は置いといて。
次にオークキングが持っていたゴージャスな杖を吸収して新たに獲た冷気を操る力。
僕は魔法で水球を出し、それを凍らせてみる。
水球はパキパキと数秒で凍りついた。
そして僕の身体も凍りついた。
あれ?おかしいな。
僕は自分の身体が溶けるのを待って、今度は水球だけ凍りつかせるイメージでやってみる。
またも僕の身体はカチコチに凍りつく。
全然コントロールできない。
というか冷気は僕の身体から発せられているからどう頑張っても僕の身体は凍ってしまう。
困ったね。
これ僕が太古のトレントだから無事だけれど、ただのトレントだったら死んでるからね。
冷気を操る能力はもっと使えると期待してたんだけどな。
とりあえず大まかなのはこの2つの能力くらいか。
冒険者のお姉さんに食べさせたら傷が治ったあの木の実や人化の術と比べるとどうも見劣りする能力だな。
う~ん、なんとも使えない能力だ。
なんかもっと強くなった気がするんだけどな…。
さっきまでは新世界の神にでもなれる気がしていたのに、なんだか興が冷めた。
こうなったら人化してお姉さんと添い寝してやる!
僕は根で変な方向に曲がってしまったお姉さんの手足を1本1本丁寧に伸ばしてみる。
「ぐぎゃぁぁっぁぁぁぁぁぁあ」
お姉さんはとても痛そうだ。
ごめんねお姉さん、僕だってお姉さんに痛い事がしたいわけじゃないんだ。許してくれ。
僕は2本目をゆっくりと伸ばしていく。
「んぁぁぁぁぁぁぁっぁぁぁああああぁぁっぁぁ」
もうお姉さんは上から下からいろんな液体が出てきて大変なことになっている。
4本目を伸ばす頃にはあまりの痛みに気絶して、また痛みで起きるというのを繰り返していて、お姉さんがショック死してしまわないか心配だった。
僕はまた治癒魔法もどきをかけてみるが、砕けた骨は元に戻る気配が無い。
お姉さんはぐしゃぐしゃに泣いてしまっていて、もうなんでも言うことを聞くからこれ以上ひどいことはしないでと言いたそうな顔をしている。
なんだかオークよりもひどいことをしているような気がしてくる。
いやいやだまされちゃいけないよ。
お姉さんにこんなにひどいことをしたのはオークなんだから、全部原因はオークにあるんだよ。
事態が好転したのは、もう思いつく治療法はあらかた試してしまって、他になにかできることはないかと試しに僕の頭から生る木の実を食べさせてみた時だった。
僕は自分の顔を食べさせるヒーローの真似をして、僕の木の実をお食べよという具合にお姉さんに差し出してみた。
お姉さんはひっと押し殺した悲鳴をあげて逃げようといやいやするので僕はお姉さんに優しく食べるように促す。
「コレ、クエ」
発音は適当だったがなんとか通じたみたいで、お姉さんはぶんぶんと首を縦に振ってから貪るようにその小さめのリンゴのような木の実を食べた。
するとお姉さんの身体がふぁ~と光って、みるみるうちに患部の腫れが引いて血色がよくなった。
おお、すごい。なんか知らないけど僕の実すごい。
お姉さんは激痛から解放されて気が抜けたようで、糸が切れたように気絶してしまった。
どういう訳かはわからないけれど、お姉さんの怪我が治ってよかった。
僕はお姉さんが風邪をひかないようにオークの腰布をたくさんかけてあげた。
あれから一晩が経ったが、まだお姉さんはオークの腰布に包まって静かに眠っている。
どこか身体に異常があるのではないかと思って、呼吸音を聞いたり、脈を測ってみたりしたが、脈も呼吸音も正常で、折れていた肋骨も治っているようだ。
さすがの僕とて、意識の無い女の人のやわらかい胸に耳を当てて心音を聞くのははばかられる。
これ以上は知識の無い僕にはどうすることもできないので、お姉さんが自然に目覚めるのを待つとする。
お姉さんが起きるまで暇だな。
新しくできるようになったことを確認して暇を潰すとする。
ぶっちゃけ今までの僕とは全く違った存在になった気がしているんだよね。気がするだけかもしれないけれど。
まず、ある程度の範囲の植物が支配できる。
これは本能的にできるとわかる。
植物系のモンスターはわからないけれど、その変に生えている木や草はなんとなくお友達のような気がする。
試しに僕の足元(根元?)に生えている適当な草に早く大きくな~れと念じてみる。
すると、その草は心なしか少し成長した気がする。いや、絶対成長した。
だからなんだって話なんだけど、えーと、あれだ、家庭菜園とかに役立つ。
え?お友達を食べるのかって?ボールが友達のあいつだって友達蹴るでしょうが!
そんな冗談は置いといて。
次にオークキングが持っていたゴージャスな杖を吸収して新たに獲た冷気を操る力。
僕は魔法で水球を出し、それを凍らせてみる。
水球はパキパキと数秒で凍りついた。
そして僕の身体も凍りついた。
あれ?おかしいな。
僕は自分の身体が溶けるのを待って、今度は水球だけ凍りつかせるイメージでやってみる。
またも僕の身体はカチコチに凍りつく。
全然コントロールできない。
というか冷気は僕の身体から発せられているからどう頑張っても僕の身体は凍ってしまう。
困ったね。
これ僕が太古のトレントだから無事だけれど、ただのトレントだったら死んでるからね。
冷気を操る能力はもっと使えると期待してたんだけどな。
とりあえず大まかなのはこの2つの能力くらいか。
冒険者のお姉さんに食べさせたら傷が治ったあの木の実や人化の術と比べるとどうも見劣りする能力だな。
う~ん、なんとも使えない能力だ。
なんかもっと強くなった気がするんだけどな…。
さっきまでは新世界の神にでもなれる気がしていたのに、なんだか興が冷めた。
こうなったら人化してお姉さんと添い寝してやる!
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑 ネトロア
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
- - - - - - - - - - - - -
ただいま後日談の加筆を計画中です。
2025/06/22
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる