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64.マリアナ諸島ダンジョン化
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『あいつら海の向こうからやってくる奴らはろくなことをしねえ。どこにいるのかも分からない神を信じろとか言うし、俺達の着るものにすら口を出してくる』
『なるほど。困っているようですね』
『まだあんたを信用したわけではないが、あいつらよりも話が分かるぜ』
チャモロ人たちとの信頼関係は結構築けてきたのではないだろうか。
それもこれも、意思疎通ができるようになったおかげだ。
残念ながら翻訳アイテムではないけどね。
俺が使っているのは思念伝達という魔法。
この魔法を発動して話しかけると、言葉は分からなくても声に乗せられた思念を伝え合うことができる。
全く分からない言語をお互いにしゃべり合っているのに、意思が伝わるというのは不思議な気分だ。
チャモロ人たちも最初話しかけたときは大層驚いていたけれど、彼らの中にもシャーマンのような人がいて呪術や魔術を信じているので受け入れるのは早かった。
今では各部族の族長と対談することが許されている。
この魔法が出るまで粘った甲斐があったというものだ。
おかげで思念伝達の他に新しい魔法を4つも覚えたし。
サンダー、アイスアロー、ヒール、ハイヒールとゲームでおなじみの魔法ばかりだ。
ダブりスクロールもその3倍くらいの数が出ている。
戦国時代にスカイツリーが建つくらいのダンジョンポイントを注ぎ込んでいるのだから、役に立ってもらわないと困るというものだ。
『俺達はこのまま奴らに従うほかにないのだろうか……』
『あなたがたにはまだ選択肢がありますよ』
『選択肢?いったいなんだ。どんな選択肢があるというんだ?』
『俺と、同盟を組みませんか?』
『同盟?』
『そうです。対等な立場で、助け合う。そんな関係を結びませんか?』
『あんたと同盟を結んだからといって奴らを退けられるのか?あんただって島民60そこそこの島の代表でしかないだろうが』
『俺達は一度帝国を退けています』
『なんだって!!それは本当なのか!?いったいどうやって!!』
『あなたがたと今話しているこういった不思議な力を使ってです』
『そうか、魔術だな!たしかにあんたの魔術は大したものだ。この力ならば海の向こうの奴らを退けられてもおかしくはない。しかし俺達を助けてあんたになにか利があるのか?』
『この地は力に満ちています。その力を俺に分けてはくれないでしょうか』
『土地の力を!?たしかに俺達が先祖代々守ってきた聖なる大地ならば力が満ちているだろうが、それをあんたに分けたりしたら土地の力が弱ってしまうのではないか?』
『俺一人が使える力などは大地の力に比べたら一握りの砂のようなものですよ。土地が衰えることはありません』
『そうか。ならばどうか我らの聖なる土地の力であの海の向こうの奴らを退けてほしい。この通りだ』
そう言ってとある一部族の族長は俺に頭を下げた。
詐欺のような謳い文句でまたひとつ、部族が俺の同盟に加わったようだ。
ほとんど嘘はついてないからセーフだよね。
ちゃんとスペインも退けるし問題ないはず。
俺は土地の力を吸うための呪具だとかなんとか言って村の中央あたりにサブコアを埋め込んだ石碑をアースウォールで作成する。
よし、これでここもダンジョンだ。
俺はマリアナ諸島を回り、胡散臭い謳い文句で半分くらいの部族の村にサブコアを置くことに成功した。
あとはダンジョン領域を広げれば、話を聞いてくれなかった部族の村も関係なくダンジョンにすることができる。
ごめんね、でもスペインはこっちでなんとかしておくから許してくれ。
「というわけで、マリアナ諸島から手を引いて欲しいんだ。帝国はフィリピン諸島だけあれば十分じゃないかな。伝兵衛さん、通訳を」
「了解した」
伝兵衛さんは俺の言葉を前総督の孫の青年に伝える。
フィリピンに帰ってほっとしているところにお邪魔して悪いね。
青年は伝兵衛さんの言葉を聞くと頭を抱えて悩みこむ。
やっぱり青年に言ってもだめだったかな。
領土拡大は国の意思だからね。
「山田殿、2、3年は手を出さないこともできるらしいが、将来的にはやはり青年の一存ではどうにもならないようだ」
「そっか。とりあえず2、3年でいいから手を出さないように頼んで。それで、将来の問題は誰に言えばいいのかな」
「さぁ、副王か、国王か、そのあたりではないだろうか。だがそんな人物に気軽に会うことはできんと思うがな」
「いる場所も遠いしね。とりあえず時間はできたから良しとしようか。次の総督が来たらまた交渉するしかないね」
俺は青年にお礼と対価である宝箱から出た金のインゴットを10本ほど渡してフィリピンを去る。
あまり追い詰めすぎてしまうと青年も強硬な策に出るかもしれないからね。
少しは甘い蜜を吸わせておかないと。
次の総督もその作戦でいってみようかな。
最初に恐怖を与え、次に甘い蜜を与える。
これで沖ノ鳥島とフィリピンはずぶずぶの関係だ。
お主も悪よのうとか言っちゃったりして。
行政府のほうはそれでいいと思うんだけど、問題はキリスト教のなんちゃら会とかだよな。
宣教師っていうのは厄介な存在だよ。
金品でなびいてくれる生臭な人たちはまだ扱いやすいんだけど、一部の狂信的な人たちが怖いんだよね。
すでに多くのキリスト教の宣教師たちがグアムに入り込んでいる。
青年の命令で兵は引かせることができても、宣教師たちまで引かせることはできないだろう。
ゴーストでも使って、嫌がらせでもしてみるか。
部屋のドア開けたら中にオーガが仁王立ちしている、とかも面白いかもしれない。
ナイトメアゴーストを使って毎夜毎夜悪夢を見せてやるという案もあるな。
全部やろう。
『なるほど。困っているようですね』
『まだあんたを信用したわけではないが、あいつらよりも話が分かるぜ』
チャモロ人たちとの信頼関係は結構築けてきたのではないだろうか。
それもこれも、意思疎通ができるようになったおかげだ。
残念ながら翻訳アイテムではないけどね。
俺が使っているのは思念伝達という魔法。
この魔法を発動して話しかけると、言葉は分からなくても声に乗せられた思念を伝え合うことができる。
全く分からない言語をお互いにしゃべり合っているのに、意思が伝わるというのは不思議な気分だ。
チャモロ人たちも最初話しかけたときは大層驚いていたけれど、彼らの中にもシャーマンのような人がいて呪術や魔術を信じているので受け入れるのは早かった。
今では各部族の族長と対談することが許されている。
この魔法が出るまで粘った甲斐があったというものだ。
おかげで思念伝達の他に新しい魔法を4つも覚えたし。
サンダー、アイスアロー、ヒール、ハイヒールとゲームでおなじみの魔法ばかりだ。
ダブりスクロールもその3倍くらいの数が出ている。
戦国時代にスカイツリーが建つくらいのダンジョンポイントを注ぎ込んでいるのだから、役に立ってもらわないと困るというものだ。
『俺達はこのまま奴らに従うほかにないのだろうか……』
『あなたがたにはまだ選択肢がありますよ』
『選択肢?いったいなんだ。どんな選択肢があるというんだ?』
『俺と、同盟を組みませんか?』
『同盟?』
『そうです。対等な立場で、助け合う。そんな関係を結びませんか?』
『あんたと同盟を結んだからといって奴らを退けられるのか?あんただって島民60そこそこの島の代表でしかないだろうが』
『俺達は一度帝国を退けています』
『なんだって!!それは本当なのか!?いったいどうやって!!』
『あなたがたと今話しているこういった不思議な力を使ってです』
『そうか、魔術だな!たしかにあんたの魔術は大したものだ。この力ならば海の向こうの奴らを退けられてもおかしくはない。しかし俺達を助けてあんたになにか利があるのか?』
『この地は力に満ちています。その力を俺に分けてはくれないでしょうか』
『土地の力を!?たしかに俺達が先祖代々守ってきた聖なる大地ならば力が満ちているだろうが、それをあんたに分けたりしたら土地の力が弱ってしまうのではないか?』
『俺一人が使える力などは大地の力に比べたら一握りの砂のようなものですよ。土地が衰えることはありません』
『そうか。ならばどうか我らの聖なる土地の力であの海の向こうの奴らを退けてほしい。この通りだ』
そう言ってとある一部族の族長は俺に頭を下げた。
詐欺のような謳い文句でまたひとつ、部族が俺の同盟に加わったようだ。
ほとんど嘘はついてないからセーフだよね。
ちゃんとスペインも退けるし問題ないはず。
俺は土地の力を吸うための呪具だとかなんとか言って村の中央あたりにサブコアを埋め込んだ石碑をアースウォールで作成する。
よし、これでここもダンジョンだ。
俺はマリアナ諸島を回り、胡散臭い謳い文句で半分くらいの部族の村にサブコアを置くことに成功した。
あとはダンジョン領域を広げれば、話を聞いてくれなかった部族の村も関係なくダンジョンにすることができる。
ごめんね、でもスペインはこっちでなんとかしておくから許してくれ。
「というわけで、マリアナ諸島から手を引いて欲しいんだ。帝国はフィリピン諸島だけあれば十分じゃないかな。伝兵衛さん、通訳を」
「了解した」
伝兵衛さんは俺の言葉を前総督の孫の青年に伝える。
フィリピンに帰ってほっとしているところにお邪魔して悪いね。
青年は伝兵衛さんの言葉を聞くと頭を抱えて悩みこむ。
やっぱり青年に言ってもだめだったかな。
領土拡大は国の意思だからね。
「山田殿、2、3年は手を出さないこともできるらしいが、将来的にはやはり青年の一存ではどうにもならないようだ」
「そっか。とりあえず2、3年でいいから手を出さないように頼んで。それで、将来の問題は誰に言えばいいのかな」
「さぁ、副王か、国王か、そのあたりではないだろうか。だがそんな人物に気軽に会うことはできんと思うがな」
「いる場所も遠いしね。とりあえず時間はできたから良しとしようか。次の総督が来たらまた交渉するしかないね」
俺は青年にお礼と対価である宝箱から出た金のインゴットを10本ほど渡してフィリピンを去る。
あまり追い詰めすぎてしまうと青年も強硬な策に出るかもしれないからね。
少しは甘い蜜を吸わせておかないと。
次の総督もその作戦でいってみようかな。
最初に恐怖を与え、次に甘い蜜を与える。
これで沖ノ鳥島とフィリピンはずぶずぶの関係だ。
お主も悪よのうとか言っちゃったりして。
行政府のほうはそれでいいと思うんだけど、問題はキリスト教のなんちゃら会とかだよな。
宣教師っていうのは厄介な存在だよ。
金品でなびいてくれる生臭な人たちはまだ扱いやすいんだけど、一部の狂信的な人たちが怖いんだよね。
すでに多くのキリスト教の宣教師たちがグアムに入り込んでいる。
青年の命令で兵は引かせることができても、宣教師たちまで引かせることはできないだろう。
ゴーストでも使って、嫌がらせでもしてみるか。
部屋のドア開けたら中にオーガが仁王立ちしている、とかも面白いかもしれない。
ナイトメアゴーストを使って毎夜毎夜悪夢を見せてやるという案もあるな。
全部やろう。
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