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109.本能寺の変について
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織田信長の歴史の中でも最大のイベント、本能寺の変。
信長の歴史的な死因となったこのイベントはなぜ起こってしまったのだろうか。
『よくわかる戦国時代』で検索してみると、この問題に対する後世の説は50を超えているらしい。
つまりなにが原因なのかよくわからん。
いや、原因が多すぎるんだろうね。
織田信長は恨みも買っていれば妬みも買っている。
倒したら英雄になれるラスボスみたいな人物だ。
日本列島の戦力バランスを崩すキーマンでもあった。
信長を倒す理由のある人は星の数ほどいたわけだ。
明智光秀自身もそうだった。
本能寺の変の要因となった説は大きく分けて、光秀自身が黒幕である説と光秀の後ろに誰かいた説に分けられる。
俺たちが今現在感じているように、織田家は相当のブラック企業だ。
それもワンマン経営の。
信長と関わりの浅い俺たちのような木っ端と違ってエリート武士光秀は出世してからは信長と行動を共にすることも多い。
きっと信長のことを殺してやりたいと思ったことは1度や2度ではないだろう。
それが溜まりに溜まって毛利と戦っている秀吉に加勢せよと命令されたとき、あれ今なら信長殺せるじゃんと魔が差したという説が前者だ。
そして後者は明智光秀は実行犯にすぎず、光秀を唆した黒幕がいるのではないかという説。
この黒幕説がかなり膨大な数に上る。
羽柴秀吉、徳川家康、足利義昭、毛利輝元、森蘭丸、堺商人、イエズス会、朝廷と個人から組織まで黒幕説を挙げればきりがない。
信長亡き後に利益を得る秀吉や家康はもちろんのこと、信長のことが心底気に食わない元将軍で光秀の元雇い主である足利義昭が光秀に命じたという説も有名だ。
堺商人やイエズス会、朝廷は言わずもがな。
俺としては四国説もかなり有力だと思う。
これから信長は四国を取りにいく。
四国では現在長宗我部元親が破竹の勢いで四国をまとめ上げており、信長はこの長宗我部を手下にするために部下の斎藤利三が長宗我部家の縁者である明智光秀を取り次ぎ役にする。
信長は長宗我部に自分で切り取った領地は自分のものにしてもいいというような約束をするんだけれど、あとになってやっぱり全部はダメだとひっくりかえす。
取り次ぎ役の光秀を介して結ばれた約束を信長が破っちゃったものだから、光秀は長宗我部と信長の板挟みにあって苦悩してもう信長にはついていけんとなったという説だ。
まあこれはどちらかといえば光秀自身が黒幕か。
長宗我部がそのあとなぜか意見を変えて信長の軍門に下るからなんらかの密約があった可能性もあるけどね。
「うーん、うーん」
「なにを唸っているんですか?」
本能寺の変に思いをはせていると、雪さんがお茶を持って隣に座る。
こういう難しい問題はやっぱり自分ひとりで考えていてもなかなか答えは出ないな。
ここはひとつ、雪さんに相談してみるとしよう。
「本能寺の変、ですか」
「そうなんだ。俺の生まれた時代では織田信長は明智光秀の謀反によって死んだことになっているんだよ」
「なっているって、変な言い方ですね」
「死体が出なかったからね。その後明智光秀は色々な人に味方になってもらおうと奔走するんだけど、信長の死体が出ていないことを恐れて誰も力を貸してはくれなかったんだよ。それでそのまま秀吉に討たれてしまう」
「なるほど。確かに妙な話ですね」
「まあ明智光秀にも生存説とかあるんだけどさ。確か徳川家康の参謀の天海っていう和尚さんが明智光秀っぽいエピソードをたくさん残しているらしい」
天海が関わった日光東照宮に明智家の家紋である桔梗紋が使われていたり、天海が名付けた日光の地名に明智平という場所があったり。
筆跡が似ていたり。
そして家康の子孫で二代将軍と三代将軍である秀忠と家光、これどっちも天海和尚が名付けたらしいんだよね。
秀と光はどこからきたんだろう。
秀吉でないことだけは確かだ。
そんで極めつけは家光の乳母であるかの有名な春日局は光秀の腹心だった斎藤利三の娘なんだ。
「うーん、歴史ミステリー」
「まあ私も同じようなものですから、そういうこともあるんじゃないでしょうか」
「そういえばそうだね」
雪さんも名門北畠家の姫で、死んだことになっているんだった。
本当なら織田信雄の奥さんになるはずだった人物だもんな。
これはこれで歴史ミステリーな気がする。
「それで、どうやったら本能寺の変を回避できるんだろうね」
「まずはなぜ明智様が謀反を起こす気になったのか、真実を調べるべきじゃないでしょうか」
「そうだね。原因がわからないんじゃあどうしようもない」
しかし本能寺の変の原因となった説の内容は今後起こるようなことばかりだ。
まだ信長が四国に進出してもいないのに、説の事実を調べようがない。
今すでに信長の敵っぽいのは足利義昭あたりだろうか。
少し彼のことを調べてみるか。
信長の歴史的な死因となったこのイベントはなぜ起こってしまったのだろうか。
『よくわかる戦国時代』で検索してみると、この問題に対する後世の説は50を超えているらしい。
つまりなにが原因なのかよくわからん。
いや、原因が多すぎるんだろうね。
織田信長は恨みも買っていれば妬みも買っている。
倒したら英雄になれるラスボスみたいな人物だ。
日本列島の戦力バランスを崩すキーマンでもあった。
信長を倒す理由のある人は星の数ほどいたわけだ。
明智光秀自身もそうだった。
本能寺の変の要因となった説は大きく分けて、光秀自身が黒幕である説と光秀の後ろに誰かいた説に分けられる。
俺たちが今現在感じているように、織田家は相当のブラック企業だ。
それもワンマン経営の。
信長と関わりの浅い俺たちのような木っ端と違ってエリート武士光秀は出世してからは信長と行動を共にすることも多い。
きっと信長のことを殺してやりたいと思ったことは1度や2度ではないだろう。
それが溜まりに溜まって毛利と戦っている秀吉に加勢せよと命令されたとき、あれ今なら信長殺せるじゃんと魔が差したという説が前者だ。
そして後者は明智光秀は実行犯にすぎず、光秀を唆した黒幕がいるのではないかという説。
この黒幕説がかなり膨大な数に上る。
羽柴秀吉、徳川家康、足利義昭、毛利輝元、森蘭丸、堺商人、イエズス会、朝廷と個人から組織まで黒幕説を挙げればきりがない。
信長亡き後に利益を得る秀吉や家康はもちろんのこと、信長のことが心底気に食わない元将軍で光秀の元雇い主である足利義昭が光秀に命じたという説も有名だ。
堺商人やイエズス会、朝廷は言わずもがな。
俺としては四国説もかなり有力だと思う。
これから信長は四国を取りにいく。
四国では現在長宗我部元親が破竹の勢いで四国をまとめ上げており、信長はこの長宗我部を手下にするために部下の斎藤利三が長宗我部家の縁者である明智光秀を取り次ぎ役にする。
信長は長宗我部に自分で切り取った領地は自分のものにしてもいいというような約束をするんだけれど、あとになってやっぱり全部はダメだとひっくりかえす。
取り次ぎ役の光秀を介して結ばれた約束を信長が破っちゃったものだから、光秀は長宗我部と信長の板挟みにあって苦悩してもう信長にはついていけんとなったという説だ。
まあこれはどちらかといえば光秀自身が黒幕か。
長宗我部がそのあとなぜか意見を変えて信長の軍門に下るからなんらかの密約があった可能性もあるけどね。
「うーん、うーん」
「なにを唸っているんですか?」
本能寺の変に思いをはせていると、雪さんがお茶を持って隣に座る。
こういう難しい問題はやっぱり自分ひとりで考えていてもなかなか答えは出ないな。
ここはひとつ、雪さんに相談してみるとしよう。
「本能寺の変、ですか」
「そうなんだ。俺の生まれた時代では織田信長は明智光秀の謀反によって死んだことになっているんだよ」
「なっているって、変な言い方ですね」
「死体が出なかったからね。その後明智光秀は色々な人に味方になってもらおうと奔走するんだけど、信長の死体が出ていないことを恐れて誰も力を貸してはくれなかったんだよ。それでそのまま秀吉に討たれてしまう」
「なるほど。確かに妙な話ですね」
「まあ明智光秀にも生存説とかあるんだけどさ。確か徳川家康の参謀の天海っていう和尚さんが明智光秀っぽいエピソードをたくさん残しているらしい」
天海が関わった日光東照宮に明智家の家紋である桔梗紋が使われていたり、天海が名付けた日光の地名に明智平という場所があったり。
筆跡が似ていたり。
そして家康の子孫で二代将軍と三代将軍である秀忠と家光、これどっちも天海和尚が名付けたらしいんだよね。
秀と光はどこからきたんだろう。
秀吉でないことだけは確かだ。
そんで極めつけは家光の乳母であるかの有名な春日局は光秀の腹心だった斎藤利三の娘なんだ。
「うーん、歴史ミステリー」
「まあ私も同じようなものですから、そういうこともあるんじゃないでしょうか」
「そういえばそうだね」
雪さんも名門北畠家の姫で、死んだことになっているんだった。
本当なら織田信雄の奥さんになるはずだった人物だもんな。
これはこれで歴史ミステリーな気がする。
「それで、どうやったら本能寺の変を回避できるんだろうね」
「まずはなぜ明智様が謀反を起こす気になったのか、真実を調べるべきじゃないでしょうか」
「そうだね。原因がわからないんじゃあどうしようもない」
しかし本能寺の変の原因となった説の内容は今後起こるようなことばかりだ。
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