ゴミスキルでもたくさん集めればチートになるのかもしれない

兎屋亀吉

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45.牢内大合戦

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「おいてめえら!!こんなガキ共に調子に乗らせといていいのかよ!!」

 男は他の犯罪奴隷達を扇動するように呼びかける。
 他の犯罪奴隷達は戸惑ったような顔をしている者が半分くらいだが、もう半分くらいは男の言葉に闘志を燃やしているみたいだ。
 確かに今までの支配者だったミゲル君は大きな身体に強い力となかなか睨みのきく顔をしていたから威圧感のようなものがあったけれど、今度の支配者であるリリー姉さんにはそれがない。
 さっきは圧倒的な力を見せたけれど、それで敵わないと決め付けるには早いと思ったのだろうか。
 まあ確かにいかにリリー姉さんとはいえ戦い続ければ疲れる。
 ここにいる者全員でかかれば倒せるかもしれない、とでも思っているのかもしれない。
 僕はそうは思わないけどね。
 さっきの過去話で店が更地になったときに戦っていた相手との力は拮抗していたと言っていた。
 姉さんが勝つことができたのはスタミナの違いによる粘り勝ち。
 つまり姉さんはクランの頭を張るような冒険者よりもスタミナが勝っているということなのだ。
 ここにいる全員でかかってもまず無理だね。

「このメスガキを倒せたやつから最初に楽しんでいいってことでいいな!!おめえら!!」

「「「「「「「「おう!!!」」」」」」」」

 大人の大運動会が始まってしまった。
 僕と会長はミゲル君を連れて邪魔にならない場所に逃げる。
 この大運動会に参加していない犯罪奴隷も嫌な予感を感じたのか続々避難していく。
 もはや牢内はわーわーわーわーと戦国時代の合戦場のような喧騒に包まれている。
 これ守衛の人とか駆けつけて来ないんだろうか。
 鉄格子の向こうをちらりと見ると、そこには何事もないかのように牢番が槍を持って立っている。
 こうなるのはいつものことなのかな。
 リリー姉さんが居たあたりは人で埋まって何がなんだか分からないけれど、断続的に悲鳴が上がって時折人が空を舞っているからたぶん大丈夫だろう。
 僕は手持ち無沙汰になって猫を召喚して撫でる。

「ニャニャーン……」

 癒されるな。
 よくよく考えてみれば、こんなに逃げない猫をゆっくりと撫でるなんて機会は前世でも無かったな。
 家では猫は飼っていなかったし、猫カフェにも行ったことはなかった。
 猫との接点なんて野良猫を見かけたくらいだろうか。
 野良猫は簡単には撫でさせてくれないし。

「ニャニャニャー……」

 かわいいかわいい。
 確か猫は喉の下を撫でてやると気持ちいいんだったっけ。
 僕は喉の下のあたりをモフモフしてやる。
 猫は今までとは少し違う声を出した。
 ゴロゴロという喉を鳴らすような声だ。
 たしかこれはリラックスしているときの声だったはずだ。
 僕が座って本格的に撫で始めると、猫は僕の膝に乗ってお腹を見せるようにして寝転がった。
 かわいいかわいい。
 ふわふわの毛に覆われたお腹部分を撫でてやると、猫は眠ってしまったみたいだ。
 寝ている顔も可愛いな。

「な、なあクロード。いくらリリーでもさすがにこの数はヤバイんじゃ……」

 会長は心配になったみたいでしきりにリリー姉さんのほうを気にしている。
 まあ問題ないと思うけどな。
 多分複数人で勝った相手にヤられるのは姉さんの本意じゃないと思うからそうなったら助けてあげればいいのではないだろうか。
 そんなことよりも僕の左腕よ。
 ブランブランのままポンポコリンに腫れている。
 ブラックキューブの中に添え木のようなものはあったかな。
 いっそエナジードレインを使うか?
 もう犯罪奴隷になってしまったんだし、いっそのことやってしまおうかな。

「ダイジョブだか?オラのせいですまなかったな……」

「ちょっと痛いけど大丈夫。ちょっと背中貸してくれる?」

「背中だか?」

「そう、ちょっとここに立って。会長はこっちに」

「か、会長?」

 ああそうか、被害者の会はまだ僕の心の中でしか発足していない組織なんだった。
 面倒なので会長にはこれから会長と呼ぶとだけ言っておく。

「ま、まあなんて呼んでもいいけど……」

 僕は会長とミゲル君を立たせて周りからの目を遮り、こっそりとブラックキューブの中身を取り出す。
 取り出したのは1辺20センチほどの小さめの石の箱だ。
 それを開けると更に赤青緑の三色に色分けされた小さな箱が1つずつで計3個の小箱がこの石箱には収められている。
 これはいわゆるヤバイスキルを入れている箱だ。
 赤い箱には【召喚術(火竜王インフィニティ)】が、青い箱には【召喚術(ガルーダ)】が、そして緑の箱には【エナジードレイン】がそれぞれ収められているのだ。
 僕は緑の小箱を開ける。
 小箱は石魔法で作った箱に変色魔法で色をつけただけなので石魔法で開けることができる。
 僕は取り出したスキルオーブを光を漏らさないように服で覆い、いつものように古代語のワードを唱えた。
 少し光が漏れていたかもしれないけれど、2人の肉盾のおかげで目撃者はいなかった。
 さて、これでエナジードレインは使えるようになったわけだけどね。
 肝心の生命力をどうしようか。
 他の犯罪奴隷から吸うのはアウトだな。
 そうなると守衛?
 いやいやダメダメ。
 そうなると召喚生物から吸うしかないわけだけど……。
 僕は膝で眠る猫を見つめる。
 
「ムニャ……ニャ……」

 無理無理。
 猫はだめ。
 鳩も……まあだめかな。
 鳩とはそこそこの付き合いになるからね。
 ちょっと情が移っちゃってるかな。
 となると残るは……ゴブリン。
 すまんゴブリン。
 僕はうまいことミゲル君に隠れるようにしてゴブリンを召喚した。


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