【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。

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極端な、2人

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「不思議な物ね。買い物をする機会も無いのにこんな物を貯め込むなんて」

 エリザベス様が鉄貨を摘み、表裏をまじまじ見ながら呟いた。浄化の魔法が掛けられた鉄貨は汚れと錆が落ち、鉄色にくろがねいろ鈍く光る。だがそれを言ったら僕等もそうだ。鉄貨はそれだけでは買える物がない。

「人も変わらないかな。村では鋳潰して鏃とかに加工してたし」

「そう、ですね。精錬された鉄よりも手軽に手に入れられるので、鍛冶屋さんがよく集めているそうです」

 僕の声にジュンが乗る。鉱山等で掘り出され、精錬された鉄よりも量は少ないが、手軽に入手出来るため、鍋や鎧の修理に使われる事が多いらしい。大きな物を作る時は精錬された鉄を使うんだと。

「では、私達わたくしはこれにて。貴方方は魔法の練習でしたわね」

「レイナとジュンに魔法を見せてもらうんだ」

「そう。楽しそうで何よりね」

 次回も宜しくご機嫌ようと、エリザベス様と取り巻き達は階段を降りて魔法鍛練場を出て行った。

「じゃあ早速始めましょ」

「レイナのと、比べられるの、恥ずかしいな…」

 レイナの音頭にジュンは言葉尻を弱めるが、何が恥ずかしいのだろう?土魔法だから?

「恥ずかしいの?石礫の魔法だったよね?」

「え、ええ…。私土魔法で、弱々なんです…」

「ブフリム殺れてたじゃん」

「当たり所が良かったんですっ」

 語気を強めたジュンだが、当たり所を良くして行けば弱々では無くなる訳だ。

「火魔法は派手だけど、それだけよ?それに私の場合使い勝手が悪いもの」

 階段を降り、魔法の的に対峙するレイナが魔法を唱える。

「火の精霊よ、我が声を聞け、集いて放ち、敵を討て。ヴォリーダ」

 以前演習場で見たそこそこ大きい火の玉が的に当たって火柱を上げる。結構な熱量なのに的は燃える事無くその場に残されていた。

「あの的は鉄か何かで出来てるの?」

「魔法が付与、されてるんです…」「へ~」

カツンッ!

 ロシェルが投げたナイフが当たり、地面に落ちる。物理攻撃にも強いのか。

「刺さんなかった」

 ボヤいてないではよ拾って来い。

「ジュンも頼むよ」

「は、はい…。土の精霊よ、我が声を聞け、飛礫となりて、敵を討て。ペトレス・シンフィプシス」

 ジュンの魔法は昨日も見せてもらったが、自身の前に数個の尖った小石が浮き上がり、的に向かって飛んで行く魔法だ。的の端にカツンと当たったのはその内の1個だけだったが、動く的が相手となれば手数が多いのは強みである。しかし威力はロシェルのナイフには及ばない。その事が分かっているのかジュンも俯いてしまっていた。

「ジュンさんは魔力制御に長けております」

 普通なら小石が1つ飛んで行くだけの魔法らしい。それを尖らせたり数を出すのは凄いよな。

「私は逆ね。リミッターのスキルが悪さしてるのよ」

「スキルが悪さ?」

 レイナの持つリミッターのスキルは、力を抑えて体への負担を減らすスキルだそうだが、魔力を練ったり制御する事も制限されて、どの魔法も合わせて4発までしか撃てないと言う。その分威力は強大で、10cm程の火の玉を飛ばす魔法がスイカ並の大きさに化けると言う。

「魔法ってさ、呪文唱えるじゃん?黙っては撃てないの?」

「無理だよ、そんな高等技術」

「城勤めの高位魔道士なら出来るかもね。私にも無理よ」

 ロシェルの問いを2人は否定する。思えばセーナの詠唱は短かったよな。流石は宮廷魔道士なのだろう。

「知り合いの魔法は短かったけど、ソレも鍛錬次第なの?」

「そうね。短縮詠唱と言う技術よ。スキル化する事もあるらしいわ」

「じ、実家のお店に来た魔道士さんは、短縮出来た…みたい…。マジックバッグくれた人、ね?」

 太っ腹な上に凄い人だったのだな。凄い人だからこそ、そう言うのをポンポンくれちゃうのだろうね。魔道具屋さんのお節介焼きさんは今頃どの辺りに居るだろうか…。




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