すぐ死ぬ女王これで最後にいたしましょう

ろろる

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第一話 地味すぎる転生しました

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「おっしゃ推しキャラきたっー!!」

スマホを目の前に叫んだ。
やっぱり乙女ゲームは最高だよね~。

「陽茉莉ぃ?また乙女ゲーム?」
「うん。いやぁ、推しが尊いわ」
「あんた陰キャでもないのに乙女ゲーム好きだよね」
「あ!そういうの偏見って言うんだよ!クラスで割と明るめな私が乙女ゲームしてもいいじゃないのよ」
「自分で言うな!」
「あははっ」

いやー、乙女ゲームは最高だよね。
こんなんにハマったらもう3次元無理になるわ。

「……あの、藤崎、さん。ちょっと、いい?」
「ん?どうしたの?」
「屋上、行こ」

えーと、確か隣のクラスの野崎さんだよね?
話か何かかな。ほとんど接点ないんだけど……。

屋上に着いた。
「で、用って何かな」
と、尋ねた。
「……あのさ、東君に、告白された?」
「え?あぁ、お断りしたけど……」

「何で?」
「ここだけの話3次元に興味ないの」
「……嘘つき!!楽しそうに話してたクセに!」
「ちょ、野崎さん、落ち着こ?ね?」
「あんたなんか消えればいいのにっ!!」

ちょっと待って?それだけで何でそんなにヒートアップするかな…。
「……死んで」
「え?」
【ドンッ!!】
「!」
フェンスに寄りかかっていた身体を、思いっきり突き飛ばされた。

ガタンっと、フェンスが崩れ落ちた。
……しまった、屋上って確か立ち入り禁止だったよね…。そんなのことを考えているうちに、私の体は宙に放り出された。

……あー、最後に乙女ゲームしたかったな。



「……リー様、スノーリリー様!!」
「えっ?」
「朝でございますよ。起きて下さいまし」
「……え?」

どこよここ……。見慣れない天井、見慣れない部屋……なことないかも、しれない。

ここって、確か……、

「お姉様っ!おはようございます!」
「あ、スカーレット様!まだスノーリリー様はお着替えを終えていませんよ!」

ギャーーーーー!!!!
何でここにヒロインがいるのよぉ!?

私がプレイしていたゲーム、「スカーレット」の
ヒロインは、フィオンシーナ王国の第二王女、
スカーレット・ベル・フィオンシーナ。
そのスカーレットが私をお姉様って呼ぶってことは、私、私は……、

スカーレットに婚約者も王座も奪われ、すぐ死ぬモブ女王、スノーリリー!?

やっぱ、ヒロイン視点でこの部屋見たことあったのよねー……。
なにこれ、私死んだっぽいし、転生でもしたの?
スノーリリーに転生するとか、もはや悪役令嬢のポジションでもないただのザコじゃん。

……頭痛いわ。
ていうかゲームでも思ったけど、前髪長いわ…。
「お姉様?」

スカーレットが顔をのぞきこんだ。
くっそぉヒロイン可愛いな……。目が大きくて顔が小さい……。

だが、スノリリーだってスカーレットの姉だし、前髪を切れば…なんとかなるんじゃない?

ていうか、スノーリリーって最終的に婚約者のカーネルをスカーレットに寝取られて、邪魔だから暗殺されるよね?

……やばい。このままじゃ死ぬ。

「ごめんなさいスカーレット。今日はやることがあるからあなたに構ってられないの。」
「え、そんなぁ。おねだりしたいものがあったのに……」

……そういえば、乙女ゲームではスノーリリーの部屋を訪ねるとコインが貰えてたな……。

つまり、スカーレットとスノーリリーは仲の良い姉妹ではなく、スノーリリーはスカーレットの金づるってわけか。

確かに王位継承権を持つスノーリリーの方に使われるお金の方が多いと思うし、自由に出来るものも違うだろう。

「スカーレット」
「おねだり聞いてくれる気になりました?」
「金輪際あなたのおねだりを聞く気はないわ。出ていってちょうだい」
「お姉様!?」
「つまみ出して」
部屋の前の衛兵に頼んだ。

「お姉様っ!お姉様ぁ!!」

スノーリリーの部屋を訪ねるとコインが貰えるってのは、アイテム的な話じゃなくてスカーレットのおねだりを聞いてたってことか。
……うわ、あんな妹全然可愛くないわ。

あんな子が将来女王になるなんてゾッとするわ。
国を滅ぼしかねない……。
一応王位継承権第一位な訳だし、正当に女王になる権利は私だけにある。

……なら、王位継承権は誰にも譲らない。
無様な死に方も、殺られ方も絶対しない。
もう一度死ぬなんてごめんだし。
物語をごちゃごちゃにする行為でも、生きるためには手段を選んでられないわ。

「侍女達を何人か呼んできて。髪の手入れをするわ。あと、いつも着ているドレスじゃなくて、もう少し華やかなのをいくつか見繕ってちょうだい。」

「……お、仰せのままに。しばしお待ちを」

スノーリリーはボソボソとした話し方だったから侍女が戸惑っていた。
まぁそれも当然かな。急に人が変わったんだから。

2分くらいして、侍女が何人か入ってくる。
「髪の手入れを所望とのことでしたので、浴室に移りましょう」
「ええ。あ、その前に前髪を切ってもらってもいいかしら」
「えっ?ええ、御意に。」

長い長い前髪が切られてく。
「このような感じでよろしいでしょうか」
と、鏡を見る。

……うわ、スノーリリーも綺麗な顔してるじゃない。前髪で目はいつも隠れてたし、メイクもほとんどしてないし、ドレスはどれも地味だし。
こんなんじゃ婚約者も嫌になるわ。

おっと、浴室に移るんだっけ。
花湯に浸かりながら、トリートメントを塗ってもらった。

おお……、キシキシの髪がストレートになった!
髪を乾かして、次はドレス選びね。

……うーん、イメージチェンジもかねて、淡い青色のドレスを選んだ。

次は装飾品ね。
……どれがいいかな。
「このドレスにはどれが似合うかしら」
「え!?ええと……、こちらはいかがでしょう」
と、シンプルなペンダントを選んでもらった。

「そう。じゃあこれにするわ」
「あの、殿下」
「ん?」
「どうして、いきなりこのような……、何かあったのですか?」

結構ストレートに聞いてくるなこの侍女。
年は……まだ15くらいかな。
確かスノーリリーは17でスカーレットは15か。

「何を言うの!!殿下に謝罪なさい!」
年配の侍女がまだ幼い侍女を咎めた。

……さすがに私は転生者で中身が違う人間になったからーなんて言えまい。

「いいわ。あなた面白いわね。名前は?」
「ね、ネアともうします」
「ネアね。私の専属侍女になる気はない?」

この子は嘘をつかなさそう。
信頼できる人物かは、今から見定めるけど。

「こ、光栄にございます!」
「いい返事ね。
うーん……私が変わろうとしているのは、そうね、恋よ」

今めちゃくちゃ適当なこと言ったよ私。
恋とか恥ずかしいこと吐かしてんじゃないわよ私が……。

「なるほど……!」
そこで納得しちゃうんだ。

「お着替えを済ませましょう。」
「そうね。」

ドレスを着て、髪はスノーリリーがいつもしているおさげではなく、ハーフアップにして貰った。

「うん、大変お美しいです、スノーリリー様」
「ありがとう。私の専属侍女になるからには、予定を管理してもらうこともあるわ。今日の予定は分かるかしら」

さすがにわからないだろうな……。
困る質問しちゃったかも。

「1時間後に会議がございます。
13時から王室教師のユリス様がいらっしゃいます。」

「少々意地悪な質問かと思ったのだけれど、偉いわね、ネア。」
と、ネアの頭をふんわりと撫でた。
「もったいなき、お言葉です。」

顔赤くしちゃって可愛いなぁ。
こうやって、味方を増やしていかなきゃね。

さて、会議に行きますか。
今日の会議でしなければいけないことは、1つ。
私の婚約者のカーネルとの婚約を破棄すること。
婚約者のカーネルは没落しかけの伯爵家の長男。

借金を王家が払うことによって次期王配になる、と泣きついてきた男だ。

……が、季節的にもうすぐスノーリリーの即位だ。
国王は病気に伏せっているため、現在王の仕事はスノーリリーがほとんどこなしている。

即位が近いし、カーネルはスカーレットとできてる可能性大なのよね。
婚約者を寝取られた無様な姿を晒す前に、婚約破棄しないと……。

会議室の前で立ち止まった。
……大丈夫、私はゲームのスノーリリーじゃ、ないんだから。

「第一王女殿下がお見えになりました」

ギイと、扉が開いた。

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