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63.王太子妃side
しおりを挟む王太子妃になって勉強三昧の日々が続いたけど、嫌味で怒りんぼうな教師達は皆クビにしてやったわ。やっぱり、王族は凄いのねって感じられた。結婚十年目に娘が大怪我をして回復するまでかなりの時間を要したけど、全てが元通りになった。美容大国だけあって目新しい化粧品の数々に圧倒されたのは良い思い出。私もリリアナの手術のついでにちょこっとだけ弄ってもらったわ。あちらの国では『プチ整形』って言うらしいわ。何だが十歳位若返った気がする。
意気揚々とティレーヌ王国に凱旋した。
なのに……なんでマックスの元婚約者が出張って来てるの?
夜会の時だって私にひれ伏すべきなのにちっとも来ない。そのくせ、国王とは仲良く喋ってる。何なの? 元婚約者とその夫が会場に現れてから皆が私を無視する。
しかも、元婚約者の娘が帝国の皇子と婚約ってどういう事よ!
私の娘には未だに婚約者が決まらないっていうのに!
マックスなんか「修道院に入れる」なんていう始末。
冗談じゃないわ!
結婚相手がいない? なら、作ればいいじゃない。婚約者がいるからって何よ。まだ、結婚していないなら問題ないわ。招待しても来ないなら、こっちから行けばいいだけよ。そうよ、どうしてもっと早く気付かなかったのかしら。高位貴族の男が沢山いる場所があるじゃない。
こうしてはいられないわ。
早く手続きをしないと。
その前に、マックスに相談しないといけないわね。でも……今言うときっと変に思うわ。ああ、修道院に寄付するという話があったから、それをしてから話を勧めようかしら。理由は……そうね、「修道院入りする前の思い出作り」とでも言えばいいわ。マックスも納得するでしょう。あれでリリアナを溺愛してるんだから。
それと、学園に恩を売るのも悪くないわね。久しぶりの王族の入学だもの。学園側も泣いて喜ぶ筈よ!
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