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69.王女side
しおりを挟む聖ミカエル帝国。
大陸の覇者である千年の帝国の第二皇子。
そんな超大物がこの国に来た。
王宮は第二皇子の歓迎パーティーにてんやわんや。
大勢の貴族が招待されるけど、王太子一家は歓迎パーティーに参加できない。
『社交界デビューも未だの子女は参加出来ないのが決まりです。また、一定のマナーができない方も不参加にせざるを得ません』
以前、侍従に言われた。
確かに私は未だ社交界デビューしていない。パーティーは夜。こっそり見る分には実はそんなに難しいことじゃない。王宮は外からの出入りは厳しいけど中からの侵入はそこそこ簡単だったりする。まったく違う髪色の鬘を被ってメイクを変えれば王女だとバレない。
「ふふっ。今日は口元の左下に黒子を付けていこう」
黒子を付けてると更にバレにくいのよね。お母様が教えてくれたけど、こういうの印象操作っていうらしいわ。人の印象に残りやすいから本当の私を見ても同じ存在だと判断しにくいんですって!便利よね。お母様も誘ったけど断られちゃった。
『お母様は王太子妃として有名なの。鬘や黒子くらいじゃ誤魔化せないのよ』
珍しくしょんぼりしていたわ。
『若いうちは色々と冒険が必要よ!お母様のことはいいから、楽しんでらっしゃい。でも、くれぐれも悟られないようにするのよ』
直ぐに笑顔で見送ってくれた。
三十をとうに超えているというのに、若々しく愛らしい美貌は今も健在だった。お母様の無邪気な微笑みは愛らしくも艶めかしくもあり、同性である私ですら一瞬ドキッとしてしまう。
歓迎パーティーは盛大だった。
王国では珍しい黒髪に神秘的な紫の瞳。威圧感を放ちながら他の追随を許さない高貴な佇まい。パーティーの中心にいる彼が誰なのか直ぐに分かった。今日の主役であるルドルフ・ヨーゼフ・ラ・ミカエル第二皇子だと。美形など見慣れている私ですら彼の容姿に目が離せなかった。氷のように冷たそうな美貌が隣にいる少女を見る時だけ柔らかい事に気付いた。雰囲気が甘くなるのも分かった。ルドルフ第二皇子の隣にいるのは銀髪に青い瞳の少女だった。
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