【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

つくも茄子

文字の大きさ
56 / 78

第56話婚姻問題~大臣side~

しおりを挟む
 国王陛下の結婚相手が決まらない。

 絶世の美貌を謳われる側妃の息子だけあって、その容貌は大層美しい。
 
 それなのに「是非、我が娘を」と申し出る家が一つもなかった。
 懇意になりたいという高位貴族は皆無と言っていい。

 パーティー会場で見かける高位貴族の令嬢達はさり気なく陛下を避けてる。

 婚約者のいない令嬢は特に顕著だ。
 両親がしっかりとガードしている。それが無理な場合は体調不良を称して欠席する者もいるくらいだった。

 本来であれば、陛下の周りには貴族が群れをなす筈だ。蜜を求めるように。
 いや、群がっている事は群がっている。
 ただし、それは下位貴族の者ばかりだ。
 肝心の高位貴族が一人もいないとはどういうことだ!?

 どんなに考えても明確な答えが見つからなかった。

 最初は、ブリリアント・シャイン公爵令嬢の事があるからかと思った。

 だが、お二人の婚約は白紙に戻っている。
 裏でどのような取引がされたかは兎も角、表向き円満に婚約を撤回しているのだ。問題などない。
 それに様々な要因で婚約を白紙に戻すケースは少なからずある。その事は貴族なら誰もが解っている事ではないか。

 なのに何故……?

 どうして陛下に花嫁が来ないのか。
 部下に訊ねても首を捻るだけだ。
 他の部署の者達に問いただしても皆が同じ反応をする。

 茶会と言う名目で見合いをセッティングする事もできない。
 肝心の陛下の母君がそれをするだけの器量を持ち合わせていないからだ。

 いっそ、王命を出して無理やり花嫁候補を決める事も考えた。
 他に方法がなかったともいえる。
 早速、議会でどこの家の令嬢を王妃にするか話し合っている間に、候補の令嬢は家族と共に他国に旅立ってしまった。

 それだけではない。

 どこからか噂を嗅ぎつけたのか、花嫁候補に選ばれた家の娘達が次々と辞退を申し出てきた。中には「この結婚は私達に相応しくありませんわ」と言い出した者もいて、議会では侃々轟々と意見が飛び交った。
 領地持ちの貴族は、未婚の娘を領地に戻し始めた。候補ではないが、とある伯爵は「娘が王妃というのもいいかもしれない」と酔っぱらった勢いで言い出し、笑い話になった件もある。
 酔っぱらいの戯言。
 ただの笑い話で終わるはずだった。
 しかし、現実は違った。妻である伯爵夫人は烈火の如く怒り狂い、夫を責めたてると離婚騒動にまで発展した。伯爵は謝罪を繰り返した結果、なんとか離婚話は流れたそうだ。ただ、代償として妻の監視下におかれ、その娘は他国の伯爵家に嫁いでいった。

 流石にここまでくれば嫌でも分かる。

 高位貴族の女性達が国王陛下を嫌っている事に……。

 男性からはそんなに言う程嫌われてはいなかった。それは高位貴族、下位貴族に拘らずだ。
 ただ社交界を牛耳る高位貴族の夫人や令嬢には毛嫌いされていた。

 理由は不明だ。陛下を嫌う理由は何なのか? そして、その原因は何なのか? 調査をしてみたが何も出てこない。
 まるで霧の中に閉じ込められたかの様に。
 結局、花嫁候補探しは困難を極める事になり、議会は紛糾した挙句、陛下の御成婚は数年先延ばしにする事になった。それが今の現状だ。
 今思えば、あの時、陛下の御成婚を早めていればよかったと思う。
 そうすれば、まだ「若気の至り」「青臭い考え」と言われながらも、何とかなったはずだ。
 だが、もう遅い。


 陛下が高位貴族の女性達を敵に回していた事に気付いたのはそれから直ぐの事だった。


しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

なぜ、私に関係あるのかしら?

シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」 彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。 そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。 「…レオンハルト・トレヴァントだ」 非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。 そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。 「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」 この判断によって、どうなるかなども考えずに… ※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。 ※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、 ※ 画像はAIにて作成しております

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

真実の愛のおつりたち

毒島醜女
ファンタジー
ある公国。 不幸な身の上の平民女に恋をした公子は彼女を虐げた公爵令嬢を婚約破棄する。 その騒動は大きな波を起こし、大勢の人間を巻き込んでいった。 真実の愛に踊らされるのは当人だけではない。 そんな群像劇。

冷遇王妃はときめかない

あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。 だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。

【完結】英雄様、婚約破棄なさるなら我々もこれにて失礼いたします。

ファンタジー
「婚約者であるニーナと誓いの破棄を望みます。あの女は何もせずのうのうと暮らしていた役立たずだ」 実力主義者のホリックは魔王討伐戦を終結させた褒美として国王に直談判する。どうやら戦争中も優雅に暮らしていたニーナを嫌っており、しかも戦地で出会った聖女との結婚を望んでいた。英雄となった自分に酔いしれる彼の元に、それまで苦楽を共にした仲間たちが寄ってきて…… 「「「ならば我々も失礼させてもらいましょう」」」 信頼していた部下たちは唐突にホリックの元を去っていった。 微ざまぁあり。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜

野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」 婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。 もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。 ……え? いまさら何ですか? 殿下。 そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね? もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。 だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。 これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。 ※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。    他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。

処理中です...