【完結】不協和音を奏で続ける二人の関係

つくも茄子

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第71話未来へ~監視人side~

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 最近、ユリウス元国王の様子がおかしい。
 落ち込んでいるかと思えば妙に明るく振る舞っていたりする。

 情緒不安定という言葉が相応しいかもしれないな。
 この屋敷での『暮らし』にようやく慣れ始めて、日々はそれなりに穏やかに過ぎていったというのにだ。一体どうしてしまったのだ?
 その疑問は日に日に強くなっていったが、それを本人に問いかける事はしなかった。

 ある日の事。
 ユリウス元国王に声を掛けられた。何事かと思い、つい身構えて身構えてしまった。

「本格的に経済の勉強をしようと考えている」

「領地の経営はどうなさるのですか?」

 元国王である彼は現在男爵だ。自分の領地を経営する義務がある。それをどうするつもりなのだ?まさか放りだる気じゃないだろうな。元国王の性格上、そんな無責任な事はしない筈だが……。ここ最近の様子がおかしい事を踏まえて考えると不安になる。


「色々考えたが、僕のやり方は時代に合わない。そうだろう?決裁後は君達が手直しをしているのは知っている。この領地をモデルケースにして新しい体制で領地経営をするのが君達……いや、帝国の方針だろう?そこに僕が何かと口出しするのは君達もやりにくいのではないか?」

「しかし……」

「もう僕は個人的に国の政治に関わるつもりはない。まぁ、向こうも関わって欲しくはないだろうが……」

「……」

「経済について他国で勉強しようと思っている。新政府も何かと噂のある元国王が国内にいるのは面倒だろう。数年……五年ほど他国を見て勉強したいと思っている」

 ユリウスの言葉は意外だった。
 この一年ほど様子を見てきて、この人がどういう人物であるかを理解している。
 自分の理想を追い続け、国を変えようとしていた国王であったという事。まぁ、その理想にがんじがらめになってしまっていた事も知っている。今では大分、現実が見えてきているがそれでもまだまだ青臭い部分が抜けていないのかなと思っていたのだ。それが……自分の国を出て、他所の勉強をしようなんて言い出すとは思わなかった。


「……考えは変わらないのですか?」

「ああ、もう決めた事だ」

「分かりました」

「よろしく頼む」

 そう言って元国王は執務室に戻って行った。

 数週間後、ユリウス元国王はとある国の最高学府である大学へ行くために出立した。
 ああは言っているが、長期休暇は戻って来ると思っていた。
 まさか本当に五年きっかり戻ってこないとは夢にも思わなかったのだった。



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