【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子

文字の大きさ
57 / 112

57.とある子息side

しおりを挟む
 
 最高クラスは特別だ。
 総合成績五十位までの生徒を三クラスに分けている。
 まあ、殆どが高位貴族出身で固められているのである意味妥当な判断だろう。貴族と一言でいっても高位貴族と下位貴族とでは教育に差はでる。下位貴族に高位貴族と同様の事ができるのかと問われると「できる」と応えられる者は稀だろう。勿論、下位貴族であっても学園入学前から高位貴族並の高等教育を受けている者もいるし、本人の才覚によるものもある。かくいう俺も男爵家の出であるが最高クラスに分類されていた。マナーは高位貴族の方々に劣っているがそれ以外の面で認められている。男爵と言っても田舎の小さな領地しか持たない貧乏貴族だ。跡取りの長男以外は独立して自分で生計を立てなければならない。マナーなんて二の次三の次ってところの家だ。そんな家の四男に生まれた俺は文官を目指している。今の成績をキープして卒業できれば王宮勤務も可能だろうと先生にも言われているのだ。
 至って平穏な学生生活を満喫していたのだが、近頃なにやら不穏な空気が漂っていた。



「な、いいだろう?謝礼は弾む」

「し、しかしそのような……」

「何も悪い事をする訳じゃない。この時間にちょっと門の警備を緩めてくれるだけでいいんだ」

「そのようなことはできません!」


 何かの揉め事かと聞き耳をたてると、どうやら門番に賄賂を渡して警備の穴をついて外部の人間を中に入れようと画策しているようだ。
 何を考えているんだ?
 よからぬ者が入り込まないように門番を置いているんだぞ?
 そこのところ理解していないとは。そんなアホな画策をするのは誰なのかとコッソリと様子を伺った。見るんじゃなかった。俺は頭を抱えたくなった。アホな画策をしていたのは俺の友人。しかも俺と同じ下位貴族出身のクラスメイトだったからだ。
 彼は俺と違って金で爵位を買った男爵子息。要は金持ちだ。高位貴族のような莫大な寄付金を納める事はできないが、彼の家はそれなりに大きな商家を営んでいるらしい。そのためそこそこの金を持っていそうだというわけだ。友人は門番を買収して部外者を中に入れて貰おうとしているようだった。
 
 そんなことをすれば退学ものだ!アホか!!
 
 思わずそう突っ込みたくなる気持ちを抑えて様子を見守ることにした。ここで出て行けば俺まで共犯扱いされる。それは嫌だ!なんとかバレずに止めさせなくては。

 そうこうしているうちに門番に追い返された友人だった。門番が常識のある人達で助かった。だが、友人のあの様子だと懲りることなくまたやって来ること間違いないな。俺は頭を悩ませた。






 
 数日後――

 意を決して友人に問いただすことにした。
 それというのも、彼が「第一王子殿下には公爵令嬢の方がお似合いだ」「大公女なんてマナーも碌にできない。所詮は庶子なんだよ。それに平民あがりの大公女なんかが王子妃になったところで何をするっていうんだ」「血統正しい公爵令嬢が王子殿下と婚姻するのが筋ってもんだ」「大公家だって王家の色を持って無いんだぜ?」などと宣わっているのを聞いてしまったからだ。俺は頭が痛くなってきた。
 一見言っている事はまともに思えるが、それは大公家を侮辱する言葉だ。例え本人が聞いていないとしても言って良い事ではないはずだ。そもそも大公家の血を持つ女性だから第一王子と婚約しているんだ。婚約の理由だって知っているだろ?王族の結束を強固にするためじゃないか。今の王家には国王陛下と第一王子殿下しかいないんだから。何も間違った事じゃない。


しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

神託の聖女様~偽義妹を置き去りにすることにしました

青の雀
恋愛
半年前に両親を亡くした公爵令嬢のバレンシアは、相続権を王位から認められ、晴れて公爵位を叙勲されることになった。 それから半年後、突如現れた義妹と称する女に王太子殿下との婚約まで奪われることになったため、怒りに任せて家出をするはずが、公爵家の使用人もろとも家を出ることに……。

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

【完結】婚約者と仕事を失いましたが、すべて隣国でバージョンアップするようです。

鋼雅 暁
ファンタジー
聖女として働いていたアリサ。ある日突然、王子から婚約破棄を告げられる。 さらに、偽聖女と決めつけられる始末。 しかし、これ幸いと王都を出たアリサは辺境の地でのんびり暮らすことに。しかしアリサは自覚のない「魔力の塊」であったらしく、それに気付かずアリサを放り出した王国は傾き、アリサの魔力に気付いた隣国は皇太子を派遣し……捨てる国あれば拾う国あり!? 他サイトにも重複掲載中です。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

【完結】断罪された悪役令嬢は、本気で生きることにした

きゅちゃん
ファンタジー
帝国随一の名門、ロゼンクロイツ家の令嬢ベルティア・フォン・ロゼンクロイツは、突如として公の場で婚約者であるクレイン王太子から一方的に婚約破棄を宣告される。その理由は、彼女が平民出身の少女エリーゼをいじめていたという濡れ衣。真実はエリーゼこそが王太子の心を奪うために画策した罠だったにも関わらず、ベルティアは悪役令嬢として断罪され、社交界からの追放と学院退学の処分を受ける。 全てを失ったベルティアだが、彼女は諦めない。これまで家の期待に応えるため「完璧な令嬢」として生きてきた彼女だが、今度は自分自身のために生きると決意する。軍事貴族の嫡男ヴァルター・フォン・クリムゾンをはじめとする協力者たちと共に、彼女は自らの名誉回復と真実の解明に挑む。 その過程で、ベルティアは王太子の裏の顔や、エリーゼの正体、そして帝国に忍び寄る陰謀に気づいていく。かつては社交界のスキルだけを磨いてきた彼女だが、今度は魔法や剣術など実戦的な力も身につけながら、自らの道を切り開いていく。 失われた名誉、隠された真実、そして予期せぬ恋。断罪された「悪役令嬢」が、自分の物語を自らの手で紡いでいく、爽快復讐ファンタジー。

【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。

鏑木 うりこ
恋愛
 クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!  茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。  ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?    (´・ω・`)普通……。 でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。

えっ「可愛いだけの無能な妹」って私のことですか?~自業自得で追放されたお姉様が戻ってきました。この人ぜんぜん反省してないんですけど~

村咲
恋愛
ずっと、国のために尽くしてきた。聖女として、王太子の婚約者として、ただ一人でこの国にはびこる瘴気を浄化してきた。 だけど国の人々も婚約者も、私ではなく妹を選んだ。瘴気を浄化する力もない、可愛いだけの無能な妹を。 私がいなくなればこの国は瘴気に覆いつくされ、荒れ果てた不毛の地となるとも知らず。 ……と思い込む、国外追放されたお姉様が戻ってきた。 しかも、なにを血迷ったか隣国の皇子なんてものまで引き連れて。 えっ、私が王太子殿下や国の人たちを誘惑した? 嘘でお姉様の悪評を立てた? いやいや、悪評が立ったのも追放されたのも、全部あなたの自業自得ですからね?

巻添え召喚されたので、引きこもりスローライフを希望します!

あきづきみなと
ファンタジー
階段から女の子が降ってきた!? 資料を抱えて歩いていた紗江は、階段から飛び下りてきた転校生に巻き込まれて転倒する。気がついたらその彼女と二人、全く知らない場所にいた。 そしてその場にいた人達は、聖女を召喚したのだという。 どちらが『聖女』なのか、と問われる前に転校生の少女が声をあげる。 「私、ガンバる!」 だったら私は帰してもらえない?ダメ? 聖女の扱いを他所に、巻き込まれた紗江が『食』を元に自分の居場所を見つける話。 スローライフまでは到達しなかったよ……。 緩いざまああり。 注意 いわゆる『キラキラネーム』への苦言というか、マイナス感情の描写があります。気にされる方には申し訳ありませんが、作中人物の説明には必要と考えました。

処理中です...