【完結】義姉上が悪役令嬢だと!?ふざけるな!姉を貶めたお前達を絶対に許さない!!

つくも茄子

文字の大きさ
99 / 112

99.とある連合軍人side

しおりを挟む
 その日、予想外の事が起こった。
 いや~~今この場にいる事自体が俺にとっての想定外の事だからな。今更なにが起きても驚かない自信はあった。それでも意外だ。


「砦を放棄するとはな。流石に思わなかったぜ」

 目の前に広がる光景を目にしながら、思わず声に出してしまった。それくらい意外だったんだ。
 ここは王都から馬で三時間程離れた場所にある砦の一つだ。
 近いうちに正規軍と戦う事になるだろうと思ってはいたが……。

「これが世にいう不戦勝って奴か?」
 
 まあ、俺達は負けてはいないけどさ。っていうか、ぶっちゃけ勝ってる。

「まさか敵が戦うでもなく降伏するでもない。逃げるとはな」

「いや、そうとも限らんぞ」

「?…………どういうことだ」

「多分だが、王都に兵を集中させているんだろうよ。だからこの砦は放棄した。戦略的撤退ってところかな?」
 
 なるほど。そういう考え方もあるのか。
 確かにそれなら筋は通る。ただ単に戦いたくなかっただけかもしれんが。それにしても何というか釈然としなかった。

「その予想は正しいだろうな。ある意味では正しい判断だ」

 上官が苦笑した。

「どういうことですか?」

「戦力を王都に集中させるということは最終決戦に備えていると見ていい。ただな、個人的にはこの砦で戦って勝利を確定させておきたかったんだがな」

「何故ですか?」

「この砦は王都に近い。そうなれば王家との話し合いの場を持つ事もできるたはずだ。流石にこの場所で負ければ彼らも考えを改めたかもしれないが……上手くいかないものだ。まぁ、王家にとっては大公家のクーデターでかなり疑心暗鬼になってるって話だからな。仕方ないか」

 ああ~、あのクーデターのせいか。
 確かに。身内に後ろから刺されたようなものだ。あれは王家にとっても寝耳に水だよな。

「公爵家の方々は王家に降伏を促すだろうからそれを受け入れてくれるのが一番なんだが……」

「無駄な血は流したくありません」

「それもあるが、正規軍が市民を巻き沿えにするのではないかと思ってな。人間の楯など使われたら最悪だ」

 うわぁ~ありそうで怖い。
 そうなれば市街戦になるし。それは避けたい。勝っても王都民の恨みを買うだけだし。そんな状態でどうやって王家と交渉すれば良いんだよって話になるもんな。そもそも王宮までどうやって攻め込めむんだ?攻め込めるものなのか?噂じゃ、魔術師達が結界張りまくってるって話だし、まだ見た事のない秘密兵器があるんじゃねーのかって話もあるしな。

 俺達の不安は的中する。

 王家は徹底抗戦を通達してきたのだ。



しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

『二流』と言われて婚約破棄されたので、ざまぁしてやります!

志熊みゅう
恋愛
「どうして君は何をやらせても『二流』なんだ!」  皇太子レイモン殿下に、公衆の面前で婚約破棄された侯爵令嬢ソフィ。皇妃の命で地味な装いに徹し、妃教育にすべてを捧げた五年間は、あっさり否定された。それでも、ソフィはくじけない。婚約破棄をきっかけに、学生生活を楽しむと決めた彼女は、一気にイメチェン、大好きだったヴァイオリンを再開し、成績も急上昇!気づけばファンクラブまでできて、学生たちの注目の的に。  そして、音楽を通して親しくなった隣国の留学生・ジョルジュの正体は、なんと……?  『二流』と蔑まれた令嬢が、“恋”と“努力”で見返す爽快逆転ストーリー!

【短編完結】地味眼鏡令嬢はとっても普通にざまぁする。

鏑木 うりこ
恋愛
 クリスティア・ノッカー!お前のようなブスは侯爵家に相応しくない!お前との婚約は破棄させてもらう!  茶色の長い髪をお下げに編んだ私、クリスティアは瓶底メガネをクイっと上げて了承致しました。  ええ、良いですよ。ただ、私の物は私の物。そこら辺はきちんとさせていただきますね?    (´・ω・`)普通……。 でも書いたから見てくれたらとても嬉しいです。次はもっと特徴だしたの書きたいです。

【完結】悪役令嬢はご病弱!溺愛されても断罪後は引き篭もりますわよ?

鏑木 うりこ
恋愛
アリシアは6歳でどハマりした乙女ゲームの悪役令嬢になったことに気がついた。 楽しみながらゆるっと断罪、ゆるっと領地で引き篭もりを目標に邁進するも一家揃って病弱設定だった。  皆、寝込んでるから入学式も来れなかったんだー納得!  ゲームの裏設定に一々納得しながら進んで行くも攻略対象者が仲間になりたそうにこちらを見ている……。  聖女はあちらでしてよ!皆様!

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

私生児聖女は二束三文で売られた敵国で幸せになります!

近藤アリス
恋愛
私生児聖女のコルネリアは、敵国に二束三文で売られて嫁ぐことに。 「悪名高い国王のヴァルター様は私好みだし、みんな優しいし、ご飯美味しいし。あれ?この国最高ですわ!」 声を失った儚げ見た目のコルネリアが、勘違いされたり、幸せになったりする話。 ※ざまぁはほんのり。安心のハッピーエンド設定です! ※「カクヨム」にも掲載しています。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

水魔法しか使えない私と婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた前世の知識をこれから使います

黒木 楓
恋愛
 伯爵令嬢のリリカは、婚約者である侯爵令息ラルフに「水魔法しか使えないお前との婚約を破棄する」と言われてしまう。  異世界に転生したリリカは前世の知識があり、それにより普通とは違う水魔法が使える。  そのことは婚約前に話していたけど、ラルフは隠すよう命令していた。 「立場が下のお前が、俺よりも優秀であるわけがない。普通の水魔法だけ使っていろ」  そう言われ続けてきたけど、これから命令を聞く必要もない。 「婚約破棄するのなら、貴方が隠すよう命じていた力をこれから使います」  飲んだ人を強くしたり回復する聖水を作ることができるけど、命令により家族以外は誰も知らない。  これは前世の知識がある私だけが出せる特殊な水で、婚約破棄された後は何も気にせず使えそうだ。

義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。

克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位 11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位 11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位 11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位

処理中です...