33 / 94
~第二章~
32.忠告
しおりを挟む
宿から出た僕は都市郊外の村を訪れた。
そこでもやはり『謎の聖者』の噂で持ちきりだった。
当初、村を訪れる予定はなかった。ただ、数日後に行われるという祭りに興味がでて足が向いてしまったのだ。旅の寄り道はつきものだしね!
その祭りは少し変わっていた。
男のみが参加できると言ったもの。
要するに女子禁制の祭りだった。
なんでも男神に捧げる神聖な儀式があるとか何とか……。よく分からなかった。それというのも祭りで何をするのかが不明なのだ。分かっている事は、村にある森の神殿で祭りが開催されるという事。開催時刻は夕方からで、そこから一週間にわたってお祭りが続くらしい。因みに女性陣はその間、森に近づかないようにとの事だ。
村には宿屋が数件あり、その中の一つに泊まることにした。
夕食を終え、部屋に戻って一休みした後、祭りの詳細を聞こうと村の酒場へとやってきた。
僕はまだ準成人だ。それでも国によって規制は違う。緩い処なら準成人なら酒を飲むことは出来る。この国はかなり緩い方だ。店内を見渡すとまだ時間が早いせいもあってか閑散としていた。
カウンター席の奥に座っている中年の男に声を掛けた。
「すみません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」
そう言うと男は顔を上げて僕を見た。すると途端に顔をしかめる。なんだろう? 首を傾げていると男が声を上げた。
「あんた余所者かい?」
「えっ……はい。北からやって来ました」
「旅行者ってことかい?」
「はい。この村で珍しいお祭りがあると聞いて来たのですが……」
僕が言い終わる前に男の表情が変わる。
「お前さん、村の祭りに参加するつもりじゃなかろうな!?」
突然、語気を強められて面食らう。えっと。なんかマズイ事を言ったのかな?? ただ単に質問をしただけなのに。物凄く警戒された。これは気のせいじゃない感じだ。
んー、困ったなぁ。
困った様子の僕の事など気にせず、男は続ける。
「……良いかい? 絶対にあの祭に参加してはいかんぞ! 特に女子供が参加することは許されん!」
男は鬼気迫る形相でまくし立てる。怖いな。
僕は思わず後退りしてしまった。それぐらい迫力があったのだ。
でも――――
「それはどうしてですか?」
気になるところだ。
なにか危険ない事でもするんだろうか?だから参加する事を止められているとか?
僕の言葉を聞いた男は苦々しい表情を浮かべて俯いた。
「兎に角、絶対に関わってはいかん!!」
それだけを言うと、また元の仏頂面に戻る。
これ以上は何も聞けそうもないかな?
まあ祭りは二日後に開催されるからその時に分かるだろう。
「ご忠告ありがとうございます」
僕は礼を言って店を出た。外に出るとすっかり暗くなっていた。昼と夜の温度差が激しい季節になったんだなと思う。宿に戻るとそのままベッドに入って寝てしまった。
そこでもやはり『謎の聖者』の噂で持ちきりだった。
当初、村を訪れる予定はなかった。ただ、数日後に行われるという祭りに興味がでて足が向いてしまったのだ。旅の寄り道はつきものだしね!
その祭りは少し変わっていた。
男のみが参加できると言ったもの。
要するに女子禁制の祭りだった。
なんでも男神に捧げる神聖な儀式があるとか何とか……。よく分からなかった。それというのも祭りで何をするのかが不明なのだ。分かっている事は、村にある森の神殿で祭りが開催されるという事。開催時刻は夕方からで、そこから一週間にわたってお祭りが続くらしい。因みに女性陣はその間、森に近づかないようにとの事だ。
村には宿屋が数件あり、その中の一つに泊まることにした。
夕食を終え、部屋に戻って一休みした後、祭りの詳細を聞こうと村の酒場へとやってきた。
僕はまだ準成人だ。それでも国によって規制は違う。緩い処なら準成人なら酒を飲むことは出来る。この国はかなり緩い方だ。店内を見渡すとまだ時間が早いせいもあってか閑散としていた。
カウンター席の奥に座っている中年の男に声を掛けた。
「すみません。ちょっと聞きたいことがあるんですけど……」
そう言うと男は顔を上げて僕を見た。すると途端に顔をしかめる。なんだろう? 首を傾げていると男が声を上げた。
「あんた余所者かい?」
「えっ……はい。北からやって来ました」
「旅行者ってことかい?」
「はい。この村で珍しいお祭りがあると聞いて来たのですが……」
僕が言い終わる前に男の表情が変わる。
「お前さん、村の祭りに参加するつもりじゃなかろうな!?」
突然、語気を強められて面食らう。えっと。なんかマズイ事を言ったのかな?? ただ単に質問をしただけなのに。物凄く警戒された。これは気のせいじゃない感じだ。
んー、困ったなぁ。
困った様子の僕の事など気にせず、男は続ける。
「……良いかい? 絶対にあの祭に参加してはいかんぞ! 特に女子供が参加することは許されん!」
男は鬼気迫る形相でまくし立てる。怖いな。
僕は思わず後退りしてしまった。それぐらい迫力があったのだ。
でも――――
「それはどうしてですか?」
気になるところだ。
なにか危険ない事でもするんだろうか?だから参加する事を止められているとか?
僕の言葉を聞いた男は苦々しい表情を浮かべて俯いた。
「兎に角、絶対に関わってはいかん!!」
それだけを言うと、また元の仏頂面に戻る。
これ以上は何も聞けそうもないかな?
まあ祭りは二日後に開催されるからその時に分かるだろう。
「ご忠告ありがとうございます」
僕は礼を言って店を出た。外に出るとすっかり暗くなっていた。昼と夜の温度差が激しい季節になったんだなと思う。宿に戻るとそのままベッドに入って寝てしまった。
183
あなたにおすすめの小説
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる