77 / 94
~第四章~
76.サバスside ~オレフ王国の学生2~
しおりを挟む
「はぁ」
「随分とお疲れだね、サバス」
「疲れた。なんだ?あの王女は……」
「よっぽど気に入られたみたいだね。お姫様、諦める気配なしだ」
「いいかげん諦めて欲しい。そして、早く自分の国へ帰ってくれ」
「それができたら苦労しないよ~」
「あの王女、本当に何しに学校に来ているんだ?」
「魔術師になるためじゃない?」
「アレでか?」
「本人はアレでも努力してるんだよ」
「……教師が気の毒だな」
「それは言わないお約束ってもんだよ。あ、噂をすれば……お姫様……の取り巻きだ。珍しい。お姫様と別行動かな?」
教室の窓に視線を向ければ、王女といつも行動を共にしている数名の男子生徒が歩いているのが見えた。意外だ。いつも一緒に行動しているとばかり思っていたが……。選択科目が違うのかもしれない。ぞろぞろと引き連れているから目立つ事この上ない。
王女が居ないと普通に見える。
やはり男達の中で女子一人というのは思っていた以上に悪目立ちするのか。
それにしても……。
「あいつらも俺を睨みつけてくる位なら王女を何とかするべきだろうに……」
「言えないんじゃない?一応、王女様だし。それに彼等ってお姫様の護衛でもあるしね」
「それにしては人数が多すぎないか?」
「自発的にお姫様を護衛している人もいそうだよね。いや、絶対にいる」
「はぁ……何でもいいが疲れる」
俺は彼等が教室を通り過ぎ姿が見えなくなった事を確認すると、再び溜息をついた。
彼等は俺の存在に気付かなかった。気付いていたらまた違っただろう。殺気を含んだ視線。気付かないわけがなかった。
エヴァン曰く「嫉妬の視線」との事だが、あれがそんな可愛らしいものか?
「サバスは苦労人だね」
「うるさい」
「あははは!」
俺の様子を楽しんでいるエヴァンは、笑い声を上げる。
一度きちんとコイツには文句を言った方がいい気がしてきた。
人の不幸の何が楽しいのやら。
理解に苦しむ。
もっとも、コイツのことだ。
迷惑を被っているのが俺でなくとも笑っていただろう。
例えそれが自分自身だったとしても……。
コイツも厄介な性質だ。
「随分とお疲れだね、サバス」
「疲れた。なんだ?あの王女は……」
「よっぽど気に入られたみたいだね。お姫様、諦める気配なしだ」
「いいかげん諦めて欲しい。そして、早く自分の国へ帰ってくれ」
「それができたら苦労しないよ~」
「あの王女、本当に何しに学校に来ているんだ?」
「魔術師になるためじゃない?」
「アレでか?」
「本人はアレでも努力してるんだよ」
「……教師が気の毒だな」
「それは言わないお約束ってもんだよ。あ、噂をすれば……お姫様……の取り巻きだ。珍しい。お姫様と別行動かな?」
教室の窓に視線を向ければ、王女といつも行動を共にしている数名の男子生徒が歩いているのが見えた。意外だ。いつも一緒に行動しているとばかり思っていたが……。選択科目が違うのかもしれない。ぞろぞろと引き連れているから目立つ事この上ない。
王女が居ないと普通に見える。
やはり男達の中で女子一人というのは思っていた以上に悪目立ちするのか。
それにしても……。
「あいつらも俺を睨みつけてくる位なら王女を何とかするべきだろうに……」
「言えないんじゃない?一応、王女様だし。それに彼等ってお姫様の護衛でもあるしね」
「それにしては人数が多すぎないか?」
「自発的にお姫様を護衛している人もいそうだよね。いや、絶対にいる」
「はぁ……何でもいいが疲れる」
俺は彼等が教室を通り過ぎ姿が見えなくなった事を確認すると、再び溜息をついた。
彼等は俺の存在に気付かなかった。気付いていたらまた違っただろう。殺気を含んだ視線。気付かないわけがなかった。
エヴァン曰く「嫉妬の視線」との事だが、あれがそんな可愛らしいものか?
「サバスは苦労人だね」
「うるさい」
「あははは!」
俺の様子を楽しんでいるエヴァンは、笑い声を上げる。
一度きちんとコイツには文句を言った方がいい気がしてきた。
人の不幸の何が楽しいのやら。
理解に苦しむ。
もっとも、コイツのことだ。
迷惑を被っているのが俺でなくとも笑っていただろう。
例えそれが自分自身だったとしても……。
コイツも厄介な性質だ。
114
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?
タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。
白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。
しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。
王妃リディアの嫉妬。
王太子レオンの盲信。
そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。
「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」
そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。
彼女はただ一言だけ残した。
「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」
誰もそれを脅しとは受け取らなかった。
だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
間違い転生!!〜神様の加護をたくさん貰っても それでものんびり自由に生きたい〜
舞桜
ファンタジー
「初めまして!私の名前は 沙樹崎 咲子 35歳 自営業 独身です‼︎よろしくお願いします‼︎」
突然 神様の手違いにより死亡扱いになってしまったオタクアラサー女子、
手違いのお詫びにと色々な加護とチートスキルを貰って異世界に転生することに、
だが転生した先でまたもや神様の手違いが‼︎
神々から貰った加護とスキルで“転生チート無双“
瞳は希少なオッドアイで顔は超絶美人、でも性格は・・・
転生したオタクアラサー女子は意外と物知りで有能?
だが、死亡する原因には不可解な点が…
数々の事件が巻き起こる中、神様に貰った加護と前世での知識で乗り越えて、
神々と家族からの溺愛され前世での心の傷を癒していくハートフルなストーリー?
様々な思惑と神様達のやらかしで異世界ライフを楽しく過ごす主人公、
目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
そんな主人公は無自覚に色々やらかすお茶目さん♪
*神様達は間違いをちょいちょいやらかします。これから咲子はどうなるのか?のんびりできるといいね!(希望的観測っw)
*投稿周期は基本的には不定期です、3日に1度を目安にやりたいと思いますので生暖かく見守って下さい
*この作品は“小説家になろう“にも掲載しています
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~
大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」
唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。
そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。
「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」
「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」
一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。
これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。
※小説家になろう様でも連載しております。
2021/02/12日、完結しました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる