偽物の侯爵子息は平民落ちのうえに国外追放を言い渡されたので自由に生きる。え?帰ってきてくれ?それは無理というもの

つくも茄子

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~第四章~

82.サバスside ~事故か事件か~

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 王女の取り巻き四人が死んだ。
 事故か事件か、と騒がれていた。

 最近になって『事故死』と発表された。

 本当に事故だったのかは謎だ。
 貴族も大概だが、魔術師も大差ないようだ。

 オレフ王国からも亡くなった生徒の事で何かを言ってくることはない様子だ。
 てっきり、国際問題に発展すると思っていたが。

 学校側が手を回したのかもしれない。
 
 平民出身の生徒は素直に『事故死』と信じているようだが、貴族出身や魔術の家系はそうではない。

 亡くなった四人は問題アリと判断した。
 そして口をつぐんだ。

 貴族の場合は『病死』として処理される。
 魔術の場合は『事故死』として片づけられる。

 四人は殺されたのだろう。
 犯人は見つからないし、誰も見つけようとはしない筈だ。
 名誉を重んじる貴族は、醜聞を恐れる。
 彼等の親達は犯人探しなど絶対に許さないだろう。


 未だに騒いでいるのは王女だけだ。

『おかしいわ!四人が私に勝手に行動するなんて!!何かあったのよ!!!』

 そんな叫び声に苦笑いを漏らす生徒もいたが、聞くに堪えない。
 何かあったのは確かだが、既に「事故」として処理されている。それを蒸し返すことは学校側も許可しないだろう。幾ら王女が「自国の民が殺された」と騒いだところで何も変わらない。
 死んだ四人が人格者だったのなら王女に賛同する者もいるだろうが、生憎とそうではない四人だ。対人関係も気薄だったのが良かったのか悪かったのか。だが、この学校に通う生徒の大半が個人主義だ。マイペースとでもいおうか、自分のこと以外は気にしないタイプばかりなのだ。

 特に貴族出身の中でも高位貴族は選民思想が強めの生徒が多い。そんな生徒にとって死んだ四人の事など、どうでもいいことなのだ。騒ぎ立てる王女に冷ややかな視線を向ける者すらいた。

 「そっとしておく」という言葉を知らないらしい王女は更に騒ぎ立て、評判を落としていった。


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