82 / 94
~第四章~
81.とある新米刑事side
しおりを挟む「魔方陣……ですか?」
「ああ、現場にその痕跡が残されていた」
「あの、俺、魔術の事なんて全く分からないんですけど。それって何か問題なんですか?」
学校は魔術師だらけだ。
誰かが魔方陣を敷いていただけじゃないのか?
被害者四人がしたのか、それとも犯人が?
だとしてもそれなら最初に説明されるはず。
「魔方陣は紙に書き付けたものだ。その切れ端が見つかった。最初は魔法陣が描かれているとは鑑識も思わなかったらしい」
「犯人の手がかりですか!?」
「分からん。どうやら古代文字を使った魔法陣らしい」
「古代文字!?それって読めるんですか!?」
「まあ、無理だろうな」
魔術関係云々を除いても古代文字を読める人材なんて殆どいない。
それも魔方陣に使われるなんて……。
警部も四人の被害者が描いたものではないと断言している。
教師達に確認したところ、そんな高度な魔方陣を扱える人間を探す方が難しいらしく学生には無理だろうと。
少なくとも教師の自分達には無理だと断言した。
断言するなよ。
「魔術師はプライドが高い連中ばかりだ。そいつらが無理だと言うんだ。まず間違いなく犯人は高度な知識を持った魔術を扱える者だろうな」
「その犯人は何処にいるんですか」
「さぁな。それを探すのが俺らの仕事だが……学校側が黙っちゃいないかもな」
「は?」
「言ったろ?魔術師はプライドが高いって、な。自分達の御自慢の結界が知らない間に突破された可能性が出て来たんだ。心中穏やかにしてはいられねぇよ」
あぁ……なるほど。
特殊な結界。
そう簡単に破られない結界が破られた可能性。
警部も人が悪い。
これは本格的に「学校側の落ち度」になりそうだな。
「今頃、学校側は緊急会議でも開いてるんじゃねぇか?」
「結界についてですか?」
「いいや。この事件そのものの隠蔽について」
「いや、隠蔽も何も公にされてますが……」
「魔術師は秘密主義だって聞いた事あるだろ?」
警部が口元をにやりと上げた。
「お蔵入りの方が未だマシだろうさ」
魔術師の考えている事は良く分からない。
ただ、この事件の背後関係は分からないまま終わりそうだ。
事件全体の謎。
それを精査するのが魔術師側だというのがどうも気に入らない。
学校の旧校舎で亡くなった男子学生四名。
彼等はその後、『事故死』と公式発表された。
古代魔術の実験で死亡。
魔術師を育成する学校にはよくある話ということで疑う者は余りいなかった。
109
あなたにおすすめの小説
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
パワハラ騎士団長に追放されたけど、君らが最強だったのは僕が全ステータスを10倍にしてたからだよ。外れスキル《バフ・マスター》で世界最強
こはるんるん
ファンタジー
「アベル、貴様のような軟弱者は、我が栄光の騎士団には不要。追放処分とする!」
騎士団長バランに呼び出された僕――アベルはクビを宣言された。
この世界では8歳になると、女神から特別な能力であるスキルを与えられる。
ボクのスキルは【バフ・マスター】という、他人のステータスを数%アップする力だった。
これを授かった時、外れスキルだと、みんなからバカにされた。
だけど、スキルは使い続けることで、スキルLvが上昇し、強力になっていく。
僕は自分を信じて、8年間、毎日スキルを使い続けた。
「……本当によろしいのですか? 僕のスキルは、バフ(強化)の対象人数3000人に増えただけでなく、効果も全ステータス10倍アップに進化しています。これが無くなってしまえば、大きな戦力ダウンに……」
「アッハッハッハッハッハッハ! 見苦しい言い訳だ! 全ステータス10倍アップだと? バカバカしい。そんな嘘八百を並べ立ててまで、この俺の最強騎士団に残りたいのか!?」
そうして追放された僕であったが――
自分にバフを重ねがけした場合、能力値が100倍にアップすることに気づいた。
その力で、敵国の刺客に襲われた王女様を助けて、新設された魔法騎士団の団長に任命される。
一方で、僕のバフを失ったバラン団長の最強騎士団には暗雲がたれこめていた。
「騎士団が最強だったのは、アベル様のお力があったればこそです!」
これは外れスキル持ちとバカにされ続けた少年が、その力で成り上がって王女に溺愛され、国の英雄となる物語。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
【完結】勇者の息子
つくも茄子
ファンタジー
勇者一行によって滅ぼされた魔王。
勇者は王女であり聖女である女性と結婚し、王様になった。
他の勇者パーティーのメンバー達もまた、勇者の治める国で要職につき、世界は平和な時代が訪れたのである。
そんな誰もが知る勇者の物語。
御伽噺にはじかれた一人の女性がいたことを知る者は、ほとんどいない。
月日は流れ、最年少で最高ランク(S級)の冒険者が誕生した。
彼の名前はグレイ。
グレイは幼い頃から実父の話を母親から子守唄代わりに聞かされてきた。
「秘密よ、秘密――――」
母が何度も語る秘密の話。
何故、父の話が秘密なのか。
それは長じるにつれ、グレイは理解していく。
自分の父親が誰なのかを。
秘密にする必要が何なのかを。
グレイは父親に似ていた。
それが全ての答えだった。
魔王は滅びても残党の魔獣達はいる。
主を失ったからか、それとも魔王という楔を失ったからか。
魔獣達は勢力を伸ばし始めた。
繁殖力もあり、倒しても倒しても次々に現れる。
各国は魔獣退治に頭を悩ませた。
魔王ほど強力でなくとも数が多すぎた。そのうえ、魔獣は賢い。群れを形成、奇襲をかけようとするほどになった。
皮肉にも魔王という存在がいたゆえに、魔獣は大人しくしていたともいえた。
世界は再び窮地に立たされていた。
勇者一行は魔王討伐以降、全盛期の力は失われていた。
しかも勇者は数年前から病床に臥している。
今や、魔獣退治の英雄は冒険者だった。
そんな時だ。
勇者の国が極秘でとある人物を探しているという。
噂では「勇者の子供(隠し子)」だという。
勇者の子供の存在は国家機密。だから極秘捜査というのは当然だった。
もともと勇者は平民出身。
魔王を退治する以前に恋人がいても不思議ではない。
何故、今頃になってそんな捜査が行われているのか。
それには理由があった。
魔獣は勇者の国を集中的に襲っているからだ。
勇者の子供に魔獣退治をさせようという魂胆だろう。
極秘捜査も不自然ではなかった。
もっともその極秘捜査はうまくいっていない。
本物が名乗り出ることはない。
戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに
千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」
「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」
許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。
許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。
上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。
言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。
絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、
「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」
何故か求婚されることに。
困りながらも巻き込まれる騒動を通じて
ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。
こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。
柊
ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。
そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。
すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる