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子ども達の背中が見えなくなったのを確認したアリハムは真っ暗闇の路地へと向かった。
ゆっくり一歩ずつ歩んで、大通りから離れた位置に陣取ると壁に背中を預けてその場に腰を下ろした。いや、へたり込んだといった方が正しいだろう。
すでに足にはろくに力も入らず、途中からは壁に体重を預けても歩くのがやっとの状態だった。
子ども達がいる手前、我慢はしていたが、熱はすでに立つのも辛く感じるほどに身体を犯していたのだ。
夜の地面の冷たさを尻で感じたアリハムはやっと混入物の正体を導き出した。
媚薬だ。
あの少年は何者かに性的な意味で狙われたのだ。
食べれば今のアリハムのように二十分と経たないうちに熱に飲み込まれ、特に下半身に集まった熱によって性欲を高ぶらせていたことだろう。
しかもどんな高い薬を用いたのか、本来濡れることなどない男の尻からじんわりと愛液に似た何かが生成されている。わざわざ脱がずとも尻がとてつもないスピードで濡れていくのを感じることが出来る。
まるで男のペニスでも受け入れる準備でもしているかのように……。
効果が出たのがすでに『おっさん』と呼ばれる年齢のアリハムだったからか、あの店から追っ手が来る様子はない。
一口食べただけで、大男のアリハムがすでにこれなのだ。
身体の小さい彼が全て食べきっていたら……と想像して身体がブルっと震える。
それと同時にアリハムの荒ぶるペニスからは白濁がドバッとあふれ出た。下着の中はどろどろに汚れていることだろう。すぐにでも着替えたいが、あいにくと立ち上がることも難しい。
その上、もしも立てたとして発情しながらブツをおっ勃てた男が町中を歩けば、どんな目で見られるかなんて想像にたやすい。
だからこそ街灯の明かりさえも入ってこない場所までやってきたのだ。ここまでは身を隠すことを最優先に考えて歩いてきたものの、これからどうすればいいのか。
全くのノープランだった。
まさかここまで酷くなるとは想像もしていなかった。
しばらく休んでから路地を通って宿に向かえばいいと思っていたのだ。
けれどぼんやりと空を見上げている間でさえも、前後問わずにどろっとした液体は流れ出す。
アリハムとて男だ。娼館に頼ったことはない訳ではない。
だがそれは先輩に誘われて数度足を運んだくらいで、自ら率先して行ったことなどなかった。
それは単純に彼の性欲が少ないからである。週に一度、宿屋で自らの右手で沈めれば事が済んでしまう。
一番盛んだったはずの十六、七の頃だってこんなに達したことはない。
正直、自分の体内にはこんな量が納まっていたのかと驚きすら感じてしまうほど。いや、現在進行形で生成されているのだろうか。少なくともアリハムは一度も尻からねっとりとした愛液を垂らしたことなど一度もないのだから。
ぐっちょりと濡れる下穿きと冷えた地面を一度離すように腰を上げれば、下着に収まりきらなかった二種類の汁が脚を伝い落ち、混ざり合った。
名前すらつけられないそれが新たな刺激となり、アリハムの身体を蝕んでいく。
下腹部が小さく震え、顔面から地面へと倒れ込んだ。すると全身に刺激は渡り、さらに強引な快楽がアリハムを責め立てる。
白濁が流れ落ちたことによって空洞化してしまった穴はまるで何かを欲しがっているかのようにひくついている。
こんなのいつまで続くのだろう。
意識さえ手放せたら楽なのに--そんな考えが頭をよぎった時だった。
「おっさん、大丈夫か?」
「君、は?」
「王都警備隊第三部隊所属、ゲルハルト=イスカンダ。最近この辺りで違法の品が出回っていると聞いて警備を強化しているんだが……おっさんは被害者ってことで間違いないよな?」
「ああ」
口からこぼれ落ちるような声でそう返せば、ゲルハルトと名乗った男は困ったように頭を掻いた。
「狙われてるのは成人前から成人してすぐの子どもって聞いていたが、まさかこんなおっさんまで狙われているなんて……」
こんなおっさんとは酷い言いようだ。
だが比較する対象が先ほどまで一緒に食事をしていた彼らほどの子どもならば、おっさんと言われても仕方のないことなのだろう。
それにアリハムは初心者専門ギルドを年齢制限で卒業させられる男だ。おっさんと言わずしてなんと言えばいいのか。
自嘲気味に笑うアリハムの身体からはまだまだ液体が抜けていく。
このまま朝を迎えるのが先か、脱水で倒れるのが先かなんて分かったもんじゃない。いやその前に体力の限界が来て倒れるかもしれない。
すでにアリハムはゴブリンの群れを討伐した後よりもずっと消耗しているのだから。
「報告は後でするにしても、どうすっかな……。子どもだったら抱きかかえられるが、さすがにおっさんは無理だよな……」
困ったように溜めた息を吐き出したゲルハルトの身長こそ同じくらいだろうが、腕はアリハムよりもずっと細い。
警備隊に所属しているというだけあって鍛えられてはいるのだろうが、それはあくまで剣を振るためのもの。もしくは犯人を取り押さえたりするものだ。
決して大の男を運ぶためのものではない。それも力の入らない大男を運ぶなんて無理に決まっている。アリハムだってそんなことは期待などしない。
彼に望むことと言えばこれ以上、被害を増やさないようにあの店を取り締まって欲しいということだけ。
自分のことは放っておいてくれて構わない。
だから……。
アリハムはせめて意識が残っているうちにあの店の名前を伝えようと口を開いた。
けれど限界を迎えつつあるアリハムの口からは声にならない息が漏れるだけ。アリハムが自身の無力さに顔を歪めればゲルハルトは哀れむかのように目尻と眉を下げた。
ゆっくり一歩ずつ歩んで、大通りから離れた位置に陣取ると壁に背中を預けてその場に腰を下ろした。いや、へたり込んだといった方が正しいだろう。
すでに足にはろくに力も入らず、途中からは壁に体重を預けても歩くのがやっとの状態だった。
子ども達がいる手前、我慢はしていたが、熱はすでに立つのも辛く感じるほどに身体を犯していたのだ。
夜の地面の冷たさを尻で感じたアリハムはやっと混入物の正体を導き出した。
媚薬だ。
あの少年は何者かに性的な意味で狙われたのだ。
食べれば今のアリハムのように二十分と経たないうちに熱に飲み込まれ、特に下半身に集まった熱によって性欲を高ぶらせていたことだろう。
しかもどんな高い薬を用いたのか、本来濡れることなどない男の尻からじんわりと愛液に似た何かが生成されている。わざわざ脱がずとも尻がとてつもないスピードで濡れていくのを感じることが出来る。
まるで男のペニスでも受け入れる準備でもしているかのように……。
効果が出たのがすでに『おっさん』と呼ばれる年齢のアリハムだったからか、あの店から追っ手が来る様子はない。
一口食べただけで、大男のアリハムがすでにこれなのだ。
身体の小さい彼が全て食べきっていたら……と想像して身体がブルっと震える。
それと同時にアリハムの荒ぶるペニスからは白濁がドバッとあふれ出た。下着の中はどろどろに汚れていることだろう。すぐにでも着替えたいが、あいにくと立ち上がることも難しい。
その上、もしも立てたとして発情しながらブツをおっ勃てた男が町中を歩けば、どんな目で見られるかなんて想像にたやすい。
だからこそ街灯の明かりさえも入ってこない場所までやってきたのだ。ここまでは身を隠すことを最優先に考えて歩いてきたものの、これからどうすればいいのか。
全くのノープランだった。
まさかここまで酷くなるとは想像もしていなかった。
しばらく休んでから路地を通って宿に向かえばいいと思っていたのだ。
けれどぼんやりと空を見上げている間でさえも、前後問わずにどろっとした液体は流れ出す。
アリハムとて男だ。娼館に頼ったことはない訳ではない。
だがそれは先輩に誘われて数度足を運んだくらいで、自ら率先して行ったことなどなかった。
それは単純に彼の性欲が少ないからである。週に一度、宿屋で自らの右手で沈めれば事が済んでしまう。
一番盛んだったはずの十六、七の頃だってこんなに達したことはない。
正直、自分の体内にはこんな量が納まっていたのかと驚きすら感じてしまうほど。いや、現在進行形で生成されているのだろうか。少なくともアリハムは一度も尻からねっとりとした愛液を垂らしたことなど一度もないのだから。
ぐっちょりと濡れる下穿きと冷えた地面を一度離すように腰を上げれば、下着に収まりきらなかった二種類の汁が脚を伝い落ち、混ざり合った。
名前すらつけられないそれが新たな刺激となり、アリハムの身体を蝕んでいく。
下腹部が小さく震え、顔面から地面へと倒れ込んだ。すると全身に刺激は渡り、さらに強引な快楽がアリハムを責め立てる。
白濁が流れ落ちたことによって空洞化してしまった穴はまるで何かを欲しがっているかのようにひくついている。
こんなのいつまで続くのだろう。
意識さえ手放せたら楽なのに--そんな考えが頭をよぎった時だった。
「おっさん、大丈夫か?」
「君、は?」
「王都警備隊第三部隊所属、ゲルハルト=イスカンダ。最近この辺りで違法の品が出回っていると聞いて警備を強化しているんだが……おっさんは被害者ってことで間違いないよな?」
「ああ」
口からこぼれ落ちるような声でそう返せば、ゲルハルトと名乗った男は困ったように頭を掻いた。
「狙われてるのは成人前から成人してすぐの子どもって聞いていたが、まさかこんなおっさんまで狙われているなんて……」
こんなおっさんとは酷い言いようだ。
だが比較する対象が先ほどまで一緒に食事をしていた彼らほどの子どもならば、おっさんと言われても仕方のないことなのだろう。
それにアリハムは初心者専門ギルドを年齢制限で卒業させられる男だ。おっさんと言わずしてなんと言えばいいのか。
自嘲気味に笑うアリハムの身体からはまだまだ液体が抜けていく。
このまま朝を迎えるのが先か、脱水で倒れるのが先かなんて分かったもんじゃない。いやその前に体力の限界が来て倒れるかもしれない。
すでにアリハムはゴブリンの群れを討伐した後よりもずっと消耗しているのだから。
「報告は後でするにしても、どうすっかな……。子どもだったら抱きかかえられるが、さすがにおっさんは無理だよな……」
困ったように溜めた息を吐き出したゲルハルトの身長こそ同じくらいだろうが、腕はアリハムよりもずっと細い。
警備隊に所属しているというだけあって鍛えられてはいるのだろうが、それはあくまで剣を振るためのもの。もしくは犯人を取り押さえたりするものだ。
決して大の男を運ぶためのものではない。それも力の入らない大男を運ぶなんて無理に決まっている。アリハムだってそんなことは期待などしない。
彼に望むことと言えばこれ以上、被害を増やさないようにあの店を取り締まって欲しいということだけ。
自分のことは放っておいてくれて構わない。
だから……。
アリハムはせめて意識が残っているうちにあの店の名前を伝えようと口を開いた。
けれど限界を迎えつつあるアリハムの口からは声にならない息が漏れるだけ。アリハムが自身の無力さに顔を歪めればゲルハルトは哀れむかのように目尻と眉を下げた。
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