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第一章 街を作る前準備編
15 即興協力プレイで魔物を倒そう その②
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俺は全力で走り出す。
身体強化魔術は最大に引き上げ、魔術により作りだした妖刀村正を手に進撃する。
最初に目指したのは、カルナの動きをうかがっていた1体。
瞬時に距離の半分を詰め、大きく横に跳ぶ。
ほぼ同時に、風切り音をさせ俺の居た場所を魔物の斬撃が貫く。
わざと背後をさらし隙を見せてやった魔物2体が、攻撃してきたのだ。
その瞬間、カルナの攻撃魔術が炸裂する。
「大気よ、その身を捧げ、天繋ぐ炎の柱と化せ!」
闇夜が消え失せるほどの炎が生み出される。
空に届くのかと思えるほど高く、家一つを丸ごと呑み込むほどの太さで、俺を攻撃し隙が出来た魔物2体は業火に包まれる。
それ自体は、魔物には効果が無かった。
炎に包まれながら平然と、魔物は蠢く。
だが、炎の柱により空に噴き上げられ、僅かな時間とはいえ宙に浮く。
その猶予を、無駄になんかしない。
俺は、最初に狙いを付けた魔物との距離を一気に詰める。
「ギガアアアッ!」
悪あがきのように、魔物は帯状になった両腕を振るい斬撃を放つ。
精妙さを捨て、速さのみに特化した無数の連撃。
その全てを俺は避け、弾き斬り裂き叩き伏せながら、必殺の間合いに踏み込んだ。
踏み込むと同時、右わき腹から左鎖骨部分を斬り裂く逆袈裟を放ち、返す刀で脳天からみぞおち部分まで一直線に斬り裂く。
ビクリと痙攣するように体を震わせ、動きを止めた魔物を俺は、
「吹っ飛べ!」
腕を両手でつかみ、左足を軸に体全体を回転させながら、カルナの魔術で宙に打ち上げられた魔物の1体に投げつけた。
狙い過たず、魔物同士は激突する。
しかし爆発はしない。
ここに来る前に襲い掛かってきた魔物は、戦闘不能になるほどのダメージを受ければ爆発したというのに、俺が斬り裂き投げつけた魔物は変化が無かった。
(俺と戦った魔物とは種類が違う? それとも、任意で自爆が出来るのか? そうだとしたら――)
戦いながら分析し情報を集める。戦闘を有利にし、そして戦い終わった後に探る手掛かりにするために。
そうして見極める俺を前にして、魔物は更に情報を与えてくれた。
「共食いまで出来るのか」
俺の投げつけた魔物が、ぶつけられた魔物に貫かれる。
すると蛇が獲物を飲むように、貫いた腕を通し吸い込み呑み込んでいく。
ほんの一瞬で全てを食いつくした魔物は、大きく膨れ上がると全身から帯状の触腕を無数に生やし、一斉に攻撃しようとする。
狙いはカルナ。弓を引き絞るような間を置いて放たれようとしたそれに、俺は立ち塞がる。
それぞれが軌道を変えた数十の斬撃。殺意を乗せ放たれた死の連撃に、俺は前へ前へと突き進む。
俺は避けない。背後にはカルナを庇っている、後ろに通す訳にはいかない。
斬撃の嵐に、俺は立ち向かう。
最初の一撃を斬り裂き、その動きを次の動きに繋げ、途切れぬ斬撃を放ち続ける。
敵が数で勝るなら、俺は速さと剣の巧さでしのいでいく。
10の斬撃を切り裂き、更に10の斬撃を叩き落とす。
繰り返す迎撃を途切れさせることなく、俺は続けた。
けれど敵の数はあまりにも多い。このままでは、俺の方が先に撃ち負ける。
だからこそ、俺は敵の攻撃を、あえて受けた。
最初は脇腹を、次いで前に出た瞬間に背中を斬り裂かれる。
攻撃を受け動きが鈍った瞬間に、更に幾つもの斬撃を食らった。
致命傷は無い。全ての傷は浅い。
そうなるように、誘導したのだから。
全ては、俺の神与能力を発動させるため。
その効果は、即座に現れた。
俺の全ての力が上昇する。
腕力も速さも、魔力も強靭さも全てが、一気に跳ね上がった。
膨れ上がった力を使い、俺は襲い掛かってきた魔物の触腕をまとめて斬り飛ばす。
「ギギイイイイィィイッ!?」
戸惑うように、俺を攻撃していた魔物は声を上げる。
一瞬で斬り飛ばされた無数の腕に、怒りよりも驚きの響きが強い。
それほど、俺の動きは今までを凌駕する。
全ては、俺の神与能力「死亡遊戯」の効果だ。
敵対する相手の攻撃を直接受けることで発動し、受けたダメージによって能力が上がっていく。
端的に言って、死に掛ければ死に掛けるほど強くなれる能力だ。
ハッキリ言って、使い勝手が悪い能力である。
敵対する相手の攻撃を受けなければ発動条件を満たせず、最初の一撃で即死すれば、そこで終わるのだから。
しかもダメージを受けた後に回復しようとすれば、回復した分、上昇した力は消え失せる。
それは十分に分かっている。
だからこそ、俺には慢心する余裕は無い。
全力全霊で、強化された自分の力を叩き込むのみ。
俺は前へ前へと一心不乱に突き進む。
魔物の触腕全てを斬り裂き、間合いを詰めていく。
手数に勝る魔物を、次々に斬り飛ばし追い込む。
そこへ残った1体の魔物が援護をするように、横から攻撃を放とうとしたが、援護があるのは俺も同様だ。
「雷霆よ、我が敵を、撃ち据えよ!」
カルナは魔術により生み出した雷の槍を、俺を横合いから攻撃しようとした魔物にぶち当てる。
その威力で弾き飛ばされた魔物が起き上がるより早く、俺は攻撃の間合いに踏み込んでいた。
数十の触腕による斬撃。そのこと如くを斬り飛ばした俺は、逃げようとする魔物の前に一気に跳び込む。
反撃は無い。その術は既に、俺がすべて破壊している。
だが油断なく、俺は攻撃を放つ。
身体を沈め左足首を斬り飛ばし、返す刀で魔物の胸を貫く。
貫くと同時に、妖刀村正の効果を発動。村正から生み出した魔術毒を全身に流し込み動きを封じる。
魔物はこれで動けない。その状態を保つために、村正は刺したままにしておく。
残りは1体。それも、状況が不利と見たのか、その場から逃げ出そうとするような動きを見せる。
(逃がすか)
「武具召喚、天下銘槍、蜻蛉斬り」
村正とは異なる、魔術武具を俺は解凍する。
呪文詠唱と共に、圧縮状態で保存しておいた2mほどの長さの魔術槍「蜻蛉斬り」が俺の手の中に現れる。
その重みを感じると同時に、俺は魔物目掛けて投げつけた。
弓矢を超える速度で、槍は魔物に襲い掛かる。
それを魔物は辛うじて避けようとするも、途中で軌道の変わった槍の動きに対処できず、胸を貫かれた。
それが自在槍である蜻蛉斬りの能力だ。投げつけると同時に、自ら推進力を生み出し加速し、その軌道すら操作できる。
妖刀村正のような、毒の効果は持っていないが、地面に突き刺さり貫いているのだ。動きを封じているのには変わりがない。
決着は、この時点で着いた。俺たちが負ける要素は無い。
けれど魔物は、悪あがきを繰り出した。
蜻蛉斬りに貫かれた魔物が、触腕を2本放つ。
1本はカルナ目掛けて、そしてもう1本は――
(クソっ、しまった!)
俺がカルナに襲い掛かった触腕を叩き落としている間に、村正に刺され動きの止まった魔物を貫いた。
その瞬間、貫かれた魔物の体が粟立つ。マズい、と俺が思いカルナを抱えて後方に跳ぶのとほぼ同時に、魔物は2体とも爆発した。
爆風と爆圧が周囲を蹂躙する。舞い上がる土埃に閉ざされる中で、俺はカルナの魔術防御に守られていた。
「助かるよ、カルナ」
「……これぐらいしか、役に立てませんから」
抱えていたカルナを地面降ろすと、カルナは悔しげに応える。そんなカルナに苦笑しながら、俺は返す。
「反省は、あとでしよう。今は、そんな余裕は無いからね。
でも、空元気でも良いから、余裕はあるように見せなきゃダメだよ」
「敵に付け込まれるからですか?」
「違うよ。ミリィに悪いとこ、見せられないでしょ?」
「それ、は……」
「それぐらい出来ないと。好きな子には、良いとこ見せたいでしょ?」
「…………」
思いつめたように黙るカルナに、俺が苦笑していると、周囲の土埃が晴れていく。
さっきから魔術で周囲を探っていたけれど、これで視認でも確認できた。
周囲には、今は何も居ない。魔物の痕跡も全て、爆発で消え失せていた。
「和真! こっちは終わった! 鋼鉄城を解いてくれ!」
俺の声に応えるように、和真とミリィを守っていた鋼鉄城の城壁が消え失せる。
消え失せた先に居るのは、ぐったりとしたミリィを抱きかかえる和真の姿。
「ミリィ!」
恐怖に表情を歪めながら走り寄るカルナに、和真はミリィを預ける。
見ればミリィは、意識は無く、顔の色も呼吸も悪かった。
「どうする?」
周囲を警戒しながら訊いてくる和真に、俺は迷わず返した。
「俺たちの屋敷に連れていく。魔術毒を受けてるだろうけど、リリスなら後遺症もなく癒せる筈だ。それと、今から真っ直ぐ屋敷に向かうと時間が掛かり過ぎるから、有希の力も借りに行くよ」
「……良いのか?」
「良いよ。カルナ達なら、俺たちの手の内を教えても構わない」
王政府にも、リリスや有希、他のみんなの能力は正確には教えてないけど、今は緊急事態だ。
俺は、自分達の能力や、女神であるリリスが実体を持って顕現していることを誰かに知られるかもしれないリスクより、カルナ達の未来を選び取る。
「カルナ、ミリィを抱きかかえて。これから彼女を回復させられる場所に移動するから」
俺の言葉に、カルナは思いつめた表情でミリィを抱きかかえる。
そんな表情を、カルナにさせてしまっているのが腹立たしい。
だから俺は和真と一緒に、カルナとミリィを連れ立って、その場から走り出した。
身体強化魔術は最大に引き上げ、魔術により作りだした妖刀村正を手に進撃する。
最初に目指したのは、カルナの動きをうかがっていた1体。
瞬時に距離の半分を詰め、大きく横に跳ぶ。
ほぼ同時に、風切り音をさせ俺の居た場所を魔物の斬撃が貫く。
わざと背後をさらし隙を見せてやった魔物2体が、攻撃してきたのだ。
その瞬間、カルナの攻撃魔術が炸裂する。
「大気よ、その身を捧げ、天繋ぐ炎の柱と化せ!」
闇夜が消え失せるほどの炎が生み出される。
空に届くのかと思えるほど高く、家一つを丸ごと呑み込むほどの太さで、俺を攻撃し隙が出来た魔物2体は業火に包まれる。
それ自体は、魔物には効果が無かった。
炎に包まれながら平然と、魔物は蠢く。
だが、炎の柱により空に噴き上げられ、僅かな時間とはいえ宙に浮く。
その猶予を、無駄になんかしない。
俺は、最初に狙いを付けた魔物との距離を一気に詰める。
「ギガアアアッ!」
悪あがきのように、魔物は帯状になった両腕を振るい斬撃を放つ。
精妙さを捨て、速さのみに特化した無数の連撃。
その全てを俺は避け、弾き斬り裂き叩き伏せながら、必殺の間合いに踏み込んだ。
踏み込むと同時、右わき腹から左鎖骨部分を斬り裂く逆袈裟を放ち、返す刀で脳天からみぞおち部分まで一直線に斬り裂く。
ビクリと痙攣するように体を震わせ、動きを止めた魔物を俺は、
「吹っ飛べ!」
腕を両手でつかみ、左足を軸に体全体を回転させながら、カルナの魔術で宙に打ち上げられた魔物の1体に投げつけた。
狙い過たず、魔物同士は激突する。
しかし爆発はしない。
ここに来る前に襲い掛かってきた魔物は、戦闘不能になるほどのダメージを受ければ爆発したというのに、俺が斬り裂き投げつけた魔物は変化が無かった。
(俺と戦った魔物とは種類が違う? それとも、任意で自爆が出来るのか? そうだとしたら――)
戦いながら分析し情報を集める。戦闘を有利にし、そして戦い終わった後に探る手掛かりにするために。
そうして見極める俺を前にして、魔物は更に情報を与えてくれた。
「共食いまで出来るのか」
俺の投げつけた魔物が、ぶつけられた魔物に貫かれる。
すると蛇が獲物を飲むように、貫いた腕を通し吸い込み呑み込んでいく。
ほんの一瞬で全てを食いつくした魔物は、大きく膨れ上がると全身から帯状の触腕を無数に生やし、一斉に攻撃しようとする。
狙いはカルナ。弓を引き絞るような間を置いて放たれようとしたそれに、俺は立ち塞がる。
それぞれが軌道を変えた数十の斬撃。殺意を乗せ放たれた死の連撃に、俺は前へ前へと突き進む。
俺は避けない。背後にはカルナを庇っている、後ろに通す訳にはいかない。
斬撃の嵐に、俺は立ち向かう。
最初の一撃を斬り裂き、その動きを次の動きに繋げ、途切れぬ斬撃を放ち続ける。
敵が数で勝るなら、俺は速さと剣の巧さでしのいでいく。
10の斬撃を切り裂き、更に10の斬撃を叩き落とす。
繰り返す迎撃を途切れさせることなく、俺は続けた。
けれど敵の数はあまりにも多い。このままでは、俺の方が先に撃ち負ける。
だからこそ、俺は敵の攻撃を、あえて受けた。
最初は脇腹を、次いで前に出た瞬間に背中を斬り裂かれる。
攻撃を受け動きが鈍った瞬間に、更に幾つもの斬撃を食らった。
致命傷は無い。全ての傷は浅い。
そうなるように、誘導したのだから。
全ては、俺の神与能力を発動させるため。
その効果は、即座に現れた。
俺の全ての力が上昇する。
腕力も速さも、魔力も強靭さも全てが、一気に跳ね上がった。
膨れ上がった力を使い、俺は襲い掛かってきた魔物の触腕をまとめて斬り飛ばす。
「ギギイイイイィィイッ!?」
戸惑うように、俺を攻撃していた魔物は声を上げる。
一瞬で斬り飛ばされた無数の腕に、怒りよりも驚きの響きが強い。
それほど、俺の動きは今までを凌駕する。
全ては、俺の神与能力「死亡遊戯」の効果だ。
敵対する相手の攻撃を直接受けることで発動し、受けたダメージによって能力が上がっていく。
端的に言って、死に掛ければ死に掛けるほど強くなれる能力だ。
ハッキリ言って、使い勝手が悪い能力である。
敵対する相手の攻撃を受けなければ発動条件を満たせず、最初の一撃で即死すれば、そこで終わるのだから。
しかもダメージを受けた後に回復しようとすれば、回復した分、上昇した力は消え失せる。
それは十分に分かっている。
だからこそ、俺には慢心する余裕は無い。
全力全霊で、強化された自分の力を叩き込むのみ。
俺は前へ前へと一心不乱に突き進む。
魔物の触腕全てを斬り裂き、間合いを詰めていく。
手数に勝る魔物を、次々に斬り飛ばし追い込む。
そこへ残った1体の魔物が援護をするように、横から攻撃を放とうとしたが、援護があるのは俺も同様だ。
「雷霆よ、我が敵を、撃ち据えよ!」
カルナは魔術により生み出した雷の槍を、俺を横合いから攻撃しようとした魔物にぶち当てる。
その威力で弾き飛ばされた魔物が起き上がるより早く、俺は攻撃の間合いに踏み込んでいた。
数十の触腕による斬撃。そのこと如くを斬り飛ばした俺は、逃げようとする魔物の前に一気に跳び込む。
反撃は無い。その術は既に、俺がすべて破壊している。
だが油断なく、俺は攻撃を放つ。
身体を沈め左足首を斬り飛ばし、返す刀で魔物の胸を貫く。
貫くと同時に、妖刀村正の効果を発動。村正から生み出した魔術毒を全身に流し込み動きを封じる。
魔物はこれで動けない。その状態を保つために、村正は刺したままにしておく。
残りは1体。それも、状況が不利と見たのか、その場から逃げ出そうとするような動きを見せる。
(逃がすか)
「武具召喚、天下銘槍、蜻蛉斬り」
村正とは異なる、魔術武具を俺は解凍する。
呪文詠唱と共に、圧縮状態で保存しておいた2mほどの長さの魔術槍「蜻蛉斬り」が俺の手の中に現れる。
その重みを感じると同時に、俺は魔物目掛けて投げつけた。
弓矢を超える速度で、槍は魔物に襲い掛かる。
それを魔物は辛うじて避けようとするも、途中で軌道の変わった槍の動きに対処できず、胸を貫かれた。
それが自在槍である蜻蛉斬りの能力だ。投げつけると同時に、自ら推進力を生み出し加速し、その軌道すら操作できる。
妖刀村正のような、毒の効果は持っていないが、地面に突き刺さり貫いているのだ。動きを封じているのには変わりがない。
決着は、この時点で着いた。俺たちが負ける要素は無い。
けれど魔物は、悪あがきを繰り出した。
蜻蛉斬りに貫かれた魔物が、触腕を2本放つ。
1本はカルナ目掛けて、そしてもう1本は――
(クソっ、しまった!)
俺がカルナに襲い掛かった触腕を叩き落としている間に、村正に刺され動きの止まった魔物を貫いた。
その瞬間、貫かれた魔物の体が粟立つ。マズい、と俺が思いカルナを抱えて後方に跳ぶのとほぼ同時に、魔物は2体とも爆発した。
爆風と爆圧が周囲を蹂躙する。舞い上がる土埃に閉ざされる中で、俺はカルナの魔術防御に守られていた。
「助かるよ、カルナ」
「……これぐらいしか、役に立てませんから」
抱えていたカルナを地面降ろすと、カルナは悔しげに応える。そんなカルナに苦笑しながら、俺は返す。
「反省は、あとでしよう。今は、そんな余裕は無いからね。
でも、空元気でも良いから、余裕はあるように見せなきゃダメだよ」
「敵に付け込まれるからですか?」
「違うよ。ミリィに悪いとこ、見せられないでしょ?」
「それ、は……」
「それぐらい出来ないと。好きな子には、良いとこ見せたいでしょ?」
「…………」
思いつめたように黙るカルナに、俺が苦笑していると、周囲の土埃が晴れていく。
さっきから魔術で周囲を探っていたけれど、これで視認でも確認できた。
周囲には、今は何も居ない。魔物の痕跡も全て、爆発で消え失せていた。
「和真! こっちは終わった! 鋼鉄城を解いてくれ!」
俺の声に応えるように、和真とミリィを守っていた鋼鉄城の城壁が消え失せる。
消え失せた先に居るのは、ぐったりとしたミリィを抱きかかえる和真の姿。
「ミリィ!」
恐怖に表情を歪めながら走り寄るカルナに、和真はミリィを預ける。
見ればミリィは、意識は無く、顔の色も呼吸も悪かった。
「どうする?」
周囲を警戒しながら訊いてくる和真に、俺は迷わず返した。
「俺たちの屋敷に連れていく。魔術毒を受けてるだろうけど、リリスなら後遺症もなく癒せる筈だ。それと、今から真っ直ぐ屋敷に向かうと時間が掛かり過ぎるから、有希の力も借りに行くよ」
「……良いのか?」
「良いよ。カルナ達なら、俺たちの手の内を教えても構わない」
王政府にも、リリスや有希、他のみんなの能力は正確には教えてないけど、今は緊急事態だ。
俺は、自分達の能力や、女神であるリリスが実体を持って顕現していることを誰かに知られるかもしれないリスクより、カルナ達の未来を選び取る。
「カルナ、ミリィを抱きかかえて。これから彼女を回復させられる場所に移動するから」
俺の言葉に、カルナは思いつめた表情でミリィを抱きかかえる。
そんな表情を、カルナにさせてしまっているのが腹立たしい。
だから俺は和真と一緒に、カルナとミリィを連れ立って、その場から走り出した。
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「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」
「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」
そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。
◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)
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