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降り立つ神
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カレンは泣くクレアを抱きしめながらこぼした。
「もう潮時かもしれないわね。」
クレアの数ヶ月前に産まれた異母姉妹ラキは酷い娘だった。
一見明るくて無邪気に見える。
しかし、言葉の節々に毒を潜めて、ラキにとって必要ない人間を蹴落としていくのだ。
権力や金のある人にはそんな事をせず自分の味方につけ、どうやっても弱い立場であり、かつラキが嫌ったり要らないと思った人間が落ちぶれて消えていく。
カレンとクレアもラキにとって要らない人間だ。
リオンはラキの術中に嵌まっていて、ラキを溺愛盲信している。
それを利用してこうしてチクチク二人を苛めにやって来たのだ。
カレンはクレアが落ち着くのを祈りながら背中を撫でる。
「お母様、お父様はご自分が今日どれほど酷い事をされたのか、わかっておられないのでしょうか?」
クレアの作ったローストビーフに対して、ラキに感想を言ってクレアには一言も無かった。
クレアを祝いに来たはずなのに、ラキと二人ではしゃいで勝手に次々と大皿の料理を平らげていた。
クレアへのプレゼントを忘れる所だったと発言した。
カレン達にマウントをとっているラキに気付かず、あまつさえ優しいと誉めた。
クレアへ誕生日にしかしない特別なプレゼントなのに、軽く同じ物をラキに買うと言った。
ラミアにお詫びと言った。
リオンにとってここへ来るのは不本意なのだ。
リオンとラミアとラキで家族3人なのだ。
何より今日誕生日のクレアは父と挨拶ぐらいしかしてない。
(運命に負けるようで悔しくてここに居たけど、もう怨みを解放して、諦める時かもしれない。可愛いクレアの心の傷を増やしてまで、私の意地を守る理由がないわ。)
カレンは考える。
例え寵愛を失った娼婦の扱いだとしても、元侯爵令嬢にして元王妃候補だ。
舐めないでほしい。
最近のたまの王との夜が、
「ラミア相手にはやらないが、カレンなら大丈夫だろう。」
という乱暴な行為であることもカレンの怒りを募らせている。
カレンはどう扱っても良い軽い存在なのだ。
(あんなに愛していたのに、不思議なものね…今はあなたに殺意さえ抱いているわ、リオン。)
ここから逃げるにはどうするか。
離宮にも使用人は少なからずいて、しかもラキに好意的な者しか城には残っていない。
逃げる手伝いをしてもらえる人がいないのだ。なんとかしなければならない。
離宮の私室で嘆く母子の前に、突然光が弾けた。
「失礼。私は天界の神の一人サージェス。元天界の者のせいで、あなた達母子に迷惑をかけているようだ…。」
ばさっと白い羽をはためかせた神は言った。
「助けになろう。まずはあなた達の心の平穏の為にも、ここから離れようか。」
サージェスが手を振ると、再び光が舞って母子と神は離宮から姿を消した。
二人が消えた事は、すぐさまリオンに報告された。
「もう潮時かもしれないわね。」
クレアの数ヶ月前に産まれた異母姉妹ラキは酷い娘だった。
一見明るくて無邪気に見える。
しかし、言葉の節々に毒を潜めて、ラキにとって必要ない人間を蹴落としていくのだ。
権力や金のある人にはそんな事をせず自分の味方につけ、どうやっても弱い立場であり、かつラキが嫌ったり要らないと思った人間が落ちぶれて消えていく。
カレンとクレアもラキにとって要らない人間だ。
リオンはラキの術中に嵌まっていて、ラキを溺愛盲信している。
それを利用してこうしてチクチク二人を苛めにやって来たのだ。
カレンはクレアが落ち着くのを祈りながら背中を撫でる。
「お母様、お父様はご自分が今日どれほど酷い事をされたのか、わかっておられないのでしょうか?」
クレアの作ったローストビーフに対して、ラキに感想を言ってクレアには一言も無かった。
クレアを祝いに来たはずなのに、ラキと二人ではしゃいで勝手に次々と大皿の料理を平らげていた。
クレアへのプレゼントを忘れる所だったと発言した。
カレン達にマウントをとっているラキに気付かず、あまつさえ優しいと誉めた。
クレアへ誕生日にしかしない特別なプレゼントなのに、軽く同じ物をラキに買うと言った。
ラミアにお詫びと言った。
リオンにとってここへ来るのは不本意なのだ。
リオンとラミアとラキで家族3人なのだ。
何より今日誕生日のクレアは父と挨拶ぐらいしかしてない。
(運命に負けるようで悔しくてここに居たけど、もう怨みを解放して、諦める時かもしれない。可愛いクレアの心の傷を増やしてまで、私の意地を守る理由がないわ。)
カレンは考える。
例え寵愛を失った娼婦の扱いだとしても、元侯爵令嬢にして元王妃候補だ。
舐めないでほしい。
最近のたまの王との夜が、
「ラミア相手にはやらないが、カレンなら大丈夫だろう。」
という乱暴な行為であることもカレンの怒りを募らせている。
カレンはどう扱っても良い軽い存在なのだ。
(あんなに愛していたのに、不思議なものね…今はあなたに殺意さえ抱いているわ、リオン。)
ここから逃げるにはどうするか。
離宮にも使用人は少なからずいて、しかもラキに好意的な者しか城には残っていない。
逃げる手伝いをしてもらえる人がいないのだ。なんとかしなければならない。
離宮の私室で嘆く母子の前に、突然光が弾けた。
「失礼。私は天界の神の一人サージェス。元天界の者のせいで、あなた達母子に迷惑をかけているようだ…。」
ばさっと白い羽をはためかせた神は言った。
「助けになろう。まずはあなた達の心の平穏の為にも、ここから離れようか。」
サージェスが手を振ると、再び光が舞って母子と神は離宮から姿を消した。
二人が消えた事は、すぐさまリオンに報告された。
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