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恐怖の大王編
道理と最善
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ビスマルク達が戦う崖下までは近い。しかしそれは弱いといえ王国兵の協力で最短距離を進めていたからだ。
今その場に向かうのはタックルベリーただ一人。単身でどう助け出すか、作戦を練りつつ駆けていたがその足を止める。
「……こっちは……多過ぎる……迂回するしかないか……」
木々の先に見える鉄人形。突破はできるかも知れないが、この先の為に魔力を温存する必要がある。別の経路を探さないと……
そう踵を返そうとした時。背後からビシャッと濡れた土を踏む足音が聞こえた。咄嗟にその場に伏せるタックルベリー。
雨音で気付くのが遅れた……背後に数十体の鉄人形。
……
…………
………………
幸いにもこちらには気付いていないようだった。
タックルベリーは泥に汚れながら、そのまま這うようにして移動する。そして鉄人形から離れるとまたすぐに駆け出す。
這ってできた肘の傷、枝や葉に引っ掛かりできた顔の切り傷。ちょっとした回復魔法の魔力も節約する。必要最低限の攻撃魔法で鉄人形の隙間を抜ける。
そうして崖まで辿り着いたが……眼下にも広がる森林。木々の隙間から動いて見えるのは鉄人形だろう。タックルベリーは探索魔法を飛ばしてビスマルク達の位置を特定する。
この状況でどう四人を助けるか……その作戦は……
★★★
鉄人形から逃げ回っていたキオが足を止めた。
「あっ……だ、駄目です……も、もう逃げ場が……な、無いです……」
四人は完全に囲まれる。
「ホーリー、防御魔法で敵を遮断してくれ」
「かしこまりました。しかし長くは持たないかと」
「構わない。ギリギリまで時間が稼げればそれで良い」
ドーム状の防御魔法が四人を囲み、鉄人形の侵入と攻撃を阻止する。ドンッ、ドンッ、ドンッ、鉄人形の打撃を防ぐ度にホーリーの魔力は削られていく。
やがて。
「申し訳ありません……そろそろ限界です」
そんなホーリーを囲むようにビスマルク、ヴイーヴル、キオが立つ。
「助かった。少し休めたからな。後は私達に任せろ」
「うん、ホーリーちゃんは少し休んでてね~」
防御魔法が解けると同時。
鉄人形が突進してくる。
振り下ろされる一撃。その一撃をビスマルクは真正面から受け、胴体を蹴り飛ばす。
「なかなかの修羅場だがその程度でやられる程に私達は簡単ではないぞ!!」
全力の一撃に鉄人形は弾け飛んだ。
「本当にいつもこんな感じよねぇ~まぁ、それも退屈しないけど~」
間延びした声とは裏腹にヴイーヴルの大剣クレイモアは鋭い。金属を断つ甲高い不快な音と共に鉄人形は斬り飛んだ。
鉄人形の攻撃はもちろんキオへも向かう。自分の力ではビスマルクやヴイーヴルのように攻撃を弾き返す事はできない。
二本の片刃の直剣で斜めに受ける。同時にキオ自身も回転して相手の力を逸らす。そして連続した爆発音。周囲の鉄人形が爆炎で吹き飛んだ。カトブレパスの瞳の力だった。
そして疲弊したホーリーだったが、それでも魔力を絞り出し、全員に防御魔法を掛けていた。
その場に留まり四方から迫る鉄人形を跳ね返し続ける。しかし波のように鉄人形が押し寄せ、全く退く様子は無い。
それでも戦い続ける。
「ぐぷぅ」
キオだった。体力の限界を超えての嘔吐。
「ほらほら~キオちゃん、ちょっとだけ休んで大丈夫よ~」
ヴイーヴルはクレイモアを大きくブン回し、キオの前へと立つ。キオは口元を拭う。
「はぁ、はぁ、ま、まだ、はぁ、はぁ、だ、大丈夫です、は、はい……」
誰がどう見ても大丈夫ではない。
もう限界か……そう思った時だった。
「ビスマルク様、上を!!」
最初に気付いたのはホーリーだった。
薄黒い雨雲を背景にして一筋の光が走る。直観で理解する。あれはタックルベリーからの合図だ。
その数秒後。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
それは地鳴りだった。振動が足元を揺らす。
タックルベリーが一人でできる事。そして崖上と崖下との位置関係。それを考えれば確かにこの方法しかなかったのかも知れない。
「ヴイーヴル、全員を抱えて飛んでくれ!!」
「はいは~い、重いけど頑張ってみるわ~」
★★★
タックルベリーは魔法を放った。
輝く光の矢。誰かが絶対に気付くはず。
次に体内の全魔力を解放する。とめどない膨大な魔力から『湧き水の魔法使い』と呼ばれるタックルベリー全ての力。それが足元に向けられた。
大地を操作する魔法。本来は土壁を作り出したり、岩で槍を作り出すような魔法。だが今、その魔力は崖全体へと伝わる。大雨により水が染み込んだ地中に内部から衝撃を与えた。
そして崖崩れが引き起こされる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
轟音と共に崩れ落ちた大量の土砂が鉄人形を飲み込んでいく。魔法を使った結果、通常では考えられない大規模な崖崩れとなる。
木々は飴細工のように裂け、岩と土砂とが鉄人形を押し流し、鉄人形が鉄人形を圧し潰す。全滅ではないが、まさに壊滅的だった。
もちろんその場のタックルベリーの逃げ場は一つ。空だ。残った少ない魔力でフラフラと空中を浮遊する。
『みんなは……みんなはどこに……』
探索魔法を飛ばす余裕まではない。
そのタックルベリーへの攻撃だった。表層で埋まり、完全に破壊されてはいない鉄人形。その腕が伸び狙う。
「どわっ!!?」
身を捻り躱すが、少しだけ掠めてしまう。体力も魔力も限界のタックルベリーはそれだけで墜落。立て直す事ができない。
このまま落下死か……とも思ったが……ガクンッ、少しの衝撃の共にタックルベリーは空中で受け止められた。
「さすがにこれはちょっとねぇ~重いわ~多分、ビスマルクねぇ~」
背に生えた竜の翼で飛ぶヴイーヴルは、ビスマルクの襟首をしっかりと掴んでいた。
「ガハハハハッ、すまないが頑張ってくれ」
ぶら下がるビスマルクの片手には胴体を抱えられるようにキオが。もう片方には同じような状態でホーリー。
「だ、大丈夫ですか?」
「ベリー様、ご無事で何よりです」
そのキオとホーリーが同時にタックルベリーの腕を掴み上げていた。
「まぁ、僕にとっては簡単な作戦でしたよ」
そう言ってタックルベリーは笑うのだった。
★★★
しばらくして。
撤退の様子を注視しているユノだったが……
ビスマルク達が先行をしている報告は受けていたが、その続報が全く入らない。同行していた王国兵との合流も始まっているが、問いただしても『分からない』との返事。
その中でユノはビスマルク達との連絡係である騎士団員を見付けた。そして返ってきた報告は……
「申し訳ありません……支援が間に合わず……あの鉄人形の包囲の中では……」
「……どういう事か詳しく報告してください」
「はい。まずビスマルク様、ヴイーヴル様、キオ様、ホーリー様の四人が先行されましたが、向かった先が高低差のある崖下でした。敵数と地形を考慮すると王国兵が支援に向かったとしても相当の被害が出ると判断しました」
「だから見捨てたと?」
「結果そうだとしても王国兵の大半は無事に撤退する事ができました。ユノ様は四人を救う為、王国兵に甚大な被害が出ても構わないというお考えでしょうか?」
「そうは言っていません。ただ王立騎士団、王国兵は国の為に戦い、国の為に死ぬ事も任務の一つです。ですがビスマルクさん達はあくまで協力者、王国の民です。見捨てて良い道理はありません」
「確かに仰る通りです。しかし私は自分の判断が間違ったものだと思いません。撤退の命令が出た以上、速やかに撤退する必要があります。もし救出に時間を掛けて多数の死傷者が出た場合、結果として王国を守る事ができなくなる可能性もあります」
ユノが言うのは道理。しかし道理が通らない事など往々にしてある。
「……タックルベリーさんはどうしましたか?」
「はい、お一人で救出に向かいました。私は兵の撤退の指揮を執る為にタックルベリーさんを支援する事ができませんでした。その点ではいかなる処分をも受けます」
「分かりました。報告ありがとうございます」
連絡係が下がろうとしたその時である。
「一つ訂正があるんですけど」
「ベリーさん!!?」
ユノの前、連絡係の後ろに立つ男。タックルベリーである。
「魔法陣は破壊した。鉄人形もベリーがほぼ一人で片付けたぞ。大した男だ」
「ユノちゃんただいま~さすがにちょっと疲れちゃったわね~」
「キオ様、お怪我などは大丈夫でしょうか?」
「は、はい、私は大丈夫です。ベリーさんが早く来てくれましたので、はい」
もちろんその後ろには四人も揃っている。
「まぁ、見捨てられた時はどうなるかと思いましたけどね。僕はね、言ったんですよ。『僕が率先して戦えば問題はない』って。でも全く聞き入れてくれなくって」
少しだけ動揺の様子を見せた連絡係だったが……
「わ、私の選択は最善です。結果的に無事だっただけで、あの時の選択に間違いはありませんでした」
「確かに。でもまぁ、僕の気持ち的にはこれくらいは許して欲しいですけど、ねっ!!」
タックルベリーは連絡係に詰め寄り、拳を握り締めた。怒りの一撃を全力で繰り出す。そして振り抜いた拳は……
スカッ、ドシャッ
連絡係に避けられ空振った。勢いを付けた一撃、ぬかるんだ足元、タックルベリーは滑り転び、無残にもうつ伏せで倒れ込む。
……
…………
………………
「……ヴイーヴルさん、お願いします……」
「はいは~い」
「グハッ」
そんなタックルベリーの代わりに、ヴイーヴルの拳が連絡係を殴り飛ばす。
「ガハハハハッ、ユノ、この事は上に報告しないでくれると助かる」
ビスマルクにつられるようにユノも笑ってしまうのだった。
今その場に向かうのはタックルベリーただ一人。単身でどう助け出すか、作戦を練りつつ駆けていたがその足を止める。
「……こっちは……多過ぎる……迂回するしかないか……」
木々の先に見える鉄人形。突破はできるかも知れないが、この先の為に魔力を温存する必要がある。別の経路を探さないと……
そう踵を返そうとした時。背後からビシャッと濡れた土を踏む足音が聞こえた。咄嗟にその場に伏せるタックルベリー。
雨音で気付くのが遅れた……背後に数十体の鉄人形。
……
…………
………………
幸いにもこちらには気付いていないようだった。
タックルベリーは泥に汚れながら、そのまま這うようにして移動する。そして鉄人形から離れるとまたすぐに駆け出す。
這ってできた肘の傷、枝や葉に引っ掛かりできた顔の切り傷。ちょっとした回復魔法の魔力も節約する。必要最低限の攻撃魔法で鉄人形の隙間を抜ける。
そうして崖まで辿り着いたが……眼下にも広がる森林。木々の隙間から動いて見えるのは鉄人形だろう。タックルベリーは探索魔法を飛ばしてビスマルク達の位置を特定する。
この状況でどう四人を助けるか……その作戦は……
★★★
鉄人形から逃げ回っていたキオが足を止めた。
「あっ……だ、駄目です……も、もう逃げ場が……な、無いです……」
四人は完全に囲まれる。
「ホーリー、防御魔法で敵を遮断してくれ」
「かしこまりました。しかし長くは持たないかと」
「構わない。ギリギリまで時間が稼げればそれで良い」
ドーム状の防御魔法が四人を囲み、鉄人形の侵入と攻撃を阻止する。ドンッ、ドンッ、ドンッ、鉄人形の打撃を防ぐ度にホーリーの魔力は削られていく。
やがて。
「申し訳ありません……そろそろ限界です」
そんなホーリーを囲むようにビスマルク、ヴイーヴル、キオが立つ。
「助かった。少し休めたからな。後は私達に任せろ」
「うん、ホーリーちゃんは少し休んでてね~」
防御魔法が解けると同時。
鉄人形が突進してくる。
振り下ろされる一撃。その一撃をビスマルクは真正面から受け、胴体を蹴り飛ばす。
「なかなかの修羅場だがその程度でやられる程に私達は簡単ではないぞ!!」
全力の一撃に鉄人形は弾け飛んだ。
「本当にいつもこんな感じよねぇ~まぁ、それも退屈しないけど~」
間延びした声とは裏腹にヴイーヴルの大剣クレイモアは鋭い。金属を断つ甲高い不快な音と共に鉄人形は斬り飛んだ。
鉄人形の攻撃はもちろんキオへも向かう。自分の力ではビスマルクやヴイーヴルのように攻撃を弾き返す事はできない。
二本の片刃の直剣で斜めに受ける。同時にキオ自身も回転して相手の力を逸らす。そして連続した爆発音。周囲の鉄人形が爆炎で吹き飛んだ。カトブレパスの瞳の力だった。
そして疲弊したホーリーだったが、それでも魔力を絞り出し、全員に防御魔法を掛けていた。
その場に留まり四方から迫る鉄人形を跳ね返し続ける。しかし波のように鉄人形が押し寄せ、全く退く様子は無い。
それでも戦い続ける。
「ぐぷぅ」
キオだった。体力の限界を超えての嘔吐。
「ほらほら~キオちゃん、ちょっとだけ休んで大丈夫よ~」
ヴイーヴルはクレイモアを大きくブン回し、キオの前へと立つ。キオは口元を拭う。
「はぁ、はぁ、ま、まだ、はぁ、はぁ、だ、大丈夫です、は、はい……」
誰がどう見ても大丈夫ではない。
もう限界か……そう思った時だった。
「ビスマルク様、上を!!」
最初に気付いたのはホーリーだった。
薄黒い雨雲を背景にして一筋の光が走る。直観で理解する。あれはタックルベリーからの合図だ。
その数秒後。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
それは地鳴りだった。振動が足元を揺らす。
タックルベリーが一人でできる事。そして崖上と崖下との位置関係。それを考えれば確かにこの方法しかなかったのかも知れない。
「ヴイーヴル、全員を抱えて飛んでくれ!!」
「はいは~い、重いけど頑張ってみるわ~」
★★★
タックルベリーは魔法を放った。
輝く光の矢。誰かが絶対に気付くはず。
次に体内の全魔力を解放する。とめどない膨大な魔力から『湧き水の魔法使い』と呼ばれるタックルベリー全ての力。それが足元に向けられた。
大地を操作する魔法。本来は土壁を作り出したり、岩で槍を作り出すような魔法。だが今、その魔力は崖全体へと伝わる。大雨により水が染み込んだ地中に内部から衝撃を与えた。
そして崖崩れが引き起こされる。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
轟音と共に崩れ落ちた大量の土砂が鉄人形を飲み込んでいく。魔法を使った結果、通常では考えられない大規模な崖崩れとなる。
木々は飴細工のように裂け、岩と土砂とが鉄人形を押し流し、鉄人形が鉄人形を圧し潰す。全滅ではないが、まさに壊滅的だった。
もちろんその場のタックルベリーの逃げ場は一つ。空だ。残った少ない魔力でフラフラと空中を浮遊する。
『みんなは……みんなはどこに……』
探索魔法を飛ばす余裕まではない。
そのタックルベリーへの攻撃だった。表層で埋まり、完全に破壊されてはいない鉄人形。その腕が伸び狙う。
「どわっ!!?」
身を捻り躱すが、少しだけ掠めてしまう。体力も魔力も限界のタックルベリーはそれだけで墜落。立て直す事ができない。
このまま落下死か……とも思ったが……ガクンッ、少しの衝撃の共にタックルベリーは空中で受け止められた。
「さすがにこれはちょっとねぇ~重いわ~多分、ビスマルクねぇ~」
背に生えた竜の翼で飛ぶヴイーヴルは、ビスマルクの襟首をしっかりと掴んでいた。
「ガハハハハッ、すまないが頑張ってくれ」
ぶら下がるビスマルクの片手には胴体を抱えられるようにキオが。もう片方には同じような状態でホーリー。
「だ、大丈夫ですか?」
「ベリー様、ご無事で何よりです」
そのキオとホーリーが同時にタックルベリーの腕を掴み上げていた。
「まぁ、僕にとっては簡単な作戦でしたよ」
そう言ってタックルベリーは笑うのだった。
★★★
しばらくして。
撤退の様子を注視しているユノだったが……
ビスマルク達が先行をしている報告は受けていたが、その続報が全く入らない。同行していた王国兵との合流も始まっているが、問いただしても『分からない』との返事。
その中でユノはビスマルク達との連絡係である騎士団員を見付けた。そして返ってきた報告は……
「申し訳ありません……支援が間に合わず……あの鉄人形の包囲の中では……」
「……どういう事か詳しく報告してください」
「はい。まずビスマルク様、ヴイーヴル様、キオ様、ホーリー様の四人が先行されましたが、向かった先が高低差のある崖下でした。敵数と地形を考慮すると王国兵が支援に向かったとしても相当の被害が出ると判断しました」
「だから見捨てたと?」
「結果そうだとしても王国兵の大半は無事に撤退する事ができました。ユノ様は四人を救う為、王国兵に甚大な被害が出ても構わないというお考えでしょうか?」
「そうは言っていません。ただ王立騎士団、王国兵は国の為に戦い、国の為に死ぬ事も任務の一つです。ですがビスマルクさん達はあくまで協力者、王国の民です。見捨てて良い道理はありません」
「確かに仰る通りです。しかし私は自分の判断が間違ったものだと思いません。撤退の命令が出た以上、速やかに撤退する必要があります。もし救出に時間を掛けて多数の死傷者が出た場合、結果として王国を守る事ができなくなる可能性もあります」
ユノが言うのは道理。しかし道理が通らない事など往々にしてある。
「……タックルベリーさんはどうしましたか?」
「はい、お一人で救出に向かいました。私は兵の撤退の指揮を執る為にタックルベリーさんを支援する事ができませんでした。その点ではいかなる処分をも受けます」
「分かりました。報告ありがとうございます」
連絡係が下がろうとしたその時である。
「一つ訂正があるんですけど」
「ベリーさん!!?」
ユノの前、連絡係の後ろに立つ男。タックルベリーである。
「魔法陣は破壊した。鉄人形もベリーがほぼ一人で片付けたぞ。大した男だ」
「ユノちゃんただいま~さすがにちょっと疲れちゃったわね~」
「キオ様、お怪我などは大丈夫でしょうか?」
「は、はい、私は大丈夫です。ベリーさんが早く来てくれましたので、はい」
もちろんその後ろには四人も揃っている。
「まぁ、見捨てられた時はどうなるかと思いましたけどね。僕はね、言ったんですよ。『僕が率先して戦えば問題はない』って。でも全く聞き入れてくれなくって」
少しだけ動揺の様子を見せた連絡係だったが……
「わ、私の選択は最善です。結果的に無事だっただけで、あの時の選択に間違いはありませんでした」
「確かに。でもまぁ、僕の気持ち的にはこれくらいは許して欲しいですけど、ねっ!!」
タックルベリーは連絡係に詰め寄り、拳を握り締めた。怒りの一撃を全力で繰り出す。そして振り抜いた拳は……
スカッ、ドシャッ
連絡係に避けられ空振った。勢いを付けた一撃、ぬかるんだ足元、タックルベリーは滑り転び、無残にもうつ伏せで倒れ込む。
……
…………
………………
「……ヴイーヴルさん、お願いします……」
「はいは~い」
「グハッ」
そんなタックルベリーの代わりに、ヴイーヴルの拳が連絡係を殴り飛ばす。
「ガハハハハッ、ユノ、この事は上に報告しないでくれると助かる」
ビスマルクにつられるようにユノも笑ってしまうのだった。
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