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第17話:俺のせいでアンジュが…~デイビッド視点~
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子供の頃から、俺には大好きな女の子がいた。美しいエメラルドグリーンの髪に、宝石の様な綺麗な水色の瞳をした女の子、アンジュだ。アンジュとは親同士が仲良しで、物心ついた時からずっと一緒だった。
特にアンジュの太陽の様な笑顔が好きで、アンジュが笑っていてくれるなら、俺はどんな事でもしたい、そう思えるほど、彼女の事を愛していた。
そんな俺は、アンジュを守るため、7歳で騎士団に入団した。俺が稽古がうまく行かずに落ち込んでいると、必ずアンジュが慰めてくれた。アンジュが傍にいてくれるだけで、どんな稽古にも耐えられる気がした。
この頃から、俺はアンジュとの結婚を意識し始めた。そんなある日、事件が起こったのだ。友人たちと行ったピクニックで、盗賊に襲われたのだ。
運の悪い事に、アンジュが盗賊の一味に捕まってしまったのだ。泣きじゃくるアンジュを何とか助けようと、俺はアンジュを連れて行こうとする男の足にしがみついた。その結果、アンジュと俺は、盗賊たちに連れて行かれてしまった。
どうやら我が家とアンジュの家に、身代金を要求している様だ。
暗くて狭い部屋に閉じ込められ、恐怖で泣きじゃくるアンジュ。そんなアンジュを必死に慰める。俺は騎士団員だ、こんなところで助けが来るのを待っている訳にはいかない。
それに何より、アンジュがこんなに怖がっているのだ。一刻も早く、この場所から脱出しないと。
「アンジュ、この場所から逃げよう」
「逃げる?どうやって?」
泣きながらもコテンと首をかしげるアンジュ。クソ、なんて可愛いんだ!
「大丈夫だよ。俺は騎士団員だ。こんな部屋、簡単に抜け出せるよ。この小さな窓から出られそうだ。ちょっと待っていてね、今窓ガラスを外すから」
騎士団ではありとあらゆることを教えてもらえる。つい先日、窓ガラスを外す方法も習ったのだ。教えてもらった事を思い出し、丁寧に外していく。よし、上手く外れたぞ。
「アンジュ、この窓から出よう。まず俺が出るから」
狭い窓から、スルリと抜け出る。そして外に出た。
「アンジュ、ほら、おいで」
俺が声を掛けると、怯えながらも窓を通って出てくるアンジュ。そんなアンジュを、下で受け止めた。
「よし、外に出られた。行こう、アンジュ」
「はい」
嬉しそうに俺の手を取るアンジュの手をしっかり握り、走り出そうとした時だった。
「ちび助たち、どこに行くつもりだ?」
ナイフを持った盗賊たちが、俺たちの前に立ちはだかったのだ。
「デイビッド様…」
アンジュが俺にギュッとしがみついてくる。
「アンジュ、大丈夫だよ。俺は騎士団員なんだ。少し待っていてくれるかい?おい、お前、俺が相手になる!」
近くにあった木の棒を取ると、男に向けた。
「ちび助、そんな棒で俺と戦う気か?お前は大切な人質だが…勝手に抜け出した罰を受ける必要があるよな。いいだろう、相手になってやる」
相手はナイフを取り出すと、俺に向けた。
「デイビッド様!」
アンジュが心配そうに俺の名前を呼んだ。
「大丈夫だ、そこで待っていてくれ」
そう伝えた。とにかく、この男を倒さないと!そんな思いから、木の棒を持って男に襲い掛かった。でも…
「うわぁぁぁ」
簡単に跳ね返されてしまった。
「威勢だけは良かったが、その程度とはな!少し痛い目を見てもらうぜ」
そう言うと、男がナイフを振り上げたのだ。切られる!そう覚悟して瞳を閉じた時だった。
ザク!!
「おい…お前、何を…」
えっ?
ゆっくり目を開けると、俺を庇う様に覆いかぶさっていたアンジュ。そんなアンジュの腕からは、ポタポタと血が垂れていた。
「アンジュ!」
「これくらい…大丈夫ですわ…」
きっとものすごく痛いのだろう。目に涙を浮かべながら、そう伝えて来た。さらに
「デイビッド様が怪我をしたら、私は悲しいので…でも、痛いです」
そう言うと、ポロポロと涙を流し始めたのだ。その時だった。
「デイビッド、アンジュ嬢、大丈夫か?」
俺たちの元にやって来たのは、騎士団長だ。目の前にいる盗賊たちを次々となぎ倒し、あっという間に縄をかけてしまったのだ。
凄い…大柄な男たちを、一瞬にして束ねあげてしまうだなんて。それに引き換え、俺は…
「アンジュ嬢、大丈夫かい?怪我をしたのかい?すぐに病院に運ぼう。デイビッドもよく頑張ったな」
アンジュを抱きかかえ、俺の頭を撫でた騎士団長。俺は何も頑張っていない…俺はただ、アンジュを危険に晒しただけだ。それだけではない、俺の無謀な行いのせいで、アンジュは怪我をしてしまった。
俺は一体、何をしているのだろう…
特にアンジュの太陽の様な笑顔が好きで、アンジュが笑っていてくれるなら、俺はどんな事でもしたい、そう思えるほど、彼女の事を愛していた。
そんな俺は、アンジュを守るため、7歳で騎士団に入団した。俺が稽古がうまく行かずに落ち込んでいると、必ずアンジュが慰めてくれた。アンジュが傍にいてくれるだけで、どんな稽古にも耐えられる気がした。
この頃から、俺はアンジュとの結婚を意識し始めた。そんなある日、事件が起こったのだ。友人たちと行ったピクニックで、盗賊に襲われたのだ。
運の悪い事に、アンジュが盗賊の一味に捕まってしまったのだ。泣きじゃくるアンジュを何とか助けようと、俺はアンジュを連れて行こうとする男の足にしがみついた。その結果、アンジュと俺は、盗賊たちに連れて行かれてしまった。
どうやら我が家とアンジュの家に、身代金を要求している様だ。
暗くて狭い部屋に閉じ込められ、恐怖で泣きじゃくるアンジュ。そんなアンジュを必死に慰める。俺は騎士団員だ、こんなところで助けが来るのを待っている訳にはいかない。
それに何より、アンジュがこんなに怖がっているのだ。一刻も早く、この場所から脱出しないと。
「アンジュ、この場所から逃げよう」
「逃げる?どうやって?」
泣きながらもコテンと首をかしげるアンジュ。クソ、なんて可愛いんだ!
「大丈夫だよ。俺は騎士団員だ。こんな部屋、簡単に抜け出せるよ。この小さな窓から出られそうだ。ちょっと待っていてね、今窓ガラスを外すから」
騎士団ではありとあらゆることを教えてもらえる。つい先日、窓ガラスを外す方法も習ったのだ。教えてもらった事を思い出し、丁寧に外していく。よし、上手く外れたぞ。
「アンジュ、この窓から出よう。まず俺が出るから」
狭い窓から、スルリと抜け出る。そして外に出た。
「アンジュ、ほら、おいで」
俺が声を掛けると、怯えながらも窓を通って出てくるアンジュ。そんなアンジュを、下で受け止めた。
「よし、外に出られた。行こう、アンジュ」
「はい」
嬉しそうに俺の手を取るアンジュの手をしっかり握り、走り出そうとした時だった。
「ちび助たち、どこに行くつもりだ?」
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「デイビッド様…」
アンジュが俺にギュッとしがみついてくる。
「アンジュ、大丈夫だよ。俺は騎士団員なんだ。少し待っていてくれるかい?おい、お前、俺が相手になる!」
近くにあった木の棒を取ると、男に向けた。
「ちび助、そんな棒で俺と戦う気か?お前は大切な人質だが…勝手に抜け出した罰を受ける必要があるよな。いいだろう、相手になってやる」
相手はナイフを取り出すと、俺に向けた。
「デイビッド様!」
アンジュが心配そうに俺の名前を呼んだ。
「大丈夫だ、そこで待っていてくれ」
そう伝えた。とにかく、この男を倒さないと!そんな思いから、木の棒を持って男に襲い掛かった。でも…
「うわぁぁぁ」
簡単に跳ね返されてしまった。
「威勢だけは良かったが、その程度とはな!少し痛い目を見てもらうぜ」
そう言うと、男がナイフを振り上げたのだ。切られる!そう覚悟して瞳を閉じた時だった。
ザク!!
「おい…お前、何を…」
えっ?
ゆっくり目を開けると、俺を庇う様に覆いかぶさっていたアンジュ。そんなアンジュの腕からは、ポタポタと血が垂れていた。
「アンジュ!」
「これくらい…大丈夫ですわ…」
きっとものすごく痛いのだろう。目に涙を浮かべながら、そう伝えて来た。さらに
「デイビッド様が怪我をしたら、私は悲しいので…でも、痛いです」
そう言うと、ポロポロと涙を流し始めたのだ。その時だった。
「デイビッド、アンジュ嬢、大丈夫か?」
俺たちの元にやって来たのは、騎士団長だ。目の前にいる盗賊たちを次々となぎ倒し、あっという間に縄をかけてしまったのだ。
凄い…大柄な男たちを、一瞬にして束ねあげてしまうだなんて。それに引き換え、俺は…
「アンジュ嬢、大丈夫かい?怪我をしたのかい?すぐに病院に運ぼう。デイビッドもよく頑張ったな」
アンジュを抱きかかえ、俺の頭を撫でた騎士団長。俺は何も頑張っていない…俺はただ、アンジュを危険に晒しただけだ。それだけではない、俺の無謀な行いのせいで、アンジュは怪我をしてしまった。
俺は一体、何をしているのだろう…
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