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第24話:頭の中がグチャグチャです
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正直今更デイビッド様にそんな事を言われても困る。もう私は、デイビッド様の事を忘れ、前に進もうとしているのだ。
「アンジュ…俺は」
「あの、デイビッド様。アンジュ様は今、頭が混乱されているのではないでしょうか?そもそも学期の途中に留学をするだなんて、よほどの覚悟を持ってアンジュ様は留学を選ばれたのではないのですか?本来留学をする場合、学期初めが基本です。ご自分でもおっしゃっていた通り、そこまで追い込んだのは、あなた様自身だと思います。少しでもアンジュ様の事を思うのでしたら、アンジュ様にも考える時間を与えてあげてはいかがですか?」
スカーレット様が、デイビッド様を論してくれている。
「…分かったよ…俺も実はこの国に留学をしようと思って、学院に問い合わせをしたのだが、アンジュは後1ヶ月で留学期間が終わるんだってね。本当はもう、1日だってアンジュとは離れたくはないけれど…でも仕方がない。アンジュ、1ヶ月後、君が帰国するのをカリオス王国で待っているよ。それからアンジュは興味がないだろうけれど、俺、騎士団長になる事が決まったんだ」
「そういえば昨日、その様な事をおっしゃっておりましたね。デイビッド様が必死に騎士団の稽古に励まれている事は知っておりました。おめでとうございます、どうかこれからは、騎士団長として国を守って行ってください」
「俺が守りたいのは、国ではなくアンジュ、君だよ…でも、今の俺には、それを言う資格はないね…本当に今まですまなかった」
再びデイビッド様が、私に頭を下げた。
「それじゃあ、俺は帰国するけれど。アンジュ、君が帰って来るのを待っているから」
そう言うと、面会室から出ていくデイビッド様。そんな彼の後ろ姿を見送る。
「アンジュ様、大丈夫ですか?その…昨日デイビッド様の姿を見た時、なんだかアンジュ様に未練があるのではと思っていたのです…愛おしそうに、あなた様を見つめていらしたので…」
「そうだったのですね…でも私は…」
正直今更デイビッド様に気持ちを伝えられたところで、到底受け入れられるほどの器を持ち合わせていない。
「アンジュ嬢、君が受け入れられないのは当然だよ。5度も婚約申込を断っておいて、今更君が好きだ!なんて言われて、はいそうですかと言える訳がない」
「ダルクの言う通りだ。それにしても勝手な男だな…ただ、話を聞くところ、自分に厳しい一面を持っているのだろう。だからこそ、妥協する事が出来ずに、結果的にアンジュ嬢を傷つけてしまったといったところだろうか。まあ、不器用な男なのだろう」
王太子殿下がなぜか、デイビッド様を分析している。確かにデイビッド様は、昔から自分に厳しい人間だった。きっと、自分が立てた目標を成し遂げなければ!という思いが、強すぎたのだろう。でも、だからと言って、今更デイビッド様を受け入れられる訳ではないが…
「とにかく1ヶ月後には、アンジュ様の帰国が迫っているのよね。アンジュ様がもし帰りたくないとおっしゃるのでしたら、私たちが何とかしますわ。ねえ、イカロス様」
「そうだね、君が望むなら、卒業まで留学期間を延ばすことが出来ないか、学院に掛けあってみるよ。ただ、次の留学生が決まっている場合は、厳しいかもしれないが…」
「ありがとうございます。ただ、今私は、頭が混乱していまして…それに私だけでは決められませんので、一度両親にも話をしてみますわ。もしかしたら父が、別の留学先を既に見つけているかもしれませんし」
お父様の事だ、もしもの時の為に、別の留学先を探しているかもしれない。
「別の留学先に行くのでしたら、ここにいたらよろしいですわ。でも…アンジュ様にも色々と都合があるでしょうし…もし、ここに残りたいとの事でしたら、遠慮なく言ってくださいね」
「ありがとうございます」
本当に優しいお友達持って、私は幸せね。
「それでは私はこれで失礼します。今日はありがとうございました」
スカーレット様たちと別れて、宿舎へと戻ってきた。部屋に入ると
「お嬢様、随分お帰りが遅かったですが、何かトラブルでも?」
不安そうな顔で私の元にやって来たのは、カリアだ。
「実は今日、デイビッド様が面会にいらして。さっきまで話をしていたの」
「何ですって?どうしてお断りしなかったのですか?わざわざ会う必要なんてありませんでしたのに」
「デイビッド様が何のために、ミラージュ王国までやっていらしたのか気になったのよ。デイビッド様からは、私への謝罪と、もう一度チャンスを欲しいと言われたわ…デイビッド様は、騎士団長になるまでは私への気持ちを封印していたのですって」
「なんと!あれだけお嬢様からの婚約申込を断っておいて、お嬢様が諦めたタイミングで迫ってくるだなんて!なんて男なの!もちろん、お断りしたのですよね!」
「ええ…とりあえず国に帰ってもらったけれど…どうやら私が1ヶ月後帰国する事も知っていらした様で…」
「なんて事でしょう。きっとお嬢様が帰国した後、迫って来るに違いありません。それでお嬢様は、どうされたいのですか?」
「実はどうしていいか、分からないの。スカーレット様や王太子殿下からは、私が希望すれば、留学期間を延長できるように手配すると言って下さっているのだけれど…とにかく今は頭が混乱していて、少し頭を整理したいの」
「分かりましたわ、旦那様には私から報告しておきます」
「ありがとう、カリア」
今は頭の中がグチャグチャだ。一度頭の中を整理しないと。
「アンジュ…俺は」
「あの、デイビッド様。アンジュ様は今、頭が混乱されているのではないでしょうか?そもそも学期の途中に留学をするだなんて、よほどの覚悟を持ってアンジュ様は留学を選ばれたのではないのですか?本来留学をする場合、学期初めが基本です。ご自分でもおっしゃっていた通り、そこまで追い込んだのは、あなた様自身だと思います。少しでもアンジュ様の事を思うのでしたら、アンジュ様にも考える時間を与えてあげてはいかがですか?」
スカーレット様が、デイビッド様を論してくれている。
「…分かったよ…俺も実はこの国に留学をしようと思って、学院に問い合わせをしたのだが、アンジュは後1ヶ月で留学期間が終わるんだってね。本当はもう、1日だってアンジュとは離れたくはないけれど…でも仕方がない。アンジュ、1ヶ月後、君が帰国するのをカリオス王国で待っているよ。それからアンジュは興味がないだろうけれど、俺、騎士団長になる事が決まったんだ」
「そういえば昨日、その様な事をおっしゃっておりましたね。デイビッド様が必死に騎士団の稽古に励まれている事は知っておりました。おめでとうございます、どうかこれからは、騎士団長として国を守って行ってください」
「俺が守りたいのは、国ではなくアンジュ、君だよ…でも、今の俺には、それを言う資格はないね…本当に今まですまなかった」
再びデイビッド様が、私に頭を下げた。
「それじゃあ、俺は帰国するけれど。アンジュ、君が帰って来るのを待っているから」
そう言うと、面会室から出ていくデイビッド様。そんな彼の後ろ姿を見送る。
「アンジュ様、大丈夫ですか?その…昨日デイビッド様の姿を見た時、なんだかアンジュ様に未練があるのではと思っていたのです…愛おしそうに、あなた様を見つめていらしたので…」
「そうだったのですね…でも私は…」
正直今更デイビッド様に気持ちを伝えられたところで、到底受け入れられるほどの器を持ち合わせていない。
「アンジュ嬢、君が受け入れられないのは当然だよ。5度も婚約申込を断っておいて、今更君が好きだ!なんて言われて、はいそうですかと言える訳がない」
「ダルクの言う通りだ。それにしても勝手な男だな…ただ、話を聞くところ、自分に厳しい一面を持っているのだろう。だからこそ、妥協する事が出来ずに、結果的にアンジュ嬢を傷つけてしまったといったところだろうか。まあ、不器用な男なのだろう」
王太子殿下がなぜか、デイビッド様を分析している。確かにデイビッド様は、昔から自分に厳しい人間だった。きっと、自分が立てた目標を成し遂げなければ!という思いが、強すぎたのだろう。でも、だからと言って、今更デイビッド様を受け入れられる訳ではないが…
「とにかく1ヶ月後には、アンジュ様の帰国が迫っているのよね。アンジュ様がもし帰りたくないとおっしゃるのでしたら、私たちが何とかしますわ。ねえ、イカロス様」
「そうだね、君が望むなら、卒業まで留学期間を延ばすことが出来ないか、学院に掛けあってみるよ。ただ、次の留学生が決まっている場合は、厳しいかもしれないが…」
「ありがとうございます。ただ、今私は、頭が混乱していまして…それに私だけでは決められませんので、一度両親にも話をしてみますわ。もしかしたら父が、別の留学先を既に見つけているかもしれませんし」
お父様の事だ、もしもの時の為に、別の留学先を探しているかもしれない。
「別の留学先に行くのでしたら、ここにいたらよろしいですわ。でも…アンジュ様にも色々と都合があるでしょうし…もし、ここに残りたいとの事でしたら、遠慮なく言ってくださいね」
「ありがとうございます」
本当に優しいお友達持って、私は幸せね。
「それでは私はこれで失礼します。今日はありがとうございました」
スカーレット様たちと別れて、宿舎へと戻ってきた。部屋に入ると
「お嬢様、随分お帰りが遅かったですが、何かトラブルでも?」
不安そうな顔で私の元にやって来たのは、カリアだ。
「実は今日、デイビッド様が面会にいらして。さっきまで話をしていたの」
「何ですって?どうしてお断りしなかったのですか?わざわざ会う必要なんてありませんでしたのに」
「デイビッド様が何のために、ミラージュ王国までやっていらしたのか気になったのよ。デイビッド様からは、私への謝罪と、もう一度チャンスを欲しいと言われたわ…デイビッド様は、騎士団長になるまでは私への気持ちを封印していたのですって」
「なんと!あれだけお嬢様からの婚約申込を断っておいて、お嬢様が諦めたタイミングで迫ってくるだなんて!なんて男なの!もちろん、お断りしたのですよね!」
「ええ…とりあえず国に帰ってもらったけれど…どうやら私が1ヶ月後帰国する事も知っていらした様で…」
「なんて事でしょう。きっとお嬢様が帰国した後、迫って来るに違いありません。それでお嬢様は、どうされたいのですか?」
「実はどうしていいか、分からないの。スカーレット様や王太子殿下からは、私が希望すれば、留学期間を延長できるように手配すると言って下さっているのだけれど…とにかく今は頭が混乱していて、少し頭を整理したいの」
「分かりましたわ、旦那様には私から報告しておきます」
「ありがとう、カリア」
今は頭の中がグチャグチャだ。一度頭の中を整理しないと。
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