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第59話:一体何が起こったのでしょうか?
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「お母様、一体どうしたのですか?」
「ちょっとあなたと話がしたくてね。来週にはダルク様がミラージュ王国に帰ってしまうでしょう?それで、アンジュはどうするつもりなの?」
「どうするとは?」
「もう、とぼけちゃって。ダルク様に“ミラージュ王国に一緒に来てくれないか?”と、言われているのでしょう?でも、デイビッド様の事もあるし」
「お母様、どうしてそれを?」
「あら、私はあなたの母親なのよ。そんな事くらい、分かっているわ。アンジュ、お母様もお父様も、あなたが幸せになる事を望んでいるの。もしあなたがダルク様と共に歩みたいというのなら、喜んでミラージュ王国に送り出すわ。逆にデイビッド様と共に歩みたいというのなら、もう一度サフィーレイズ侯爵家に話しに行くつもりよ。だから、どうか自分の気持ちに素直になって」
「お母様…」
「どちらかを選ぶという事は、とても辛い事よね。でも、どうか自分の気持ちに正直になって頂戴ね。あなたがどんな結論を出そうとも、私もお父様もレイズも、アンジュの結論を応援するから。それじゃあ、おやすみなさい」
私のおでこに口づけをして、部屋から出て行ったお母様。
どんな結論を出そうとも、家族は私の味方でいてくれる…今までもずっとそうだった。私が辛く悲しんでいる時は、いつも寄り添い、私の為に動いてくれたのだ。
「お嬢様、私も奥様と同じ気持ちです。もしお嬢様がダルク様と共に歩まれるとおっしゃるのでしたら、ミラージュ王国に付いてまいります。もしデイビッド様と歩まれるのでしたら、侯爵家に一緒について参りますわ」
私に声を掛けてくれたのは、カリアだ。
「ですから、どうかご自分の事だけをお考えになり、どちらと共に未来を歩みたいのか、よくお考えになってください。旦那様も奥様も、レイズお坊ちゃまも、使用人一同も、お嬢様の出した結論をしっかり受け入れますので」
「…ありがとう、カリア。私、こんなにも沢山の家族に支えらえて、本当に幸せよ。後悔しないためにも、自分がどうしたいのか、真剣に考えてみるわ」
私の言葉に、嬉しそうに頷くカリア。
私には私の事を一番に考えてくれる家族や使用人がいる。もちろん、友人たちもだ。彼らの為にも、絶対に幸せになって見せる。
そして自分の選んだ道に、胸を張って生きていきたい。そう誓ったのだった。
翌日、いつもの様にレイズと一緒に馬車に乗り込み、学院へと向かう。
「姉上、まさか来週にはダルク殿が帰国してしまうだなんて、何だかショックですね」
「仕方ないわよ。国王陛下が倒れられたのだから。きっと今頃、王太子殿下もスカーレット様も、動揺されているだろうし。ダルク様はなんて言っても王太子殿下の右腕で、絶対的信頼を寄せらえているのよ。それだけミラージュ王国にとって、ダルク様は必要な人という事なのよ」
「確かにそうかもしれませんが…」
言葉を濁すレイズ。
その時だった。急に馬車がぐらりと揺れたと思ったら、急停止したのだ。一体どうしたのかしら?
「姉上、大丈夫ですか?ちょっと様子を見てきますから、姉上は馬車の中で待っていて下さい」
そう言うと、レイズは馬車から降りて行った。私も馬車の窓から外の様子を伺う。
「姉上、馬車の車輪がパンクしてしまっている様です。今使いの者が侯爵家に新しい馬車を取りに行っているそうなので、少しお待ちくださいとの事でした」
「まあ、馬車の車輪がパンクだなんて、珍しいわね」
通常、馬車は毎日使用人が確認している為、パンクしかかっていれば、すぐに車輪を交換するはずだ。
「どうやら何かを踏んだようですよ。とにかく、新しい馬車を…」
「レイズ!!」
馬車に乗り込もうとしたレイズを、何者かが後ろから襲ったのだ。そのまま意識を失ったレイズが、倒れ込んだ。
「レイズ、しっかりして!誰か!」
そう叫んだ瞬間、黒ずくめの男が馬車に乗り込んできた。
「キャーーー!!あなた達は一体…」
そう叫ぼうとしたのだが、次の瞬間、口にハンカチを当てられ、そのまま意識を失ったのだった。
次回、デイビッド視点です。
「ちょっとあなたと話がしたくてね。来週にはダルク様がミラージュ王国に帰ってしまうでしょう?それで、アンジュはどうするつもりなの?」
「どうするとは?」
「もう、とぼけちゃって。ダルク様に“ミラージュ王国に一緒に来てくれないか?”と、言われているのでしょう?でも、デイビッド様の事もあるし」
「お母様、どうしてそれを?」
「あら、私はあなたの母親なのよ。そんな事くらい、分かっているわ。アンジュ、お母様もお父様も、あなたが幸せになる事を望んでいるの。もしあなたがダルク様と共に歩みたいというのなら、喜んでミラージュ王国に送り出すわ。逆にデイビッド様と共に歩みたいというのなら、もう一度サフィーレイズ侯爵家に話しに行くつもりよ。だから、どうか自分の気持ちに素直になって」
「お母様…」
「どちらかを選ぶという事は、とても辛い事よね。でも、どうか自分の気持ちに正直になって頂戴ね。あなたがどんな結論を出そうとも、私もお父様もレイズも、アンジュの結論を応援するから。それじゃあ、おやすみなさい」
私のおでこに口づけをして、部屋から出て行ったお母様。
どんな結論を出そうとも、家族は私の味方でいてくれる…今までもずっとそうだった。私が辛く悲しんでいる時は、いつも寄り添い、私の為に動いてくれたのだ。
「お嬢様、私も奥様と同じ気持ちです。もしお嬢様がダルク様と共に歩まれるとおっしゃるのでしたら、ミラージュ王国に付いてまいります。もしデイビッド様と歩まれるのでしたら、侯爵家に一緒について参りますわ」
私に声を掛けてくれたのは、カリアだ。
「ですから、どうかご自分の事だけをお考えになり、どちらと共に未来を歩みたいのか、よくお考えになってください。旦那様も奥様も、レイズお坊ちゃまも、使用人一同も、お嬢様の出した結論をしっかり受け入れますので」
「…ありがとう、カリア。私、こんなにも沢山の家族に支えらえて、本当に幸せよ。後悔しないためにも、自分がどうしたいのか、真剣に考えてみるわ」
私の言葉に、嬉しそうに頷くカリア。
私には私の事を一番に考えてくれる家族や使用人がいる。もちろん、友人たちもだ。彼らの為にも、絶対に幸せになって見せる。
そして自分の選んだ道に、胸を張って生きていきたい。そう誓ったのだった。
翌日、いつもの様にレイズと一緒に馬車に乗り込み、学院へと向かう。
「姉上、まさか来週にはダルク殿が帰国してしまうだなんて、何だかショックですね」
「仕方ないわよ。国王陛下が倒れられたのだから。きっと今頃、王太子殿下もスカーレット様も、動揺されているだろうし。ダルク様はなんて言っても王太子殿下の右腕で、絶対的信頼を寄せらえているのよ。それだけミラージュ王国にとって、ダルク様は必要な人という事なのよ」
「確かにそうかもしれませんが…」
言葉を濁すレイズ。
その時だった。急に馬車がぐらりと揺れたと思ったら、急停止したのだ。一体どうしたのかしら?
「姉上、大丈夫ですか?ちょっと様子を見てきますから、姉上は馬車の中で待っていて下さい」
そう言うと、レイズは馬車から降りて行った。私も馬車の窓から外の様子を伺う。
「姉上、馬車の車輪がパンクしてしまっている様です。今使いの者が侯爵家に新しい馬車を取りに行っているそうなので、少しお待ちくださいとの事でした」
「まあ、馬車の車輪がパンクだなんて、珍しいわね」
通常、馬車は毎日使用人が確認している為、パンクしかかっていれば、すぐに車輪を交換するはずだ。
「どうやら何かを踏んだようですよ。とにかく、新しい馬車を…」
「レイズ!!」
馬車に乗り込もうとしたレイズを、何者かが後ろから襲ったのだ。そのまま意識を失ったレイズが、倒れ込んだ。
「レイズ、しっかりして!誰か!」
そう叫んだ瞬間、黒ずくめの男が馬車に乗り込んできた。
「キャーーー!!あなた達は一体…」
そう叫ぼうとしたのだが、次の瞬間、口にハンカチを当てられ、そのまま意識を失ったのだった。
次回、デイビッド視点です。
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