婚約者を奪われ魔物討伐部隊に入れられた私ですが、騎士団長に溺愛されました

Karamimi

文字の大きさ
8 / 40

第8話:もっと強くなりたいです

しおりを挟む
翌日、目が覚めると体中が痛い。きっと筋肉痛だ。でも起きて朝食の準備をしないと!鉛の様な体を必死に起こし、何とか料理を作る。朝だからサンドウィッチと野菜スープにしよう。

早速野菜を切り、スープを作る。サンドウィッチは昨日の夜特製のタレに付け込んだお肉を使った、特製肉入りサンドウィッチだ。そう言えばこのサンドウィッチ、サミュエル様が好きだったわね。

そう思ったら、涙が込み上げて来た。ダメよ、泣いたら!そう言い聞かせたものの、涙が溢れてくる。幸い今は1人だ。さっと涙をぬぐい、お肉と玉ねぎをタレと一緒に炒めていく。炒めた具材をパンに挟めば完成だ。

「おはよう、クレア。なんか既に物凄くいい匂いがしているけれど、今朝は何を食べさせてくれるんだ」

「おはよう、ハル。今日は肉入りサンドウィッチと、野菜スープにしようと思っているの。1つ味見してみる?」

「いいのか?食べる食べる!」

嬉しそうにサンドウィッチを手に取ると、1口で食べてしまった。

「美味い!何だこれ!今まで食べたサンドウィッチの中で、一番美味いぞ!クレアは本当に凄いな!」

どうやら美味しかった様だ。良かった。

「それよりもクレア、疲れがとれていないんじゃないのか?なんだか顔色もあまり良くないぞ」

「そうなの、昨日かなり騎士団長にしごかれたから、体中痛くて。それにお風呂にも入れていないから、なんだか気持ち悪いし」

そう、ここに来てからずっとお風呂にも入れていない。一応体は拭いているが、それだけではやっぱり気持ち悪い。

「なんだ、そんな事か。疲れた時は自分に治癒魔法を掛けるんだよ。それから、風呂に入れない時は自分に向かって手をかざし、「クリーン」と唱えると、風呂に入ったみたいにさっぱりするぞ。今日は俺が掛けてやるよ「ヒール」それから「クリーン」」

私に向かって魔法を掛けるハル。すると見る見る体の痛みが取れていく。さらに、体もスッキリした。髪もサラサラだ。

「ありがとう、ハル!体もスッキリしたし、痛みも取れたわ!」

「どういたしまして。さあ、早く飯の準備をしないと、また騎士団長に怒鳴られるぞ!」

そうだわ。急がないと!ハルに手伝ってもらい、野菜スープとサンドウィッチを並べていく。よし、完成だ!

ちょうど皆がやって来た。

「クレア、おはよう。今日も美味そうだな」

「クレア、おはよう」

皆が私に挨拶をしてくれる。どうやら私は、皆に認めてもらえた様だ。早速私の作ったサンドウィッチと野菜スープを食べていく。こちらも大好評で、全て平らげてくれた。

さあ、いよいよ討伐だ!そう思ったのだが、そう言えば私はしばらく討伐を禁止されていたのだった。という事は、1人でテントに残るのか。それならお菓子でも作ろうかしら?

ニヤニヤしながらそう考えていたのだが…

「デビッド、今日の討伐はお前が指揮をとれ。俺はこのバカに稽古を付けるから」

「ああ、分かったよ。それじゃあウィリアム、クレア、行ってくるね」

そう言って皆討伐に出掛けてしまった。残ったのは、鬼の騎士団長と私だけ。

「早速稽古を始めるぞ!まずはダッシュ30本から!さっさと走れ!!」

ひぃ~~
再び地獄の稽古が始まった。

「次はスクワットだ。もっと腹に力を入れろ!なんだ、そのへっぴり腰は!!」

怒号が飛び交う。とにかく騎士団長に言われるがまま、必死に稽古を続けた。そしてやっと午前中の稽古が終わった。その頃には、既にボロボロだ。

「何を転がっているんだ!さっさと昼飯を作らないと間に合わないぞ!!ほら動け」

鬼に怒鳴られた。仕方ない。そうだ、こんな時は!
「ヒール」
必死に魔力を込め、自分に治癒魔法を掛ける。よし、何とか回復した。

「お前、まだ回復魔法が使えるくらい魔力が残っていたんだな!俺は全部使い切れと言ったよな!」

鬼の形相で睨んで来る騎士団長。ひぃぃぃ、怖すぎる!

「ごめんなさ~い!」

そう言って急いで逃げて来た。さあ、早速お昼ご飯だ。お昼はピザにしよう。生地をこね、具材を乗せて焼いていく。そうだ、今日の夜のティータイムにクッキーを出そう。そう思い、隣でクッキーも焼いていく。

ちょうど出来上がった頃、皆が戻って来た。

「めっちゃいい匂いがする。今日はピザか!美味そう」

次々に集まって来る騎士たち。早速お昼ご飯開始だ。私もジーク達の隣でピザを頬張る。うん、美味しいわ。

「それにしても、今日の魔物は手ごわかったよな」

「でもハルが炎で一気に焼き尽くしたんだもんな!お前凄いよ」

「ジークだって、氷で一気に凍らせていただろう。あの威力は見習いたいな」

皆が討伐の話で盛り上がっている。そう、私は弱すぎてまだ討伐にも行かせてもらっていない。私、何勘違いしていたのだろう。料理でこの隊に貢献しているつもりになっていたけれど、やっぱり魔物を倒してこそ一人前だ。

もっと強くなって、皆に必要とされる人間になりたい!

「クレア、どうしたんだ?急に黙り込んじゃって。もしかして、俺たちが討伐の話ばかりするから、つまらなかったか?」

心配そうにそう言ったのはジークだ。

「そんな事ないわ。もっと討伐の話を聞かせて」

私の言葉を聞き、安堵の表情を浮かべるジーク達。その後も討伐の色々な話を聞かせてくれた。やっぱり、私も頑張らないと!

午後の稽古を終え、夕食を食べた後は、皆に紅茶とクッキーを出した。嬉しそうに食べてくれる姿を見て、私も嬉しくなる。

そして夜の稽古だ。相変わらず騎士団長は鬼だが、必死に食らいついて行く。そして夜の稽古も終わり、ミノムシに入ったものの眠れない。もっと強くなりたい!そんな思いから、夜中1時間だけ自分で稽古をする様になった。

今日教えてもらった事を思い出し、攻撃魔法や防除魔法を掛けて行く。騎士団長の話では、魔力は限界まで使う事で、より多くの魔力が生産されるようになるとの事。そうする事で、どんどん強くなっていくらしい。

そして朝も早く起きて、1時間だけ朝練を行う。少しでも強くなりたい!そんな思いから、必死に練習をした。そんな私を見て、朝はジークやハル、副騎士団長までもが朝練に付き合ってくれる様になった。

私は本当に仲間に恵まれている。

「クレア、随分と攻撃魔法が使える様になったね。防御魔法も習得できたし。それにしても、君はどうやら騎士の才能がある様だ。ここまでぐんぐん伸びていく子は珍しい。これなら討伐に出ても、しっかり魔物と戦えるよ」

そう言って褒めてくれた副騎士団長。どうやら副騎士団長は褒めて伸ばすタイプの様だ。

「ありがとうございます。これも皆が色々と私に良くしてくれるお陰です」

そう言って頭を下げた。そして私がある程度上達したという事もあり、討伐を禁止されてから1週間後、見事討伐に加わる事が許されたのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約者は冷酷宰相様。地味令嬢の私が政略結婚で嫁いだら、なぜか激甘溺愛が待っていました

春夜夢
恋愛
私はずっと「誰にも注目されない地味令嬢」だった。 名門とはいえ没落しかけの伯爵家の次女。 姉は美貌と才覚に恵まれ、私はただの飾り物のような存在。 ――そんな私に突然、王宮から「婚約命令」が下った。 相手は、王の右腕にして恐れられる冷酷宰相・ルシアス=ディエンツ公爵。 40を目前にしながら独身を貫き、感情を一切表に出さない男。 (……なぜ私が?) けれど、その婚約は国を揺るがす「ある計画」の始まりだった。

【完結】呪いのせいで無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになりました。

里海慧
恋愛
わたくしが愛してやまない婚約者ライオネル様は、どうやらわたくしを嫌っているようだ。 でもそんなクールなライオネル様も素敵ですわ——!! 超前向きすぎる伯爵令嬢ハーミリアには、ハイスペイケメンの婚約者ライオネルがいる。 しかしライオネルはいつもハーミリアにはそっけなく冷たい態度だった。 ところがある日、突然ハーミリアの歯が強烈に痛み口も聞けなくなってしまった。 いつもなら一方的に話しかけるのに、無言のまま過ごしていると婚約者の様子がおかしくなり——? 明るく楽しいラブコメ風です! 頭を空っぽにして、ゆるい感じで読んでいただけると嬉しいです★ ※激甘注意 お砂糖吐きたい人だけ呼んでください。 ※2022.12.13 女性向けHOTランキング1位になりました!! みなさまの応援のおかげです。本当にありがとうございます(*´꒳`*) ※タイトル変更しました。 旧タイトル『歯が痛すぎて無言になったら、冷たかった婚約者が溺愛モードになった件』

お堅い公爵様に求婚されたら、溺愛生活が始まりました

群青みどり
恋愛
 国に死ぬまで搾取される聖女になるのが嫌で実力を隠していたアイリスは、周囲から無能だと虐げられてきた。  どれだけ酷い目に遭おうが強い精神力で乗り越えてきたアイリスの安らぎの時間は、若き公爵のセピアが神殿に訪れた時だった。  そんなある日、セピアが敵と対峙した時にたまたま近くにいたアイリスは巻き込まれて怪我を負い、気絶してしまう。目が覚めると、顔に傷痕が残ってしまったということで、セピアと婚約を結ばれていた! 「どうか怪我を負わせた責任をとって君と結婚させてほしい」  こんな怪我、聖女の力ですぐ治せるけれど……本物の聖女だとバレたくない!  このまま正体バレして国に搾取される人生を送るか、他の方法を探して婚約破棄をするか。  婚約破棄に向けて悩むアイリスだったが、罪悪感から求婚してきたはずのセピアの溺愛っぷりがすごくて⁉︎ 「ずっと、どうやってこの神殿から君を攫おうかと考えていた」  麗しの公爵様は、今日も聖女にしか見せない笑顔を浮かべる── ※タイトル変更しました

【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。 優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。 優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。 そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。 絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。 そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。

身代わりの公爵家の花嫁は翌日から溺愛される。~初日を挽回し、溺愛させてくれ!~

湯川仁美
恋愛
姉の身代わりに公爵夫人になった。 「貴様と寝食を共にする気はない!俺に呼ばれるまでは、俺の前に姿を見せるな。声を聞かせるな」 夫と初対面の日、家族から男癖の悪い醜悪女と流され。 公爵である夫とから啖呵を切られたが。 翌日には誤解だと気づいた公爵は花嫁に好意を持ち、挽回活動を開始。 地獄の番人こと閻魔大王(善悪を判断する審判)と異名をもつ公爵は、影でプレゼントを贈り。話しかけるが、謝れない。 「愛しの妻。大切な妻。可愛い妻」とは言えない。 一度、言った言葉を撤回するのは難しい。 そして妻は普通の令嬢とは違い、媚びず、ビクビク怯えもせず普通に接してくれる。 徐々に距離を詰めていきましょう。 全力で真摯に接し、謝罪を行い、ラブラブに到着するコメディ。 第二章から口説きまくり。 第四章で完結です。 第五章に番外編を追加しました。

旦那様、政略結婚ですので離婚しましょう

おてんば松尾
恋愛
王命により政略結婚したアイリス。 本来ならば皆に祝福され幸せの絶頂を味わっているはずなのにそうはならなかった。 初夜の場で夫の公爵であるスノウに「今日は疲れただろう。もう少し互いの事を知って、納得した上で夫婦として閨を共にするべきだ」と言われ寝室に一人残されてしまった。 翌日から夫は仕事で屋敷には帰ってこなくなり使用人たちには冷たく扱われてしまうアイリス…… (※この物語はフィクションです。実在の人物や事件とは関係ありません。)

【完結】「お前とは結婚できない」と言われたので出奔したら、なぜか追いかけられています

22時完結
恋愛
「すまない、リディア。お前とは結婚できない」 そう告げたのは、長年婚約者だった王太子エドワード殿下。 理由は、「本当に愛する女性ができたから」――つまり、私以外に好きな人ができたということ。 (まあ、そんな気はしてました) 社交界では目立たない私は、王太子にとってただの「義務」でしかなかったのだろう。 未練もないし、王宮に居続ける理由もない。 だから、婚約破棄されたその日に領地に引きこもるため出奔した。 これからは自由に静かに暮らそう! そう思っていたのに―― 「……なぜ、殿下がここに?」 「お前がいなくなって、ようやく気づいた。リディア、お前が必要だ」 婚約破棄を言い渡した本人が、なぜか私を追いかけてきた!? さらに、冷酷な王国宰相や腹黒な公爵まで現れて、次々に私を手に入れようとしてくる。 「お前は王妃になるべき女性だ。逃がすわけがない」 「いいや、俺の妻になるべきだろう?」 「……私、ただ田舎で静かに暮らしたいだけなんですけど!!」

何もしない公爵夫人ですが、なぜか屋敷がうまく回っています

鷹 綾
恋愛
辺境公爵カーネル・クリスの妻となったフィレ・バーナード。 けれど彼女は、屋敷を仕切ることも、改革を行うことも、声高に意見を述べることもしなかった。 指示を出さない。 判断を奪わない。 必要以上に関わらない。 「何もしない夫人」として、ただ静かにそこにいるだけ。 それなのに―― いつの間にか屋敷は落ち着き、 使用人たちは迷わなくなり、 人は出入りし、戻り、また進んでいくようになる。 誰かに依存しない。 誰かを支配しない。 それでも確かに“安心できる場所”は、彼女の周りに残っていた。 必要とされなくてもいい。 役に立たなくてもいい。 それでも、ここにいていい。 これは、 「何もしない」ことで壊れなかった関係と、 「奪わない」ことで続いていった日常を描く、 静かでやさしい結婚生活の物語。

処理中です...