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第12話:ミューレス王国での生活は楽しくてたまりません
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翌日、目が覚めるとやはりジャックに抱き着いて眠っていた。どうやら私は、眠ると人肌を求めてジャックに抱き着いてしまう様だ。
「ジャック、ごめんなさい。今日も抱き着いていたみたいだわ…」
ふしだらな女だと思っているかしら…これが原因で捨てられたらどうしよう…シュンとしている私の頭を、優しく撫でてくれたのはジャックだ。
「エリザ、そんな事は気にしなくていいんだよ!ずっと寂しい思いをしていたんだからね。どうせなら、今日から抱き合って眠ろう。もちろん、手は出さないから安心して欲しい」
そんな提案をしてくれたのだ。本当にジャックは優しい!
2人で仲良く朝食を食べ、船を降りた。目の前にはレンガ作りの建物が広がっていた。そう、ミューレス王国はレンガを使って建物を作っているらしい。私の産まれた国では、木材で建物を作っていたので、なんだか物凄く新鮮だ。
「エリザ、早速王都に行こうか!既に住む場所も準備してあるんだ!」
え?住む場所も準備してあるですって?いつの間に準備したのかしら?そんな疑問を抱きつつ、ジャックに付いて行くと、目の前には立派な馬車が。まさか、この馬車に乗るの?そう、そのまさかだった。ジャックにエスコートされ、馬車に乗り込んだ。
「ジャック、この馬車、どうしたの?」
「どうしたのって、俺が手配したんだよ!」
そう言ってにっこり笑っている。この国に来るためには、片道最低1日かかるわ、往復で2日。今までジャックが私の側を丸2日間も離れた事なんて一度もない!もしかして、この国にジャックの協力者でも居るのかしら?
全く頭が付いて行かない私を乗せ、王都を目指す。しばらく走ると、王都が見えて来た。王都も基本的にレンガ作りの家やお店が並んでいる。まるでメルヘンの世界に迷い込んだような、可愛らしい建物ばかりだ。
「エリザ、あれが俺たちの家だ!」
ジャックが指さしたのは、これまた可愛らしいレンガの家だ!早速中に入ってみる。そこまで大きくはないが、2人で暮らすには十分な広さがある。既に住めるよう、家具なども準備されていた。
「少し小さめの家で申し訳ない。一応家事は家政婦を雇ってあるから、大丈夫だ。エリザは好きな事をして過ごせばいい!もちろん、欲しい物があれば何でも言っていいんだよ!ただし、ここは治安があまり良くない!1人で外に出るのは禁止だ。いいね?」
「分かったわ!1人で家から出ない様にするわね」
この日からミューレス王国の生活が始まった。毎朝仕事に出掛けるジャックを見送ると、家政婦のマーチさんが来てくれる。手際よく洗い物から洗濯、掃除や食事の準備までこなすマーチさん。そんなマーチさんを見ていたら、自分でもやってみたくなった。
そしてマーチさんに教えてもらいながら、お皿洗いや洗濯、掃除や食事の準備も一緒にする様になった。自分で言うのもなんだが、あんなにも物覚えが悪かったはずなのに、なぜか家事だけはびっくりするくらい頭に入って来る。
「奥様は物覚えが早くて助かりますわ!」
そうマーチさんに褒められたくらいだ!最近ではマーチさんと一緒に、街に買い出しにも行っている。ジャックはあまりいい顔をしないが、マーチさんと一緒なので許してくれている様だ。
そしてなぜか街に買い物に行くたびに、お店の人がオマケしてくれるのだ。
「全く男共と来たら!いくら奥様が美しいからって、鼻の下をビヨーンと伸ばして!情けないったりゃありゃしない!」
そう言って怒っていたマーチさん。私が美しい?この平凡な私が?マーチさんの言っている事がよく分からないが、お店の人がオマケしてくれるのは有り難い。
そんな日々が1ヶ月続いた。すっかりこの国にも慣れて来て、家事も随分とこなせる様になって来た。さらに近所のご婦人たちとも仲良くなった。たまにお家に招待してくれる夫人もおり、充実した毎日を送っている。
侯爵令嬢として生きて来た以前の私とは比べ物にならない程、生き生きしているのが自分でもわかる。それもこれも、全部ジャックのおかげね。
「ジャック、私をあの国から連れ出してくれて、本当にありがとう。あなたのお陰で、私は今充実した生活を送れているわ。本当にあなたのお陰よ」
晩ご飯の時、ジャックに改めてお礼を言った。ちなみに今日は、私が作ったお肉と野菜をパイで包んで焼いた料理と、シチューが並んでいる。
「俺の方こそ、毎日美味しい料理をありがとう。それにしても、エリザは随分と家事が得意みたいだね。料理の腕もびっくりする程上達していくし。ただ、水仕事はあまりやらないで欲しい。エリザの美しい手が荒れてしまうからね。現に今も少し荒れている」
私の手をそっと握ったジャック。そんなに荒れているかしら?自分ではよく分からない。
「それから、マーチさんと一緒に買い物に行くのは良いが、絶対に1人で行ってはいけないよ!最近少し自由に動いているのが気になっていたんだ!いいね、これだけは絶対に守ってもらうからね」
ジャックから念押しされた。
「大丈夫よ、ジャック。1人では買い物には行かないから安心して」
そもそも、マーチさんが1人で買い物に行く事を許してくれないのだ。1人で行きたくても、いける訳がない。
「それならいいけれど…」
まだ不安そうなジャック。従者時代からジャックは心配性だったが、今もそれは変わらない様だ。
「ジャック、ごめんなさい。今日も抱き着いていたみたいだわ…」
ふしだらな女だと思っているかしら…これが原因で捨てられたらどうしよう…シュンとしている私の頭を、優しく撫でてくれたのはジャックだ。
「エリザ、そんな事は気にしなくていいんだよ!ずっと寂しい思いをしていたんだからね。どうせなら、今日から抱き合って眠ろう。もちろん、手は出さないから安心して欲しい」
そんな提案をしてくれたのだ。本当にジャックは優しい!
2人で仲良く朝食を食べ、船を降りた。目の前にはレンガ作りの建物が広がっていた。そう、ミューレス王国はレンガを使って建物を作っているらしい。私の産まれた国では、木材で建物を作っていたので、なんだか物凄く新鮮だ。
「エリザ、早速王都に行こうか!既に住む場所も準備してあるんだ!」
え?住む場所も準備してあるですって?いつの間に準備したのかしら?そんな疑問を抱きつつ、ジャックに付いて行くと、目の前には立派な馬車が。まさか、この馬車に乗るの?そう、そのまさかだった。ジャックにエスコートされ、馬車に乗り込んだ。
「ジャック、この馬車、どうしたの?」
「どうしたのって、俺が手配したんだよ!」
そう言ってにっこり笑っている。この国に来るためには、片道最低1日かかるわ、往復で2日。今までジャックが私の側を丸2日間も離れた事なんて一度もない!もしかして、この国にジャックの協力者でも居るのかしら?
全く頭が付いて行かない私を乗せ、王都を目指す。しばらく走ると、王都が見えて来た。王都も基本的にレンガ作りの家やお店が並んでいる。まるでメルヘンの世界に迷い込んだような、可愛らしい建物ばかりだ。
「エリザ、あれが俺たちの家だ!」
ジャックが指さしたのは、これまた可愛らしいレンガの家だ!早速中に入ってみる。そこまで大きくはないが、2人で暮らすには十分な広さがある。既に住めるよう、家具なども準備されていた。
「少し小さめの家で申し訳ない。一応家事は家政婦を雇ってあるから、大丈夫だ。エリザは好きな事をして過ごせばいい!もちろん、欲しい物があれば何でも言っていいんだよ!ただし、ここは治安があまり良くない!1人で外に出るのは禁止だ。いいね?」
「分かったわ!1人で家から出ない様にするわね」
この日からミューレス王国の生活が始まった。毎朝仕事に出掛けるジャックを見送ると、家政婦のマーチさんが来てくれる。手際よく洗い物から洗濯、掃除や食事の準備までこなすマーチさん。そんなマーチさんを見ていたら、自分でもやってみたくなった。
そしてマーチさんに教えてもらいながら、お皿洗いや洗濯、掃除や食事の準備も一緒にする様になった。自分で言うのもなんだが、あんなにも物覚えが悪かったはずなのに、なぜか家事だけはびっくりするくらい頭に入って来る。
「奥様は物覚えが早くて助かりますわ!」
そうマーチさんに褒められたくらいだ!最近ではマーチさんと一緒に、街に買い出しにも行っている。ジャックはあまりいい顔をしないが、マーチさんと一緒なので許してくれている様だ。
そしてなぜか街に買い物に行くたびに、お店の人がオマケしてくれるのだ。
「全く男共と来たら!いくら奥様が美しいからって、鼻の下をビヨーンと伸ばして!情けないったりゃありゃしない!」
そう言って怒っていたマーチさん。私が美しい?この平凡な私が?マーチさんの言っている事がよく分からないが、お店の人がオマケしてくれるのは有り難い。
そんな日々が1ヶ月続いた。すっかりこの国にも慣れて来て、家事も随分とこなせる様になって来た。さらに近所のご婦人たちとも仲良くなった。たまにお家に招待してくれる夫人もおり、充実した毎日を送っている。
侯爵令嬢として生きて来た以前の私とは比べ物にならない程、生き生きしているのが自分でもわかる。それもこれも、全部ジャックのおかげね。
「ジャック、私をあの国から連れ出してくれて、本当にありがとう。あなたのお陰で、私は今充実した生活を送れているわ。本当にあなたのお陰よ」
晩ご飯の時、ジャックに改めてお礼を言った。ちなみに今日は、私が作ったお肉と野菜をパイで包んで焼いた料理と、シチューが並んでいる。
「俺の方こそ、毎日美味しい料理をありがとう。それにしても、エリザは随分と家事が得意みたいだね。料理の腕もびっくりする程上達していくし。ただ、水仕事はあまりやらないで欲しい。エリザの美しい手が荒れてしまうからね。現に今も少し荒れている」
私の手をそっと握ったジャック。そんなに荒れているかしら?自分ではよく分からない。
「それから、マーチさんと一緒に買い物に行くのは良いが、絶対に1人で行ってはいけないよ!最近少し自由に動いているのが気になっていたんだ!いいね、これだけは絶対に守ってもらうからね」
ジャックから念押しされた。
「大丈夫よ、ジャック。1人では買い物には行かないから安心して」
そもそも、マーチさんが1人で買い物に行く事を許してくれないのだ。1人で行きたくても、いける訳がない。
「それならいいけれど…」
まだ不安そうなジャック。従者時代からジャックは心配性だったが、今もそれは変わらない様だ。
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