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第14話:この子は何があっても守ろう~ジャック視点~
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ベッドの中で眠るエリザを、そっと抱きしめる。かなりきつく叱ったせいか、まだ瞳には涙を流した後が残っていた。
「エリザ、君はどれだけ俺を虜にすれば気が済むんだい?本当に、可愛い俺のエリザ…」
♢♢♢
20年前、魔法大国でもあるモールズ王国の第一王子として産まれた。厳しいがいつも俺の事を気に掛けてくれる国王の父上。心配性だが誰よりも優しい王妃の母上。少しお節介だが俺の事を可愛がってくれた姉上。
第一王子として次期国王になる事が約束されていた俺は、大切な家族に囲まれ、厳しい魔法稽古や勉強を頑張りつつ、幸せな生活を送っていた。でも、その幸せは長くは続かなかった。
今から8年前、ザードと呼ばれる魔術師が率いる革命軍が攻めて来たのだ。ザードは怪しい魔術で次々と人々を虜にし、俺達王族はあっという間に捕らえられてしまった。父上、母上、さらに姉上までも処刑されてしまった。
次はいよいよ俺の番だ!冷たい地下牢で死を覚悟した時だった。
「殿下、どうか殿下だけでもお逃げください!」
俺を助けに来たのは、かつての家臣たちだ。腕に付けられていた魔力を無力にするリングを壊してくれた家臣たち。
「さあ、出来るだけ遠くにお逃げください!」
俺は家臣たちにお礼を言い、転移魔法を使って出来るだけ遠くの国に移動した。でも転移先にいたのは、ザードだ。
「殿下、どこに行かれるつもりですか?まあ、いいでしょう!」
そう言うと、俺に魔法を掛けたのだ。胸に大きな十字架が刻まれていた。
「その十字架は呪いの十字架です!少しずつあなたを弱らせ、1週間後に命を落とす呪いですよ!せいぜい、後1週間もがき苦しみながら生きて下さい!」
ニヤリと笑い、俺の元を去って行ったザード。ザードの言った通り、俺は日に日に弱って行った。何度も治癒魔法を自分に掛けるが、一向に良くなる事は無かった。そして呪いをかけられて6日目。ついに力尽きてしまった。
怪我をしている訳ではないのに、体中に激痛が走る。これはきっと呪いのせいなのだろう。もうすぐ俺は死ぬ!そう悟った時だった。
「お母様、こんな所に男の人が倒れていますわ!」
俺の前に現れたのは、豪華なドレスに身を包んだ少女だ。少女は俺に興味がある様で
「あなた、大丈夫?怪我をしているの?」
心配そうに話しかけて来た。朦朧とする意識の中、少女が母親に俺を助けて欲しいと訴えている。そして俺は、この親子の住む屋敷へと連れてこられた。立派なベッドに寝かされ治療も受けたが、もちろん医者は何処も悪くないと首を傾げた。
どうやらこの国の住民は、魔法が使えないらしい。グッタリとしている俺に、話しかける少女。
「私は、エリザ・ブレィテレス、7歳よ。ここは侯爵家のお屋敷だから、もう大丈夫。あなた、お腹空いていない?今食べさせてあげるわ!」
そう言って、俺にスープを飲ませるエリザ。いくら俺を看病しても、明日には命を落とすだろう。それでも嬉しそうに、俺の世話を焼く。
「お母様がね、“エリザが拾って来たのだから、エリザが責任をもってお世話しなさい”って言ったの。だから、あなたが元気になるまで、私がお世話をするわね!」
そう言ってにっこり笑ったエリザ。その笑顔を見た瞬間、胸の奥が温かいもので包まれた。こんな気持ちは初めてだ…何なんだろう、この気持ちは…
「あなた、名前はなんて言うの?」
「ジャック…」
「ジャックね!それじゃあジャック、私に何かして欲しい事があったら、何でも言ってね!」
そう言ってニコニコ笑っているエリザ。その後も色々と世話を焼くエリザ。そして夜になった。このまま眠ったら、もう二度と目覚めないかもしれない…そう、自分でもわかるくらい、死期が近付いてきていたのだ。
その時だった。
「ジャック、大丈夫?今日は心配だから、一緒に寝ましょう」
そう言って俺のベッドに入り込んできたエリザ。
「いつも私が病気の時は、お母様がこうやって一緒に寝てくれるのよ」
ギューッと俺に抱き着いて来た。今までに感じた事のない、心地いい温もりが体中を包み込む。それと同時に、鼓動が一気に早くなるのが分かる。そう、俺はこんな7歳の子供に、ドキドキしているのだ。
明日の朝俺が命を落としていたら、エリザはショックを受けるだろう。だから一緒に寝るべきではない。でも…
この温もりを離したくはない。それになんだかエリザに触れていると、痛みが和らぐ。なぜだろう…
う~ん
ゆっくり目を開けると、美しいブルーの瞳と目が合った。
「ジャック、目が覚めたのね。良かったわ!」
ギューッと抱き着いて来るエリザ。
あれ?昨日まで感じていた全身の痛みが、今は嘘の様に消えている。それに、魔力も完全に回復している!ふと胸元を見ると、呪いの十字架も消えていた。一体どういう事なのだろう…
正直自分でも何が起こったのか分からない。もしかして、エリザが?でも、この国の人は魔力を持っていないはず。それに俺がどんなに治癒魔法を掛けても改善しなかったのだ。自慢ではないが、俺はかなり魔力が高い方。それでも治す事が出来なかったのに。
でも確かにエリザに触れた時、体中が心地よい温もりに包まれた。きっとエリザが俺の呪いを何らかの形で解いてくれたのだろう!俺はそう確信した。
「ジャック、今日は顔色もいいわ!体調もよさそうだし、本当に良かった」
そう言って嬉しそうに笑ったエリザ。その笑顔を見た瞬間、再び今までに感じた事のない興奮を覚えた。12歳の男が、7歳の少女に恋した瞬間だった。
俺の命の恩人、エリザ。彼女は何があっても俺が守ろう。絶対に!そう心に決めたのだった。
「エリザ、君はどれだけ俺を虜にすれば気が済むんだい?本当に、可愛い俺のエリザ…」
♢♢♢
20年前、魔法大国でもあるモールズ王国の第一王子として産まれた。厳しいがいつも俺の事を気に掛けてくれる国王の父上。心配性だが誰よりも優しい王妃の母上。少しお節介だが俺の事を可愛がってくれた姉上。
第一王子として次期国王になる事が約束されていた俺は、大切な家族に囲まれ、厳しい魔法稽古や勉強を頑張りつつ、幸せな生活を送っていた。でも、その幸せは長くは続かなかった。
今から8年前、ザードと呼ばれる魔術師が率いる革命軍が攻めて来たのだ。ザードは怪しい魔術で次々と人々を虜にし、俺達王族はあっという間に捕らえられてしまった。父上、母上、さらに姉上までも処刑されてしまった。
次はいよいよ俺の番だ!冷たい地下牢で死を覚悟した時だった。
「殿下、どうか殿下だけでもお逃げください!」
俺を助けに来たのは、かつての家臣たちだ。腕に付けられていた魔力を無力にするリングを壊してくれた家臣たち。
「さあ、出来るだけ遠くにお逃げください!」
俺は家臣たちにお礼を言い、転移魔法を使って出来るだけ遠くの国に移動した。でも転移先にいたのは、ザードだ。
「殿下、どこに行かれるつもりですか?まあ、いいでしょう!」
そう言うと、俺に魔法を掛けたのだ。胸に大きな十字架が刻まれていた。
「その十字架は呪いの十字架です!少しずつあなたを弱らせ、1週間後に命を落とす呪いですよ!せいぜい、後1週間もがき苦しみながら生きて下さい!」
ニヤリと笑い、俺の元を去って行ったザード。ザードの言った通り、俺は日に日に弱って行った。何度も治癒魔法を自分に掛けるが、一向に良くなる事は無かった。そして呪いをかけられて6日目。ついに力尽きてしまった。
怪我をしている訳ではないのに、体中に激痛が走る。これはきっと呪いのせいなのだろう。もうすぐ俺は死ぬ!そう悟った時だった。
「お母様、こんな所に男の人が倒れていますわ!」
俺の前に現れたのは、豪華なドレスに身を包んだ少女だ。少女は俺に興味がある様で
「あなた、大丈夫?怪我をしているの?」
心配そうに話しかけて来た。朦朧とする意識の中、少女が母親に俺を助けて欲しいと訴えている。そして俺は、この親子の住む屋敷へと連れてこられた。立派なベッドに寝かされ治療も受けたが、もちろん医者は何処も悪くないと首を傾げた。
どうやらこの国の住民は、魔法が使えないらしい。グッタリとしている俺に、話しかける少女。
「私は、エリザ・ブレィテレス、7歳よ。ここは侯爵家のお屋敷だから、もう大丈夫。あなた、お腹空いていない?今食べさせてあげるわ!」
そう言って、俺にスープを飲ませるエリザ。いくら俺を看病しても、明日には命を落とすだろう。それでも嬉しそうに、俺の世話を焼く。
「お母様がね、“エリザが拾って来たのだから、エリザが責任をもってお世話しなさい”って言ったの。だから、あなたが元気になるまで、私がお世話をするわね!」
そう言ってにっこり笑ったエリザ。その笑顔を見た瞬間、胸の奥が温かいもので包まれた。こんな気持ちは初めてだ…何なんだろう、この気持ちは…
「あなた、名前はなんて言うの?」
「ジャック…」
「ジャックね!それじゃあジャック、私に何かして欲しい事があったら、何でも言ってね!」
そう言ってニコニコ笑っているエリザ。その後も色々と世話を焼くエリザ。そして夜になった。このまま眠ったら、もう二度と目覚めないかもしれない…そう、自分でもわかるくらい、死期が近付いてきていたのだ。
その時だった。
「ジャック、大丈夫?今日は心配だから、一緒に寝ましょう」
そう言って俺のベッドに入り込んできたエリザ。
「いつも私が病気の時は、お母様がこうやって一緒に寝てくれるのよ」
ギューッと俺に抱き着いて来た。今までに感じた事のない、心地いい温もりが体中を包み込む。それと同時に、鼓動が一気に早くなるのが分かる。そう、俺はこんな7歳の子供に、ドキドキしているのだ。
明日の朝俺が命を落としていたら、エリザはショックを受けるだろう。だから一緒に寝るべきではない。でも…
この温もりを離したくはない。それになんだかエリザに触れていると、痛みが和らぐ。なぜだろう…
う~ん
ゆっくり目を開けると、美しいブルーの瞳と目が合った。
「ジャック、目が覚めたのね。良かったわ!」
ギューッと抱き着いて来るエリザ。
あれ?昨日まで感じていた全身の痛みが、今は嘘の様に消えている。それに、魔力も完全に回復している!ふと胸元を見ると、呪いの十字架も消えていた。一体どういう事なのだろう…
正直自分でも何が起こったのか分からない。もしかして、エリザが?でも、この国の人は魔力を持っていないはず。それに俺がどんなに治癒魔法を掛けても改善しなかったのだ。自慢ではないが、俺はかなり魔力が高い方。それでも治す事が出来なかったのに。
でも確かにエリザに触れた時、体中が心地よい温もりに包まれた。きっとエリザが俺の呪いを何らかの形で解いてくれたのだろう!俺はそう確信した。
「ジャック、今日は顔色もいいわ!体調もよさそうだし、本当に良かった」
そう言って嬉しそうに笑ったエリザ。その笑顔を見た瞬間、再び今までに感じた事のない興奮を覚えた。12歳の男が、7歳の少女に恋した瞬間だった。
俺の命の恩人、エリザ。彼女は何があっても俺が守ろう。絶対に!そう心に決めたのだった。
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