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第4話:生き返りました

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「もうすぐ食事が来る。とにかく、ここでゆっくり休んでいてくれ」

そう言って私をマットの上に降ろした男性。同時に食べ物も運ばれてきた。と言っても、パンとスープだけだが…

これが王族の食事なの…そう思うほど、質素で少ない量だ。でもこの国の状況を見る限りだと、これでも十分貴重なのだろう。

「ありがとうございます。頂きますわ」

貴重な食べ物を頂いたのだ、ゆっくり噛みしめて食べていく。ただ、やはりあっという間に食べ終わってしまった。

それでも少し食べ物を胃に入れたうえ、私の魔力を恐ろしいスピードで吸収していくリングから解放された事で、徐々に魔力が回復してきた。まずはずっとお風呂に入っていなかった為、魔法で体を綺麗にした。そして、近くで見守っていてくれる殿下の方を向き直る。

「助けて頂き、ありがとうございます。ちょっと失礼いたしますね」

殿下に近づき、治癒魔法を掛けた。きっと今までずっと魔物と戦ってきたのだろう。あちこち怪我をしていたのだ。私の魔法で、あっと言う間に怪我が治っていく。

「すごい…こんなに綺麗に怪我が治るだなんて。それに、ずっと空腹だったのだが、それも治まっている。なんだか力がみなぎる様だ…君は聖女なのかい?」

聖女ですって?そうか、この国には、聖女と呼ばれる魔力量の高い女性が存在していたのよね。

「私は聖女ではありませんわ。ただ、人よりも優れた魔力を持っているだけですわ」

そう、魔術師10人が束になっても、私には全く歯が立たない程の魔力を持っているのだ。

「他に怪我人はいらっしゃいますか?治癒いたします」

近くにいた怪我人たちも、次々と治癒していく。

「すごい…殿下のおっしゃった通り、腹まで満たされた。あなた様はやはり聖女様なのでは…」

治癒を受けた人々が口々に私を聖女だと呼ぶ。そもそも私は聖女でも何でもないのだが…

「私は本当に聖女ではありませんわ。それよりもこの国は一体どうなっているのですか?ドラゴンが町中をウロウロとしているだなんて。それにサンダーバードまで…確か魔女が住み着いていると聞いたのですが…」

聖女を失い、魔女が住み着いている為、国は無法地帯と聞いていたが、ここまで酷い状態とは思わなかった。

「魔女があの魔物たちを呼びよせているのだよ…あの魔女は、この国に…王族に恨みを持っているからね…」

辛そうに呟く殿下。一体何があったのだろう。

「とにかく、君はもう行く場所がないのだろう?それなら、ここにいたらいい。と言っても、いつ何時魔物が襲ってくるか分からないが…この国の民の多くが、魔物の餌食になってしまった…今生き残っている民たちは、必死に地下で息をひそめているのだよ。いつ魔物に見つかるかという恐怖を抱えながらね…」

ふと周りを見ると、確かに平民と思われる人間たちの姿もちらほらみられる。

「王都のあちこちに、この様な地下があるのですよ。みんな魔物にバレない様に、日々必死に生きているのです。ただ、やはり食糧を調達するために、どうしても地上に出る必要もあり。とにかく、少しでも魔物を減らそうと、私たちも必死に魔物たちと戦っているのですが、何分相手が強すぎて…」

そう言うと俯いてしまった男性。そりゃそうだろう、ドラゴンなんて、魔王や魔女の次に強いと言われているほど、人間から恐れられている魔物だ。その魔物が、普通に街にいるのだから。

「とにかく私は体力も回復したし、もう一度地上に向かうよ」

そう言うと、足早に去って行った殿下。数名の男性たちも、殿下に続いていく。私も付いて行こうとした時だった。

「ジルドはすぐに無理をするのだから…本当に…」

声の方を向くと、そこには殿下と同じく銀色の髪をした美しい女性が、悲しそうに呟いていた。この方は…

「私はジルドの姉でこの国の第一王女、シルビアよ」

「まあ、この国の王女殿下だったのですね。お初にお目にかかります、私はジャンティーヌと申します」

急いでカーテシーを決めた。

「あなた、高貴な身分なのね。どうして国を追放されたの?」

「はい、私は公爵令殿で、元王太子殿下の婚約者でした。でも…占い師の女性から“私が国を滅ぼすから、国外に追放しろ“と言われてしまい。彼女に熱を上げていた元婚約者は、有無も言わさず私をこの国に追いやったのです」

「そんなくだらない理由で、あなたを国外追放にしたの?あなたの国の王太子殿下の頭は、大丈夫?あり得ないわ…」

「私もあり得ないと思っております。あり得なさすぎて、信じられませんよね…」

常識では考えられない事が、まさに現実に起こったのだ。思い出したらなんだか腹が立ってきた!

「私はあなたのいう事を信じるわ。だってあなた、嘘を付いている様には見えないもの。あなた、ジャンティーヌと言ったわよね。この国の令殿たちは、他国や地方に逃げてしまってほとんどいないのよ。だから、若い女性が来てくれて私は嬉しいわ。ここでの生活は過酷でしかないけれど、何かの縁があってこの地にあなたはやって来たのですもの。何が何でも生き抜きましょうね」

縁があってこの地に来たか…

「はい、もちろんですわ」
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