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第25話:お父様にバレていた様です
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レオナルド様のお母様こと、セリーヌ様とお会いしてから、5ヶ月が経とうとしていた。あの後、何度もお母様の様子を見に来てくれたセリーヌ様。どうやらミシュラーノ公爵様が上手くお父様を誘導している様で、毎回レオナルド様も一緒に付いて来ている。
お父様が視察でいないときは、4人で一緒に昼食を食べる事もある。セリーヌ様とお母様の話では、お父様はお母様が懐妊したことで、少し心が落ち着いたそうだ。もちろん、2人の話を盗み聞きしたのだが…
それにしてもお父様の執着も、この程度だったのね。そう思ったら、なんだかがっかりだわ。でもまあ、私もレオナルド様と頻繁に会えるし、ある意味よかったのかもしれない。
それにずっとお母様が監禁されていたら、さすがに可哀そうだものね。
ちなみに、臨月を迎えたお母様のお腹は、今にもはち切れんばかりの大きなお腹をしている。もういつ生まれてもおかしくないそうだ。そして気になるお腹の子の性別だが、既に男の子だと判明している。
そう、私に弟が出来るのだ。それにしても、この国の技術って凄いのね。生まれる前から、性別が分かるなんて。
お腹の赤ちゃんの性別は、既に侯爵以上の貴族にも伝わっており、ちょっとしたお祭り騒ぎになっている。正式に生まれたら、民へのお披露目と同時に、王太子就任式も行う様だ。
その為、今王宮では、大忙しいだ。まだ生まれていないのに、みんな気が早いわね。
お父様ももうすぐお母様が出産するとあって、公務を調整し、時間が許す限りずっとお母様の傍にいる。今も3人で中庭を散歩しているのだ。
「シャリー、体調に異変はないかい?少しでもおかしな点があったら、すぐに言うんだよ」
心配そうにお父様がお母様を支えている。
「大丈夫ですわ。出産は2回目ですので。ある程度の流れは掴んでおりますから」
「そうはいっても、オリビアを産んだのは10年以上前だろう。それに、私にとっては初めての体験なんだ。君が私から逃げ出したからね…」
不敵な笑みを浮かべるお父様。あぁ、お父様のこの顔、好きだわ。やっぱりお父様はこうでなくっちゃ。
「ごめんなさい…もう二度とあんな事はしないわ。オリビアもこの国の生活にすっかり慣れた様だし…」
「そうだね、もう二度とあんな事はしないでくれ。もちろん、させるつもりはないけれどね。それからオリビア、レックスのところのレオナルドと随分親しい様だね。私に内緒で、ずっと会っていたそうじゃないか…」
「え…お父様、知っていたのですか?」
「ああ…でも知ったのは、シャリーとミシュラーノ公爵夫人が久しぶりに再会した時だ。あの時、私は別室で2人の様子を見ていたからね。まさか私の目を盗んで、レオナルドと会っていたなんて…」
クルリと私の方を向き、まっすぐこちらを見つめている。怖い…怖いわ…
「あなた、落ち着いて!オリビアはずっとお友達がいなかったのよ。だから、少しくらいいいじゃない」
「ああ、分かっているよ。頭に血が上り、そのまま部屋に突撃しようとした私を、レックスが必死に止めたんだ。オリビアはずっと寂しい思いをしていたのだから、友達くらいいてもいいだろうって言われたよ…確かにオリビアから一時期母親を取り上げてしまったからね…そう思って、容認した。でも、いいかい、オリビア。レオナルドと結婚したいなんて事は考えてはいけないよ。オリビアはずっと私の傍にいればいい。わかったね」
真っすぐ私を見つめるお父様。この瞳、なんだか逆らってはいけない気がするわ…
「あの…わかりまし…」
「もう、あなた!オリビアはまだ10歳なのですよ。それにいつかはオリビアもお嫁に行かないといけないのです。ずっと王宮にとどまっている訳にはいかないでしょう?」
「いいや、オリビアはずっと王宮にいればいい!別に結婚なんてしなくてもいいんだ。ずっと私たちの傍にいればいい!とにかく、オリビアは嫁には出さん!」
プイっとそっぽを向いてしまったお父様。なんだか子供ね。
“オリビア、お父様のいう事は気にしなくていいわ。あなたは好きな人と結婚すればいいの。もちろん、レオナルド様でもいいし、他の殿方でもいいのよ”
お母様が私にそっと伝えてくれた。結婚か…あまり考えた事もなかったわ。
ふとお父様の方を見ると、悲しそうな顔をしていた。そんな顔をされたら、放っておけないじゃない。
「お父様、私、お父様が大好きですわ。だから、出来る限りお父様の傍におります。ですから、そんな悲しそうな顔をしないで下さい」
そう言うと、お父様に抱き着いた。
「あぁ…オリビアはなんて優しいんだ!やっぱりオリビアをどこの馬の骨かわらない男などにやりたくはない。この子は私の大切な宝物なんだ!」
私を抱きかかえ、頬ずりしながらそんな事を言っているお父様。私もお父様の首に巻き付く。お父様と出会ってから、私も大きくなり、お母様より少しだけ小さいくらいだ。それでも軽々と抱きかかえるお父様は、やっぱりすごい。
お父様の腕の中は、温かくて安心する。
「もう、オリビアったら。そんな事を言っていると、本当にお嫁にいけなくなるわよ」
そう言ってお母様が苦笑いをしている。確かにお嫁にいけなくなるのは困るわ。でも、今だけはお父様の傍にいたい。お父様の嬉しそうな顔を見たら、強くそう思ったのだった。
お父様が視察でいないときは、4人で一緒に昼食を食べる事もある。セリーヌ様とお母様の話では、お父様はお母様が懐妊したことで、少し心が落ち着いたそうだ。もちろん、2人の話を盗み聞きしたのだが…
それにしてもお父様の執着も、この程度だったのね。そう思ったら、なんだかがっかりだわ。でもまあ、私もレオナルド様と頻繁に会えるし、ある意味よかったのかもしれない。
それにずっとお母様が監禁されていたら、さすがに可哀そうだものね。
ちなみに、臨月を迎えたお母様のお腹は、今にもはち切れんばかりの大きなお腹をしている。もういつ生まれてもおかしくないそうだ。そして気になるお腹の子の性別だが、既に男の子だと判明している。
そう、私に弟が出来るのだ。それにしても、この国の技術って凄いのね。生まれる前から、性別が分かるなんて。
お腹の赤ちゃんの性別は、既に侯爵以上の貴族にも伝わっており、ちょっとしたお祭り騒ぎになっている。正式に生まれたら、民へのお披露目と同時に、王太子就任式も行う様だ。
その為、今王宮では、大忙しいだ。まだ生まれていないのに、みんな気が早いわね。
お父様ももうすぐお母様が出産するとあって、公務を調整し、時間が許す限りずっとお母様の傍にいる。今も3人で中庭を散歩しているのだ。
「シャリー、体調に異変はないかい?少しでもおかしな点があったら、すぐに言うんだよ」
心配そうにお父様がお母様を支えている。
「大丈夫ですわ。出産は2回目ですので。ある程度の流れは掴んでおりますから」
「そうはいっても、オリビアを産んだのは10年以上前だろう。それに、私にとっては初めての体験なんだ。君が私から逃げ出したからね…」
不敵な笑みを浮かべるお父様。あぁ、お父様のこの顔、好きだわ。やっぱりお父様はこうでなくっちゃ。
「ごめんなさい…もう二度とあんな事はしないわ。オリビアもこの国の生活にすっかり慣れた様だし…」
「そうだね、もう二度とあんな事はしないでくれ。もちろん、させるつもりはないけれどね。それからオリビア、レックスのところのレオナルドと随分親しい様だね。私に内緒で、ずっと会っていたそうじゃないか…」
「え…お父様、知っていたのですか?」
「ああ…でも知ったのは、シャリーとミシュラーノ公爵夫人が久しぶりに再会した時だ。あの時、私は別室で2人の様子を見ていたからね。まさか私の目を盗んで、レオナルドと会っていたなんて…」
クルリと私の方を向き、まっすぐこちらを見つめている。怖い…怖いわ…
「あなた、落ち着いて!オリビアはずっとお友達がいなかったのよ。だから、少しくらいいいじゃない」
「ああ、分かっているよ。頭に血が上り、そのまま部屋に突撃しようとした私を、レックスが必死に止めたんだ。オリビアはずっと寂しい思いをしていたのだから、友達くらいいてもいいだろうって言われたよ…確かにオリビアから一時期母親を取り上げてしまったからね…そう思って、容認した。でも、いいかい、オリビア。レオナルドと結婚したいなんて事は考えてはいけないよ。オリビアはずっと私の傍にいればいい。わかったね」
真っすぐ私を見つめるお父様。この瞳、なんだか逆らってはいけない気がするわ…
「あの…わかりまし…」
「もう、あなた!オリビアはまだ10歳なのですよ。それにいつかはオリビアもお嫁に行かないといけないのです。ずっと王宮にとどまっている訳にはいかないでしょう?」
「いいや、オリビアはずっと王宮にいればいい!別に結婚なんてしなくてもいいんだ。ずっと私たちの傍にいればいい!とにかく、オリビアは嫁には出さん!」
プイっとそっぽを向いてしまったお父様。なんだか子供ね。
“オリビア、お父様のいう事は気にしなくていいわ。あなたは好きな人と結婚すればいいの。もちろん、レオナルド様でもいいし、他の殿方でもいいのよ”
お母様が私にそっと伝えてくれた。結婚か…あまり考えた事もなかったわ。
ふとお父様の方を見ると、悲しそうな顔をしていた。そんな顔をされたら、放っておけないじゃない。
「お父様、私、お父様が大好きですわ。だから、出来る限りお父様の傍におります。ですから、そんな悲しそうな顔をしないで下さい」
そう言うと、お父様に抱き着いた。
「あぁ…オリビアはなんて優しいんだ!やっぱりオリビアをどこの馬の骨かわらない男などにやりたくはない。この子は私の大切な宝物なんだ!」
私を抱きかかえ、頬ずりしながらそんな事を言っているお父様。私もお父様の首に巻き付く。お父様と出会ってから、私も大きくなり、お母様より少しだけ小さいくらいだ。それでも軽々と抱きかかえるお父様は、やっぱりすごい。
お父様の腕の中は、温かくて安心する。
「もう、オリビアったら。そんな事を言っていると、本当にお嫁にいけなくなるわよ」
そう言ってお母様が苦笑いをしている。確かにお嫁にいけなくなるのは困るわ。でも、今だけはお父様の傍にいたい。お父様の嬉しそうな顔を見たら、強くそう思ったのだった。
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