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第30話:ここが貴族学院です
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しばらく進むと、大きな建物が見えてきた。あれがもしかして貴族学院かしら?村にあった教会に作りがよく似ているが、教会の5倍…いいえ、10倍はあるわね。
思った通り、馬車は広い教会の様な建物に向かって走っている。そして、門の前で停まった。たくさんの馬車が既に停まっている。それぞれ馬車に家紋が付いている。さすが貴族学院ね、皆馬車で通学してくるんだわ。
御者がドアを開けてくれた。
「殿下、足元にお気を付けください」
「ありがとう。それじゃあ、行ってくるわね」
御者に挨拶をして、馬車から降りた。目の前には、大きな建物が広がっている。5年ぶりに出た外の世界、なんだか別世界に来ている様ね。ふと周りを見ると、私と同じ制服を着た生徒たちが、こちらを見つめていた。
あら?私、何かおかしなことをしたかしら?どうしてみんな、私を見ているのかしら?なんだか急に不安になってきた。
その時だった。
「オリビア、ここにいたんだね」
この声は!
「レオナルド様!」
声の方を振り向くと、制服に身を包んだレオナルド様が。嬉しくて、つい飛びついてしまう。そんな私を、しっかりと受け止めてくれるレオナルド様。出会った時から、頭1つ分大きかったレオナルド様は、今も頭1つ分大きい。
「5年ぶりに外に出たのだから、緊張しただろう。もう大丈夫だよ。さあ、入学式の会場に行こうか」
私をギュッと抱きしめた後、そのままレオナルド様が私の手を握った。
「レオナルド様、皆が私を見ていますわ。もしかして私、おかしなことをしてしまったのかしら?」
「ずっと姿を現さなかった王女様が姿を現したからね。皆君が珍しくて見ているんだよ。それにしても、令息たちの視線が気になるね。オリビア、僕から離れてはいけないよ」
そう言うと、レオナルド様が私の手をさらに強く握った。そういえば…
「私、皆の前でレオナルド様に抱き着いてしまいましたわ…どうしましょう…あれほどレオナルド様に、抱き着いてはいけないと言われていたのに」
やってしまったわ…はしたない王女と思われたかしら?私のせいでお父様とお母様の評判が下がってしまうかもしれない…
「オリビア、僕の方を向いて」
そう言うと、急に私の方を真っすぐ見つめたレオナルド様。
「僕以外の人間に抱き着いたり手を握ったりしてはいけないと言ったのだよ。だから、君の今日の行動は間違っていない。それにしても、2ヶ月間ずっと教え続けていたのに、まさか間違って覚えていたなんて…」
レオナルド様が、はぁ~とため息を付いている。
「とにかく、僕以外の人とあまり親しくしてはいけないよ。君は世間知らずの王女なんだ。変な人間に目を付けられたら大変だからね。いいね、分かったね」
「分かっておりますわ。でも、私もお友達が欲しいです」
「はぁ~、オリビアは本当に…そうそう、これ、貴族学院に入学したお祝いに、お揃いで作ったんだ。いいかい、この指輪は絶対に外してはいけないよ。わかったね」
そう言うと、綺麗な青い宝石が埋め込まれた指輪を、私の指に付けてくれた。レオナルド様の指には、赤い宝石が埋め込まれた指輪が付いている。
「まあ、嬉しいわ。レオナルド様とお揃いなのね。この指輪、大切にするわ。こうやって指輪をお揃いで付けるなんて、なんだか恋人同士みたいね。知っている?私が住んでいたエレフセリア王国では、結婚した男女はこうやってお揃いの指輪をつけるのですって」
近くに住んでいた新婚さんが教えてくれた。指輪で繋がっているなんて、なんだか素敵ねって思ったのよね。
「ああ、知っているよ。さあ、そろそろ行かないと本当に遅れてしまうよ」
レオナルド様と一緒に、ホールへと向かう。なぜかレオナルド様と一緒にいると、周りからジロジロ見られてもなんとも思わない。さっきまでは不安でたまらなかったのに…
「レオナルド様、私の傍にいてくれてありがとう。私、さっき1人で不安だったの。でも、レオナルド様が一緒にいてくれるから、今は全然不安じゃないわ。むしろ、とてもリラックスできているの」
私より一回り大きなレオナルド様の手。この手を握っていると、なんだか安心できるのだ。
「それは良かったよ。やっぱりオリビアには、僕がいないとダメだね。これからもずっと傍にいるからね」
優しい微笑を浮かべるレオナルド様、その瞳を見ていると、やっぱり安心する。
2人仲良くホールに向かうと、隣り合わせに座った。そして式が始まった。そういえば私、新入生代表の挨拶を任されているのだった。昨日お母様と一緒に考えたのだ。
なんだか緊張してきた。そっとレオナルド様の手を握った。
「続いて新入生代表、オリビア・ディア・ペリオリズモス。前へ」
そしていよいよ私の挨拶の番がやって来た。ゆっくり深呼吸をし、席を立って壇上へと上がる。皆が私を見ているわ。物凄く緊張する。でも!
「温かな日差しが降り注ぐ今日、貴族学院に入学できたことを嬉しく思います。皆様もご存じの通り、私は9歳までエレフセリア王国の村で平民として過ごしておりました。そんな中、父が迎えに来て、この国へとやって来ました。急に王女という地位を与えられ、戸惑う事も多々ありました。それでも、両親や使用人、そしてレオナルド様、色々な人に支えられ、今日という日を迎える事が出来ました。私はまだ王女になって5年です。貴族社会もまだ理解できていない部分も多いです。それでも皆様と一緒に、楽しく学べたらと思っております。先生方、そしてここにいる生徒の皆様、これから2年間、最高の思い出を作っていきましょう。生徒代表、オリビア・ディア・ペリオリズモス」
ゆっくり頭を下げ、席に戻る。すると、周りから大きな拍手が沸き上がった。どうやら受け入れられた様ね。よかったわ。
思った通り、馬車は広い教会の様な建物に向かって走っている。そして、門の前で停まった。たくさんの馬車が既に停まっている。それぞれ馬車に家紋が付いている。さすが貴族学院ね、皆馬車で通学してくるんだわ。
御者がドアを開けてくれた。
「殿下、足元にお気を付けください」
「ありがとう。それじゃあ、行ってくるわね」
御者に挨拶をして、馬車から降りた。目の前には、大きな建物が広がっている。5年ぶりに出た外の世界、なんだか別世界に来ている様ね。ふと周りを見ると、私と同じ制服を着た生徒たちが、こちらを見つめていた。
あら?私、何かおかしなことをしたかしら?どうしてみんな、私を見ているのかしら?なんだか急に不安になってきた。
その時だった。
「オリビア、ここにいたんだね」
この声は!
「レオナルド様!」
声の方を振り向くと、制服に身を包んだレオナルド様が。嬉しくて、つい飛びついてしまう。そんな私を、しっかりと受け止めてくれるレオナルド様。出会った時から、頭1つ分大きかったレオナルド様は、今も頭1つ分大きい。
「5年ぶりに外に出たのだから、緊張しただろう。もう大丈夫だよ。さあ、入学式の会場に行こうか」
私をギュッと抱きしめた後、そのままレオナルド様が私の手を握った。
「レオナルド様、皆が私を見ていますわ。もしかして私、おかしなことをしてしまったのかしら?」
「ずっと姿を現さなかった王女様が姿を現したからね。皆君が珍しくて見ているんだよ。それにしても、令息たちの視線が気になるね。オリビア、僕から離れてはいけないよ」
そう言うと、レオナルド様が私の手をさらに強く握った。そういえば…
「私、皆の前でレオナルド様に抱き着いてしまいましたわ…どうしましょう…あれほどレオナルド様に、抱き着いてはいけないと言われていたのに」
やってしまったわ…はしたない王女と思われたかしら?私のせいでお父様とお母様の評判が下がってしまうかもしれない…
「オリビア、僕の方を向いて」
そう言うと、急に私の方を真っすぐ見つめたレオナルド様。
「僕以外の人間に抱き着いたり手を握ったりしてはいけないと言ったのだよ。だから、君の今日の行動は間違っていない。それにしても、2ヶ月間ずっと教え続けていたのに、まさか間違って覚えていたなんて…」
レオナルド様が、はぁ~とため息を付いている。
「とにかく、僕以外の人とあまり親しくしてはいけないよ。君は世間知らずの王女なんだ。変な人間に目を付けられたら大変だからね。いいね、分かったね」
「分かっておりますわ。でも、私もお友達が欲しいです」
「はぁ~、オリビアは本当に…そうそう、これ、貴族学院に入学したお祝いに、お揃いで作ったんだ。いいかい、この指輪は絶対に外してはいけないよ。わかったね」
そう言うと、綺麗な青い宝石が埋め込まれた指輪を、私の指に付けてくれた。レオナルド様の指には、赤い宝石が埋め込まれた指輪が付いている。
「まあ、嬉しいわ。レオナルド様とお揃いなのね。この指輪、大切にするわ。こうやって指輪をお揃いで付けるなんて、なんだか恋人同士みたいね。知っている?私が住んでいたエレフセリア王国では、結婚した男女はこうやってお揃いの指輪をつけるのですって」
近くに住んでいた新婚さんが教えてくれた。指輪で繋がっているなんて、なんだか素敵ねって思ったのよね。
「ああ、知っているよ。さあ、そろそろ行かないと本当に遅れてしまうよ」
レオナルド様と一緒に、ホールへと向かう。なぜかレオナルド様と一緒にいると、周りからジロジロ見られてもなんとも思わない。さっきまでは不安でたまらなかったのに…
「レオナルド様、私の傍にいてくれてありがとう。私、さっき1人で不安だったの。でも、レオナルド様が一緒にいてくれるから、今は全然不安じゃないわ。むしろ、とてもリラックスできているの」
私より一回り大きなレオナルド様の手。この手を握っていると、なんだか安心できるのだ。
「それは良かったよ。やっぱりオリビアには、僕がいないとダメだね。これからもずっと傍にいるからね」
優しい微笑を浮かべるレオナルド様、その瞳を見ていると、やっぱり安心する。
2人仲良くホールに向かうと、隣り合わせに座った。そして式が始まった。そういえば私、新入生代表の挨拶を任されているのだった。昨日お母様と一緒に考えたのだ。
なんだか緊張してきた。そっとレオナルド様の手を握った。
「続いて新入生代表、オリビア・ディア・ペリオリズモス。前へ」
そしていよいよ私の挨拶の番がやって来た。ゆっくり深呼吸をし、席を立って壇上へと上がる。皆が私を見ているわ。物凄く緊張する。でも!
「温かな日差しが降り注ぐ今日、貴族学院に入学できたことを嬉しく思います。皆様もご存じの通り、私は9歳までエレフセリア王国の村で平民として過ごしておりました。そんな中、父が迎えに来て、この国へとやって来ました。急に王女という地位を与えられ、戸惑う事も多々ありました。それでも、両親や使用人、そしてレオナルド様、色々な人に支えられ、今日という日を迎える事が出来ました。私はまだ王女になって5年です。貴族社会もまだ理解できていない部分も多いです。それでも皆様と一緒に、楽しく学べたらと思っております。先生方、そしてここにいる生徒の皆様、これから2年間、最高の思い出を作っていきましょう。生徒代表、オリビア・ディア・ペリオリズモス」
ゆっくり頭を下げ、席に戻る。すると、周りから大きな拍手が沸き上がった。どうやら受け入れられた様ね。よかったわ。
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