あなたの事は好きですが私が邪魔者なので諦めようと思ったのですが…様子がおかしいです

Karamimi

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第22話:カナリアは僕を捨てるつもりなんだ…~アルト視点~

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さらに僕の耳に、驚くべき情報が飛び込んできたのだ。なんとカナリアの父、ディステニー公爵が、大きな船を新たに購入したそうだ。さらに、航海士を募集しているとの事。

ある人物の話では

“娘が海外に興味があってね。それで娘が少しでも困らないように、父親として色々としてあげたくて”

と、公爵が話していたそうだ。

その話を聞いた瞬間、僕は鈍器で頭を殴られた様な衝撃を受けた。娘とは間違いなくカナリアの事だろう。ディステニー公爵家にはカナリアのほかに、カナリアの姉がいる。でも、彼女は少し前に公爵家に嫁いだばかり。

という事は、海に出るのはカナリア…

どうして?どうしてカナリアは、僕を捨て海に出ようとしているのだ?あり得ない。そもそもカナリアは、僕の婚約者だ。さすがに王太子でもある僕の婚約者が、1人で海に出て旅をするだなんて、許される事ではない。

という事は、近いうちに僕との婚約を解消するつもりでいるつもりなのか?

いてもたってもいられなくなった僕は、ディステニー公爵を呼び出した。

「殿下、最近生徒会の仕事も、公務もおろそかになっているそうですね。あなた様は将来この国の国王になるお方です。もっとしっかりして頂かないと…」

僕の顔を見るなり、小言を垂れるディステニー公爵。

「そうですね、僕はいずれこの国の国王になる人間です。でも、僕はカナリアの事が心配で、今なにも手につかない。最近のカナリアは、なんだか僕を避けている様で…カナリアが国を出るだなんて噂も耳に入って来ていますし…公爵、カナリアは僕の婚約者です。間違っても、カナリアが国を出るなんてことはないですよね?」

公爵に圧を掛ける。彼は一応この国でも権力を持った公爵なのだ。いくら娘が可愛いからって、何の落ち度もない王太子の僕から、カナリアを取り上げたりは出来ないはずだ。

「その件なのですが…カナリアは最近体調が思わしくなくて…やはりあの原因不明の熱が引き金となり、カナリアの体調が悪化しているのかもしれません。もしかしたら、カナリアは王妃になる事は厳しいかと…」

「なるほど、そうやってカナリアを病気にして、僕と婚約解消させたのち、海外に逃げさせるつもりなのですね。でも、そんな事はさせません!そもそも体調が思わしくないなら、とてもじゃないけれど、海外になんていけませんよね?それに僕は、カナリア以外の人の結婚するつもりはない!もし僕からカナリアを取り上げるというのなら、僕も王太子を辞めるつもりでいます!僕にとってカナリアは、それほど大切な人なのです。たとえどこに逃がそうと、僕は地の果てまでカナリアを追いかけ続けますから」

「殿下、あなた様は何をおっしゃっているのですか?あなた様は陛下と王妃殿下の地を受け継いだ、唯一の人なのです。それなのに簡単に廃嫡したいだなんて…あなた様が国王にならなかったら、誰がなるのですか?」

「簡単に廃嫡したいなんて言っていませんよ。カナリアは僕にとって、心臓よりも大切な存在なのです。彼女がいないと、僕は生きていけない!カナリアを僕から奪うという事は、僕の命を奪うと思ってくれて構いません。それくらいカナリアは僕にとって、大切な存在なのです。どうかその事は、覚えておいてください」

ここまで伝えても、まだ公爵が僕からカナリアを取り上げるというのなら、僕はもう王太子でなんていたくない。というよりもきっと僕は、もう王太子として、次期国王として全く機能しなくなるだろう。

カナリアを失った僕は、生きる希望すら見いだせない、抜け殻になる自信がある。そんな人間が、国王になんてなれるわけがない。それほど僕にとって、カナリアは尊い存在なのだ。

「ちょっと待って下さい。殿下、まだ話は終わっていません!」

公爵が叫んでいるが、これ以上公爵と話をする必要はない。そんな思いで、足早に自室に戻ってきた。ふと窓から空を見上げると、そこには綺麗な真ん丸の月が…

“神様、どうか…どうか僕からカナリアを取り上げないで下さい。僕はカナリアがいないと、生きていけないのです。それでも僕からカナリアを取り上げるというのなら、その時はどうか、僕の命も一緒に持って行ってください。僕はカナリアがいない世界で生きられるほど、強くありません。どうかお願いします”

次から次へと溢れる涙をぬぐう事も忘れ、僕はその晩、ずっと月に願い続けた。

頼む、カナリア。どうか僕を捨てないでくれ。僕にとって、君は全てなのだから…



※次回、カナリア視点に戻ります。
よろしくお願いしますm(__)m
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