30 / 34
第30話:私はアルト様の言う事に従います
「ディステニー公爵、アルトも少し落ち着いてくれ。それよりも今は、デスドン公爵令嬢による前代未聞の誘拐事件の方が重要だ。アルト、カナリア嬢とは仲直りしたのだから、もういいではないか」
「何がいいのですか?僕はもう二度と、あんな思いはしたくないのです!」
まだアルト様は不満な様だ。やっぱりあの小型の撮影機がまた、私の耳に付くのかしら?でも、我が家には電波妨害のお陰で、映像は確認できないのよね。さすがに家でくつろいでいる姿を、アルト様に見られるのは恥ずかしすぎる。
「アルト、お前ってやつは…カナリア嬢、これを持っていてやってはくれないかい?」
陛下が手渡してきたのは、相手の顔を見ながら通話できるタイプの通信機だ。
「この通信機があれば、いつでもカナリア嬢の顔を見ながら話が出来るだろう。さすがに撮影機をカナリア嬢に身に着けさせるのは、可哀そうだ。通信機で我慢しなさい」
「通信機ですか…正直こんなものでは僕は不安ですが…わかりました。カナリア、必ずこの通信機を肌身離さず持っているのだよ。もし通信に出なかったら、すぐに君の家に駆けつけるからね。それからディステニー公爵、カルア、アクア、僕が訪ねてきたら、必ずカナリアに会わせてください。もし会わせてくれなかったら、翌日カナリアには王宮に泊まってもらいます。その条件を飲んでくれるのでしたら、僕は通信機で我慢します」
「どうしてそんなふざけた条件を、僕たちが飲まないといけないのですか?父上、何とか言ってください」
アクアお兄様が、お父様に詰め寄っている。カルアお兄様も、後ろで深く頷いていた。
「アクア、落ち着きなさい。本当に殿下の我が儘には困ったものだ…でも、殿下には国王になってもらわないと困るからな…」
何やらブツブツとおお父様が呟き、大きくため息をついたのだ。
「カナリア、殿下がこう言っているが、カナリアはどう思う?カナリアが良いなら、私は殿下の言う事に従うよ」
「「父上!!」」
「アクアもカルアも、カナリアの事が心配なのは分かるが、一番大切なのは、カナリアの気持ちだろう?カナリアがどうしたいかが、重要だ。それでカナリアは、どうしたい?」
「今まで私の勘違いのせいで、アルト様には多大な気苦労を掛けてしまいました。その上、アルト様の言いつけを破り、勝手な行動をしたばかりに、あのような事件にまで巻き込まれて…心底自分の行いを反省いたしました。そして私にとってアルト様が、いかに大切な存在なのか、再認識いたしました。お父様、アクアお兄様、カルアお兄様、私はアルト様のおっしゃる事に従います。通信機でしたら、負担も少ないですし。何より信頼を取り戻したいのです!」
私の愚かな行いのせいで、アルト様を傷つけ苦しませてしまった。あんなにやせ細ってしまって…私はなんて事をしてしまったのだろう。許されるのなら、私はこれからもアルト様の傍にいて、少しでもアルト様が安心して暮らせるように、全人生をかけて彼を支えたいのだ。
「カナリアがそう言うなら、殿下のおっしゃる通りにいたしましょう。ですので、もう二度と王位を継がないだなんて、恐ろしい事を言わないで下さい」
「えっ?アルト様はそんな事を?」
「ああ、カナリアと結婚できないなら王位を継がないし、カナリアが国を出るなら自分も付いていく。たとえ地の果てであっても、カナリアを追いかけ逃がさないとの事だ…さすがに殿下が王位を放棄すればどうなるか…王族は今陛下と王妃殿下、アルト殿下しかいないんだ。陛下には兄弟姉妹もいないし。そうなると、誰が次の王になるかで、揉めるだろう。最悪、内戦なんて事も…」
「父上、いくら殿下がカナリアを愛しているからと言って、さすがにそこまでは…」
「いいや、僕は本気だったよ。カナリアは僕にとっても心臓の様な物だ。もしカナリアを失ったら、僕は生きていけない。たとえ王位を継いだとしても、きっと使い物にならず、遅かれ早かれ、内戦は起きていただろうね」
ギュッと私を抱き寄せたアルト様が、恐ろしい事を笑顔で呟いたのだ。そんなアルト様の姿を見たお兄様たちが、さすがに引いている。
「そういう事だから、カナリアは絶対に僕から逃げられない。いいかい、分かったね。今日は随分怖い思いをしたのだろう。僕がずっと一緒にいるから、安心してね。カナリアは今日、怖い思いをして物凄く疲れているのです。どうか皆様、部屋から出て行ってください」
笑顔でお父様たちを追い出そうとするアルト様だが…
「何がいいのですか?僕はもう二度と、あんな思いはしたくないのです!」
まだアルト様は不満な様だ。やっぱりあの小型の撮影機がまた、私の耳に付くのかしら?でも、我が家には電波妨害のお陰で、映像は確認できないのよね。さすがに家でくつろいでいる姿を、アルト様に見られるのは恥ずかしすぎる。
「アルト、お前ってやつは…カナリア嬢、これを持っていてやってはくれないかい?」
陛下が手渡してきたのは、相手の顔を見ながら通話できるタイプの通信機だ。
「この通信機があれば、いつでもカナリア嬢の顔を見ながら話が出来るだろう。さすがに撮影機をカナリア嬢に身に着けさせるのは、可哀そうだ。通信機で我慢しなさい」
「通信機ですか…正直こんなものでは僕は不安ですが…わかりました。カナリア、必ずこの通信機を肌身離さず持っているのだよ。もし通信に出なかったら、すぐに君の家に駆けつけるからね。それからディステニー公爵、カルア、アクア、僕が訪ねてきたら、必ずカナリアに会わせてください。もし会わせてくれなかったら、翌日カナリアには王宮に泊まってもらいます。その条件を飲んでくれるのでしたら、僕は通信機で我慢します」
「どうしてそんなふざけた条件を、僕たちが飲まないといけないのですか?父上、何とか言ってください」
アクアお兄様が、お父様に詰め寄っている。カルアお兄様も、後ろで深く頷いていた。
「アクア、落ち着きなさい。本当に殿下の我が儘には困ったものだ…でも、殿下には国王になってもらわないと困るからな…」
何やらブツブツとおお父様が呟き、大きくため息をついたのだ。
「カナリア、殿下がこう言っているが、カナリアはどう思う?カナリアが良いなら、私は殿下の言う事に従うよ」
「「父上!!」」
「アクアもカルアも、カナリアの事が心配なのは分かるが、一番大切なのは、カナリアの気持ちだろう?カナリアがどうしたいかが、重要だ。それでカナリアは、どうしたい?」
「今まで私の勘違いのせいで、アルト様には多大な気苦労を掛けてしまいました。その上、アルト様の言いつけを破り、勝手な行動をしたばかりに、あのような事件にまで巻き込まれて…心底自分の行いを反省いたしました。そして私にとってアルト様が、いかに大切な存在なのか、再認識いたしました。お父様、アクアお兄様、カルアお兄様、私はアルト様のおっしゃる事に従います。通信機でしたら、負担も少ないですし。何より信頼を取り戻したいのです!」
私の愚かな行いのせいで、アルト様を傷つけ苦しませてしまった。あんなにやせ細ってしまって…私はなんて事をしてしまったのだろう。許されるのなら、私はこれからもアルト様の傍にいて、少しでもアルト様が安心して暮らせるように、全人生をかけて彼を支えたいのだ。
「カナリアがそう言うなら、殿下のおっしゃる通りにいたしましょう。ですので、もう二度と王位を継がないだなんて、恐ろしい事を言わないで下さい」
「えっ?アルト様はそんな事を?」
「ああ、カナリアと結婚できないなら王位を継がないし、カナリアが国を出るなら自分も付いていく。たとえ地の果てであっても、カナリアを追いかけ逃がさないとの事だ…さすがに殿下が王位を放棄すればどうなるか…王族は今陛下と王妃殿下、アルト殿下しかいないんだ。陛下には兄弟姉妹もいないし。そうなると、誰が次の王になるかで、揉めるだろう。最悪、内戦なんて事も…」
「父上、いくら殿下がカナリアを愛しているからと言って、さすがにそこまでは…」
「いいや、僕は本気だったよ。カナリアは僕にとっても心臓の様な物だ。もしカナリアを失ったら、僕は生きていけない。たとえ王位を継いだとしても、きっと使い物にならず、遅かれ早かれ、内戦は起きていただろうね」
ギュッと私を抱き寄せたアルト様が、恐ろしい事を笑顔で呟いたのだ。そんなアルト様の姿を見たお兄様たちが、さすがに引いている。
「そういう事だから、カナリアは絶対に僕から逃げられない。いいかい、分かったね。今日は随分怖い思いをしたのだろう。僕がずっと一緒にいるから、安心してね。カナリアは今日、怖い思いをして物凄く疲れているのです。どうか皆様、部屋から出て行ってください」
笑顔でお父様たちを追い出そうとするアルト様だが…
あなたにおすすめの小説
嫌われていると思って彼を避けていたら、おもいっきり愛されていました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のアメリナは、幼馴染の侯爵令息、ルドルフが大好き。ルドルフと少しでも一緒にいたくて、日々奮闘中だ。ただ、以前から自分に冷たいルドルフの態度を気にしていた。
そんなある日、友人たちと話しているルドルフを見つけ、近づこうとしたアメリナだったが
“俺はあんなうるさい女、大嫌いだ。あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!”
いつもクールなルドルフが、珍しく声を荒げていた。
うるさい女って、私の事よね。以前から私に冷たかったのは、ずっと嫌われていたからなの?
いつもルドルフに付きまとっていたアメリナは、完全に自分が嫌われていると勘違いし、彼を諦める事を決意する。
一方ルドルフは、今までいつも自分の傍にいたアメリナが急に冷たくなったことで、完全に動揺していた。実はルドルフは、誰よりもアメリナを愛していたのだ。アメリナに冷たく当たっていたのも、アメリナのある言葉を信じたため。
お互い思い合っているのにすれ違う2人。
さらなる勘違いから、焦りと不安を募らせていくルドルフは、次第に心が病んでいき…
※すれ違いからのハッピーエンドを目指していたのですが、なぜかヒーローが病んでしまいました汗
こんな感じの作品ですが、どうぞよろしくお願いしますm(__)m
私だってあなたなんて願い下げです!これからの人生は好きに生きます
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のジャンヌは、4年もの間ずっと婚約者で侯爵令息のシャーロンに冷遇されてきた。
オレンジ色の髪に吊り上がった真っ赤な瞳のせいで、一見怖そうに見えるジャンヌに対し、この国で3本の指に入るほどの美青年、シャーロン。美しいシャーロンを、令嬢たちが放っておく訳もなく、常に令嬢に囲まれて楽しそうに過ごしているシャーロンを、ただ見つめる事しか出来ないジャンヌ。
それでも4年前、助けてもらった恩を感じていたジャンヌは、シャーロンを想い続けていたのだが…
ある日いつもの様に辛辣な言葉が並ぶ手紙が届いたのだが、その中にはシャーロンが令嬢たちと口づけをしたり抱き合っている写真が入っていたのだ。それもどの写真も、別の令嬢だ。
自分の事を嫌っている事は気が付いていた。他の令嬢たちと仲が良いのも知っていた。でも、まさかこんな不貞を働いているだなんて、気持ち悪い。
正気を取り戻したジャンヌは、この写真を証拠にシャーロンと婚約破棄をする事を決意。婚約破棄出来た暁には、大好きだった騎士団に戻ろう、そう決めたのだった。
そして両親からも婚約破棄に同意してもらい、シャーロンの家へと向かったのだが…
※カクヨム、なろうでも投稿しています。
よろしくお願いします。
これ以上私の心をかき乱さないで下さい
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユーリは、幼馴染のアレックスの事が、子供の頃から大好きだった。アレックスに振り向いてもらえるよう、日々努力を重ねているが、中々うまく行かない。
そんな中、アレックスが伯爵令嬢のセレナと、楽しそうにお茶をしている姿を目撃したユーリ。既に5度も婚約の申し込みを断られているユーリは、もう一度真剣にアレックスに気持ちを伝え、断られたら諦めよう。
そう決意し、アレックスに気持ちを伝えるが、いつも通りはぐらかされてしまった。それでも諦めきれないユーリは、アレックスに詰め寄るが
“君を令嬢として受け入れられない、この気持ちは一生変わらない”
そうはっきりと言われてしまう。アレックスの本心を聞き、酷く傷ついたユーリは、半期休みを利用し、兄夫婦が暮らす領地に向かう事にしたのだが。
そこでユーリを待っていたのは…
好きでした、婚約破棄を受け入れます
たぬきち25番
恋愛
シャルロッテ子爵令嬢には、幼い頃から愛し合っている婚約者がいた。優しくて自分を大切にしてくれる婚約者のハンス。彼と結婚できる幸せな未来を、心待ちにして努力していた。ところがそんな未来に暗雲が立ち込める。永遠の愛を信じて、傷つき、涙するシャルロッテの運命はいかに……?
※十章を改稿しました。エンディングが変わりました。
愛を求めることはやめましたので、ご安心いただけますと幸いです!
風見ゆうみ
恋愛
わたしの婚約者はレンジロード・ブロフコス侯爵令息。彼に愛されたくて、自分なりに努力してきたつもりだった。でも、彼には昔から好きな人がいた。
結婚式当日、レンジロード様から「君も知っていると思うが、私には愛する女性がいる。君と結婚しても、彼女のことを忘れたくないから忘れない。そして、私と君の結婚式を彼女に見られたくない」と言われ、結婚式を中止にするためにと階段から突き落とされてしまう。
レンジロード様に突き落とされたと訴えても、信じてくれる人は少数だけ。レンジロード様はわたしが階段を踏み外したと言う上に、わたしには話を合わせろと言う。
こんな人のどこが良かったのかしら???
家族に相談し、離婚に向けて動き出すわたしだったが、わたしの変化に気がついたレンジロード様が、なぜかわたしにかまうようになり――
【完結】伯爵令嬢は婚約を終わりにしたい〜次期公爵の幸せのために婚約破棄されることを目指して悪女になったら、なぜか溺愛されてしまったようです〜
よどら文鳥
恋愛
伯爵令嬢のミリアナは、次期公爵レインハルトと婚約関係である。
二人は特に問題もなく、順調に親睦を深めていった。
だがある日。
王女のシャーリャはミリアナに対して、「二人の婚約を解消してほしい、レインハルトは本当は私を愛しているの」と促した。
ミリアナは最初こそ信じなかったが王女が帰った後、レインハルトとの会話で王女のことを愛していることが判明した。
レインハルトの幸せをなによりも優先して考えているミリアナは、自分自身が嫌われて婚約破棄を宣告してもらえばいいという決断をする。
ミリアナはレインハルトの前では悪女になりきることを決意。
もともとミリアナは破天荒で活発な性格である。
そのため、悪女になりきるとはいっても、むしろあまり変わっていないことにもミリアナは気がついていない。
だが、悪女になって様々な作戦でレインハルトから嫌われるような行動をするが、なぜか全て感謝されてしまう。
それどころか、レインハルトからの愛情がどんどんと深くなっていき……?
※前回の作品同様、投稿前日に思いついて書いてみた作品なので、先のプロットや展開は未定です。今作も、完結までは書くつもりです。
※第一話のキャラがざまぁされそうな感じはありますが、今回はざまぁがメインの作品ではありません。もしかしたら、このキャラも更生していい子になっちゃったりする可能性もあります。(このあたり、現時点ではどうするか展開考えていないです)
【本編完結】王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
※本編完結しました。
※後日談を更新中です。
旦那様は離縁をお望みでしょうか
村上かおり
恋愛
ルーベンス子爵家の三女、バーバラはアルトワイス伯爵家の次男であるリカルドと22歳の時に結婚した。
けれど最初の顔合わせの時から、リカルドは不機嫌丸出しで、王都に来てもバーバラを家に一人残して帰ってくる事もなかった。
バーバラは行き遅れと言われていた自分との政略結婚が気に入らないだろうと思いつつも、いずれはリカルドともいい関係を築けるのではないかと待ち続けていたが。