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第2章
第9話:ファンポーズ公爵家の誕生日パーティーに参加します【前半】
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「メイソン、お前はまだ腕の怪我が治っていなんだぞ。走ったりしたら危ないだろう。ローラ、お前も少しは考えて行動しろ」
あの後すぐに旦那様に捕まり、お叱りを受けた。確かにまだメイソン様の手は治っていない。それなのに、走らせてしまった事はマズかった。万が一転んだりしたら、大変だ。
「旦那様、申し訳ございませんでした。メイソン様はまだ怪我が治っていないのに、走らせてしまいましたわ」
「アーサー兄さん、ローラは悪くないよ。俺が勝手にローラの手を握って走ったのだから」
なぜかメイソン様が私を庇ってくれる。これは完全に私の事を、姉の様な存在と思ってくれているのかしら?
「…もういい。とにかく夕食にしよう。先に食堂に…ローラ、少し話があるから俺に付いて来てくれ」
旦那様に手を引かれ、そのまま旦那様の部屋へとやって来た。
「お話とはなんですか?」
「いいや…その…メイソンと二人っきりにしたくなくて…その…」
もしかして、メイソン様に嫉妬したのかしら?
「旦那様、大丈夫ですわ。私は旦那様一筋です。それにメイソン様はきっと、私の事を姉か何かだと思っているのでしょう。だから、心配は無用です」
旦那様はびっくりする程心配性なのだ。でも本当に、私とメイソン様の間には何もない。そんな思いから、胸を張って伝えたのだが…
「ローラは本当に鈍いからな…まあ、メイソンも変な気は起こさないだろう…」
「旦那様?」
「何でもない。すぐに着替えるから待っていてくれ」
急いで着替えを済ませた旦那様と一緒に、食堂へと向かった。
「アーサー兄さん、ローラ、遅いよ。待ちくたびれたよ」
「ごめん、メイソン。さあ、晩御飯にしよう」
随分と器用に左手を使えるようになったメイソン様は、上手に食事をしている。
「ローラ、明日はファンポーズ公爵家の令嬢の誕生日パーティーだったな?それで、ぬいぐるみは完成したのかい?」
「ええ、完成しましたわ」
「あの大きなぬいぐるみは、公爵令嬢にあげるものだったんだ。柔らかくて抱き心地が最高なんだよね。俺も今日、ローラの部屋でぬいぐるみを見せてもらったけれど、本当にすごいね。あんなにも立派なぬいぐるみが作れるなんて、ローラは天才だよ」
私たちの会話に入って来たメイソン様が、私を褒めてくれる。あんなにぬいぐるみは嫌いだ!と言っていたのに。この変わりように、つい笑いがこみ上げてきた。
「おいメイソン、お前、ローラの部屋に入ったのか?」
「ああ、最近ずっと部屋に閉じこもっていたから心配で」
「この際だからはっきりと言っておく。ローラは俺の妻だ。ローラの部屋に勝手に入るな。いいな、分かったな」
眉間に皺をよせ、怖い顔でメイソン様を怒鳴りつける旦那様。
「…分かったよ…これからは気を付けるよ」
「怒鳴ってすまん。さあ、食事の続きをしよう」
旦那様に怒鳴られてびっくりしたのか、メイソン様が大人しくなってしまった。旦那様も悪いと思ったのか、ばつの悪そうな顔をしている。何とも言えない空気の中、食事を済ませた。
食後は旦那様に連れられ、そのまま寝室に連れてこられた。
「旦那様、もう寝るのですか?」
「ああ、少し早いがな」
旦那様がニヤリと笑った。これは、そういう事よね…
「あの、明日はファンポーズ公爵家のお誕生日パーティーに参加する日なので、お手柔らかにお願いします…」
「それはどうかな。せっかくだから、一緒に湯あみをしよう。俺の背中を流してくれるか?」
「えっ…一緒にですか?でも…」
「さあ行こう」
有無も言わさず浴槽へと連れてこられた。これはもう逃げられそうにない。覚悟を決め、一緒に湯あみをし、夜を過ごしたのであった。
翌日、眠い目をこすり、ドレスに着替える。もちろん、旦那様の瞳の色でもある水色のドレスだ。最近出かけるときは、水色のドレスを着るのが当たり前になった。そのせいか、私のクローゼットの中には、水色のドレスが半分以上を占めている。
プレゼントも忘れないように、袋に入れた。よし、準備万端だ。
部屋から出ると、旦那様が待っていた。
「今日のローラも一段と綺麗だね。やっぱりローラは、水色のドレスがよく似合う」
「ありがとうございます。旦那様もとても素敵ですよ。さあ、早く行って先にぬいぐるみを渡さないといけないので。行きましょう」
「そうだな、行こうか」
スッと出された旦那様の手を握り、玄関へと向かうと、メイソン様が待っていた。
「ローラ、今日のドレス、よく似合っているよ。こうやって見ると、ローラも貴族なんだね」
「…ありがとうございます」
こうやって見るととは、どういう事ですか?そもそも私は、元々伯爵令嬢です。生まれも育ちも貴族なのですよ!そう言いたいが、そんな事は言えない。
「メイソン、わざわざ出迎えに来てくれたのか?それじゃあ、行ってくる」
すっと私の腰を掴むと、そのまま馬車へとエスコートしてくれた。すっかり更生したしたメイソン様だが、私が留守の間使用人たちに暴言を吐かないか心配だ。
そんな思いから
「メイソン様、私がいないからといって、使用人たちをこき使う様なことはしないで下さいね」
窓を開け、見送りに出てきてくれたメイソン様に向かって叫んだ。
「さすがにそんな事はしないから安心して欲しい」
そう言って苦笑いをしていた。一応釘を刺しておいたし、大丈夫だろう。
「ローラ、もう今のメイソンなら大丈夫だよ」
なぜか旦那様まで苦笑いをしてこちらを見ている。
「旦那様はメイソン様の我が儘っぷりを間近で見ていないから、そんな事が言えるのです。でも、あの様子なら多分大丈夫そうですね」
穏やかな表情で見送ってくれたメイソン様を見たら、そんな気がした。
あの後すぐに旦那様に捕まり、お叱りを受けた。確かにまだメイソン様の手は治っていない。それなのに、走らせてしまった事はマズかった。万が一転んだりしたら、大変だ。
「旦那様、申し訳ございませんでした。メイソン様はまだ怪我が治っていないのに、走らせてしまいましたわ」
「アーサー兄さん、ローラは悪くないよ。俺が勝手にローラの手を握って走ったのだから」
なぜかメイソン様が私を庇ってくれる。これは完全に私の事を、姉の様な存在と思ってくれているのかしら?
「…もういい。とにかく夕食にしよう。先に食堂に…ローラ、少し話があるから俺に付いて来てくれ」
旦那様に手を引かれ、そのまま旦那様の部屋へとやって来た。
「お話とはなんですか?」
「いいや…その…メイソンと二人っきりにしたくなくて…その…」
もしかして、メイソン様に嫉妬したのかしら?
「旦那様、大丈夫ですわ。私は旦那様一筋です。それにメイソン様はきっと、私の事を姉か何かだと思っているのでしょう。だから、心配は無用です」
旦那様はびっくりする程心配性なのだ。でも本当に、私とメイソン様の間には何もない。そんな思いから、胸を張って伝えたのだが…
「ローラは本当に鈍いからな…まあ、メイソンも変な気は起こさないだろう…」
「旦那様?」
「何でもない。すぐに着替えるから待っていてくれ」
急いで着替えを済ませた旦那様と一緒に、食堂へと向かった。
「アーサー兄さん、ローラ、遅いよ。待ちくたびれたよ」
「ごめん、メイソン。さあ、晩御飯にしよう」
随分と器用に左手を使えるようになったメイソン様は、上手に食事をしている。
「ローラ、明日はファンポーズ公爵家の令嬢の誕生日パーティーだったな?それで、ぬいぐるみは完成したのかい?」
「ええ、完成しましたわ」
「あの大きなぬいぐるみは、公爵令嬢にあげるものだったんだ。柔らかくて抱き心地が最高なんだよね。俺も今日、ローラの部屋でぬいぐるみを見せてもらったけれど、本当にすごいね。あんなにも立派なぬいぐるみが作れるなんて、ローラは天才だよ」
私たちの会話に入って来たメイソン様が、私を褒めてくれる。あんなにぬいぐるみは嫌いだ!と言っていたのに。この変わりように、つい笑いがこみ上げてきた。
「おいメイソン、お前、ローラの部屋に入ったのか?」
「ああ、最近ずっと部屋に閉じこもっていたから心配で」
「この際だからはっきりと言っておく。ローラは俺の妻だ。ローラの部屋に勝手に入るな。いいな、分かったな」
眉間に皺をよせ、怖い顔でメイソン様を怒鳴りつける旦那様。
「…分かったよ…これからは気を付けるよ」
「怒鳴ってすまん。さあ、食事の続きをしよう」
旦那様に怒鳴られてびっくりしたのか、メイソン様が大人しくなってしまった。旦那様も悪いと思ったのか、ばつの悪そうな顔をしている。何とも言えない空気の中、食事を済ませた。
食後は旦那様に連れられ、そのまま寝室に連れてこられた。
「旦那様、もう寝るのですか?」
「ああ、少し早いがな」
旦那様がニヤリと笑った。これは、そういう事よね…
「あの、明日はファンポーズ公爵家のお誕生日パーティーに参加する日なので、お手柔らかにお願いします…」
「それはどうかな。せっかくだから、一緒に湯あみをしよう。俺の背中を流してくれるか?」
「えっ…一緒にですか?でも…」
「さあ行こう」
有無も言わさず浴槽へと連れてこられた。これはもう逃げられそうにない。覚悟を決め、一緒に湯あみをし、夜を過ごしたのであった。
翌日、眠い目をこすり、ドレスに着替える。もちろん、旦那様の瞳の色でもある水色のドレスだ。最近出かけるときは、水色のドレスを着るのが当たり前になった。そのせいか、私のクローゼットの中には、水色のドレスが半分以上を占めている。
プレゼントも忘れないように、袋に入れた。よし、準備万端だ。
部屋から出ると、旦那様が待っていた。
「今日のローラも一段と綺麗だね。やっぱりローラは、水色のドレスがよく似合う」
「ありがとうございます。旦那様もとても素敵ですよ。さあ、早く行って先にぬいぐるみを渡さないといけないので。行きましょう」
「そうだな、行こうか」
スッと出された旦那様の手を握り、玄関へと向かうと、メイソン様が待っていた。
「ローラ、今日のドレス、よく似合っているよ。こうやって見ると、ローラも貴族なんだね」
「…ありがとうございます」
こうやって見るととは、どういう事ですか?そもそも私は、元々伯爵令嬢です。生まれも育ちも貴族なのですよ!そう言いたいが、そんな事は言えない。
「メイソン、わざわざ出迎えに来てくれたのか?それじゃあ、行ってくる」
すっと私の腰を掴むと、そのまま馬車へとエスコートしてくれた。すっかり更生したしたメイソン様だが、私が留守の間使用人たちに暴言を吐かないか心配だ。
そんな思いから
「メイソン様、私がいないからといって、使用人たちをこき使う様なことはしないで下さいね」
窓を開け、見送りに出てきてくれたメイソン様に向かって叫んだ。
「さすがにそんな事はしないから安心して欲しい」
そう言って苦笑いをしていた。一応釘を刺しておいたし、大丈夫だろう。
「ローラ、もう今のメイソンなら大丈夫だよ」
なぜか旦那様まで苦笑いをしてこちらを見ている。
「旦那様はメイソン様の我が儘っぷりを間近で見ていないから、そんな事が言えるのです。でも、あの様子なら多分大丈夫そうですね」
穏やかな表情で見送ってくれたメイソン様を見たら、そんな気がした。
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