大好きだった人には振られましたが、なぜかヤンデレ王太子に溺愛されました

Karamimi

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第29話:アリアとの未来の為に俺がやるべき事を考えよう~ワイアット視点~

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別荘に戻って来た後は、早速晩ご飯だ。美しい星を見る為、中庭で晩ご飯を食べた。嬉しそうに空を見上げるアリアの為に、食事を口に運ぶ。

ひな鳥の様に口を開けて来るアリアが可愛くて仕方ない。正直言って、俺は星よりアリアをずっと見ていたい。食事の後はお茶を飲んで、それぞれ自室へと戻る。それにしても、今日のアリアは本当に可愛かったな…

やっぱり、結婚したらアリアを極力部屋に閉じ込めよう。それにカーター、あいつを何とかしないと!あいつがいる限り、アリアの心が乱される。でもそのまま抹殺すると、アリアが気にするかもしれない。

とにかく俺が学院を卒業するまでに、あの男を何とかしないと!いっその事、他国に養子に出すか。いいや、あいつは仮にも侯爵家の嫡男だ。さすがにそんな勝手な事をすると、王家への信用問題にもなりかねない!

どうしたものか…

ふと時計を見ると、夜中の12時を指していた。そう言えば、そろそろアリアは寝た頃かな。そっとアリアの部屋に忍び込むと、気持ちよさそうに眠っていた。銀色の髪が月の光で照らされ、まるで月の女神の様だ。

このまま、月にアリアを拐われてしまわないだろうか…
そんなあり得ない不安が俺を襲う。そっとアリアの布団に潜り込み、ギューッと抱きしめる。すると寝ているはずのアリアが、俺にすり寄って来たのだ。

何なんだこの可愛らしい生き物は!それに柔らかくて温かい…これはたまらないな…




「王太子殿下…王太子殿下…」

俺をゆすり、小声で名前を呼んでいる奴がいる…
ん?ぱちりと目を開けると、可愛らしいアリアの寝顔が目に入る。そしてすぐ側に、困惑気味のメイドの姿が。どうやらアリアを抱きしめたまま眠ってしまった様だ。幸いアリアはまだ起きていない。

急いでベッドから抜け出し、自室へと戻る。それにしてもあのメイドが起してくれなければ、危なかった。せっかく早く起きたので、中庭で竹刀を振る事にした。そう、俺は毎日朝竹刀を振っている。強く逞しい男になって、アリアを守る為だ。

その時だった、執事が話しかけて来たのだ。

「殿下、どうやらアリア様が、朝早く起きて殿下の為にケーキを作っている様です」

「何だって!アリアが!」

早速厨房にこっそりやって来た。すると、嬉しそうにケーキを作っているアリアの姿が。

「ワイアット様は甘いものがお好きだから、少し砂糖を多めにしましょう。そうだわ、クリームにフルーツを混ぜたら美味しいかも」

そう言いながら、ケーキを作っている。本当に俺の為にケーキを…

「殿下、随分とアリア様に愛されておられますね」

にっこり笑った執事がそう言った。俺がアリアに愛されている?もしそれが本当なら、こんなにも嬉しい事はない。でも、アリアはあんなにもカーターの事を愛していたのだ。いくら酷い裏切りに合ったからと言って、そう簡単に忘れられる訳はないだろう。

ただ、少しずつ俺の方を向き始めているのも確かだろう。やはりカーターを早急に何とかしないと。でも逆にカーターを傷つければ、アリアの感情があいつに向く可能性がある。とにかく、慎重に作戦を練らないと。

ケーキが出来上がるまで、こっそり厨房を眺めた俺は、ケーキの完成と同時に一旦自室に戻る。そして汗を洗い流して、何食わぬ顔で食堂へとやって来た。

既に椅子に座って待っていたアリアと一緒に、何も知らないふりをして朝食を食べる。朝食を食べ終わると、嬉しそうにアリアがケーキを持って来て、切り分けてくれた。俺の為に作ってくれたケーキ…そう思うだけで、なんだか食べるのが勿体ない。

でもせっかくアリアが作ってくれたんだ!早速1口!これは!なんという美味しさなんだ。生クリームの甘さとフルーツの酸味が絶妙に混ざり合っている。正直言って、物凄く美味しい。

あまりの美味しさに、残りのケーキも一気に食べつくした。こんなに美味しいケーキを作ってくれたアリアには、お礼をしないと!そう思って、何でも好きな物を買ってあげると言ったのだが…

「ワイアット様、これは昨日のお礼です。それに私は料理を作るのが好きなので、こうやって美味しく食べてもらえるのが一番のお礼ですわ。また作るので、その時は食べてくれますか?」

少し恥ずかしそうにそう言ったアリア!なんて可愛い事を言うんだ!思わずアリアを思いっきり抱きしめた。またアリアが俺の為にケーキを作ってくれると言ってくれた。その言葉が、何よりも嬉しい!

せめて帰りに街によって、アリアの好きな物を買ってあげよう!そう思った俺は、帰りに寄り道をして、これでもかと言うくらいアリアにプレゼントした。

最初は戸惑っていたアリアも、最後は笑顔で受け取ってくれた。そしてアリアを伯爵家に送り届け、俺自身も王宮へと戻る。

「お帰りなさい、ワイアット。アリアちゃんとの別荘はどうだった?」

王宮に帰るなり、嬉しそうに話しかけて来た母上。

「とっても楽しかったですよ。そうそう、俺が貴族学院を卒業したら、アリアを王宮に住まわせることに決めましたからそのつもりで。出来れば貴族学院も辞めさせたいのですが」

「えっ!ちょっと待って…さすがに伯爵とも相談しないと…」

俺の言葉に軽いパニックを起こしている母上。確かに伯爵との相談は必須だ。でも、一刻も早くアリアと一緒に生活をしたい!アリアともう離れたくはないんだ!

そもそも俺は、8年もアリアを待った。これ以上は待てない!早急に今後について伯爵とも相談していかないと!
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