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第2話:村を出ます
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朝、まだ薄暗い中目を覚ます。今日も水くみからスタートだ。
「水が冷たいわね。でも、早く終わらせないと」
凍える手を必死に動かし、水くみが終わると、次は掃除と洗濯、食事の準備だ。そしていつもの様に、お店に出る。
“リリアちゃん、今日も顔色が良くないね。これで何か買って食べな”
“ありがとうございます”
常連さんが私に、お金をくれたのだ。こうやって私に優しくしてくれる人も多い。クロードがいなくなってからは、彼らに支えられ生きている。正直村を出たいと思う事もある。
でも、私はずっとこの村で暮してきた。そんな私が、どうやって村を出て生きていけるのだろうか…それにクロードが迎えに来てくれた時、私がこの村にいなかったらどう思うか…
そう考えると、村を出る勇気が出ないのだ。
クロードはすごいわ、何のためらいもなく村を出て行ったのだから…それに比べて、私は…
ついため息が出る。
「リリア、こんなところで陰気くさい溜息をつていないで、こっちにおいで。お前にいい話が舞い込んできたのだよ」
ニヤリと笑った叔母さん。この人が私を呼ぶときは、ろくでもない話の時だ。一体何の話だろう。
不安を抱えながら、叔母さんの元へと向かう。
「とにかく座りな」
珍しい事に、イスに座るよう促してきたのだ。椅子に座ったら殴られないかしら?不安の中、恐る恐る座る。
「実はね、隣町の商人が、リリアを気に入ってね。ぜひ嫁に欲しいと言って来ているのだよ」
「えっ?隣町の商人とは、まさかガロンさんですか?」
ガロンさんは定期的に食堂に顔を出してくれる、馴染みのお客さんなのだが…いつもいやらしい目で私を見つめてくるため、苦手なのだ。そもそも彼は50代。そんな男性に嫁げだなんて…
「そうそう、その男だよ。あの男、お前を嫁にくれたら、かなりの大金を我が家に払ってくれると言っていてね。お前みたいな疫病神でも、金になるもんだね」
嬉しそうにそう呟いた叔母さん。
「私、嫌です。ガロンさんの元に嫁ぐだなんて…絶対に嫌です。私はクロードと…」
「お前は何を言っているのだい!クロードなんて、もう戻って来やしないよ。それに今まで育ててやった恩を忘れたのかい?お前はあの金持ちの元に嫁ぐんだ。口答えは許さないよ!」
怖い顔で怒鳴る叔母さん。
そんな…
「とにかく明日商人がお前を引き取りに来るから、準備をしておきな。家の事はもうしなくてもいいから、その貧相な体を少しでも磨き上げな。いいね、分かったね。話は終わりだ。早く家に戻りな」
「はい…」
トボトボと歩きながら、家に戻ってきた。部屋に入った瞬間、一気に涙が溢れだした。
私は明日、ガロンさんの元に嫁がされるだなんて。叔母さんが私を嫌っている事は知っていた。でも、まさかここまで嫌われていただなんて。
ガロンさんの元に嫁いだら、クロードとはもう二度と会えなくなる。もしクロードが迎えに来てくれたら…
それに何よりも、私はガロンさんの元になんて嫁ぎたくない。私は一体、何のために生きているのだろう。このまま辛い思いをし続けて生きるくらいなら、いっその事…
すっと立ち上がり、ボロボロのカバンを取り出した。そして、少ない衣類を詰めていく。
どうせもう生きる希望すら失ってしまったのなら、いっその事死ぬ覚悟でこの村を出よう。お金ならほんの少しだがある。このお金で、いけるところまで行こう。
心優しいお客さんがくれたお金を、少しずつ貯めていたのだ。
そして奥から、1着のワンピースを取り出した。亡くなったお母さんが好んで着ていたワンピース。お父さんにプレゼントしてもらったと、昔嬉しそうに話していた。
洋服関係は全て売られてしまったが、これだけは隠し持っておいたのだ。
どうせならこのワンピースを身に付けて、この村を出たい。そんな思いで、ワンピースに着替えた。少し大きいが、問題ないだろう。
着替えも済ませ、そっと家を出る。両親と過ごした思い出の家。でも、きっともう戻る事はないだろう。
叔母さんたちに見つかったら大変だ。そっと隣の家の窓から、中の様子を伺う。どうやら大金が入るとあって、叔母さんも叔父さんも上機嫌の様で、楽しそうにお酒を飲みながら豪華な食事をしていた。
従姉弟たちも楽しそうにしている。そんな姿を見たら、なんだか悲しくなった。この人たちにとって、私は一体何だったのだろう…少なくとも、家族ではなかった事だけは確かだ。
この人たちの事を考えるのは、もう止めよう。
“さようなら、叔父さん、叔母さん、従姉弟たち。もう二度と会う事はないでしょう“
心の中でそっと呟き、家を出たのだった。
「水が冷たいわね。でも、早く終わらせないと」
凍える手を必死に動かし、水くみが終わると、次は掃除と洗濯、食事の準備だ。そしていつもの様に、お店に出る。
“リリアちゃん、今日も顔色が良くないね。これで何か買って食べな”
“ありがとうございます”
常連さんが私に、お金をくれたのだ。こうやって私に優しくしてくれる人も多い。クロードがいなくなってからは、彼らに支えられ生きている。正直村を出たいと思う事もある。
でも、私はずっとこの村で暮してきた。そんな私が、どうやって村を出て生きていけるのだろうか…それにクロードが迎えに来てくれた時、私がこの村にいなかったらどう思うか…
そう考えると、村を出る勇気が出ないのだ。
クロードはすごいわ、何のためらいもなく村を出て行ったのだから…それに比べて、私は…
ついため息が出る。
「リリア、こんなところで陰気くさい溜息をつていないで、こっちにおいで。お前にいい話が舞い込んできたのだよ」
ニヤリと笑った叔母さん。この人が私を呼ぶときは、ろくでもない話の時だ。一体何の話だろう。
不安を抱えながら、叔母さんの元へと向かう。
「とにかく座りな」
珍しい事に、イスに座るよう促してきたのだ。椅子に座ったら殴られないかしら?不安の中、恐る恐る座る。
「実はね、隣町の商人が、リリアを気に入ってね。ぜひ嫁に欲しいと言って来ているのだよ」
「えっ?隣町の商人とは、まさかガロンさんですか?」
ガロンさんは定期的に食堂に顔を出してくれる、馴染みのお客さんなのだが…いつもいやらしい目で私を見つめてくるため、苦手なのだ。そもそも彼は50代。そんな男性に嫁げだなんて…
「そうそう、その男だよ。あの男、お前を嫁にくれたら、かなりの大金を我が家に払ってくれると言っていてね。お前みたいな疫病神でも、金になるもんだね」
嬉しそうにそう呟いた叔母さん。
「私、嫌です。ガロンさんの元に嫁ぐだなんて…絶対に嫌です。私はクロードと…」
「お前は何を言っているのだい!クロードなんて、もう戻って来やしないよ。それに今まで育ててやった恩を忘れたのかい?お前はあの金持ちの元に嫁ぐんだ。口答えは許さないよ!」
怖い顔で怒鳴る叔母さん。
そんな…
「とにかく明日商人がお前を引き取りに来るから、準備をしておきな。家の事はもうしなくてもいいから、その貧相な体を少しでも磨き上げな。いいね、分かったね。話は終わりだ。早く家に戻りな」
「はい…」
トボトボと歩きながら、家に戻ってきた。部屋に入った瞬間、一気に涙が溢れだした。
私は明日、ガロンさんの元に嫁がされるだなんて。叔母さんが私を嫌っている事は知っていた。でも、まさかここまで嫌われていただなんて。
ガロンさんの元に嫁いだら、クロードとはもう二度と会えなくなる。もしクロードが迎えに来てくれたら…
それに何よりも、私はガロンさんの元になんて嫁ぎたくない。私は一体、何のために生きているのだろう。このまま辛い思いをし続けて生きるくらいなら、いっその事…
すっと立ち上がり、ボロボロのカバンを取り出した。そして、少ない衣類を詰めていく。
どうせもう生きる希望すら失ってしまったのなら、いっその事死ぬ覚悟でこの村を出よう。お金ならほんの少しだがある。このお金で、いけるところまで行こう。
心優しいお客さんがくれたお金を、少しずつ貯めていたのだ。
そして奥から、1着のワンピースを取り出した。亡くなったお母さんが好んで着ていたワンピース。お父さんにプレゼントしてもらったと、昔嬉しそうに話していた。
洋服関係は全て売られてしまったが、これだけは隠し持っておいたのだ。
どうせならこのワンピースを身に付けて、この村を出たい。そんな思いで、ワンピースに着替えた。少し大きいが、問題ないだろう。
着替えも済ませ、そっと家を出る。両親と過ごした思い出の家。でも、きっともう戻る事はないだろう。
叔母さんたちに見つかったら大変だ。そっと隣の家の窓から、中の様子を伺う。どうやら大金が入るとあって、叔母さんも叔父さんも上機嫌の様で、楽しそうにお酒を飲みながら豪華な食事をしていた。
従姉弟たちも楽しそうにしている。そんな姿を見たら、なんだか悲しくなった。この人たちにとって、私は一体何だったのだろう…少なくとも、家族ではなかった事だけは確かだ。
この人たちの事を考えるのは、もう止めよう。
“さようなら、叔父さん、叔母さん、従姉弟たち。もう二度と会う事はないでしょう“
心の中でそっと呟き、家を出たのだった。
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