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第21話:好き勝手言って~ソリティオ視点~
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「公爵、ソリティオ、その件なんだけれど、僕とソラ嬢はお互い婚約を結ぶつもりはないんだ。ただ、なぜかその様な話に進んでしまって。それにソフィーナ嬢の事だって…」
「お互い婚約を結ぶつもりはないだって?あんな大々的にアピールをしていたのにかい?さすがにそれは無理があのではないのですか?
昨日2人はそれぞれ相手の瞳と髪の色の衣装を着て、皆の前に姿を現しましたよね。それを見た貴族たちは、2人が近々婚約を結ぶと確信したはずです。それなのに、ソラ嬢と婚約を結ばず、万が一ソフィーナとの婚約話なんて出たら、世間がどう思うか。
やっとソフィーナの評判も回復してきたのです。それに水を差すような事はしたくない。なによりも、ソフィーナ自身が嫌がるでしょう。ソフィーナは、2人の事を心から祝福しておりましたので。
今のソフィーナは、もう昔のソフィーナではないのです。きっと殿下を軽蔑し、全力で拒否すると思いますよ」
「ソリティオ!落ち着きなさい」
「ですが父上、あまりにも身勝手すぎます。確かにソフィーナは殿下に付きまとっておりましたが、今回の事ですっぱり諦めたのです。それなのに、今更ソフィーナが気になると言われても、ソフィーナも混乱するでしょう。それに、ソラ嬢の件はどうするのですか?
きっと侯爵殿はお優しいから、殿下の望みを受け入れるでしょう。ですが、きっと心のどこかでは蟠りが残ると思います。ソラ嬢だって、心に大きな傷か残るでしょう。もしかしたら、ソフィーナを逆恨みするかもしれません」
「ソリティオ、落ち着いてくれ!ソラ嬢は僕の事なんて好きでは無いんだ。僕だって…だが…かつてのソフィーナ嬢では王妃にはさせられないと、他の貴族や父上が…大人の事情でソラ嬢を巻き込んでしまった事は、本当に申し訳なく思っている。僕がもっとしっかりしていれば…」
「そんな言い訳、聞きたくはない。結局皆、ソフィーナでは役不足だから、ソラ嬢に白羽の矢が立ったのだろう?それが全ての答えじゃないか」
「いい訳なんかじゃない。そもそも君だって、少し前までソフィーナ嬢の事を毛嫌いしていたじゃないか。顔を見るのも嫌だと言っていたくせに」
確かに少し前まで、俺はソフィーナを毛嫌いしていた。だが…
「殿下の気持ちは分かりました。確かに昔のソフィーナの行いを見ていたら、あの子に王妃など決して務まらないでしょう。陛下や貴族たちが、焦るのも無理はありません。あの子を今まで自由にしてしまっていたのは、私達親の責任です。本当に申し訳ございませんでした。
殿下とソラ嬢の件は、王家とアレソーヌ侯爵家の問題ですので、我が家がとやかく言える立場ではありません。ソフィーナの件ですが、私共は彼女自身で相手を見つけて欲しいと考えております。
ですので、私やソリティオから、“この人と結婚しなさい”とも“この人とは結婚してはいけない”とも申すつもりはありません。もしソフィーナが、殿下と将来を共に歩みたいと申し出があれば、その時は受け入れる所存でございます」
父上が陛下とファラオにそう告げたのだ。確かにソラ嬢との婚約の件は、俺たちがとやかく言う事ではない。それに、もしソラ嬢と婚約を結ばず、ソフィーナにアプローチしたとしても、きっとソフィーナは受け入れないだろう。
「公爵の気持ちは分かりました。僕の気持ちを汲んで、ご配慮して下さり、ありがとうございます。ソフィーナ嬢に振り向いてもらえる様に、全力で頑張ります。ソリティオ、君も協力してくれるよね?僕の親友として」
こいつは何を言っているのだ?どうして俺がファラオの協力をしないといけないんだ。
「父上が申した通り、俺は誰かに肩入れするつもりはありません。ソフィーナ自身が考え、選んだ相手を俺は受け入れるつもりです。それに、アレックやセシルもソフィーナに好意を抱いている様なので。もちろん、彼らに肩入れするつもりもありませんので、ご安心を」
笑顔でファラオにそう告げた。ファラオは不満そうな顔をしているが、俺の知った事ではない。
「それでは私共は、これで失礼いたします」
陛下とファラオに頭を下げると、その場を後にする。
予想はしていたが、やはりファラオはソフィーナに好意を抱いていたのだな…ソラ嬢の件、どう片づけるつもりだろう。
どちらにしろ、ソラ嬢やアレソーヌ侯爵家を蔑ろにした時点で、ソフィーナの心は掴めないだろう。
いずれにしろ、ソフィーナに火の粉が飛ばない様にだけはしないと!
※次回、ソフィーナ視点に戻ります。
よろしくお願いいたします。
「お互い婚約を結ぶつもりはないだって?あんな大々的にアピールをしていたのにかい?さすがにそれは無理があのではないのですか?
昨日2人はそれぞれ相手の瞳と髪の色の衣装を着て、皆の前に姿を現しましたよね。それを見た貴族たちは、2人が近々婚約を結ぶと確信したはずです。それなのに、ソラ嬢と婚約を結ばず、万が一ソフィーナとの婚約話なんて出たら、世間がどう思うか。
やっとソフィーナの評判も回復してきたのです。それに水を差すような事はしたくない。なによりも、ソフィーナ自身が嫌がるでしょう。ソフィーナは、2人の事を心から祝福しておりましたので。
今のソフィーナは、もう昔のソフィーナではないのです。きっと殿下を軽蔑し、全力で拒否すると思いますよ」
「ソリティオ!落ち着きなさい」
「ですが父上、あまりにも身勝手すぎます。確かにソフィーナは殿下に付きまとっておりましたが、今回の事ですっぱり諦めたのです。それなのに、今更ソフィーナが気になると言われても、ソフィーナも混乱するでしょう。それに、ソラ嬢の件はどうするのですか?
きっと侯爵殿はお優しいから、殿下の望みを受け入れるでしょう。ですが、きっと心のどこかでは蟠りが残ると思います。ソラ嬢だって、心に大きな傷か残るでしょう。もしかしたら、ソフィーナを逆恨みするかもしれません」
「ソリティオ、落ち着いてくれ!ソラ嬢は僕の事なんて好きでは無いんだ。僕だって…だが…かつてのソフィーナ嬢では王妃にはさせられないと、他の貴族や父上が…大人の事情でソラ嬢を巻き込んでしまった事は、本当に申し訳なく思っている。僕がもっとしっかりしていれば…」
「そんな言い訳、聞きたくはない。結局皆、ソフィーナでは役不足だから、ソラ嬢に白羽の矢が立ったのだろう?それが全ての答えじゃないか」
「いい訳なんかじゃない。そもそも君だって、少し前までソフィーナ嬢の事を毛嫌いしていたじゃないか。顔を見るのも嫌だと言っていたくせに」
確かに少し前まで、俺はソフィーナを毛嫌いしていた。だが…
「殿下の気持ちは分かりました。確かに昔のソフィーナの行いを見ていたら、あの子に王妃など決して務まらないでしょう。陛下や貴族たちが、焦るのも無理はありません。あの子を今まで自由にしてしまっていたのは、私達親の責任です。本当に申し訳ございませんでした。
殿下とソラ嬢の件は、王家とアレソーヌ侯爵家の問題ですので、我が家がとやかく言える立場ではありません。ソフィーナの件ですが、私共は彼女自身で相手を見つけて欲しいと考えております。
ですので、私やソリティオから、“この人と結婚しなさい”とも“この人とは結婚してはいけない”とも申すつもりはありません。もしソフィーナが、殿下と将来を共に歩みたいと申し出があれば、その時は受け入れる所存でございます」
父上が陛下とファラオにそう告げたのだ。確かにソラ嬢との婚約の件は、俺たちがとやかく言う事ではない。それに、もしソラ嬢と婚約を結ばず、ソフィーナにアプローチしたとしても、きっとソフィーナは受け入れないだろう。
「公爵の気持ちは分かりました。僕の気持ちを汲んで、ご配慮して下さり、ありがとうございます。ソフィーナ嬢に振り向いてもらえる様に、全力で頑張ります。ソリティオ、君も協力してくれるよね?僕の親友として」
こいつは何を言っているのだ?どうして俺がファラオの協力をしないといけないんだ。
「父上が申した通り、俺は誰かに肩入れするつもりはありません。ソフィーナ自身が考え、選んだ相手を俺は受け入れるつもりです。それに、アレックやセシルもソフィーナに好意を抱いている様なので。もちろん、彼らに肩入れするつもりもありませんので、ご安心を」
笑顔でファラオにそう告げた。ファラオは不満そうな顔をしているが、俺の知った事ではない。
「それでは私共は、これで失礼いたします」
陛下とファラオに頭を下げると、その場を後にする。
予想はしていたが、やはりファラオはソフィーナに好意を抱いていたのだな…ソラ嬢の件、どう片づけるつもりだろう。
どちらにしろ、ソラ嬢やアレソーヌ侯爵家を蔑ろにした時点で、ソフィーナの心は掴めないだろう。
いずれにしろ、ソフィーナに火の粉が飛ばない様にだけはしないと!
※次回、ソフィーナ視点に戻ります。
よろしくお願いいたします。
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