助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした

Karamimi

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第15話:16歳の誕生日を迎えました

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旅行から帰って来てから、2ヶ月が経とうとしていた。今私は、結婚式の準備で大忙しだ。街の人たちに結婚の報告をしたら、皆泣いて喜んでくれた。

そして、私たちの為にわざわざ教会を貸し切ってくれるらしい。そこまでしてもらわなくても…そう思ったのだが

「せっかく街の人たちがそう言ってくれているんだ。ご厚意に甘えよう」

と、アダム様に言われたので、甘えさせてもらう事にした。有難い事に、女性陣もドレス作りのお手伝いをしてくれている。本当にこの街の人たちは親切だ。

そしてアダム様だが、私との結婚が決まったと同時に、週に3日、街に仕事に行くようになった。

「これからフローラをしっかり養っていける男になりたいからね。不安定な木彫りではなく、安定した仕事に就きたいんだ!」

そう言って張り切っていた。私の為に色々と頑張ってくれているアダム様。そんなアダム様が、愛おしくてたまらない。でも相変わらず私が1人で街に出る事は禁止されている。必ずアダム様のお仕事が休みの時に買い物に行くようにと、きつく言われているのだ。

ちなみにお仕事が休みの時は、木彫りの置物を作っているアダム様。本当に感心する程よく働く。今も仕事を終えたアダム様が帰って来た。

「ただいま、フローラ!会いたかったよ。それにしても、随分と雪が積もって来たよ。明日は出掛けない方がいい!」

帰るや否や、ギューっと抱きしめられ、そのまま口付けをされた。もちろん私も抱きしめ返す。体も唇も随分と冷たくなっている。外は相当寒いのだろう。

「おかえりなさい、アダム様。こんなに冷えて!早く暖炉の前へ!すぐにご飯にしますね。それから明日ですが、どうしても行かないといけないのです!多少の雪なら慣れておりますので大丈夫ですわ」

そう、明日は私の16回目の誕生日。この日は教会でお祈りを捧げると決めているのだ。

「わかったよ。それなら俺が送って行こう。心配だからね。でも、お祈りなら教会でなくてもいいんじゃないのかい?」

「いいえ、やはり教会でお祈りを捧げたいのです」

この日だけは、家族を思いお祈りを捧げる日。これだけは譲れないのだ。

「フローラは頑固だね。それじゃあ、明日仕事前に教会に置いて行って、仕事が終わったら迎えに行くと言う流れでもいいかな?」

「大丈夫ですわ、ありがとうございます!」


翌日、窓の外を見ると沢山の雪が積もっていた。毎年なぜか私の誕生日には、沢山の雪が降る。アダム様と一緒に朝食を食べた後、教会に行く準備をする。今日は黒のワンピースを着ていく。そして、お母様から貰ったネックレスを身につける。


6歳の誕生日祝いに貰った、ダィーサウ公爵家の紋章を模ったネックレスだ。幸いこのネックレスは、捕まった際没収されなかった。結局ネックレスが形見になってしまったが、何もないよりかはいい。普段は無くさない様に、戸棚の奥にしまってあるが、今日だけは身に付けて行く。これがいつものスタイルだ。

「フローラ、そろそろ行こうか。外はかなり雪が積もっているからね。しっかり温かい格好をしていくのだよ!」

「ええ、しっかり厚着をしましたので大丈夫ですわ!」

ワンピースの上にコートを羽織り、長靴を履きマフラーと帽子、手袋もした。ちなみにアダム様が身につけているマフラーと手袋、帽子は私が誕生日プレゼントであげたものだ。

2人で手を繋いで森を抜け、街へとやって来た。

「それじゃあフローラ、出来るだけ早く迎えに来るからね」

「ええ、気を付けて行ってらっしゃい」

アダム様に口付けをして見送った。そしていつもの様に、教会の奥の部屋で祈りを捧げる。有難い事にこの日だけは、私の為に神父様が教会の一室を開けてくれているのだ。

お父様、お母様、お兄様、お姉様、私は今日で16歳になりました。そして、私にも心から愛する人が出来ました。彼と2人、これから生きていきます。どうか見守っていて下さい。

心の中でそっとそう伝えた。その後も、時間が許す限り祈りを捧げる。この日は昼食も食べず、祈り続ける。どれくらい祈っただろう…日が沈み、辺りが薄暗くなり始めた頃だった。

「フローラ、お待たせ。そろそろ帰ろうか」

やって来たのは、アダム様だ。どうやら仕事を終え、迎えに来てくれた様だ。

「お帰りなさいませ。アダム様。お陰様で今年もしっかりお祈りが出来ましたわ。それでは帰りましょうか」

お祈りを終え、コートを羽織ろうとした時だった。

「フローラ、そのネックレス、少し見せてもらえるかい?」

アダム様が指さしたのは、お母様から貰った形見のネックレスだ。

「これですか?どうぞ」

アダム様にネックレスを手渡した。

「フローラ、これは10年前失脚したダィーサウ公爵家の紋章だ。一体これをどこで手に入れたんだい?」

アダム様はどうしてこの紋章を知っているのかしら?もしかして、アダム様もアペルピスィ王国の人間なのかしら?どうしよう…私が元公爵令嬢という事を伝えてもいいのかしら…

でも、私たちはこれから夫婦になるのだ。隠しておくのも心苦しい。それにアダム様なら、私の過去を丸ごと受け入れてくれる、そんな気がした。

「それは…今から10年前の今日、お母様から誕生日祝いに頂いたものです」

「誕生日にだって…という事は、君は…」

「はい、私の本当の名前は、フローラ・ダィーサウ。10年前無実の罪で捕まった、ダィーサウ公爵家の次女です」
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