助けた青年は私から全てを奪った隣国の王族でした

Karamimi

文字の大きさ
23 / 26

第23話:全てが終わりました!でも…

しおりを挟む
「ハリソン殿下の処分については、また後日話し合う事にしましょう。それでは次ですが…」

「まだあるのか!」

ワードレィズ侯爵の言葉を遮ったのは陛下だ。

「もちろんです!まずはこちらの書類を見て頂けますか?」

そう言って机の上に置いた山の様な書類。

「これは人身売買の記録ではないか!」

「こっちは横領の証拠だ!」

近くにいた貴族たちが、それぞれ書類を手に取り見ている。

「そうです。これは全てフェザー公爵が行った悪事の数々です。フェザー公爵、あなたは随分と悪い事をしていたのですね。まさかここまで悪事を働いていたなんて…」

呆れ顔のワードレィズ侯爵。

「ふざけるな!こんなもの出鱈目だ!」

そう言って書類を破ろうとするフェザー公爵。それを騎士たちが止めに入る。

「10年前ダィーサウ公爵家を陥れ、無実の罪を着せたのもあなたですね。ここにバッチリと証拠が記されていますよ」

そう言うと、さらに書類を机の上に置いた。

「これは…確かに当時ダィーサウ公爵が罪に問われた内容のものだ。でも、中身は…」

皆食い入るように見ている。

決定的証拠を突き付けられたフェザー公爵。これで観念するか…そう思った時だった。

「ああ、そうだよ!ダィーサウ公爵家を陥れ、無実の罪を着せたのは私だ!そもそも、あいつが悪いんだよ。勉学も武術も出来て、さらに国一番の美人と評判の夫人まで手に入れて。そして今度は娘たちのどちらかを、王太子の婚約者になんて話も出て来た。だからあいつには消えてもらったんだよ。処刑場で、惨ったらしく死んでいくあいつとあいつの家族を見た時、胸がスッとしたよ!」

そう吐き捨てた!そんなくだらない理由で、私の大切な家族は殺されたの?そう思ったら、体中から怒りが溢れだすと同時に、涙もとめどなく流れた。もう我慢できない!そう思った瞬間

「貴様!よくもフローラの家族を!そんなくだらない理由で、フローラを地獄に突き落としたのか!許さん!!!」

物凄い勢いでフェザー公爵に殴り掛かるアダム様。そんなアダム様を周りの貴族や騎士たちが必死に止めている。

「放せ!こいつだけは許せない!!」

興奮状態のアダム様を何とかしないと。

「アダム様、落ち着いて下さい。フェザー公爵、お初にお目にかかります。私は10年前、あなたによって地獄に叩き落とされたダィーサウ元公爵家の次女、フローラ・ダィーサウです」

頭から被っていたストールを外した。

「ダィーサウ公爵夫人にそっくりだ…という事は…」

「あなたのせいで私は両親と兄、さらに姉まで失い、ドミスティナ王国でひっそりと生きて参りました。そんな中、アダム様に出会ったのです。きっとこの出会いは運命だったのだと今なら思います。私はあなた様の悪事を暴く為に、この場所にやって参りました!今ここで、家族の無念を晴らしたいと思っております。どうか全ての罪を認め、罪を償ってください!」


溢れる涙を止める事が出来ず、泣きながら訴える形になってしまった。それでも直接本人に伝えられた事は、私によっては良かったと思っている。

「貴様!俺を裁く為にここに来たのか!…その目で俺を睨むのは止めろ…あいつに…あいつに見られている様だ…」

なぜか取り乱し始めるフェザー公爵。

「フェザー公爵を今すぐ地下牢へ連れて行きなさい!」

そう指示を出したのは王妃様だ。うなだれながらも、素直に従うフェザー公爵。

「フローラ嬢と言いましたね。10年前、ろくに調査をせずあなた達家族を無実の罪で裁いてしまった事、本当に申し訳なく思っています。謝っても許される事ではない事は分かっています。それでも謝罪させて下さい。本当に申し訳ございませんでした!」

そう言って頭を下げてくれた王妃様。そしてくるりと向きを変えた。

「陛下、あなたは10年前、ろくに調査もせずダィーサウ公爵とその家族を、無実の罪で命を奪いましたね。さらにフェザー公爵の悪事を10年以上も見過ごしたどころか、あろう事かフェザー公爵を庇っていましたね。その証拠も、ここには記載されています。よって今この場で、陛下を裁判に掛けます。ただし今すぐ国王の座を譲り、金輪際国に関する事から手を引くと言うなら、裁判は見送りたいと思います。でも、私の一存では決められません!他の貴族の方はどう思いますか?賛成の方は挙手を!」

「おい…待ってくれ…私は」

王妃様の言葉を聞き、顔を真っ青にして焦る陛下。そんな陛下を無視し、他の貴族たち全員が挙手をした。

「多数決により可決されました。それでは陛下、ご決断を!」

「…わかった。国王の座は、息子のアダムに譲ろう…それからフローラ嬢、10年前の件、本当にすまなかった。今更許して欲しいとは言えない。でも、せめて謝罪だけでもさせてくれ」

そう言って頭を下げた陛下。フェザー公爵は断罪され、陛下からは謝罪の言葉を貰った。でも…なぜだろう…心が晴れる事はない。

いくら今更謝罪されても、フェザー公爵が断罪されても、両親や兄姉が戻って来る事はないのだ。そう思ったら、無性に泣きたくなった。そして私は、声を殺して泣いた。

全てが終わった。でも、私の心の傷は癒える事はない。その事実を突きつけられたのだ。これから先、私はどうすればいいのだろう…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

虐げられ続けてきたお嬢様、全てを踏み台に幸せになることにしました。

ラディ
恋愛
 一つ違いの姉と比べられる為に、愚かであることを強制され矯正されて育った妹。  家族からだけではなく、侍女や使用人からも虐げられ弄ばれ続けてきた。  劣悪こそが彼女と標準となっていたある日。  一人の男が現れる。  彼女の人生は彼の登場により一変する。  この機を逃さぬよう、彼女は。  幸せになることに、決めた。 ■完結しました! 現在はルビ振りを調整中です! ■第14回恋愛小説大賞99位でした! 応援ありがとうございました! ■感想や御要望などお気軽にどうぞ! ■エールやいいねも励みになります! ■こちらの他にいくつか話を書いてますのでよろしければ、登録コンテンツから是非に。 ※一部サブタイトルが文字化けで表示されているのは演出上の仕様です。お使いの端末、表示されているページは正常です。

完結 白皙の神聖巫女は私でしたので、さようなら。今更婚約したいとか知りません。

音爽(ネソウ)
恋愛
もっとも色白で魔力あるものが神聖の巫女であると言われている国があった。 アデリナはそんな理由から巫女候補に祀り上げらて王太子の婚約者として選ばれた。だが、より色白で魔力が高いと噂の女性が現れたことで「彼女こそが巫女に違いない」と王子は婚約をした。ところが神聖巫女を選ぶ儀式祈祷がされた時、白色に光輝いたのはアデリナであった……

【完結】第一王子の婚約者になりましたが、妃になるにはまだまだ先がみえません!

風見ゆうみ
恋愛
「王族に嫁いだ者は、夫を二人もつ事を義務化とする」  第二王子の婚約者である私の親友に恋をした第三王子のワガママなお願いを無効にするまでのもう一人の夫候補として思い浮かんだのは、私に思いを寄せてくれていた次期公爵。  夫候補をお願いしたことにより第一王子だけでなく次期公爵からも溺愛される事に?!  彼らを好きな令嬢やお姫様達ともひと悶着ありですが、親友と一緒に頑張ります! /「小説家になろう」で完結済みです。本作からお読みいただいてもわかるようにしておりますが、拙作の「身を引いたつもりが逆効果でした」の続編になります。 基本はヒロインが王子と次期公爵から溺愛される三角関係メインの甘めな話です。揺れるヒロインが苦手な方は、ご遠慮下さい。

【完結】公爵子息は私のことをずっと好いていたようです

果実果音
恋愛
私はしがない伯爵令嬢だけれど、両親同士が仲が良いということもあって、公爵子息であるラディネリアン・コールズ様と婚約関係にある。 幸い、小さい頃から話があったので、意地悪な元婚約者がいるわけでもなく、普通に婚約関係を続けている。それに、ラディネリアン様の両親はどちらも私を可愛がってくださっているし、幸せな方であると思う。 ただ、どうも好かれているということは無さそうだ。 月に数回ある顔合わせの時でさえ、仏頂面だ。 パーティではなんの関係もない令嬢にだって笑顔を作るのに.....。 これでは、結婚した後は別居かしら。 お父様とお母様はとても仲が良くて、憧れていた。もちろん、ラディネリアン様の両親も。 だから、ちょっと、別居になるのは悲しいかな。なんて、私のわがままかしらね。

ただ誰かにとって必要な存在になりたかった

風見ゆうみ
恋愛
19歳になった伯爵令嬢の私、ラノア・ナンルーは同じく伯爵家の当主ビューホ・トライトと結婚した。 その日の夜、ビューホ様はこう言った。 「俺には小さい頃から思い合っている平民のフィナという人がいる。俺とフィナの間に君が入る隙はない。彼女の事は母上も気に入っているんだ。だから君はお飾りの妻だ。特に何もしなくていい。それから、フィナを君の侍女にするから」 家族に疎まれて育った私には、酷い仕打ちを受けるのは当たり前になりすぎていて、どう反応する事が正しいのかわからなかった。 結婚した初日から私は自分が望んでいた様な妻ではなく、お飾りの妻になった。 お飾りの妻でいい。 私を必要としてくれるなら…。 一度はそう思った私だったけれど、とあるきっかけで、公爵令息と知り合う事になり、状況は一変! こんな人に必要とされても意味がないと感じた私は離縁を決意する。 ※「ただ誰かに必要とされたかった」から、タイトルを変更致しました。 ※クズが多いです。 ※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。 ※独特の世界観です。 ※中世〜近世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物など、その他諸々は現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。 ※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。

あなたを忘れる魔法があれば

美緒
恋愛
乙女ゲームの攻略対象の婚約者として転生した私、ディアナ・クリストハルト。 ただ、ゲームの舞台は他国の為、ゲームには婚約者がいるという事でしか登場しない名前のないモブ。 私は、ゲームの強制力により、好きになった方を奪われるしかないのでしょうか――? これは、「あなたを忘れる魔法があれば」をテーマに書いてみたものです――が、何か違うような?? R15、残酷描写ありは保険。乙女ゲーム要素も空気に近いです。 ※小説家になろう、カクヨムにも掲載してます

完結 喪失の花嫁 見知らぬ家族に囲まれて

音爽(ネソウ)
恋愛
ある日、目を覚ますと見知らぬ部屋にいて見覚えがない家族がいた。彼らは「貴女は記憶を失った」と言う。 しかし、本人はしっかり己の事を把握していたし本当の家族のことも覚えていた。 一体どういうことかと彼女は震える……

婚約破棄後のお話

Nau
恋愛
これは婚約破棄された令嬢のその後の物語 皆さん、令嬢として18年生きてきた私が平民となり大変な思いをしているとお思いでしょうね? 残念。私、愛されてますから…

処理中です...