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第6話:久しぶりに学院に行きます
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サーラやお母様と話をしたことで、随分と心が軽くなった私は、比較的心穏やかに過ごすことが出来た。
そして今日は、久しぶりに学院に登院するため、制服に袖を通す。
4日休んだだけなのに、なんだか随分と久しぶりな感じがする。
「あの…お嬢様、本当に大丈夫なのですか?学院にはルドルフ様がいらっしゃいます。もしまだ会いたくないとおっしゃるのなら、体調が戻らないという事にして、お休みされてはどうでしょう」
心配そうにマリーが私に話しかけて来た。
実はあの後、マリーにだけはルドルフ様の事を話したのだ。私を毛嫌いしており、私と結婚するなら一生独身を貫いた方がマシだと言われた事を話すと、いつも冷静なマリーが、珍しく顔を真っ赤にして怒っていた。
その為、今日学院に行く事を、随分と心配している様だ。
「ありがとう、マリー。でも大丈夫よ。学院にはサーラもいるし、この4日で随分心も穏やかになったから。それじゃあ、行ってきます」
まだ心配そうな顔をしているマリーに笑顔を向け、部屋から出て馬車に乗り込んだ。なんだか変に緊張してきた。でも、きっと大丈夫。とにかくルドルフ様にあまり関わらない様にしよう。
そんな事を考えているうちに、学院に着いてしまった。深呼吸をし、馬車から降りる。大丈夫よ、きっと大丈夫。
馬車を降りると、目に飛び込んできたのは、何とルドルフ様の姿だ。彼の姿を見た瞬間、胸が締め付けられ、“あんなうるさい女、大嫌いだ。何をどうしたら、俺とあの女が婚約する話になるんだ!あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!”と、吐き捨てた姿がフラッシュバックの様に蘇ったのだ。
何を思ったのか、まっすぐこちらにやって来るルドルフ様。
その時だった。
「ルドルフ様、おはようございます。まだ正門にいらしたのですね。姿が見当たらないので、随分と探しましたのよ」
ルドルフ様の元にやって来たのは、美しい金色の髪を腰まで伸ばし、穏やかな笑みを浮かべた、クレア・シャレスト様だ。侯爵令嬢でもある彼女は、私とは違いお上品で、物腰も柔らかい、令嬢中の令嬢なのだ。
目の前で楽しそうに話しをするクレア様とルドルフ様。きっとルドルフ様も、クレア様の様な令嬢が好きなのだろう。彼女は私と違い、お上品で令嬢らしい人物だから…
周りからも
「あの2人、本当にお似合いですわね。まさに美男美女ですわ」
「本当に絵になりますわね…」
そんな声も聞こえる。確かに2人はとてもお似合いだ。そういえば最近、よくルドルフ様はクレア様と一緒にいる。という事はきっと、2人は15歳になったと同時に、婚約をするのだろう。そうとも知らずに、私ったらずっとルドルフ様に付きまとって。本当にバカね…
一気に涙が溢れそうになる。ダメよ、こんな人目の多いところで泣く訳にはいかない。急いでその場を離れ、校舎裏へとやって来た。
「やっぱりまだ早かったかしら?」
ポロポロと流れる涙を抑える事が出来ずに、1人静かに泣き続ける。すると
「アメリナ嬢?どうしたのだい?いつも元気な君が、こんな所で涙を流しているだなんて」
心配そうに駆け寄ってきたのは、クラスメイトのグリーズ・ファンタム様だ。しまった、クラスメイトに見られてしまったわ。
「あの…何でもありません。ちょっと目にゴミが入っただけで…」
「そんな訳はないよね。はい、ハンカチ。いつも素敵な笑顔を見せている君が泣くだなんて、よほどのことがあったのだろう」
「ありがとうございます…」
グリーズ様からハンカチを受け取り、そっと涙を拭いた。クラスメイトでもある彼に、泣いている姿を見られたことが恥ずかしすぎて、一気に涙も引っ込んでしまった。
「あの…もう私は大丈夫ですので、どうか教室にお戻りください。そろそろ授業が始まりますわ」
涙は止まったものの、今の今までビービー泣いていた私は、目も鼻も真っ赤だろう。さすがにこのままでは、教室には戻れない。
「君1人を置いて、僕だけ教室に戻る訳にはいかないよ。ちょっと待っていてね」
そう言うと、どこかに行ってしまったグリーズ様。しばらくすると、濡れたタオルを持って戻ってきてくれた。
「はい、これで目を冷やすといいよ」
「何から何まで、ありがとうございます」
「気にしなくてもいいよ」
そう言ってグリーズ様が笑顔を見せてくれる。彼が優しい殿方という事は何となく知っていたが、ここまで優しい方だっただなんて…
せっかくなので、濡れたタオルで目を冷やした。冷たくて気持ちいい。しばらく冷やした後、ゆっくりとタオルを外すと、こちらを見ているグリーズン様と目があった。
「随分赤みも引いたね。でも、まだ少し目立つね」
「やっぱりそうですか…私のせいで、授業に間に合わなくなってしまってごめんなさい。先生には私から謝罪しておきますわ」
私のせいで、グリーズ様まで授業を休ませる事になってしまったのだ。しっかり謝罪しないと。そう思ったのだが…
「先生にならさっき、説明してきたから大丈夫だよ。だから安心して、ここで休んでいるといい」
「先生にまで伝えていただいたのですね。ありがとうございます!こんな風に優しくして頂けるだなんて、本当になんとお礼を言っていいか…」
「いいや、気にしなくてもいいよ。君が元気がないと、サーラ嬢が辛そうだからね…あっ、いや、何でもないんだよ!本当に気にしないでくれ」
ん?今サーラ嬢が辛そうだからと言ったわよね。もしかして…
そして今日は、久しぶりに学院に登院するため、制服に袖を通す。
4日休んだだけなのに、なんだか随分と久しぶりな感じがする。
「あの…お嬢様、本当に大丈夫なのですか?学院にはルドルフ様がいらっしゃいます。もしまだ会いたくないとおっしゃるのなら、体調が戻らないという事にして、お休みされてはどうでしょう」
心配そうにマリーが私に話しかけて来た。
実はあの後、マリーにだけはルドルフ様の事を話したのだ。私を毛嫌いしており、私と結婚するなら一生独身を貫いた方がマシだと言われた事を話すと、いつも冷静なマリーが、珍しく顔を真っ赤にして怒っていた。
その為、今日学院に行く事を、随分と心配している様だ。
「ありがとう、マリー。でも大丈夫よ。学院にはサーラもいるし、この4日で随分心も穏やかになったから。それじゃあ、行ってきます」
まだ心配そうな顔をしているマリーに笑顔を向け、部屋から出て馬車に乗り込んだ。なんだか変に緊張してきた。でも、きっと大丈夫。とにかくルドルフ様にあまり関わらない様にしよう。
そんな事を考えているうちに、学院に着いてしまった。深呼吸をし、馬車から降りる。大丈夫よ、きっと大丈夫。
馬車を降りると、目に飛び込んできたのは、何とルドルフ様の姿だ。彼の姿を見た瞬間、胸が締め付けられ、“あんなうるさい女、大嫌いだ。何をどうしたら、俺とあの女が婚約する話になるんだ!あの女と婚約させられるくらいなら、一生独身の方がいい!”と、吐き捨てた姿がフラッシュバックの様に蘇ったのだ。
何を思ったのか、まっすぐこちらにやって来るルドルフ様。
その時だった。
「ルドルフ様、おはようございます。まだ正門にいらしたのですね。姿が見当たらないので、随分と探しましたのよ」
ルドルフ様の元にやって来たのは、美しい金色の髪を腰まで伸ばし、穏やかな笑みを浮かべた、クレア・シャレスト様だ。侯爵令嬢でもある彼女は、私とは違いお上品で、物腰も柔らかい、令嬢中の令嬢なのだ。
目の前で楽しそうに話しをするクレア様とルドルフ様。きっとルドルフ様も、クレア様の様な令嬢が好きなのだろう。彼女は私と違い、お上品で令嬢らしい人物だから…
周りからも
「あの2人、本当にお似合いですわね。まさに美男美女ですわ」
「本当に絵になりますわね…」
そんな声も聞こえる。確かに2人はとてもお似合いだ。そういえば最近、よくルドルフ様はクレア様と一緒にいる。という事はきっと、2人は15歳になったと同時に、婚約をするのだろう。そうとも知らずに、私ったらずっとルドルフ様に付きまとって。本当にバカね…
一気に涙が溢れそうになる。ダメよ、こんな人目の多いところで泣く訳にはいかない。急いでその場を離れ、校舎裏へとやって来た。
「やっぱりまだ早かったかしら?」
ポロポロと流れる涙を抑える事が出来ずに、1人静かに泣き続ける。すると
「アメリナ嬢?どうしたのだい?いつも元気な君が、こんな所で涙を流しているだなんて」
心配そうに駆け寄ってきたのは、クラスメイトのグリーズ・ファンタム様だ。しまった、クラスメイトに見られてしまったわ。
「あの…何でもありません。ちょっと目にゴミが入っただけで…」
「そんな訳はないよね。はい、ハンカチ。いつも素敵な笑顔を見せている君が泣くだなんて、よほどのことがあったのだろう」
「ありがとうございます…」
グリーズ様からハンカチを受け取り、そっと涙を拭いた。クラスメイトでもある彼に、泣いている姿を見られたことが恥ずかしすぎて、一気に涙も引っ込んでしまった。
「あの…もう私は大丈夫ですので、どうか教室にお戻りください。そろそろ授業が始まりますわ」
涙は止まったものの、今の今までビービー泣いていた私は、目も鼻も真っ赤だろう。さすがにこのままでは、教室には戻れない。
「君1人を置いて、僕だけ教室に戻る訳にはいかないよ。ちょっと待っていてね」
そう言うと、どこかに行ってしまったグリーズ様。しばらくすると、濡れたタオルを持って戻ってきてくれた。
「はい、これで目を冷やすといいよ」
「何から何まで、ありがとうございます」
「気にしなくてもいいよ」
そう言ってグリーズ様が笑顔を見せてくれる。彼が優しい殿方という事は何となく知っていたが、ここまで優しい方だっただなんて…
せっかくなので、濡れたタオルで目を冷やした。冷たくて気持ちいい。しばらく冷やした後、ゆっくりとタオルを外すと、こちらを見ているグリーズン様と目があった。
「随分赤みも引いたね。でも、まだ少し目立つね」
「やっぱりそうですか…私のせいで、授業に間に合わなくなってしまってごめんなさい。先生には私から謝罪しておきますわ」
私のせいで、グリーズ様まで授業を休ませる事になってしまったのだ。しっかり謝罪しないと。そう思ったのだが…
「先生にならさっき、説明してきたから大丈夫だよ。だから安心して、ここで休んでいるといい」
「先生にまで伝えていただいたのですね。ありがとうございます!こんな風に優しくして頂けるだなんて、本当になんとお礼を言っていいか…」
「いいや、気にしなくてもいいよ。君が元気がないと、サーラ嬢が辛そうだからね…あっ、いや、何でもないんだよ!本当に気にしないでくれ」
ん?今サーラ嬢が辛そうだからと言ったわよね。もしかして…
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