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13 国王 ~トーマス目線
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~トーマス目線
「トーマス!! どういうことだ! ちゃんと説明しろ!」
父親である国王が怒鳴り散らす。
その顔はまるで赤鬼のように真っ赤にそまり、今にも俺に掴みかかって来そうな勢いだ。
「そうよトーマス!!貴方、一体何を考えているの?! リリアちゃんに婚約破棄を突きつけるなんて!」
母親である王妃は涙を流しながら喚き散らす。
「リリアは私の大切なナタリーを虐めました。そんな女を妻にするわけにはいきません。私はナタリーを王太子妃に望みます」
「バカな事を!!! あのような平民崩れの男爵令嬢など王太子妃にできるわけがないであろう!!」
「トーマス、今ならまだ間に合うわ! リリアちゃんを迎えに行きなさい! 謝ってもう一度婚約を結び直すのです!」
母上、貴女は本当におめでたいな。
父上のリリアに対する海よりも深いほどの劣情に気付かないとは。
俺は知っている。
七年前、俺の婚約者候補として王宮に来たリリアを見る父上の目は10歳の少女を見るそれではなかった。
父上のその目をみたその瞬間、俺は前世の記憶が戻った。
リン! リンだ!
リリアはリンだ。
俺のリン、一瞬でさえ、離れる事のできなかった、俺のリン。
リリアも俺と同じように記憶が戻ったらしい。
リリアの顔を見れば分かる。
当たり前だ、俺とリンは一心同体なのだから。
そのあと、俺とリリアは父上のごり押しで婚約者同士となった。
『ねえ摩周、私たち、結婚するの?』
『トーマスと呼びな? 今の俺の名前だ。俺とリリアは結婚なんかしない』
『そうだよね! でも王さまが結婚しろって言ってるよ? どうするの? ましゅ・・・・トーマス、なんかいい考えがあるの?』
『今は俺もリリアもまだ10歳だ。時間はある。ゆっくり考えよう』
前世の記憶が戻ってからの俺たちは、やはり前世のように離れる事ができなかった。
王宮と伯爵邸で別々に暮らす俺とリリアは、次第に体調が悪くなっていく。
動悸がする、息切れがする、めまいがする、眠れない。
子どもらしく我が儘を言って、何とか三日に一度は会うことができた。
しかしその三日が長い。
俺とリリアはお互いに自分の分身を交換した。
俺は熊のぬいぐるみ、リリアはうさぎのぬいぐるみ。
うさぎのリンを抱きしめて眠る。
リン、リン、リン。
結婚すれば俺とリリアはずっと一緒にいられることはわかっている。
でも、俺たちは結婚なんかしない。
俺は王になどならないし、リリアも王妃になどならない。
ただの摩周と、ただのリンとして共に暮らす。
ずっと手を繋いだまま離さない。
前世のように、一緒に寝て、一緒に起きて、一緒に食べて、また一緒に眠る。
それが俺とリリアの願いだ。
「トーマス!! 聞いているのか!! あのような汚ならしい女にうつつを抜かすなど、何を考えている! 今すぐリリアを連れ戻せ! さもなくばお前は廃嫡だ!」
廃嫡?予定通りだ。
本当に単純な男だな、父上は。
「廃嫡は構いませんが、リリアを連れ戻す事はできません。彼女はレオナルド・ボンディング公爵の婚約者となりましたから」
「な・・・・なんだと! お前、どういうつもりだ! あのような恐ろしい男の元へリリアを嫁がせるなど! ああ、かわいそうなリリア・・・・・・ ええい! もうよい! 儂が自ら連れ戻してくれる!!」
は! できるわけがないだろう?
ボンディング公爵家は、敵対する隣国から我が国を守るため、西側の広大な領地を治めている。
敵に回せば、いくら王家といえど無事では済まない。
このアレキサンドラ王国と隣国とボンディング家の三つ巴の戦争が始まってしまう。
「ボンディング公爵家を敵に回すことは得策ではありません」
「ぐぬぬぬ」
馬鹿が。お前は本当に馬鹿だな。
せいぜい悔しがれ、マサヤ。
リリアは今度こそ殺させない。
────────────────────
14 受け入れてくれるか
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「トーマス!! どういうことだ! ちゃんと説明しろ!」
父親である国王が怒鳴り散らす。
その顔はまるで赤鬼のように真っ赤にそまり、今にも俺に掴みかかって来そうな勢いだ。
「そうよトーマス!!貴方、一体何を考えているの?! リリアちゃんに婚約破棄を突きつけるなんて!」
母親である王妃は涙を流しながら喚き散らす。
「リリアは私の大切なナタリーを虐めました。そんな女を妻にするわけにはいきません。私はナタリーを王太子妃に望みます」
「バカな事を!!! あのような平民崩れの男爵令嬢など王太子妃にできるわけがないであろう!!」
「トーマス、今ならまだ間に合うわ! リリアちゃんを迎えに行きなさい! 謝ってもう一度婚約を結び直すのです!」
母上、貴女は本当におめでたいな。
父上のリリアに対する海よりも深いほどの劣情に気付かないとは。
俺は知っている。
七年前、俺の婚約者候補として王宮に来たリリアを見る父上の目は10歳の少女を見るそれではなかった。
父上のその目をみたその瞬間、俺は前世の記憶が戻った。
リン! リンだ!
リリアはリンだ。
俺のリン、一瞬でさえ、離れる事のできなかった、俺のリン。
リリアも俺と同じように記憶が戻ったらしい。
リリアの顔を見れば分かる。
当たり前だ、俺とリンは一心同体なのだから。
そのあと、俺とリリアは父上のごり押しで婚約者同士となった。
『ねえ摩周、私たち、結婚するの?』
『トーマスと呼びな? 今の俺の名前だ。俺とリリアは結婚なんかしない』
『そうだよね! でも王さまが結婚しろって言ってるよ? どうするの? ましゅ・・・・トーマス、なんかいい考えがあるの?』
『今は俺もリリアもまだ10歳だ。時間はある。ゆっくり考えよう』
前世の記憶が戻ってからの俺たちは、やはり前世のように離れる事ができなかった。
王宮と伯爵邸で別々に暮らす俺とリリアは、次第に体調が悪くなっていく。
動悸がする、息切れがする、めまいがする、眠れない。
子どもらしく我が儘を言って、何とか三日に一度は会うことができた。
しかしその三日が長い。
俺とリリアはお互いに自分の分身を交換した。
俺は熊のぬいぐるみ、リリアはうさぎのぬいぐるみ。
うさぎのリンを抱きしめて眠る。
リン、リン、リン。
結婚すれば俺とリリアはずっと一緒にいられることはわかっている。
でも、俺たちは結婚なんかしない。
俺は王になどならないし、リリアも王妃になどならない。
ただの摩周と、ただのリンとして共に暮らす。
ずっと手を繋いだまま離さない。
前世のように、一緒に寝て、一緒に起きて、一緒に食べて、また一緒に眠る。
それが俺とリリアの願いだ。
「トーマス!! 聞いているのか!! あのような汚ならしい女にうつつを抜かすなど、何を考えている! 今すぐリリアを連れ戻せ! さもなくばお前は廃嫡だ!」
廃嫡?予定通りだ。
本当に単純な男だな、父上は。
「廃嫡は構いませんが、リリアを連れ戻す事はできません。彼女はレオナルド・ボンディング公爵の婚約者となりましたから」
「な・・・・なんだと! お前、どういうつもりだ! あのような恐ろしい男の元へリリアを嫁がせるなど! ああ、かわいそうなリリア・・・・・・ ええい! もうよい! 儂が自ら連れ戻してくれる!!」
は! できるわけがないだろう?
ボンディング公爵家は、敵対する隣国から我が国を守るため、西側の広大な領地を治めている。
敵に回せば、いくら王家といえど無事では済まない。
このアレキサンドラ王国と隣国とボンディング家の三つ巴の戦争が始まってしまう。
「ボンディング公爵家を敵に回すことは得策ではありません」
「ぐぬぬぬ」
馬鹿が。お前は本当に馬鹿だな。
せいぜい悔しがれ、マサヤ。
リリアは今度こそ殺させない。
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