【本編完結】二度も殺されたくないので最強魔王になりました

ましろはるき

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三章

43 快楽地獄

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「――この世界に招かれたプレイヤーは、神から特別な力を授かっている。それは元来のアルティメット・ドラゴンには存在しなかった力だ。チート、というものらしい」

〔召喚〕〔魅了〕〔叡智〕などなど。プレイヤーによってその能力は異なる。

「喰らった相手の力を手に入れる能力を持つ者も過去にいたが……貴様のように、性行為で能力を得る者ははじめて見た」

 ギルディラースの言葉が頭に入ってこない。うねうねとした触手を持つ魔物に嬲られていて、話を聞くどころではない。

「やっ、あ、ああ……っ!」

 蝋燭の光がゆらめく、魔王城の牢獄で。俺はギルディラースがけしかけた魔物に襲われていた。――性的な意味で。

「やっ! くっ……やあ、……あああっ!」

 魔物に犯されるなんて、ついに人権なくなったな。まあ最初からなかったけど。
 今俺を襲っているのはヘルローパーという名の魔物。半透明のイソギンチャクのような姿で、全身に触手が生えている。ヘルローパーは複数の触手で俺の体中をまさぐり、絡みついている。

「や、やらぁ……、やめ、ろ……んあああ……っ!」

 魔境にいるせいで力が入らないのに、その上この魔物は獲物を麻痺させる能力を持っている。逆らうどころか、ろれつが回らず悪態すらつけない。

「ふふ。中々に愛らしい。貴様のチートが〔収集〕でなければ、我自ら可愛がってやってもよかったのだがなあ」

 牢の外側から俺を見下しているギルディラースは、嫌になるぐらい整った顔立ちに悠然と笑みを浮かべていた。

「さて。まだ我の奴隷になる気はないか?」

 嬲られながらも毅然と睨み返す俺に、ギルディラースは肩をすくめる。

「おやおや、勇ましいことだ。強制的に隷属させるには、もう少し精神的に弱ってもらわねばならぬからな……せいぜい抗うがいい」
「……っ!」


 それから日付の感覚がなくなるまで。触手に嬲られまくる日々が続いた。
 食事など、生命を維持する最低限の世話はされる。それ以外は気を失うまで責められて、目を覚ませば再び嬲られる。絶頂に次ぐ絶頂。抗うこともできず、地獄の快楽に溺れ続ける。

「――さて。そろそろ我に隷属する気になったかな?」

 ふと気がつくと、俺は柔らかなベッドに寝かされていた。薄暗くて不衛生な牢獄の床ではない。魔物の粘液でベタベタになっていた体も清められている。
 横たわる俺を見下ろしているのは、ギルディラースだった。

「我に忠誠を誓うならば、それなりの待遇を約束しよう。――もう檻の中には戻りたくないだろう?」

 ギルディラースは優しく諭すように囁きかける。真紅の瞳はほのかに光を帯びて、怪しく輝いている。ギルディラースの赤い瞳から、目を逸らせない。

「望みがあれば叶えてやる。この我が直々に抱いて、愛でてやってもいい」

 自らの美貌の価値を知っている。そしてその使い方も。ギルディラースは俺を抱き起こし、優しく抱きしめた。
 
「さあ、言え。我に忠誠を誓うと」
「あ……ああ……忠、誠……を――」

 散々にいたぶった後で甘やかす。飴と鞭だ。俺はギルディラースの胸元に震える手を伸ばす。相変わらずゴテゴテとした宝飾品を身に纏っている。魔王様は相当のお金持ちらしい。
 このままギルディラースに忠誠を誓ったら。ギルディラースは大切な道具である俺を悪いようには扱わないだろう。俺の望みを叶えるとまで言った。
 俺の望みは、復讐を遂げること。それを叶えてくれるなら忠誠を誓ってもいいかもしれない――なんて。この俺が思うはずない。

「誓うわけねえだろ!」

 渾身の力を込めてギルディラースの首飾りを握りしめる。その瞬間、周辺が清浄な光で満ち溢れた。
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