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第2章 最初のお供は犬耳のアイツ
2-2 悪役令嬢のロストマジック
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むかぁし、むかし……からちょっとだけ時間が進み、ちょうど朝日が昇ったころ。
とある森の中で、桃太郎と犬耳魔法少女は朝食を摂っていました。
「それで? その鬼神とやらをやっつけるために、私たちはどこへ行けばいいの?」
そう俺に問いかけてきたのは、昨晩に異国から転移装置でここへ飛ばされてきたルナだ。
元公爵令嬢であるはずの彼女はたき火の前の地べたに座り、朝ごはんのオニギリを素手でムシャムシャと食べている。
ちなみにこれで10個目。
彼女のロリ体型――本人曰く、俺と同じ18歳で成人しているらしい――のどこにそんな大量の食事が入っていくのか……不思議だ。
「そんなジト目で見ないでよ。あのね? 魔法使いっていうのは魔力を使うと、と~ってもお腹が空くの。特に私みたいな大魔法使いには、たくさんの美味しい食事が必要になるのよ! むぐむぐむぐ。あ、こっちのお肉入り美味しいわね。……だからこれは必要経費と言っても過言じゃないわ! ごくごくごく。このお茶美味しい!!」
あぁ……俺が前日のうちから頑張ってイチから作った特製の緑茶が……。
目の前の食いしん坊ワンコは他人の苦労なんて知らずに、なんの感慨もなく喉を勢いよく鳴らしながらコクコクと一気に飲み干している。
……白く細い喉と口元からこぼれるお茶の筋が朝から情欲をそそっていて、お腰につけた俺の相棒が目覚めてしまいそうだ。
「……まぁ、いいか。取り敢えず、ルナの魔法の威力は昨夜のアレで良く分かった。メシが必要なのも百歩譲ろう」
「やったぁ!! その漢気、カッコ良くて好きよ!!」
「ぐっ……男に簡単に好きとか言いやがって。ってそうじゃねぇ。お前、本当に俺についてくるのか? 伝説の英雄と呼ばれたジジイとババアですら、襲ってきた鬼人どもに殺られたんだぞ? いくら魔法が使えるつったって、死ぬ可能性はかなり高ェぞ……」
あのヨボヨボなジジイですら、結局俺はただの一度も勝てなかったんだ。
そしてそのジジイも、本気を出したババアは一捻りで倒していた。
この世界で最強クラスの二人が揃っていても勝てない相手を殺しに行くからには、こっちも無事で済むなんて甘ェ考えは俺でもできやしねぇ。
だからわざわざ死ぬかもしれない危険な旅についていく必要はルナには無いんだ。
「分かってるわ。その二人のことは私がいたフォークロア王国でも有名だったもの。でも私だって【妖狐の尻尾】と呼ばれた英雄達の一人、【刻の支配者】の子孫なのよ。どう? 勇者の後継者が仲間にするなら、私はまさにうってつけでしょ?」
「ま、マジでか!? いくつもの小国家群を滅ぼしたといわれる八又竜を、まるで時間を止めたかのように一瞬で氷像に変えたっていう、あの大魔法使いがルナの先祖なのか……!?」
フォークロアの国の名前は知らなくても、伝説の英雄達の冒険譚はどの村のガキたちだって知っているし、自分もなりてぇって憧れもしたもんだ。
まさかあのおとぎ話がマジモンの話で、その証人が目の前に立っているだなんて……。
「そうよ! 私のお婆様は氷魔法の使い手だったの。その件で一躍有名になったお婆様は、かの勇者パーティに勧誘されて【妖狐の尻尾】入りしたのよ。すごいでしょ!」
腕を組んでフフフン、と自慢げに話しているが、残念ながら彼女のロリボディでは胸の谷間はつくれない。
ただ……その愛くるしさにやられて、ついルナの頭をわしわしと撫でたくなる。
もし俺にこんな妹がいたら、こんな風に可愛がっていたのかもしれないな。
「……と、いうわけで。その鬼神を討伐すれば私も一躍英雄よ! 勇者の再来だって認められれば、大手を振って祖国に帰れるわ! だから私にとっても、テイローについていくのは必要なことなの。ね? お願い、旅のお供として連れていって!」
確かに今のまま彼女が自分の国に戻ったとしても、帰る家や頼れる家族は居ないかもな。
恐らく聖女のいる教会の追手に捕まって、最悪の場合は拷問されて処刑だな。
元とはついても、貴族としての自尊心があるんだろう。
ホイホイと大人しく殺されるくらいなら、多少の死ぬ危険を背負ってでも偉業を達成して堂々と胸を張って帰りたいと願うのは当然か。
ただまぁ……鬼を爆殺する魔法使いって、俺のイメージする公爵令嬢とはかけ離れているけど。
「分かった。そういうことなら俺と一緒に鬼人のクソ共をぶっ殺しに行こうぜ。風の噂によりゃあ鬼人たちはこの山を越え、海を渡った先の鬼之島って場所に潜んでいるっつー話だ。俺とお前でいっちょ島に乗り込んで、鬼神ごとヤツらを根絶やしにしてやるか!」
「いいわね、そうこなくっちゃ! よーし、それじゃあ張り切ってオーガどもを爆散させてやるわよ!!」
そう言って服と同じ漆黒の短杖をビュンビュンとやる気満々に振りかざすルナ。
なんか格闘戦みたいな動きをしたり杖先から火花が飛んだりしてるけど、それ魔法用だよね?
爆殺じゃなくて撲殺しそうなんですけど??
どんどんヒートアップしていく彼女とは対照的に、若干半眼になりながら食後の緑茶を啜る俺。
やっぱり一人の方が……この旅は安全で気楽だったかも……。
「私の炎上魔法でありとあらゆるヤツを燃やし尽くすわよ! 災厄の魔女と言われた所以を分からせてあげる!」
「いや、あの……炎上とか災厄とかってただの悪口じゃ」
「禁忌とされるロストマジックだって得意なんだから! 見ててね、『ジョセ=イーサ=ベッツ』!!」
「お、おいっ!? それはなんか凄くマズい気がする!!」
――ポンッ!
「……あん? なんだ、コレ??」
禁忌の魔法と言って杖の先から出てきたのは、周囲を焼け野原にする極大魔法……ではなく。
間の抜けた効果音と、こぶし大の緑色をした炎の塊が飛び出して、たき火の中にポロンと落ちた。
「あ、あれ? おかしいなぁ。昨日使った魔法で魔力がまだ回復してないのかも。エヘヘヘ」
頭をコテンと倒して照れ笑いを浮かべるルナ。
髪と同じ金色をした、ふわふわと柔らかそうな犬耳が垂れていてなんとも可愛らしい。
「まぁ危ない魔法が『ボボッ』出てこなくて『ボボボボ』良かったぜ」
「ねー!! まったく『ボボボッ』我が魔法ながら『ボボボボ!』危なかったわ」
「まったく『ボボボボ!』また山を吹っ飛ばされたりしたら『ボボボボボッ?』……あの、ルナさん? この炎、全然消える気配が無いどころか大きくなってない? え? これってどうやったら消えんの?」
俺の見間違えでなければ、ルナの生み出した小さな種火はさっきから凄い勢いでたき火の炎を飲み込んでどんどんと巨大化していっている気がする。
いや、もう緑色の炎をしている時点でどう考えて勘違いなんかではないと思う。
っていうかメチャクチャ熱いな!?
「あは、あははは。実は……この魔法ね? ずっと燃え続ける特性があるの」
「……は? ずっとって? どれくらい、ずっと?」
「だからずーっとだよ。それはもう、永遠に。えへへ、すごいでしょ!?」
――スパァーン!!
「いったぁい!!」
「だから! お前は!! なんでっ! そんな危険な魔法をそうやってホイホイと!!」
可愛い発言は取り消しだこのお馬鹿め!!
とんでもない魔法を出しておいて「えへへ」で済むわけ無いだろうが!
文句があるのはこっちの方だ、この馬鹿ワンコが!!
ババァ特製のハリセンでアホ娘の頭に制裁を加える。
ちなみにこのハリセンは攻撃力は皆無だが、攻撃対象のどんな防御も無視して衝撃を与えるらしい。
そういえば、村の女に色目を使ったジジイが何度かババァの一撃で家の外まで吹っ飛ばされていたっけ。
懐かしい家族の思い出を脳裏に浮かべながら、目の前の惨状を引き起こした犯人の危ない思考回路をペシペシ叩いて修正する。
「やあっ、やめてよっ! 痛っ、痛くはないけどっ!」
「大丈夫、大丈夫。こうやって続けていけばいつかちゃんと映るから」
「ちょっ! 映像を流す古代秘宝じゃないんだからぁっ!
あうぅ……ごめんなさぁい~!!」
そんなことをやっている間にも、最初は小さな火だった魔法はたき火よりも大きくなって轟々と炎を立て始めている。
そして周囲に置いていた肉やオニギリが巻き込まれ、パチパチと音を立てて燃えていってしまった。
「おいおい! これ、早く解除しろよ! もちろん、解除魔法もあるんだよな!?」
「えっ? あっ、うん。あるにはあるんだけど……」
あるならさっさと消火しねぇと、この山がハゲ山になっちまう!!
さぁ、さっさと解除してくれ!
だけどルナはと言えば、気まずそうな顔でテヘペロを決めていた。あざと可愛い。
「ん? だけど、なんだ?」
「お師匠様に教えてもらう前に追放されちゃった♪」
――スパパパァアン!!
「あぶっ!?」という女性らしからぬ奇声を上げながら、ルナはハリセンで森の中に弧を描きながら吹っ飛んでいった。
あ、黒いドレスの中の蠱惑的なえっちぃ下着が見えた。
いや、俺的に見た目にそぐわない下着よりも細すぎず太すぎない健康的なおみ足の方がそそるけど。
その点、ルナの足は幼いながら完璧だ。
シミのない、白くてムチムチしたつきたての餅のような太ももは是非頬ずりしてみたい。
「ちょっとぉー! か弱い女の子を吹っ飛ばしておいて何を鼻伸ばしてるのよー!!」
おっと、そんなことよりもこの迷惑極まりないクソ魔法を一刻も早くどうにかしないと。
せっかくの綺麗な漆黒のドレスを、木の葉や枝だらけにしてガゥガゥ吠えているルナは取り敢えず放置だ。
試しに汲んでおいた水や辺りの土を被せてみても一向に消える気配がない。
むしろ、周りの枯れ葉や小枝を巻き込んでどんどんと延焼し始めている。
マズい……このままでは辺りは火の燃え盛る山になってしまう……。
「アカン……消火の方法がまるで思いつかない……」
「ごめんなさい、まさかこんなことになるなんて……」
もう途方に暮れるしかなくなってしまった俺とルナ。
二人して緑色をしたたき火の前でぼーっと立ち尽くす。
「……ん?」
「どうしたの、テイロー?」
「いや、どうやら狼どもがこの騒ぎに釣られてやってきちまったようだ」
どうやら昨日の山を爆破した魔法で住処を追いやられたケモノがこっちまできたみたいだ。
『アオォォオオオン』
『ギャギャギャギャ!!』
「あれ? なんか鬼人の声までするんですけど」
「ちょっとぉぉおおお!?」
……さぁ、さっそくルナの実践。そして桃太郎の初めての鬼人戦が始まるところです。
めでたし、めでたし?
「「めでたくなんてなぁぁあい!!」」
とある森の中で、桃太郎と犬耳魔法少女は朝食を摂っていました。
「それで? その鬼神とやらをやっつけるために、私たちはどこへ行けばいいの?」
そう俺に問いかけてきたのは、昨晩に異国から転移装置でここへ飛ばされてきたルナだ。
元公爵令嬢であるはずの彼女はたき火の前の地べたに座り、朝ごはんのオニギリを素手でムシャムシャと食べている。
ちなみにこれで10個目。
彼女のロリ体型――本人曰く、俺と同じ18歳で成人しているらしい――のどこにそんな大量の食事が入っていくのか……不思議だ。
「そんなジト目で見ないでよ。あのね? 魔法使いっていうのは魔力を使うと、と~ってもお腹が空くの。特に私みたいな大魔法使いには、たくさんの美味しい食事が必要になるのよ! むぐむぐむぐ。あ、こっちのお肉入り美味しいわね。……だからこれは必要経費と言っても過言じゃないわ! ごくごくごく。このお茶美味しい!!」
あぁ……俺が前日のうちから頑張ってイチから作った特製の緑茶が……。
目の前の食いしん坊ワンコは他人の苦労なんて知らずに、なんの感慨もなく喉を勢いよく鳴らしながらコクコクと一気に飲み干している。
……白く細い喉と口元からこぼれるお茶の筋が朝から情欲をそそっていて、お腰につけた俺の相棒が目覚めてしまいそうだ。
「……まぁ、いいか。取り敢えず、ルナの魔法の威力は昨夜のアレで良く分かった。メシが必要なのも百歩譲ろう」
「やったぁ!! その漢気、カッコ良くて好きよ!!」
「ぐっ……男に簡単に好きとか言いやがって。ってそうじゃねぇ。お前、本当に俺についてくるのか? 伝説の英雄と呼ばれたジジイとババアですら、襲ってきた鬼人どもに殺られたんだぞ? いくら魔法が使えるつったって、死ぬ可能性はかなり高ェぞ……」
あのヨボヨボなジジイですら、結局俺はただの一度も勝てなかったんだ。
そしてそのジジイも、本気を出したババアは一捻りで倒していた。
この世界で最強クラスの二人が揃っていても勝てない相手を殺しに行くからには、こっちも無事で済むなんて甘ェ考えは俺でもできやしねぇ。
だからわざわざ死ぬかもしれない危険な旅についていく必要はルナには無いんだ。
「分かってるわ。その二人のことは私がいたフォークロア王国でも有名だったもの。でも私だって【妖狐の尻尾】と呼ばれた英雄達の一人、【刻の支配者】の子孫なのよ。どう? 勇者の後継者が仲間にするなら、私はまさにうってつけでしょ?」
「ま、マジでか!? いくつもの小国家群を滅ぼしたといわれる八又竜を、まるで時間を止めたかのように一瞬で氷像に変えたっていう、あの大魔法使いがルナの先祖なのか……!?」
フォークロアの国の名前は知らなくても、伝説の英雄達の冒険譚はどの村のガキたちだって知っているし、自分もなりてぇって憧れもしたもんだ。
まさかあのおとぎ話がマジモンの話で、その証人が目の前に立っているだなんて……。
「そうよ! 私のお婆様は氷魔法の使い手だったの。その件で一躍有名になったお婆様は、かの勇者パーティに勧誘されて【妖狐の尻尾】入りしたのよ。すごいでしょ!」
腕を組んでフフフン、と自慢げに話しているが、残念ながら彼女のロリボディでは胸の谷間はつくれない。
ただ……その愛くるしさにやられて、ついルナの頭をわしわしと撫でたくなる。
もし俺にこんな妹がいたら、こんな風に可愛がっていたのかもしれないな。
「……と、いうわけで。その鬼神を討伐すれば私も一躍英雄よ! 勇者の再来だって認められれば、大手を振って祖国に帰れるわ! だから私にとっても、テイローについていくのは必要なことなの。ね? お願い、旅のお供として連れていって!」
確かに今のまま彼女が自分の国に戻ったとしても、帰る家や頼れる家族は居ないかもな。
恐らく聖女のいる教会の追手に捕まって、最悪の場合は拷問されて処刑だな。
元とはついても、貴族としての自尊心があるんだろう。
ホイホイと大人しく殺されるくらいなら、多少の死ぬ危険を背負ってでも偉業を達成して堂々と胸を張って帰りたいと願うのは当然か。
ただまぁ……鬼を爆殺する魔法使いって、俺のイメージする公爵令嬢とはかけ離れているけど。
「分かった。そういうことなら俺と一緒に鬼人のクソ共をぶっ殺しに行こうぜ。風の噂によりゃあ鬼人たちはこの山を越え、海を渡った先の鬼之島って場所に潜んでいるっつー話だ。俺とお前でいっちょ島に乗り込んで、鬼神ごとヤツらを根絶やしにしてやるか!」
「いいわね、そうこなくっちゃ! よーし、それじゃあ張り切ってオーガどもを爆散させてやるわよ!!」
そう言って服と同じ漆黒の短杖をビュンビュンとやる気満々に振りかざすルナ。
なんか格闘戦みたいな動きをしたり杖先から火花が飛んだりしてるけど、それ魔法用だよね?
爆殺じゃなくて撲殺しそうなんですけど??
どんどんヒートアップしていく彼女とは対照的に、若干半眼になりながら食後の緑茶を啜る俺。
やっぱり一人の方が……この旅は安全で気楽だったかも……。
「私の炎上魔法でありとあらゆるヤツを燃やし尽くすわよ! 災厄の魔女と言われた所以を分からせてあげる!」
「いや、あの……炎上とか災厄とかってただの悪口じゃ」
「禁忌とされるロストマジックだって得意なんだから! 見ててね、『ジョセ=イーサ=ベッツ』!!」
「お、おいっ!? それはなんか凄くマズい気がする!!」
――ポンッ!
「……あん? なんだ、コレ??」
禁忌の魔法と言って杖の先から出てきたのは、周囲を焼け野原にする極大魔法……ではなく。
間の抜けた効果音と、こぶし大の緑色をした炎の塊が飛び出して、たき火の中にポロンと落ちた。
「あ、あれ? おかしいなぁ。昨日使った魔法で魔力がまだ回復してないのかも。エヘヘヘ」
頭をコテンと倒して照れ笑いを浮かべるルナ。
髪と同じ金色をした、ふわふわと柔らかそうな犬耳が垂れていてなんとも可愛らしい。
「まぁ危ない魔法が『ボボッ』出てこなくて『ボボボボ』良かったぜ」
「ねー!! まったく『ボボボッ』我が魔法ながら『ボボボボ!』危なかったわ」
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俺の見間違えでなければ、ルナの生み出した小さな種火はさっきから凄い勢いでたき火の炎を飲み込んでどんどんと巨大化していっている気がする。
いや、もう緑色の炎をしている時点でどう考えて勘違いなんかではないと思う。
っていうかメチャクチャ熱いな!?
「あは、あははは。実は……この魔法ね? ずっと燃え続ける特性があるの」
「……は? ずっとって? どれくらい、ずっと?」
「だからずーっとだよ。それはもう、永遠に。えへへ、すごいでしょ!?」
――スパァーン!!
「いったぁい!!」
「だから! お前は!! なんでっ! そんな危険な魔法をそうやってホイホイと!!」
可愛い発言は取り消しだこのお馬鹿め!!
とんでもない魔法を出しておいて「えへへ」で済むわけ無いだろうが!
文句があるのはこっちの方だ、この馬鹿ワンコが!!
ババァ特製のハリセンでアホ娘の頭に制裁を加える。
ちなみにこのハリセンは攻撃力は皆無だが、攻撃対象のどんな防御も無視して衝撃を与えるらしい。
そういえば、村の女に色目を使ったジジイが何度かババァの一撃で家の外まで吹っ飛ばされていたっけ。
懐かしい家族の思い出を脳裏に浮かべながら、目の前の惨状を引き起こした犯人の危ない思考回路をペシペシ叩いて修正する。
「やあっ、やめてよっ! 痛っ、痛くはないけどっ!」
「大丈夫、大丈夫。こうやって続けていけばいつかちゃんと映るから」
「ちょっ! 映像を流す古代秘宝じゃないんだからぁっ!
あうぅ……ごめんなさぁい~!!」
そんなことをやっている間にも、最初は小さな火だった魔法はたき火よりも大きくなって轟々と炎を立て始めている。
そして周囲に置いていた肉やオニギリが巻き込まれ、パチパチと音を立てて燃えていってしまった。
「おいおい! これ、早く解除しろよ! もちろん、解除魔法もあるんだよな!?」
「えっ? あっ、うん。あるにはあるんだけど……」
あるならさっさと消火しねぇと、この山がハゲ山になっちまう!!
さぁ、さっさと解除してくれ!
だけどルナはと言えば、気まずそうな顔でテヘペロを決めていた。あざと可愛い。
「ん? だけど、なんだ?」
「お師匠様に教えてもらう前に追放されちゃった♪」
――スパパパァアン!!
「あぶっ!?」という女性らしからぬ奇声を上げながら、ルナはハリセンで森の中に弧を描きながら吹っ飛んでいった。
あ、黒いドレスの中の蠱惑的なえっちぃ下着が見えた。
いや、俺的に見た目にそぐわない下着よりも細すぎず太すぎない健康的なおみ足の方がそそるけど。
その点、ルナの足は幼いながら完璧だ。
シミのない、白くてムチムチしたつきたての餅のような太ももは是非頬ずりしてみたい。
「ちょっとぉー! か弱い女の子を吹っ飛ばしておいて何を鼻伸ばしてるのよー!!」
おっと、そんなことよりもこの迷惑極まりないクソ魔法を一刻も早くどうにかしないと。
せっかくの綺麗な漆黒のドレスを、木の葉や枝だらけにしてガゥガゥ吠えているルナは取り敢えず放置だ。
試しに汲んでおいた水や辺りの土を被せてみても一向に消える気配がない。
むしろ、周りの枯れ葉や小枝を巻き込んでどんどんと延焼し始めている。
マズい……このままでは辺りは火の燃え盛る山になってしまう……。
「アカン……消火の方法がまるで思いつかない……」
「ごめんなさい、まさかこんなことになるなんて……」
もう途方に暮れるしかなくなってしまった俺とルナ。
二人して緑色をしたたき火の前でぼーっと立ち尽くす。
「……ん?」
「どうしたの、テイロー?」
「いや、どうやら狼どもがこの騒ぎに釣られてやってきちまったようだ」
どうやら昨日の山を爆破した魔法で住処を追いやられたケモノがこっちまできたみたいだ。
『アオォォオオオン』
『ギャギャギャギャ!!』
「あれ? なんか鬼人の声までするんですけど」
「ちょっとぉぉおおお!?」
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