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第4章 鬼之島へ
4-3 差し始めた光明。
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むかーし、むかーし。
とある洞窟の中で、桃太郎たち一行は謎の釣り人、太郎の振る舞う刺身料理に舌鼓を打っていました。
食事を通して太郎と和解した桃太郎は、鬼乃島へ渡る方法を尋ねます。
その道は通ることすら困難を極めると説得され、他に方法も見当たらない彼らは途方に暮れていました。
しかし桃太郎の腰に下げていたおじいさんたちの形見、鬼神封印の宝玉を見た太郎はとある案を思いついたようで……?
◇
「これも神さんの思し召しかもしれんなァ。……キミ、桃太郎いうたよな? もし……もしやで? ワイが鬼神を倒せる方法を教えるっちゅうたら……試す気、あるか?」
暗がりの洞窟の中で、真面目な声色でそう聞いてきた太郎。
さっきまでのヘラヘラとしていた態度はすっかり形を潜め、神妙な表情をしている。
俺より格段に強えぇコイツが、マジでそう言っているなら鬼乃島へ渡ることは可能なのだろう。だがしかし、それと同時にそれが容易いことではないと俺も察してしまった。
かといって、俺はジジイたちの仇を諦める気は毛頭ない。
「俺はどんな困難だろうと、あのフザケた神を殺せるんっていうなら乗る意思はあるぜ。それはたとえ俺が死ぬ可能性があったとしても、だ」
「わ、私も勿論テイローについて行くわよ!? 英雄になって堂々と国に帰るんだから! ……そ、それに私がついていないと、テイローは無茶するだろうし」
「ボクだって手伝うよ! だって、桃にぃたちはボクの家族なんだから!」
「ルナ……リン。お前ら……」
個人的な復讐にルナたち女子どもを付き合わせるなんて男の風上にも置けないが、俺としても二人がいてくれた方が心強い。それに俺だってコイツらのことをもはや一心同体、家族同然だと思っているからな。
まだ出会って間もないが、お互いの命を預けあってここまで来たんだ。信頼だって相当なモンだぜ。
「んなははは、そうか。家族やねんなキミらは。えぇなぁ……家族か。ほな、しっかりワイが生きて鬼乃島から帰ってこれるように助けてやらなあかんなぁ」
「ってことは……!?」
「あぁ、任せとき。ワイが鬼乃島に行く方法を教えちゃるわ! ただし、死ぬ危険が高いことには変わりあらへんで? ……それでもやるか?」
俺たちはお互いの顔を見合わせ、同時に頷いた。
「「「もちろん!」」」
俺たちの息の揃った返事に、満足そうにニッコリと笑顔で返す太郎。
どんな難題だろうと、俺たちなら乗り越えてみせるぜ!
「よし、ならキミぃら……陸に戻りや!!」
「「「……はっ?」」」
なにを笑顔でふざけたことを……!?
「おいおい。そりゃあいったい、どういうことだよ!?」
「そうよ! ここまで苦労して来たのに、陸に戻れなんて酷いじゃない!!」
「ボクたちじゃダメってことなんですか……?」
コイツ、やっぱり俺たちのことからかって遊んでいるだけなんじゃねぇのか!?
どうせ最初から鬼之島に行かせる気なんて無かったんだろう。
「おい、二人とも。これ以上ここに居ても無駄だったようだぜ。さっさと行こう」
「ちょいちょい! ちょっと待ちぃや。話は最後まで聞いてからでも帰るのは遅うないやろ!?」
「せっかちは損するんやで?」と立ち上がろうとしていた俺たちの服を掴んで引き留める太郎。
「なんだよ、勿体ぶりやがって。理由があるならさっさと言えっての」
「ひどっ!? こっちは知りたいっちゅうから親切で教えるんやで!? それに陸に戻れ言うたんはちゃんとした理由があってのことや! 意地悪なんかとちゃうわ!」
理由? 鬼之島に渡るのに陸に戻る必要っていったい何なんだ……?
ルナもリンも分からないようで、お互いに顔を見合わせてから一緒に首を傾げていた。
「さっきも言った通り、いくらキミらが強い言うても今のまま渡ろうとしても無理や。せやからワイも手伝ったる」
「ほ、本当か!?」
ここで一万の鬼の大群を毎年抑えている太郎が助太刀してくれるんなら百人力だ。
これで光明が見えてきたぜ!
「せやけど、それでもまだ渡り切るにはまだ戦力が足りん。せやからキミらには陸にとある武器を取りに行ってもらいたいんや」
「武器……だと?」
せや、と真面目な顔を上下に動かし肯定する太郎。
どういうことだ? ジジイの刀だけじゃ力が足りねぇってことか?
「キミの腰の刀、先代勇者の宝刀やろ? それに封印の宝玉。それらは神が与えた神器て言われとる。せやけど、それだけじゃ鬼神を倒すには足りんのや。更に三つ、むかぁしの英雄が持っとった神器が必要なんよ」
「神器……そんなの王国でも聞いたことが無いわよ!?」
英雄が居たフォークロア王国出身のルナでさえも知らない話か……。
そんなものをなんで太郎が知っているのかが気になるが。
「その宝刀の秘めた力……それをある程度は使いこなしているキミなら分かるやろ?」
「あぁ。ジジイですらこの刀の本領はまだ隠されているって言ってたからな。まだ更に上があるっていうのは何となく分かっていたぜ」
それでなくとも、バケモノ染みた固さと力を持った鬼どもと対等以上に渡り合えていたんだ。この相棒が本来の力を取り戻せば、俺はいくらだって強くなれる気がする。
「その神が与えし刀を十全に使うには、神器との共鳴が必要なんや。鬼の神そのものを倒すには、文字通り神と同じだけの力が必要っちゅうわけやな」
「よし、その神器ってのを集めればいいんだな? それで、それらはいったい何処にあるんだ?」
次に三途の道ができる日までにそれらを集めておきたい。
それまで後どれくらいの猶予があるのか分からないが、いずれにせよさっさと取りに行かなくてはならないだろうな……。
「それがなぁ。どこにあるか正確な位置までは分からんのや」
「おいおい、まさかそんな適当な情報で探して来いって言わないだろうな!?」
いくらここが島国だからって、探し回るつったら何年掛かるか分からねぇぞ!?
それじゃあ俺がジジイになっちまうぜ。
「まぁまぁ、お茶でも飲んで一旦落ち着いてや。次に道ができるまで、だいたい半年ぐらいの余裕はまだあるんよ。それまでにここに戻ってくればえぇ。それに、大体の見当はついとるんや」
なんだよ、まだ余裕があるんならそれを先に言って欲しかったぜ。
太郎が出してくれた昆布の味がするお茶をズズズ、と飲みながらその見当とやらをゆっくり聞いてみることにする。
「で? それはいったいどんな武器でどんな所にあるっちゅーんや?」
「なんでワイの言葉使いが移っとるんやキミ……まぁえぇ。ちゃんとイチから説明したるわ」
太郎はそう言うと洞窟の影でガサゴソと漁りだし、奥からなにやら古ぼけた巻物を取り出して俺たちの元に帰ってきた。
「その武器はな、ワイがむかぁし旅をしとった時に出会った仲間が持っとったんや」
そう語り始めながら、巻物をくるくると解き始める。
そしてたき火の明かりで見えるように地面に広げ始めた。どうやらこれはこの国の地図のようだ。随分古いようだが、結構細かく描かれており俺たちが旅をしてきた山からこの海までの道も見て取れた。
「仲間……? おい、なんで旅の仲間がそんな伝説の神器を……」
「まぁ黙って聞いとき。とある理由があって、ワイはここで防人をやることを決意したんやけどな? ここから動けんワイに代わって、その仲間たちに国中の鬼を退治してもらうよう頼んだんや」
腕を組みながらウンウンと懐かしむように頷いている太郎。
この男はいったい、いつからこの海で戦っていたんだ?
ジジイの刀の事も知っていたし、絶対に若い見た目どおりの歳じゃねぇぞコイツ……。
「それじゃあ、その仲間だった人を探せばいいのね? ……で、その人たちは今どこにいるのかしら?」
ルナは合点が言った様子で太郎にそう尋ねる。
太郎はそれに対し……難しい顔でかぶりを振った。
「それがやなぁ、サヨナラしたんがもうかなり前やねん。せやから今現在、アイツらがどこに居るか正確な位置までは分からへんねん。……そこでコレが重要になってくるんや!」
太郎は腰元の袋から手の平ぐらいの大きさの小刀を取り出し、自慢げに俺たちの目の前に掲げた。
鞘には龍の彫刻が施され、瞳の部分には小さな青い宝石が埋まっている。
「なんだ? 随分と凝った飾り刀だが、これがいったい何の役に立つって言うんだよ」
「んなははは。まぁまぁ、見ときぃや~? キミらもあっと驚くで!!」
ニヤニヤと笑いながら、その小刀を巻物の上に置いた。
「――なっ!? う、動いただと!?」
「どうや~。すっごいやろ? ワイの知り合いに特別に作って貰ったんやで!!」
なんとただの小刀だと思った飾り刀が、不思議なことに地図の上で勝手にクルクルと回りだしたのだ。
そしてそのまましばらく回転すると……とある方角を指してピタッと止まった。
「へぇ~、なんだか不思議な力を持った刀だね~!」
「どういった仕組みなのかしら? 分解して調べてみたくなるわね……」
リンとルナが地図の上でビクともしなくなった小刀をツンツンとしながら、不思議そうに尋ねる。これはもしかして……。
「この小刀はなぁ、目指すべき道を指し示してくれるお護り刀。つまり一番近い他の神器の居場所を指し示してくれるんや! これと地図があれば方角は迷わず探せるっちゅうワケやな! どや、凄いやろ? んなははは!」
「すげぇじゃねーか、太郎!! よし、これで神器とやらも見つけられるな!」
「やったわね、テイロー!」
「すごいすごい!!」
俺たちは思わず輪になって喜びの声を上げた。
それを太郎は何となく懐かしそうな顔をしながら微笑ましそうに眺めていた。
本当は自分で仲間を探しに行きたいんだろう。だが防人となった今、それも難しいんだろう。
よし、ここまでしてくれたんだし、太郎の代わりに俺たちがその昔の仲間の様子を見に行ってきてやろう。
◇
こうして太郎の不思議な小刀のお陰で、桃太郎たちが鬼之島へ渡る道が見えてきました。
次に三途の道が開かれるのは約半年後。果たしてそれまでに桃太郎一行は神器を集め、鬼人を打ち倒すための新たな力を手に入れることはできるのでしょうか……?
とある洞窟の中で、桃太郎たち一行は謎の釣り人、太郎の振る舞う刺身料理に舌鼓を打っていました。
食事を通して太郎と和解した桃太郎は、鬼乃島へ渡る方法を尋ねます。
その道は通ることすら困難を極めると説得され、他に方法も見当たらない彼らは途方に暮れていました。
しかし桃太郎の腰に下げていたおじいさんたちの形見、鬼神封印の宝玉を見た太郎はとある案を思いついたようで……?
◇
「これも神さんの思し召しかもしれんなァ。……キミ、桃太郎いうたよな? もし……もしやで? ワイが鬼神を倒せる方法を教えるっちゅうたら……試す気、あるか?」
暗がりの洞窟の中で、真面目な声色でそう聞いてきた太郎。
さっきまでのヘラヘラとしていた態度はすっかり形を潜め、神妙な表情をしている。
俺より格段に強えぇコイツが、マジでそう言っているなら鬼乃島へ渡ることは可能なのだろう。だがしかし、それと同時にそれが容易いことではないと俺も察してしまった。
かといって、俺はジジイたちの仇を諦める気は毛頭ない。
「俺はどんな困難だろうと、あのフザケた神を殺せるんっていうなら乗る意思はあるぜ。それはたとえ俺が死ぬ可能性があったとしても、だ」
「わ、私も勿論テイローについて行くわよ!? 英雄になって堂々と国に帰るんだから! ……そ、それに私がついていないと、テイローは無茶するだろうし」
「ボクだって手伝うよ! だって、桃にぃたちはボクの家族なんだから!」
「ルナ……リン。お前ら……」
個人的な復讐にルナたち女子どもを付き合わせるなんて男の風上にも置けないが、俺としても二人がいてくれた方が心強い。それに俺だってコイツらのことをもはや一心同体、家族同然だと思っているからな。
まだ出会って間もないが、お互いの命を預けあってここまで来たんだ。信頼だって相当なモンだぜ。
「んなははは、そうか。家族やねんなキミらは。えぇなぁ……家族か。ほな、しっかりワイが生きて鬼乃島から帰ってこれるように助けてやらなあかんなぁ」
「ってことは……!?」
「あぁ、任せとき。ワイが鬼乃島に行く方法を教えちゃるわ! ただし、死ぬ危険が高いことには変わりあらへんで? ……それでもやるか?」
俺たちはお互いの顔を見合わせ、同時に頷いた。
「「「もちろん!」」」
俺たちの息の揃った返事に、満足そうにニッコリと笑顔で返す太郎。
どんな難題だろうと、俺たちなら乗り越えてみせるぜ!
「よし、ならキミぃら……陸に戻りや!!」
「「「……はっ?」」」
なにを笑顔でふざけたことを……!?
「おいおい。そりゃあいったい、どういうことだよ!?」
「そうよ! ここまで苦労して来たのに、陸に戻れなんて酷いじゃない!!」
「ボクたちじゃダメってことなんですか……?」
コイツ、やっぱり俺たちのことからかって遊んでいるだけなんじゃねぇのか!?
どうせ最初から鬼之島に行かせる気なんて無かったんだろう。
「おい、二人とも。これ以上ここに居ても無駄だったようだぜ。さっさと行こう」
「ちょいちょい! ちょっと待ちぃや。話は最後まで聞いてからでも帰るのは遅うないやろ!?」
「せっかちは損するんやで?」と立ち上がろうとしていた俺たちの服を掴んで引き留める太郎。
「なんだよ、勿体ぶりやがって。理由があるならさっさと言えっての」
「ひどっ!? こっちは知りたいっちゅうから親切で教えるんやで!? それに陸に戻れ言うたんはちゃんとした理由があってのことや! 意地悪なんかとちゃうわ!」
理由? 鬼之島に渡るのに陸に戻る必要っていったい何なんだ……?
ルナもリンも分からないようで、お互いに顔を見合わせてから一緒に首を傾げていた。
「さっきも言った通り、いくらキミらが強い言うても今のまま渡ろうとしても無理や。せやからワイも手伝ったる」
「ほ、本当か!?」
ここで一万の鬼の大群を毎年抑えている太郎が助太刀してくれるんなら百人力だ。
これで光明が見えてきたぜ!
「せやけど、それでもまだ渡り切るにはまだ戦力が足りん。せやからキミらには陸にとある武器を取りに行ってもらいたいんや」
「武器……だと?」
せや、と真面目な顔を上下に動かし肯定する太郎。
どういうことだ? ジジイの刀だけじゃ力が足りねぇってことか?
「キミの腰の刀、先代勇者の宝刀やろ? それに封印の宝玉。それらは神が与えた神器て言われとる。せやけど、それだけじゃ鬼神を倒すには足りんのや。更に三つ、むかぁしの英雄が持っとった神器が必要なんよ」
「神器……そんなの王国でも聞いたことが無いわよ!?」
英雄が居たフォークロア王国出身のルナでさえも知らない話か……。
そんなものをなんで太郎が知っているのかが気になるが。
「その宝刀の秘めた力……それをある程度は使いこなしているキミなら分かるやろ?」
「あぁ。ジジイですらこの刀の本領はまだ隠されているって言ってたからな。まだ更に上があるっていうのは何となく分かっていたぜ」
それでなくとも、バケモノ染みた固さと力を持った鬼どもと対等以上に渡り合えていたんだ。この相棒が本来の力を取り戻せば、俺はいくらだって強くなれる気がする。
「その神が与えし刀を十全に使うには、神器との共鳴が必要なんや。鬼の神そのものを倒すには、文字通り神と同じだけの力が必要っちゅうわけやな」
「よし、その神器ってのを集めればいいんだな? それで、それらはいったい何処にあるんだ?」
次に三途の道ができる日までにそれらを集めておきたい。
それまで後どれくらいの猶予があるのか分からないが、いずれにせよさっさと取りに行かなくてはならないだろうな……。
「それがなぁ。どこにあるか正確な位置までは分からんのや」
「おいおい、まさかそんな適当な情報で探して来いって言わないだろうな!?」
いくらここが島国だからって、探し回るつったら何年掛かるか分からねぇぞ!?
それじゃあ俺がジジイになっちまうぜ。
「まぁまぁ、お茶でも飲んで一旦落ち着いてや。次に道ができるまで、だいたい半年ぐらいの余裕はまだあるんよ。それまでにここに戻ってくればえぇ。それに、大体の見当はついとるんや」
なんだよ、まだ余裕があるんならそれを先に言って欲しかったぜ。
太郎が出してくれた昆布の味がするお茶をズズズ、と飲みながらその見当とやらをゆっくり聞いてみることにする。
「で? それはいったいどんな武器でどんな所にあるっちゅーんや?」
「なんでワイの言葉使いが移っとるんやキミ……まぁえぇ。ちゃんとイチから説明したるわ」
太郎はそう言うと洞窟の影でガサゴソと漁りだし、奥からなにやら古ぼけた巻物を取り出して俺たちの元に帰ってきた。
「その武器はな、ワイがむかぁし旅をしとった時に出会った仲間が持っとったんや」
そう語り始めながら、巻物をくるくると解き始める。
そしてたき火の明かりで見えるように地面に広げ始めた。どうやらこれはこの国の地図のようだ。随分古いようだが、結構細かく描かれており俺たちが旅をしてきた山からこの海までの道も見て取れた。
「仲間……? おい、なんで旅の仲間がそんな伝説の神器を……」
「まぁ黙って聞いとき。とある理由があって、ワイはここで防人をやることを決意したんやけどな? ここから動けんワイに代わって、その仲間たちに国中の鬼を退治してもらうよう頼んだんや」
腕を組みながらウンウンと懐かしむように頷いている太郎。
この男はいったい、いつからこの海で戦っていたんだ?
ジジイの刀の事も知っていたし、絶対に若い見た目どおりの歳じゃねぇぞコイツ……。
「それじゃあ、その仲間だった人を探せばいいのね? ……で、その人たちは今どこにいるのかしら?」
ルナは合点が言った様子で太郎にそう尋ねる。
太郎はそれに対し……難しい顔でかぶりを振った。
「それがやなぁ、サヨナラしたんがもうかなり前やねん。せやから今現在、アイツらがどこに居るか正確な位置までは分からへんねん。……そこでコレが重要になってくるんや!」
太郎は腰元の袋から手の平ぐらいの大きさの小刀を取り出し、自慢げに俺たちの目の前に掲げた。
鞘には龍の彫刻が施され、瞳の部分には小さな青い宝石が埋まっている。
「なんだ? 随分と凝った飾り刀だが、これがいったい何の役に立つって言うんだよ」
「んなははは。まぁまぁ、見ときぃや~? キミらもあっと驚くで!!」
ニヤニヤと笑いながら、その小刀を巻物の上に置いた。
「――なっ!? う、動いただと!?」
「どうや~。すっごいやろ? ワイの知り合いに特別に作って貰ったんやで!!」
なんとただの小刀だと思った飾り刀が、不思議なことに地図の上で勝手にクルクルと回りだしたのだ。
そしてそのまましばらく回転すると……とある方角を指してピタッと止まった。
「へぇ~、なんだか不思議な力を持った刀だね~!」
「どういった仕組みなのかしら? 分解して調べてみたくなるわね……」
リンとルナが地図の上でビクともしなくなった小刀をツンツンとしながら、不思議そうに尋ねる。これはもしかして……。
「この小刀はなぁ、目指すべき道を指し示してくれるお護り刀。つまり一番近い他の神器の居場所を指し示してくれるんや! これと地図があれば方角は迷わず探せるっちゅうワケやな! どや、凄いやろ? んなははは!」
「すげぇじゃねーか、太郎!! よし、これで神器とやらも見つけられるな!」
「やったわね、テイロー!」
「すごいすごい!!」
俺たちは思わず輪になって喜びの声を上げた。
それを太郎は何となく懐かしそうな顔をしながら微笑ましそうに眺めていた。
本当は自分で仲間を探しに行きたいんだろう。だが防人となった今、それも難しいんだろう。
よし、ここまでしてくれたんだし、太郎の代わりに俺たちがその昔の仲間の様子を見に行ってきてやろう。
◇
こうして太郎の不思議な小刀のお陰で、桃太郎たちが鬼之島へ渡る道が見えてきました。
次に三途の道が開かれるのは約半年後。果たしてそれまでに桃太郎一行は神器を集め、鬼人を打ち倒すための新たな力を手に入れることはできるのでしょうか……?
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