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1 神のシステムを起動してください
しおりを挟む『創世プログラムをインストールしました。Growing Original Demention System、G.O.D.sにはウイルスは検出されませんでした』
「ん……なんだ……? ここはどこだ……?」
『プログラムを実行してよろしいですか?』
「はっ? ……プログラムだって? 実行ってなんのことだ??」
『十秒以内にプログラムが実行されない場合、ここにある全ての存在は初期化及び削除されます。……カウントダウン開始。十、九、八……』
「おっ、おい!? 削除って何をだよ? 全ての存在ってなんだ!?」
『五、四、三……』
「わ、分かった!! する、実行する!! だからその意味不明なカウントダウンをやめろ!」
『音声認証により実行が許可されました。対象のプログラムを実行します。現在〇.三%進行中……』
「な、なんだっていうんだよ一体……」
あたりを見渡すが、暗黒の空間がただ広がっているだけで何も見えない。
まるで星のない宇宙空間に放り出されたかのようだ。
「たしか俺は、仕事帰りの電車の中で眠っちまって……それから……あれ? 俺、どうしちまったんだ?」
急患続きで夜遅くまで病院で残業する羽目になり、頭も回らないほど疲労困憊になっていたのは思い出せる。しかし眠ってしまった後のことが……ダメだ、まったく思い出せない。
自分の身体を確かめてみるが、特に異常はないみたいだ。黒のスーツ姿に黒縁眼鏡。カバンには白衣と携帯に財布などの小物たち。そして仕事道具。
……うん、帰宅していた時と同じ状況だな。
『現在八〇%進行中……』
「いや、同じじゃないぞ!? なんだ、この変な音声……俺のスマホから聞こえているな」
先ほどから聞こえている機械的な女の音声は、どうやらスマートフォンから発せられていたようだ。
最近購入したばかりの、最新機種。だが何となく様子が違う。
訝しく思いつつもスリープ状態を解除してみると、そこにはダウンロードした覚えのないアプリケーションが表示されていた。
「"ゼウスメイカー"? ゼウスってギリシャ神話の創造神だよな? さっきコイツが言っていた、創世プログラムが関係しているのか?」
あまりにも説明が無さすぎる。しかし誰かがこの状況を説明してくれるわけでもない。
……そして考える時間はもう、あまり残されていないようだ。
『進行率一〇〇%。プログラムは正常に実行されました。これよりG.O.D.sを展開します』
「おいおい、頼むからこれ以上ヤバいことは起きてくれるなよ……」
当然ながら音声ガイドはその願いに応えることはなく、代わりにスマホから大量の光が溢れ始める。
それは一瞬のうちに空間を埋め尽くし、俺の視界を完全に奪っていった――
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