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Scene 29
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新学期は四月八日からで、校内にはほとんど生徒はいない。野球部はじめいくつかの運動部がグラウンドや体育館で練習に励んでおり、その生徒が時折校内に入ってくるだけである。一度廊下でジャージ姿の生徒とすれ違ったが、生徒は反射的に俺に礼をする。
「おつかれ」
俺はよくわからない返答をした。生徒は、そういえばこの人だれ、という感じで去っていく。
俺は指導係である佐藤さんにカリキュラムに関するオリエンテーションを受ける。生徒のいない三年生の教室だ。初出勤から三日経ったが、ルール通りようやく佐藤先生でなく佐藤さんと呼べるようになってきた。俺の実の親父よりもずっと年上である佐藤さんは、やはり学者らしい泰然とした雰囲気を醸し出している。分家筆頭のフランス文学研究者、佐兵衛さんに相通ずるものがあった。
「佐藤さんは、ずっと学院ですか」
休憩タイムにお茶をすすりながら、俺は質問してみた。
「まぁんだけど。東北大学の博士課程修了したから、二十七歳ンときからかな」
なんとも高学歴の人がザクザク出てくるものだ。
「大学さ残りたかったげっと、講師の枠はねかったし、研究生で残れるほどうぢも裕福ではねえしな」
俺などは途中で仕送りを止められたが、大学に九年通うだけの資力は大したものだ。
「先代の旦那様に声かげらっでよ、学院さ来いって。着任して次の年に、理事長が入学してきたんだ。先代は校内では理事長を石川呼ばわりしていっさい特別あづがいすねっけな」
母はその教えを今も忠実に守っているのだろう。
「俺も石川のお姫様ば二代続けで面倒見で、最後はわが旦那のきょういぐ係だど。名誉なこどだず」
「すいませんこんなバカを教育していただいて」
俺は恥じ入って頭を下げた。
「第一印象は、学問はないがバカではなさそうだ、ってとこがぁ。雪江が選んだなださげ」
佐藤さんは豪快に笑った。
「そういや理事長が言ってだっけな、ギターはプロ級って」
佐藤さんが俺に尋ねる。
「大学ではずっと同じメンバーでバンドやってまして。東京や埼玉千葉、神奈川のライブハウス回ったりして、あやうく留年しかけました。理事長と佐藤さんとご住職のおかげで救われました」
俺はまた頭を下げる。
「学問はねぇなんてゆたげっと、石川さんのノートずっと読んでっと、あとの方ではだいぶ理解力が上がってるこどがわがった。んだがら、バカではないってこった」
多分褒められたのだろう。
「バンドやめで、雪江ば取ったんだがした」
「そういうことです」
「バカではねぇな、やっぱ」
逆に言えばバンドをやっていればバカということかと思い、少し気分が悪かった。
「でも一応、俺のいたバンドは先週メジャーデビューしたんすよ」
「メジャーってごどはレコード出したなが」
「まずDVDですけどね」
「テレビさ出だごどあんなが」
「関東ローカル局の深夜なら、二回ほど。音楽雑誌にも何回か載ってます」
俺は少し口を尖らせてアピールした。佐藤さんが少し感心したように言う。
「俺はそういうの疎いがらよくわがんねげっと、テレビと雑誌に出で、レコードも出してるってのはすごいなんねが」
「山形の十文字屋にも売ってました。父が五十枚も買ってきて、みんなに配るって言ってましたわ」
俺は少しうきうきして言った。
「旦那様がなぁ。んだら大したもんだ、石川さん、お前はバカではねぇな」
父が認めたらそれでいいということか。
「んだげど、軽音楽部の顧問なぁ…」
初出勤の日、高梨管理部長が何か言おうとしたのはこのことか。
「何か問題でも」
「あの部は、学院の問題児のアジトみでなものなだ」
佐藤さんが少し眉をひそめた。
「問題児ってと、國井と秋葉、西川とかいう生徒ですか」
「なんだ、おべっだんだがした、國井だなごど」
「雪江やトールパインの店長やサクラちゃんに聞いて。ほんのさわりだけ」
佐藤さんが驚いて俺を見る。前に母が言っていた通りだ。しゃねっけ、ってよりおべっだ、ほだなごどてゆうほうが強いんだと。まさにその通りになった。
「んだら話早い。あそごは、國井と秋葉、西川、ほんでそれぞれの彼女が籍置いてる。西川だけはほんてんギター好きみたいで、ギャンギャン鳴らしてっけど、けっきょぐはゆぐない野郎だのたまり場だ。指導部長も管理部長も、ヤロだが卒業するまで黙殺することにしたんだ。入部希望は受付でねぇ。もっとも、あそごさ入部すっだいやろなのいねげどよ」
大学で俺達の根城だったジャズ研究会の部室を思い出した。壁は落書きだらけ、リョータローのドラムセットと俺のアンプが置きっぱなしで、俺がよく泊まるためパイプベッドまで置いてあった。
「大学の頃のウチの部室と似たようなもんでしょうね」
俺は気にかける様子もなくつぶやく。母や祖母が言っていたように、子供を怖がる必要はない。ギター好きが少なくとも一人はいるようだし、面白くなりそうだ。
「案外肝が座ってんな、石川さんは」
「雪江が怖すぎて、他のものは平気なんですよ」
俺の冗談に佐藤さんがまた笑った。
「なんか盛り上がってますな」
佐藤さんの笑い声に釣られてか、東海林さんが小川を伴って教室にやってきて隣の机にそれぞれ座る。
「國井だの話してでよ、石川さんは雪江以外怖くないって言うさげ、大笑いしたのよ」
「そりゃ心強い」
東海林さんはほとんど訛りがない。
「國井たちは、怖いってか、面倒くさいんですよ。國井のことは…?」
「石川さんははそのごどだいだいおべっだど」
佐藤さんが少し誇らしげな感じだ。
「國井はあの通り歳も行ってるし成績も抜群で、教師なんか見下してる感じあるからね。秋葉は無口で何考えてるかわからない不気味さ。西川は誰彼かまわず噛み付いて回る」
熱血教師系だという東海林さんが困った表情を作ってみせる。
「その、國井って」
小川がノートを広げながら俺に問いかける。俺は彼らのことをかいつまんで話してやった。小川が熱心にノートを取っている。
「ほほう、なかなか興味深いです」
東海林さんは明るく語りだす。
「小川さんは私の実家と同じ、千葉の船橋でしたよ。大学まで同じ」
高学歴の在庫がまた貯まった。
「東海林さんは、なぜ学院に」
俺は高学歴の濃度を一気に薄めてしまう勝手な質問をする。
「母の田舎がここなんだ、実際。子供の頃は田舎に帰省するのが楽しみだったな。田舎はいいよねやっぱ」
「船橋はじゅうぶん田舎です」
小川が静かにツッコミを入れる。
「小川さんとこはそうだろうけど、俺は船橋駅徒歩五分以内だから」
東海林さんが笑う。小川も苦笑した。
「大学二年の頃、久々に寒河江のおじいちゃんのとこ遊びに来たとき学院を見てね、いい感じの高校だなと思ったの。調べてみたらますます興味が湧いて、就活はここ一本に絞ったよ」
「たしかに、いい学校だと思います。研究活動を奨励してくれる」
小川が眼鏡を拭きながらコメントした。何の変哲もない銀縁眼鏡をはずした小川はやはりそこそこの美人であった。
「あ、さっき雪江さんからメール貰いました。こんどの土曜日に家で飲もうって」
「なんだそら」
先日そんな話にはなっていたが、具体的な日時にはふれていなかった。それにしても女というのは電話番号やメアドの交換が早いものだ。
「小川さんはもう雪江と会ったんだがした」
「初出勤の日に石川さんと食事に行って、その席で」
小川はさらりと言いのける。
「石川さんは女房持ちなのに、さっそく初日に同期をナンパか」
東海林さんが笑って茶化す。
「初の同期会ですよ、トールパインですし」
雪江に隠れてコソコソ会うのであれば、街の人気店であるトールパインには行かない、と暗に訴えているのだ。
「あの店美味しいですね」
小川が相変わらずの抑揚のなさで言う。
「あそごの店長の安孫子は、高校時代はひでがったんだ。学校で昼飯食ったら左沢線乗って山形さ出かけてって、目のあった奴と喧嘩してくんだっけ」
佐藤さんは昔を懐かしむように言う。
「食後の運動ですな」
東海林さんはあくまで明るい。
「しまいには山形で一番悪いのが集まるんで有名な馬見ケ崎実業まで叩きのめして、学院のオニシロウなて呼ばっだんだじぇ、安孫子」
「格闘技とかやってたんですか、オニシロウ店長」
店長とつければいいというものではないぞ小川。
「なにもしてねっけなー、べづに」
「よく退学になりませんでしたね」
俺は素直な感想を言った。
「ほだな警察沙汰なの日常茶飯事よ。そのたんびに理事長が警察さ頭下げに行ったなだ。理事長は、安孫子はすっだいごどわがんねくていらいらしったなださげ、黙って見ででやっべて指導部長さゆたなよ」
「指導部長は安孫子を退学にしろと何度も理事長に進言しましたからね」
「んぼこの喧嘩だどれー、めんごいばんだー、ほだいごしゃぐなーおおはだー、で終わらせだっけ。理事長は時々訛り丸出しにしてはぐらかすからよ」
たしかに母は標準語と訛りを効果的に使い分ける。
「なるほど、子供の喧嘩でしょうに、かわいいだけです、そんなに怒らないで指導部長、ですか」
小川が見事な訳を披露した。
「小川さんは言葉わがんなが」
「フィールドワークでほうぼう訪れましたので、東日本の方言はほとんどわかります。話すのはムリですが」
「土地の古老からの取材とかあるからな」
東海林さんが熱血教師から言語学者の顔になってコメントした。
「それにしても、石川宗家で一杯ごっつぉになるなて、中々ないごどだがら。まんず明日は気ぃつけでな」
佐藤さんが小川に忠告を入れ、休憩時間は終わりになった。
「おつかれ」
俺はよくわからない返答をした。生徒は、そういえばこの人だれ、という感じで去っていく。
俺は指導係である佐藤さんにカリキュラムに関するオリエンテーションを受ける。生徒のいない三年生の教室だ。初出勤から三日経ったが、ルール通りようやく佐藤先生でなく佐藤さんと呼べるようになってきた。俺の実の親父よりもずっと年上である佐藤さんは、やはり学者らしい泰然とした雰囲気を醸し出している。分家筆頭のフランス文学研究者、佐兵衛さんに相通ずるものがあった。
「佐藤さんは、ずっと学院ですか」
休憩タイムにお茶をすすりながら、俺は質問してみた。
「まぁんだけど。東北大学の博士課程修了したから、二十七歳ンときからかな」
なんとも高学歴の人がザクザク出てくるものだ。
「大学さ残りたかったげっと、講師の枠はねかったし、研究生で残れるほどうぢも裕福ではねえしな」
俺などは途中で仕送りを止められたが、大学に九年通うだけの資力は大したものだ。
「先代の旦那様に声かげらっでよ、学院さ来いって。着任して次の年に、理事長が入学してきたんだ。先代は校内では理事長を石川呼ばわりしていっさい特別あづがいすねっけな」
母はその教えを今も忠実に守っているのだろう。
「俺も石川のお姫様ば二代続けで面倒見で、最後はわが旦那のきょういぐ係だど。名誉なこどだず」
「すいませんこんなバカを教育していただいて」
俺は恥じ入って頭を下げた。
「第一印象は、学問はないがバカではなさそうだ、ってとこがぁ。雪江が選んだなださげ」
佐藤さんは豪快に笑った。
「そういや理事長が言ってだっけな、ギターはプロ級って」
佐藤さんが俺に尋ねる。
「大学ではずっと同じメンバーでバンドやってまして。東京や埼玉千葉、神奈川のライブハウス回ったりして、あやうく留年しかけました。理事長と佐藤さんとご住職のおかげで救われました」
俺はまた頭を下げる。
「学問はねぇなんてゆたげっと、石川さんのノートずっと読んでっと、あとの方ではだいぶ理解力が上がってるこどがわがった。んだがら、バカではないってこった」
多分褒められたのだろう。
「バンドやめで、雪江ば取ったんだがした」
「そういうことです」
「バカではねぇな、やっぱ」
逆に言えばバンドをやっていればバカということかと思い、少し気分が悪かった。
「でも一応、俺のいたバンドは先週メジャーデビューしたんすよ」
「メジャーってごどはレコード出したなが」
「まずDVDですけどね」
「テレビさ出だごどあんなが」
「関東ローカル局の深夜なら、二回ほど。音楽雑誌にも何回か載ってます」
俺は少し口を尖らせてアピールした。佐藤さんが少し感心したように言う。
「俺はそういうの疎いがらよくわがんねげっと、テレビと雑誌に出で、レコードも出してるってのはすごいなんねが」
「山形の十文字屋にも売ってました。父が五十枚も買ってきて、みんなに配るって言ってましたわ」
俺は少しうきうきして言った。
「旦那様がなぁ。んだら大したもんだ、石川さん、お前はバカではねぇな」
父が認めたらそれでいいということか。
「んだげど、軽音楽部の顧問なぁ…」
初出勤の日、高梨管理部長が何か言おうとしたのはこのことか。
「何か問題でも」
「あの部は、学院の問題児のアジトみでなものなだ」
佐藤さんが少し眉をひそめた。
「問題児ってと、國井と秋葉、西川とかいう生徒ですか」
「なんだ、おべっだんだがした、國井だなごど」
「雪江やトールパインの店長やサクラちゃんに聞いて。ほんのさわりだけ」
佐藤さんが驚いて俺を見る。前に母が言っていた通りだ。しゃねっけ、ってよりおべっだ、ほだなごどてゆうほうが強いんだと。まさにその通りになった。
「んだら話早い。あそごは、國井と秋葉、西川、ほんでそれぞれの彼女が籍置いてる。西川だけはほんてんギター好きみたいで、ギャンギャン鳴らしてっけど、けっきょぐはゆぐない野郎だのたまり場だ。指導部長も管理部長も、ヤロだが卒業するまで黙殺することにしたんだ。入部希望は受付でねぇ。もっとも、あそごさ入部すっだいやろなのいねげどよ」
大学で俺達の根城だったジャズ研究会の部室を思い出した。壁は落書きだらけ、リョータローのドラムセットと俺のアンプが置きっぱなしで、俺がよく泊まるためパイプベッドまで置いてあった。
「大学の頃のウチの部室と似たようなもんでしょうね」
俺は気にかける様子もなくつぶやく。母や祖母が言っていたように、子供を怖がる必要はない。ギター好きが少なくとも一人はいるようだし、面白くなりそうだ。
「案外肝が座ってんな、石川さんは」
「雪江が怖すぎて、他のものは平気なんですよ」
俺の冗談に佐藤さんがまた笑った。
「なんか盛り上がってますな」
佐藤さんの笑い声に釣られてか、東海林さんが小川を伴って教室にやってきて隣の机にそれぞれ座る。
「國井だの話してでよ、石川さんは雪江以外怖くないって言うさげ、大笑いしたのよ」
「そりゃ心強い」
東海林さんはほとんど訛りがない。
「國井たちは、怖いってか、面倒くさいんですよ。國井のことは…?」
「石川さんははそのごどだいだいおべっだど」
佐藤さんが少し誇らしげな感じだ。
「國井はあの通り歳も行ってるし成績も抜群で、教師なんか見下してる感じあるからね。秋葉は無口で何考えてるかわからない不気味さ。西川は誰彼かまわず噛み付いて回る」
熱血教師系だという東海林さんが困った表情を作ってみせる。
「その、國井って」
小川がノートを広げながら俺に問いかける。俺は彼らのことをかいつまんで話してやった。小川が熱心にノートを取っている。
「ほほう、なかなか興味深いです」
東海林さんは明るく語りだす。
「小川さんは私の実家と同じ、千葉の船橋でしたよ。大学まで同じ」
高学歴の在庫がまた貯まった。
「東海林さんは、なぜ学院に」
俺は高学歴の濃度を一気に薄めてしまう勝手な質問をする。
「母の田舎がここなんだ、実際。子供の頃は田舎に帰省するのが楽しみだったな。田舎はいいよねやっぱ」
「船橋はじゅうぶん田舎です」
小川が静かにツッコミを入れる。
「小川さんとこはそうだろうけど、俺は船橋駅徒歩五分以内だから」
東海林さんが笑う。小川も苦笑した。
「大学二年の頃、久々に寒河江のおじいちゃんのとこ遊びに来たとき学院を見てね、いい感じの高校だなと思ったの。調べてみたらますます興味が湧いて、就活はここ一本に絞ったよ」
「たしかに、いい学校だと思います。研究活動を奨励してくれる」
小川が眼鏡を拭きながらコメントした。何の変哲もない銀縁眼鏡をはずした小川はやはりそこそこの美人であった。
「あ、さっき雪江さんからメール貰いました。こんどの土曜日に家で飲もうって」
「なんだそら」
先日そんな話にはなっていたが、具体的な日時にはふれていなかった。それにしても女というのは電話番号やメアドの交換が早いものだ。
「小川さんはもう雪江と会ったんだがした」
「初出勤の日に石川さんと食事に行って、その席で」
小川はさらりと言いのける。
「石川さんは女房持ちなのに、さっそく初日に同期をナンパか」
東海林さんが笑って茶化す。
「初の同期会ですよ、トールパインですし」
雪江に隠れてコソコソ会うのであれば、街の人気店であるトールパインには行かない、と暗に訴えているのだ。
「あの店美味しいですね」
小川が相変わらずの抑揚のなさで言う。
「あそごの店長の安孫子は、高校時代はひでがったんだ。学校で昼飯食ったら左沢線乗って山形さ出かけてって、目のあった奴と喧嘩してくんだっけ」
佐藤さんは昔を懐かしむように言う。
「食後の運動ですな」
東海林さんはあくまで明るい。
「しまいには山形で一番悪いのが集まるんで有名な馬見ケ崎実業まで叩きのめして、学院のオニシロウなて呼ばっだんだじぇ、安孫子」
「格闘技とかやってたんですか、オニシロウ店長」
店長とつければいいというものではないぞ小川。
「なにもしてねっけなー、べづに」
「よく退学になりませんでしたね」
俺は素直な感想を言った。
「ほだな警察沙汰なの日常茶飯事よ。そのたんびに理事長が警察さ頭下げに行ったなだ。理事長は、安孫子はすっだいごどわがんねくていらいらしったなださげ、黙って見ででやっべて指導部長さゆたなよ」
「指導部長は安孫子を退学にしろと何度も理事長に進言しましたからね」
「んぼこの喧嘩だどれー、めんごいばんだー、ほだいごしゃぐなーおおはだー、で終わらせだっけ。理事長は時々訛り丸出しにしてはぐらかすからよ」
たしかに母は標準語と訛りを効果的に使い分ける。
「なるほど、子供の喧嘩でしょうに、かわいいだけです、そんなに怒らないで指導部長、ですか」
小川が見事な訳を披露した。
「小川さんは言葉わがんなが」
「フィールドワークでほうぼう訪れましたので、東日本の方言はほとんどわかります。話すのはムリですが」
「土地の古老からの取材とかあるからな」
東海林さんが熱血教師から言語学者の顔になってコメントした。
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