Straight Flash

市川 電蔵

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Scene 35

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山形県有数の名家である石川宗家の婿、寒河江中央学院高校の新任教師としての俺の生活は、淡々と過ぎていった。もうすぐ四月も終わり、ゴールデンウィークに入る。寒河江は桜が満開を終える頃だ。東京にいた頃は、桜はちょうど入学式の頃に満開になると思っていたが、やはりここは北国なのだななどと考える。
平日はほとんど祖母と二人で夕食を取る。食後は俺にあてがわれた祖父の書斎で授業のための勉強をするのも日常になった。俺もひとつ、大学時代にいちおう専攻としていたインド哲学でも研究してみるかなどと思いつつ、煙草を吸いに外の喫煙所へ向かう。
煙草に火をつけたところで、携帯にメールが入る。見ると、ミギからのメールだった。雪江も宛先に入っている。
「アイ、雪江ちゃん、元気?俺達はツアーとレコーディングの毎日で、休みなし!BBミュージックはブラック企業だったよw ほうぼうツアーで回ってるから、ある日ふらっと訪ねて行くかも。」
JET BLACKはもう俺のものではない。少し悲しくなったが、ミギたちが精一杯やっていることは伝わってくる。
「あと、こないだウチの社長が商談してた相手が、石川一族って。イシカワインなんとか。そこの社長はアイにウチの社長を紹介してもらったって言ってた。なんかウチの社長にとってはすごくいい話だったみたいで、そのあとは明らかに機嫌がいい。アイ、いい話持ってきてくれてありがとな!」
東京の五兵衛さんは、BBミュージックにいい感触を持ったようだ。あの人もかなりやり手のビジネスマンらしいし、塚本さんが喜んでいるということは、きっといいことなのだろう。
添付の画像は、そんなに新しくはないワンボックスを背景に撮影した、メンバーの集合写真だった。ツアーに使っている車だろう。あの頃は、免許を持っているのがミギとキタだけだったが、今はマネージャーとかが運転するのだろうか。ミギは親に頼んで自家用車をワンボックスに替えてもらったくらいだった。
そんなことを懐かしく思い出していると、雪江のセドリックが駐車場へ入ってきた。二本目の煙草に火をつけて、雪江を待つ。ほどなくして雪江がやって来た。
「おかえり」
「ただいま」
短い挨拶でも、心は伝わる。俺は雪江と石川家が本当に好きだ。JET BLACKよりも。
「右田さんからメール来たね」
「うん、頑張ってるみたいだ。五兵衛おじさんの商談ってなんだろ」
「出資に決まってるじゃない。おじさんの仕事は投資よ」
なるほど、そういえばそうだった。
「こんどおじさんにメールして聞いてみる。たぶん業務拡張とか宣伝とかで資金不足気味だったんじゃないかしら」
「たしかに金かかるからなぁ、バンドやってくのは。チケットと物販で交通費までペイできるようになったのは一昨年の後半あたりからだったし。キモノ以外はずっと持ち出しだったな」
俺はしみじみと思い出す。バンドのためにバイトしてるようなものだった。しかし、それが辛いとは思わなかったのだ。
「ね、トールパイン行こう。おなかすいちゃった」
「ばあちゃんのタケノコ煮あるよ」
「なんかパスタ食べたい気分」
「んじゃ夜桜でも見物しますか」
俺達は腕を組んで、夜の寒河江を歩く。寒河江の街にも、数は少ないが飲食店はちゃんとあり、少しは賑やかだ。國井の彼女を自認している五十嵐の親が経営するというスナックと居酒屋が並んで建っている。スナックの方のドアが開き、酔客が帰るのを見送りに出てきたホステスがいると思ったら、五十嵐本人だ。五十嵐は俺と雪江に気づいて駆け寄ってくる。
「雪江様~先生~寄ってかない?」
「五十嵐ぃ…お前なぁ…」
俺の立場では厳しく注意しなければならないのだが、彼女の場合まったく悪気がないのだ。頭を抱えるしかなかった。
「優菜ぁ、あんた化粧濃すぎ。化粧しなくてもすっごく可愛いんだから、やめなよ、厚化粧」
雪江は優しい先輩の顔で、五十嵐の頭をなでる。
「きゃー雪江様に褒められたぁん」
五十嵐が雪江に抱きついて嬉しがる。五十嵐は明らかに酒臭いが、目をつぶることにする。稼業を手伝う親孝行な娘だとうことで。
スナックと居酒屋からそれぞれ五十嵐の父母と祖父母が出てきて俺達に挨拶をする。未成年に酒を飲ませていることなどなんとも思っていないあたり、田舎というのはおおらかなものだ。五十嵐の親たちは自分の店にしつこく誘ったが、俺は固辞してまた雪江と歩き出した。
「優菜は、私が三年のとき一年でね、私とサクラのファンクラブ会長だって宣言してたの。雪江様って言い出したのあの娘」
そういえば、沖津や大泉、ミニ三連星たちもそう呼んでいた。地元の女の子の間ではアイドルなのだろう。
「宝塚スターみたいだな」
「自分で言うのも何だけど、あの頃の私とサクラはそんな感じで扱われてた。女の子が寄ってくるのよ。サクラなんか、制服の下に着るセーターの色を替えたら、ファンクラブが一斉にそれと同じ色にしたくらい」
その年頃の女の子が、上級生の女の子に憧れる例というのは、たしかに俺も高校時代に見た覚えがある。確か女子バレー部のキャプテンがそんな感じだった。
「私は稔のことがバレバレで彼氏できないし、サクラはオニシロウちゃんの彼女だから他の男は絶対近づかないし。男を寄せ付けない女をありがたがる、女の子独特の感情よね」
雪江と櫻乃は女の園の偶像だったわけだ。成績優秀な名家の跡取り娘と特級の美少女のペアリングではそうもなるだろう。
「雪江の制服姿って、なんか想像つかないな」
「今度着て見せてあげるよ、まだサイズ変わってないし。うふ。なんかいいなそれ」
かなりお好きなほうである雪江が何を考えているかまるわかりだったので、俺はちょっと引いた。
「いやいやいやそれダメだから。俺毎日その制服見るんだからそういうのダメ」
「あーくんはマジメね」
雪江はそう言って組んだ腕を強く引き寄せ、頬をすり寄せる。もうトールパインの前だ。
「おらえの店の前でいちゃつかねでけねべが、ユキ~」
店のドアを開けて、櫻乃が冷やかす。
「ほいなごどは、家でゆっくりしてけろちゃ」
相変わらずの特級美女、特級訛りである。俺達はトールパインに入店する。
夜の十時を過ぎたところだが、店の中では制服姿の國井がカウンターに座っていた。
「ミノルなの気にすねでな」
櫻乃が小さな声で俺と雪江に言う。俺は無言で頷く。國井はちらとこちらを見て、またあからさまに顔をしかめ、すぐそっぽを向いた。そして制服の内ポケットに手を突っ込み、煙草を取り出して火をつける。まぁ彼は未成年ではないのでなんの問題もないのだが、一言注意しようと席を立つ。俺が席を立つと同時に店長のドスの利いた声が飛んだ。
「ミノル!煙草吸うときは学ラン脱げっていっつもゆってんべや!こっちが迷惑すんだ、あの店は学ラン着た高校生に平気で煙草吸わせてるって評判立づべ!お前ばおべっだ客ばっかりでねんだ!お前は未成年でねえのわがてっげど、未成年でねえなら人に迷惑かげねえようにするもんだ、このバカが!」
さすがの國井も店長の迫力にはたじたじで、あわてて制服の上着を脱ぐ。俺は國井のそばへ寄り、声をかける。
「おまえに言おうと思ってたこと、いま店長に全部言われた。俺も煙草は吸うけど、吸わない人には気を使ってるんだ」
國井は俺の方も見ず、スパスパ煙を吐く。もしかしたらふかしているだけかもしれない。
「先生来ったっけのが、先生の言わんなねごど先にゆたっけは。おまちどうさまでした」
店長が國井のオーダーしたものを持ってきて俺に笑いかける。おまちどうさまでした、だけが標準語のイントネーションになる。
「ビールも頼んだみでだげっと、ウチは車でおいでのお客様にはアルコールを出しませんので」
店長が國井に顔を近づけて挑発する。俺は國井の隣に椅子ひとつあけて座った。
「随分遅くまで制服着たまんまなにしてんの」
國井はスパゲティを頬張り答えようとしない。
「ミノルは夕方から山形市内の予備校に通って勉強してんだ、自家用車運転して」
「店長!」
店長がかわりに答え、國井が少しむっとする。
「國井はずっと成績トップなんだろ?勉強し足りないのか」
俺はスパゲテイを食い続ける國井に尋ねる。
「東大行くにゃ学院の授業レベルじゃぜんぜん足りねえんだよ」
國井がようやく俺のほうを見て答えた。
「ミノルは東京大学に入んのが目標なんだど」
「そのぐらいやらねど、霞城のあの野郎の鼻、あがさんねえ」
國井の霞城高校退学のきっかけを作ったという、例の陰険な教師を見返す腹か。たいした男だと、正直思った。
「俺は学院の新入り教師だが、お前を誇りに思うわ、國井」
俺はそう言って雪江の待つテーブルへ戻る。雪江にも話は聞こえていたはずだが、雪江は國井のほうに背を向けて座っており、決して振り返ろうとはしない。國井はすごい速さでスパゲテイを食い終わり、さっさと店を出て行った。
「あぁもう、気分悪い!」
雪江がようやく口を開いた。そしてオーダーした菜の花と筍のペペロンチーノを櫻乃が運んできた。
「気持づはわがっげっと、カリカリすんなっちゃユキ。ミノルは来年なったら寒河江さいねなだー。自分でゆったっけどれー、東大さいぐて」
櫻乃の訛りを正確に翻訳できるようになってきた俺ちょっとすごい。
「んだげっとよ、おもしゃぐないべしたー。ミノルより私のほうが成績いいっけべした、中学んどぎ。んだのに東大さ入るなてアガスケつかしったー」
雪江が櫻乃につられて方言全開で話す。
「その、アガスケツカシッター、って、どういう意味だ?」
俺の質問に、雪江と櫻乃がワンテンポ置いて爆笑した。
「アガスケて、標準語だどなんてゆうなやー」
「山形弁独特のニュアンスだずねー」
ふたりは笑いがおさまらない。
「たしかにニュアンス的には若干違うようですが、アガスケは生意気、と言う意味です。ツカスは動詞で、格好をつける、という意味。アガスケとツカスを連動させると生意気で格好をつけるという表現になります」
俺達のテーブルから死角になっているボックスから解説が飛んできた。小川の声だ。
「アガスケツカスは、不良少年の間で煽り文句として多用される。生意気、という意味に傲慢やええかっこしい、でしゃばりなどの意味をトッピングした感じだ」
同じボックスから東海林さんが立ち上がって補足し、小川とともにこちらのテーブルにやってくる。さすが現役の日本語学者でもある国語教師である。
「雪江さん、結婚おめでとう」
東海林さんが丁寧に礼をする。小川も従った。
「やんだ先生、さん付けなのすんなっちゃー」
雪江がにこにこして東海林さんを見上げる。方言モードから抜けていない。
「俺も國井が来たことは気づいてたんだが、やっぱり店長に先越されたわ、煙草注意するの」
「彼は未成年ではない、という事実がちょっとややこしい」
小川は自然な感じで東海林さんのわきに立っている。
「小川さん、東海林センセとつぎあったんだが?ずっとあそごのボックスですばらしぐ楽しそうに話しったっけどれー」
櫻乃がずけずけと質問する。
「男女がつきあう、という言葉の表現が示す範囲がどこまでなのかちょっと判断できないのですが、セックスを含むということであれば、東海林さんと私はつきあっているとはいえない」
小川の爆弾発言に、東海林さんがコケる。
「いや、そこまで聞いてないから言わないで」
俺は必死にフォローするが、雪江と櫻乃は笑いが止まらず、小川はきょとんとしている。
「小川さんとは、趣味がな、一緒だった。ってか俺なんか足元にも及ばないマニアだ」
東海林さんは照れながらも楽しそうに話す。趣味とは例のアニメとかボカロとかの方か。
「男性でもBLモノを語れる人がいるとは感動的ですらありました」
そう言って東海林さんを仰ぎ見る小川が、初めて恋愛中の女性の表情を垣間見せた。もっとえらいことを言いそうな予感がしたので、BLとは何なのか聞くのは止めておいた。
「セ、センセ、とにかく仲良くやってください」
雪江が笑い涙を指で拭きながら言う。
ふたりはボックスに戻っていく。たしかに、並ぶ二人の距離が以前より接近していた。
ちょっと冷めてしまったペペロンチーノを平らげ、俺と雪江は店を出る。東海林さんと小川はまだ話に熱中しているので、お先ですとだけ声をかけた。
「つきあう、ってホント、どこからを言うのかナ」
夜の寒河江を腕を組んで歩き、雪江が俺に問う。桜が満開を過ぎたとはいえ、夜はまだまだ寒い。体を寄せる雪江の体温が心地よかった。
「俺はなー。つきあったことないしなー、お前と会うまで」
「あん時は私が誘ったんだけどね」
「憶えてないんだよな~ホント。したことも」
俺は頭を掻いた。
「小川的に言えば、セックスまで含んだのであの時から付き合いが始まったってことだな」
「あははは」
「國井んときはどうよ」
「…意地悪。どっちもコクってないし、家の事情を知ってる友達から囃されてただけ」
「アイツは確実にお前に惚れてるぞ、たぶんずっと昔から、今でも」
「…わかってる。私だって嫌いじゃないよ、幼なじみだもん。でもあーくんが、ほんとに一番好き」
雪江は俺の腕を強く引き寄せ、自分の乳房に押し当ててきた。ジャケットの上からでも、体温が上がっているのがわかるし何より乳首が固い。やばい。
「帰ったら明日の予習だなー」
俺はそらぞらしく言ってみたが、雪江は許してくれなかった。
「大好き大好き大好き」
他に誰も歩いていないことをいいことに、雪江は路上でキスをしてくる。ニンニクの香りだ。
帰宅後、雪江は寝室で学院の制服姿を俺に披露した。次の日、俺は罪悪感にさいなまれてミニ三連星たちの制服姿を見ることになる。
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