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Episode.0 とある王女の記憶
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生まれた時から、自分はいらない子だったらしい。
物心ついた時には、彼女付きの侍女と二人で、王宮の地下に隠される様にして生活していた。
小さな机が一つに、ベットが二つ。ぐるりと部屋を一周する様に置いてある本棚。
ベットの向かい側にはどこかに繋がるドアがあって、そこから先は行ってはいけないのだと侍女に教えられた。
それに、違和感を感じたことはなかった。だって、ティアシェの世界はその地下の一室だけだったのだから。
それよりも、幼い彼女は父と母がいない事が気になった。
『ねぇ、どうして私にはお父様もお母様もいないの?』
不思議に感じて聞くと、
『ティアシェ様、今日はなんの本を読みましょうか?』
そう、笑って答えてはくれなかった。
何故だろうと考えて、”お父様”も”お母様”も物語の中にしかいないのかもしれない。
そんな結論に辿り着いて、もう彼女に聞くことはなかった。
5歳になった、ある日の事。
『これからティアシェ様の侍女を務めさせて頂きます。よろしくお願いします』
深く頭を下げた二人目の侍女。
機械のような人だ、と子供ながらに思った。
『あの人は?』
『彼女では貴女の役に立たないという見解を、王妃様が出されましたので』
役に立たない?そんなわけない。けれど。
何故だか凄く心が締め付けられたけど、そういうものなのだと納得した。
『ティアシェ様、勉強をしましょう』
本を一人で読んでいると、侍女が一冊の厚い本を差し出してきた。
数学、国語、歴史、経済、帝王学……様々な知識を詰め込まれた。
ただ本を読むだけの日々に、突如として現れた楽しみ。ティアシェは嬉々としてそれを習得していった。
その勉強の中で自分が何者なのか、どうして地下にいるのかを知った。
自分はこの国の王と異国の踊り子との間に生まれた子供らしい。
身分の低い母だったが、その美しさ故に王の目に留まり、やがて側妃にまで召し上げられ、ティアシェを産んだらしい。
しかし、それを良しとしなかったのはこの国の王妃で
「清らかな王族の血に身分の低い者の血を混ぜるなど許せない」と、生まれたばかりのティアシェを地下に、母を王宮のとある一角に幽閉した。
仮にも王族の血族を地下に置くのは……という反対意見は少なからずあったものの、大臣たちは王妃の息のかかった者しかおらず、唯一止められるはずの王も王妃の言いなり。少数意見は王妃の耳に届く前に掻き消えていったそう。
それで良く国がやっていけると思ったが、王妃の手腕は驚くほど素晴らしいらしく、意外にも民からの不満は少ないのだとか。
仕事は出来るが、性格に難あり、というのが王族に仕える侍従達の意見だそう。
ふぅん、と呟くと、侍女──メアリにしては珍しく、不思議な顔をして私に聞いてきた。
『ティアシェ様は、お怒りにならないのですか』
『……?どうして?』
『あまりにも、理不尽ではないですか。王の気紛れによって貴女は生まれ、そして、すぐに母親と離れ離れにされ、こうして地下に閉じ込められている。……あんまりではないですか』
『……そうね』
ひとつ頷いてから、メアリに答えた。
物心ついた時には、彼女付きの侍女と二人で、王宮の地下に隠される様にして生活していた。
小さな机が一つに、ベットが二つ。ぐるりと部屋を一周する様に置いてある本棚。
ベットの向かい側にはどこかに繋がるドアがあって、そこから先は行ってはいけないのだと侍女に教えられた。
それに、違和感を感じたことはなかった。だって、ティアシェの世界はその地下の一室だけだったのだから。
それよりも、幼い彼女は父と母がいない事が気になった。
『ねぇ、どうして私にはお父様もお母様もいないの?』
不思議に感じて聞くと、
『ティアシェ様、今日はなんの本を読みましょうか?』
そう、笑って答えてはくれなかった。
何故だろうと考えて、”お父様”も”お母様”も物語の中にしかいないのかもしれない。
そんな結論に辿り着いて、もう彼女に聞くことはなかった。
5歳になった、ある日の事。
『これからティアシェ様の侍女を務めさせて頂きます。よろしくお願いします』
深く頭を下げた二人目の侍女。
機械のような人だ、と子供ながらに思った。
『あの人は?』
『彼女では貴女の役に立たないという見解を、王妃様が出されましたので』
役に立たない?そんなわけない。けれど。
何故だか凄く心が締め付けられたけど、そういうものなのだと納得した。
『ティアシェ様、勉強をしましょう』
本を一人で読んでいると、侍女が一冊の厚い本を差し出してきた。
数学、国語、歴史、経済、帝王学……様々な知識を詰め込まれた。
ただ本を読むだけの日々に、突如として現れた楽しみ。ティアシェは嬉々としてそれを習得していった。
その勉強の中で自分が何者なのか、どうして地下にいるのかを知った。
自分はこの国の王と異国の踊り子との間に生まれた子供らしい。
身分の低い母だったが、その美しさ故に王の目に留まり、やがて側妃にまで召し上げられ、ティアシェを産んだらしい。
しかし、それを良しとしなかったのはこの国の王妃で
「清らかな王族の血に身分の低い者の血を混ぜるなど許せない」と、生まれたばかりのティアシェを地下に、母を王宮のとある一角に幽閉した。
仮にも王族の血族を地下に置くのは……という反対意見は少なからずあったものの、大臣たちは王妃の息のかかった者しかおらず、唯一止められるはずの王も王妃の言いなり。少数意見は王妃の耳に届く前に掻き消えていったそう。
それで良く国がやっていけると思ったが、王妃の手腕は驚くほど素晴らしいらしく、意外にも民からの不満は少ないのだとか。
仕事は出来るが、性格に難あり、というのが王族に仕える侍従達の意見だそう。
ふぅん、と呟くと、侍女──メアリにしては珍しく、不思議な顔をして私に聞いてきた。
『ティアシェ様は、お怒りにならないのですか』
『……?どうして?』
『あまりにも、理不尽ではないですか。王の気紛れによって貴女は生まれ、そして、すぐに母親と離れ離れにされ、こうして地下に閉じ込められている。……あんまりではないですか』
『……そうね』
ひとつ頷いてから、メアリに答えた。
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