30年待たされた異世界転移

明之 想

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第12章 激闘編

順調

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「少し休憩するか?」

「……いえ」

「ここまで来たのだ、緩めても支障はないぞ」

「大丈夫です、問題ありませんので」

「そうか……ふむ、無理はするなよ」

「ありがとうございます。ですが、今は急ぎましょう」

 今は僅かな時間も無駄にできない。
 あの場所に一刻も早く到着する必要があるのだから。

「速度を上げますよ」

 シャリエルンを横目に大地を蹴る。




「ここで別れるというのか?」

「ええ」

 視界の悪い獣道ながら、左右の分岐が確認できるこの地点。
 エリシティア様のもとへ向かった遡行前とは違い、今回はここで道を変えなきゃならない。

 とはいえ、それは俺ひとりの話。
 シャリエルンはこのまま王女のもとへ直行すればいい。

「なぜだ? アリマもエリシティア様のもとへ向かっていたのであろう?」

「右方向の気配が気になりまして、まずは確認しようかと」

「……」

「シャリエルンさんは先に向かってください」

「……そこまでなのか?」

「はい」

 迷いなく断定する俺に困惑の表情を浮かべるシャリエルン。
 まあ、納得はできないよな。
 ワディナートからずっと一緒に王女のもとへと急いでいたのだから。

 けど、ここは譲ってもらわないと困る。
 前回と違い回り道している時間はないんだ。

「嫌な予感がするんです」

「……」

「もちろん、あちらに問題がなればすぐに追いかけますので」

「……分かった。アリマがそこまで言うなら、いったん別れるとしよう」

 よし。
 これで大幅に時間を短縮できるはず。

「早く戻って来いよ」

「了解しました」




 遡行して半刻。
 シャリエルンから離れて四半刻。
 事はこの上なく順調に進んでいる。

 ザッ、ザッ、シュッ、ザシュッ。

 枝葉を切り払いながら進む必要があるこの短縮ルートはとんでもない悪道だが、それなりの速度で走り続けることはできる。であれば問題ない。余裕を持って今後の事態にも対処できるだろう。ギリオンとシアの命も無事に救えるはずだ。

 となると、問題はギリオンの鱗化だな。
 あれはどうすれば治療できる?
 そもそも完治は可能なのか?

「……」

 現状の俺ができるのは治癒魔法と魔法薬による治療。
 それに加えて魔力と気の利用。エンノアの民を治療した際のように、体内の流れを正常化することくらいしかできない。

 これで完治すればいいのだが、無理だった場合は……。

 エスト大神殿の神法に頼る、か、トトメリウス様。

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