30年待たされた異世界転移

明之 想

文字の大きさ
1,476 / 1,578
第12章 激闘編

疾走

しおりを挟む

 ここからセレス様のもとまでは、そう遠くはないものの近距離というわけでもない。それでも、道なき道を一直線に突っ切れば10分もかからないはず。

 シュッ、シュッ。
 ザッ、シュッ。

 青々とした茂みを剣で切り開きながら走る。
 駆け続ける、が……。

 ザクッ。

 思った以上に足が進まない。
 茂みの密度も高まるばかりだ。

「っ!」

 まずいな。
 これでは10分以上かかってしまう。

 間に合うのか?

「……」

 今のところ前方数人の気配は健在。
 セレス様の身も問題ないだろう。
 とはいえ、このまま無事に終えられると?
 魔物を倒せると?

「グガアァ!」

 キンッ!

 ガンッ!

「ぐっ!」
「うぐっ!」

 前方から聞こえる戦闘音、感じる気配。
 とてもじゃないが、楽観できる状況とは思えない。

 なら、休ませていたノワールを?

「ノワール……?」

「……」

 駄目だな。
 今はまだ不完全、万全からは程遠い状態だ。

 となれば、もう、無事を祈って走るだけ。
 どんな手段を使っても、無理矢理にでも急ぐしかない。

 まずは……。

「ウインドブレイド!」

「アイスブレイド!」

 風と氷の刃。
 左右に広げた薄い魔法刃を発動してやる。

 ビュッ!
 シュンッ!

 若干狙いから外れながらも、青の密集を刈り取っていく。
 まだ試作段階の魔法だが、上手く発動してくれたようだ。

「お次は」

 行く手を遮る太い枝。
 こいつは剣で斬り払う。

 シュッ!
 ザシュッ!

 残る細木や枝は無視。
 このまま駆ければいい。





「グルゥゥ!」

 キンッ!

 ガンッ!

 剣音が近づいてきた。

「アイスボール!」

「グギャア!」

 声もはっきりと聞こえる。

「「「ウウゥゥゥ」」」

 おそらくは、この密集地帯の先。
 ここを抜ければ、すぐそこに見えるはず。

 よし、行くぞ。

「アイスブレイド!」
「アイスブレイド!」

 氷刃2連発で作り出した隙間に足を踏み入れ、飛ぶように駆ける。


「ユーフィリア!」

「っ! 大丈夫です。セレス様はそこを動かないでください」

「……」

 見えた。
 セレス様とユーフィリアだ。
 間に合ったぞ。

「グルゥ!」

 魔物は小型の竜種とウルフ系。
 それらを相手にユーフィリアと騎士5人が戦っている。

「「「ウウゥゥ!」」」

 セレス様以外の全員がかなりの傷を負っているものの倒れている者はいない。
 何とか持ち堪えてくれたようだ。

 となれば、もちろん。
 俺の出番だ。

「雷波!」
「雷波!」

 バリ、バリ!
 バリ、バリ、バリ!

 放たれた紫電が全魔物を包み込む。

「「なっ!?」」
「「「えっ?」」」

 こちらに気づいた騎士たちを横に見ながら、先頭のウルフ系に接近。

 ザシュッ!

 一振り。
 剣を返して。

 ザシュッ!

 二振り。

 ザンッ!

 さらに、三振り。

 秒にも満たぬ間にウルフ系3頭が地に沈んでしまった。

「グルゥ……」

 その光景を目にし、じりじりと後退する竜種。
 明らかに怯えている。
 逃げようとしている。

 もちろん、逃走なんて許すつもりはない。

しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕だけ別な場所に飛ばされた先は異世界の不思議な無人島だった。

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚… スマホのネット小説や漫画が好きな少年、洲河 愽(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りの公園でくっちゃべっていると地面に突然魔法陣が現れて… 気付くと愽は1人だけ見渡す限り草原の中に突っ立っていた。 愽は幼馴染達を探す為に周囲を捜索してみたが、一緒に飛ばされていた筈の幼馴染達は居なかった。 生きていればいつかは幼馴染達とまた会える! 愽は希望を持って、この不思議な無人島でサバイバル生活を始めるのだった。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つものなのかな?」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達よりも強いジョブを手に入れて無双する!」 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は魔王から力を授かり人類に対して牙を剥く‼︎」 幼馴染達と一緒に異世界召喚の第四弾。 愽は幼馴染達と離れた場所でサバイバル生活を送るというパラレルストーリー。 はたして愽は、無事に幼馴染達と再会を果たせるのだろうか?

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

俺は普通の高校生なので、

雨ノ千雨
ファンタジー
普通の高校生として生きていく。その為の手段は問わない。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

無属性魔法しか使えない少年冒険者!!

藤城満定
ファンタジー
「祝福の儀式」で授かった属性魔法は無属性魔法だった。無属性と書いてハズレや役立たずと読まれている属性魔法を極めて馬鹿にしてきた奴らの常識を覆して見返す「ざまあ」系ストーリー。  不定期投稿作品です。

現世にダンジョンができたので冒険者になった。

盾乃あに
ファンタジー
忠野健人は帰り道に狼を倒してしまう。『レベルアップ』なにそれ?そして周りはモンスターだらけでなんとか倒して行く。

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

処理中です...