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第4章 異能編
能力開発研究所 1
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「有馬くん、そろそろじゃない?」
「まだ、早いだろ」
廃墟ビルの件で、鷹郷さんから呼び出しを受けることになった俺と里村。
まずは2人で都内に出て、今は指定された駅で待機しているところだ。
「早めにいかないと、待たせちゃ悪いから」
約束の時間まではもう少しあるんだが。
「外で待ってようよ」
「……そうするか」
「うん。古野白さんなら、きっと早めに到着すると思うからさ」
里村の言葉に従って駅前の駐車スペースに足を運ぶと、タイミングよく1台の車が入って来た。
その車を運転しているのは颯爽とした女性。
俺たちを迎えに来てくれた古野白さんだ。
「ほら、ちょうど良かったでしょ」
「だな」
窓を開け顔を出す古野白さん。
ほんと、モデルのようだな
「有馬君、里村君、こんにちは」
「こんにちは、今日はありがとうございます」
「こちらこそ、足を運んでもらって悪いわね」
「いえ。今回は断れないでしょうし」
「まあ、そうね」
古野白さんの顔には苦笑が浮かんでいる。
やっぱり、断れないってことだよな。
「とりあえず、ふたりとも乗って」
ふたりで後部座席に乗り込むと、すぐに発進。
「事務所は近くだから」
「分かりました」
古野白さんの運転する車が、都内の道をスムーズに進んでいく。
「ふたりとも、今日は頑張って」
「ええ! 頑張るって、そんなに大変なの?」
「大変ではないわ。でも、気疲れしそうでしょ」
「そっかぁ」
「ふふ、里村君は平気そうね」
「そんなことないよ。緊張してるんだから」
「そうかしら……あっ、着いたわよ」
ちょっとした会話をしている内に、目的地に到着したようだ。
「想像していた感じとは少し違いますね」
案内されたのは、近代的なビルの中にある1つの事務所だった。
「ホントだね。もっと、厳めしいというか、雰囲気のある場所だと思ってたなぁ」
「ここは5年前に改築したばかりだから、そう感じるのも仕方ないわね」
「そうなんだ。でも、研究所って、この一室だけなの?」
「この一室だけね。ただ、このビルの中は全て関連施設になっているわ」
「ビル全てが!」
「ええ。では、入るわよ」
能力開発研究所という何とも怪しい名称が掲げられた事務所の中に、古野白さんはノックもせずに入っていく。
俺と里村も後ろに続く。
「へぇ~、中はこんななんだぁ」
「普通でしょ」
「うん。普通に見えるね」
室内には5つのデスクとパソコンが並び、パソコンに向かって職員と思われる方々が仕事をしている。見た目では異能関係の仕事とは到底思えないような職場だ。
「楓季ちゃん、奥で鷹郷さんが待ってるわよ」
「……分かりました」
「古野白さん、楓季ちゃんって呼ばれてんだ」
「……」
「いいなぁ。ボクもそう呼んでいい?」
「無駄口はいいから、奥に行くわよ」
古野白さん連れられて向かった先は奥にある応接室のような部屋。
「やあ、今日はよく来てくれたね」
部屋の中で待っていた鷹郷さんが明るく声をかけてくる。
先日同様きちんとしたスーツに身を固めた姿は、異能者というより……。
公務員にしか見えない。
いや、そうか。
鷹郷さんは政府直属のエージェント的なものなんだから、ほぼ公務員かもしれないな。
「お久しぶりです」
「ああ、久しぶりだ」
応接室の中、立ったまま少しばかり挨拶を交わした後。
「さあ、こっちで話をしよう」
室内は、やはり応接室のような造り。
立派なテーブルをはさんで、これまた高級そうな2人掛けのソファー2脚が対面で設置されている。
そんなソファーの片側に俺と里村が腰を下ろし、対面には鷹郷さんと古野白さんが着席。
「この部屋は防音がしっかりしているから、室外に会話が漏れることはない。なので、遠慮なく何でも話してくれるといい」
「分かりました」
「はい」
「さて、まずは、有馬君。先日は危ないところを助けてもらって感謝している。私個人としても、能力開発研究所の職員としても、君にはとても感謝しているよ」
「いえ、まあ、成り行きですので……」
「はは、あれが成り行きというわけか」
「はあ……」
この人、どこまで知っているんだ?
古野白さんから、ある程度の話は聞いているだろうし。
分かっていたことだが、対応に困る。
「次に里村君。君を危険にさらしてしまったこと誠に申し訳なく思っている。どうか謝罪を受け取ってほしい」
「は、はい。大丈夫です。ボクは問題ないです。それに、あの後警護してもらって申し訳ないなと……」
廃墟ビルの一件の後、しばらくの間は里村に警護がついていたらしい。
「里村君、それは当然のことなんだよ」
「……はい」
「最後に有馬君。危地に陥った里村君を救ってくれたこと。こちらにも謝意を述べさせてもらおう」
「鷹郷さん、もう十分です」
「……」
「そもそも、あれも成り行きですし」
「あれも成り行き……。とにかく、君には感謝しているよ」
穏やかな笑顔で語りかけてくれる鷹郷さん。
ただし、この笑顔。
凄みがある笑顔なんだ。
さすが、異能関係に長年携わっているだけのことはある。
年齢も俺の実年齢より上だしな。
相当のキャリア持ちなんだろう。
「それで、こちらからの感謝が言葉だけというのもどうかと思ってね。これを用意させてもらった。受け取ってもらえるかな」
「まだ、早いだろ」
廃墟ビルの件で、鷹郷さんから呼び出しを受けることになった俺と里村。
まずは2人で都内に出て、今は指定された駅で待機しているところだ。
「早めにいかないと、待たせちゃ悪いから」
約束の時間まではもう少しあるんだが。
「外で待ってようよ」
「……そうするか」
「うん。古野白さんなら、きっと早めに到着すると思うからさ」
里村の言葉に従って駅前の駐車スペースに足を運ぶと、タイミングよく1台の車が入って来た。
その車を運転しているのは颯爽とした女性。
俺たちを迎えに来てくれた古野白さんだ。
「ほら、ちょうど良かったでしょ」
「だな」
窓を開け顔を出す古野白さん。
ほんと、モデルのようだな
「有馬君、里村君、こんにちは」
「こんにちは、今日はありがとうございます」
「こちらこそ、足を運んでもらって悪いわね」
「いえ。今回は断れないでしょうし」
「まあ、そうね」
古野白さんの顔には苦笑が浮かんでいる。
やっぱり、断れないってことだよな。
「とりあえず、ふたりとも乗って」
ふたりで後部座席に乗り込むと、すぐに発進。
「事務所は近くだから」
「分かりました」
古野白さんの運転する車が、都内の道をスムーズに進んでいく。
「ふたりとも、今日は頑張って」
「ええ! 頑張るって、そんなに大変なの?」
「大変ではないわ。でも、気疲れしそうでしょ」
「そっかぁ」
「ふふ、里村君は平気そうね」
「そんなことないよ。緊張してるんだから」
「そうかしら……あっ、着いたわよ」
ちょっとした会話をしている内に、目的地に到着したようだ。
「想像していた感じとは少し違いますね」
案内されたのは、近代的なビルの中にある1つの事務所だった。
「ホントだね。もっと、厳めしいというか、雰囲気のある場所だと思ってたなぁ」
「ここは5年前に改築したばかりだから、そう感じるのも仕方ないわね」
「そうなんだ。でも、研究所って、この一室だけなの?」
「この一室だけね。ただ、このビルの中は全て関連施設になっているわ」
「ビル全てが!」
「ええ。では、入るわよ」
能力開発研究所という何とも怪しい名称が掲げられた事務所の中に、古野白さんはノックもせずに入っていく。
俺と里村も後ろに続く。
「へぇ~、中はこんななんだぁ」
「普通でしょ」
「うん。普通に見えるね」
室内には5つのデスクとパソコンが並び、パソコンに向かって職員と思われる方々が仕事をしている。見た目では異能関係の仕事とは到底思えないような職場だ。
「楓季ちゃん、奥で鷹郷さんが待ってるわよ」
「……分かりました」
「古野白さん、楓季ちゃんって呼ばれてんだ」
「……」
「いいなぁ。ボクもそう呼んでいい?」
「無駄口はいいから、奥に行くわよ」
古野白さん連れられて向かった先は奥にある応接室のような部屋。
「やあ、今日はよく来てくれたね」
部屋の中で待っていた鷹郷さんが明るく声をかけてくる。
先日同様きちんとしたスーツに身を固めた姿は、異能者というより……。
公務員にしか見えない。
いや、そうか。
鷹郷さんは政府直属のエージェント的なものなんだから、ほぼ公務員かもしれないな。
「お久しぶりです」
「ああ、久しぶりだ」
応接室の中、立ったまま少しばかり挨拶を交わした後。
「さあ、こっちで話をしよう」
室内は、やはり応接室のような造り。
立派なテーブルをはさんで、これまた高級そうな2人掛けのソファー2脚が対面で設置されている。
そんなソファーの片側に俺と里村が腰を下ろし、対面には鷹郷さんと古野白さんが着席。
「この部屋は防音がしっかりしているから、室外に会話が漏れることはない。なので、遠慮なく何でも話してくれるといい」
「分かりました」
「はい」
「さて、まずは、有馬君。先日は危ないところを助けてもらって感謝している。私個人としても、能力開発研究所の職員としても、君にはとても感謝しているよ」
「いえ、まあ、成り行きですので……」
「はは、あれが成り行きというわけか」
「はあ……」
この人、どこまで知っているんだ?
古野白さんから、ある程度の話は聞いているだろうし。
分かっていたことだが、対応に困る。
「次に里村君。君を危険にさらしてしまったこと誠に申し訳なく思っている。どうか謝罪を受け取ってほしい」
「は、はい。大丈夫です。ボクは問題ないです。それに、あの後警護してもらって申し訳ないなと……」
廃墟ビルの一件の後、しばらくの間は里村に警護がついていたらしい。
「里村君、それは当然のことなんだよ」
「……はい」
「最後に有馬君。危地に陥った里村君を救ってくれたこと。こちらにも謝意を述べさせてもらおう」
「鷹郷さん、もう十分です」
「……」
「そもそも、あれも成り行きですし」
「あれも成り行き……。とにかく、君には感謝しているよ」
穏やかな笑顔で語りかけてくれる鷹郷さん。
ただし、この笑顔。
凄みがある笑顔なんだ。
さすが、異能関係に長年携わっているだけのことはある。
年齢も俺の実年齢より上だしな。
相当のキャリア持ちなんだろう。
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